暴風雪~本当の寒気

飲食店の天敵と言えば、雪と選挙とオリンピックです。

今年の2月は、この3つが揃いぶみでしたから、弱りました。

特に2月8日の「暴風雪」の日は、予約のキャンセル続出で、実に弱りました。

この日は雪だけでなく風も強くて、

「雪くらいでキャンセルする積りは毛頭なく、行く気満々で家を出たのだけれど、途中から進むことが出来なくなって、家に戻って来ました。ごめんなさい。」

というお客様もおいででした。

しかし選挙関係者だけは元気で、ざんざん降る雪の中、マスゾエ候補とイシバ幹事長がやって来て、「ちんや」の前で、しきりと「元気アピール」をなさっていました。

そこまで無理しなくても良いのにねえ。

そんな中でしたが、なんだかんだ、120名様のお客様にお越しいただけました。

浅草に泊まってしまい、「街歩きが出来ないから食事を楽しみたい」という方はいるわけで、どんなに酷い降りの日でも、お客様がゼロになることはなく、在り難いことです。

お足元の悪い中お越しいただいた御礼に燗酒を「サービス」させていただきました。

問題なのはスタッフの通勤経路です。表通りはアーケードがありますが、通用口の在る裏通りはアーケードが無いので、雪かきはマストです。

路面が凍結して転倒されては労災ですから、「早め」が肝心です。

いやはや良い運動になりました。

除雪をする内夜6時半~の、最終の予約の御客様が食事を終えてお帰りになり、それと同時に閉店させていただきました。

・・・と「ちんや」の寒い一日は暮れたのですが、本当の寒気は翌日やってきました。翌朝のニュース番組の中に。

そのニュースでは、雪の中奮闘する宅配P△ZA業者を採り上げていました。

その業者は通常営業を敢行していて、外食を諦めた客から注文が殺到。遅配を責めるクレームの電話に謝る様子や、遅れを取り戻そうと急発進したカートが転倒する様子が放送されました。

あの暴風雪の中、あの安普請のカートで出て行くなんて!

おそらく、この業者の経営者は、

雪にも負けず営業する「元気な会社」「元気な社長」であることを投資家にPR出来て、ほくそ笑んでいたことでしょう。

まさに当世日本のリヴァイアサン「ブラック企業」ですな。

雪の日に遅配を責める客もまた「ブラック消費者」ですが、こちらの方は、ひょっとするとテレビ局による「やらせ」かもしれませんね。カートの転倒も「やらせ」かも。

人様の苦しむ様子こそ、テレビというメデイアの、最強のコンテンツですからね。

それはともあれ、その宅配P△ZA業者が営業していたのは事実です。

そして、そのような「ブラック企業」と、食事の提供という事業分野で、弊社が競合しているのも事実です。本当に背筋の芯から寒気がしました。

さて、皆さんが投資家なら、この会社をどう観ますか。

「元気な会社」なのか、「やがて従業員に離反されるであろう会社」か。ご検討あれ。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.444日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

 

Filed under: ぼやき部屋,今日のお客様 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

ボケやすい人

編集者の知人が新刊本を出した、というので読んでみました。

『いくつになっても、脳は磨ける ~「アンチエイジング脳」読本 』という新書本です。

著者は築山節先生とおっしゃる脳神経の専門家で、1992年に脳疾患後の脳機能回復をはかる「高次脳機能外来」を開設された方とか。

専門医として数多くの患者と接してきた体験を基に「ボケないための脳の使い方」を解説するという御本です。

まず1点。「脳の回転数」が非常に大事なのだとか。

若年なのに「ものわすれ」がひどくなった、あるITプログラマーの患者さんがダメだったのは、終電まで会社に残って残業し、なおかつ家に帰ってからも自宅のパソコンで寝るまで仕事していたことでした。

「脳の回転数」は時間の期限を切った状態、つまり試験のような状態なら能率があがるのに、ダラダラやってはちっとも能率が上がりません。

脳に多少のストレスは悪くはないものの、このように延々と長時間ストレスをかけ続けてはダメ、と築山節先生は教えます。

私も定休日に仕事をすることが多いので気をつけたいです。

店が営業している日にできない仕事がどうしてもあるのですが、それをやる場合も、「時間の期限を切った状態」でやりたいものです。

さて「脳の回転数」の話しより、この御本の目次で目を引きますのは、

「高学歴で多忙な人ほど認知症になりやすい」という部分でしょうか。

築山先生によれば、脳の特定の分野ばかりを使っていると、その他の分野が衰えてしまうとかで、例えばレーガン・サッチャー・シラクといった指導者が晩年ボケてしまったのは、政治ばかりやっていて、身のまわりのこと一切を他人任せにしてしまったからだそうです。

政治に関わる脳だけ使うのはダメなのであって、政治家のように高学歴で仕事が忙しい人は、あえて雑用~犬の散歩とか、植木の水やりとか、食後の洗い物を自分でやる習慣にして⇒脳の色んな部分を使わないといけないのだそうです。

うーん。

あ、洗い物はしていますよ、少々。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.443日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

愚直経営

いやあ、そんな大変な時期があったとは存じませんでした。

断片的には聞いておりましたけどね。債務超過で倒産寸前だったとは。

本にハッキリ書いてあることなので、ここに書いてもOKと思うのですが、倒産寸前だったのは私の知人の会社・足立市場丸勤食販企業組合さんのことです。

で、その大変だった頃のことが書かれているのは『「愚直経営」で勝つ!』という御本です。9人の社長さん達の愚直経営ストーリーが綴られていて、丸勤食販さんの件は、その中の1篇です。

さて以前の丸勤食販さんは、足立市場の近くの工場や職場に食材を納めることを仕事にしていました。今では賄い飯というと飲食店の賄いしか思い浮かべませんが、以前は工場に煮炊きする設備が在って、従業員に食事を出している所がありました。そういう所に納めていたのです。

しかし時代の流れで、そういう職場は減っていき⇒丸勤食販さんの仕事は減り⇒経営も苦しくなって行ったようです。

私の知人・渡井さんは、その経営を再建すべく、御父上から会社を引き継ぎました。と、申しますか、倒産寸前だ!ということで、他の仕事をなさっていたのに呼び戻されたというのが実態のようです。

渡井さんは、その後結局経営再建を果たしますが、最初の内は体調が悪くなる位の苦闘の日々だったようです。

財務だけでなく社内も荒れていて、10年間に50人の社員が辞めていったとか。

そんな中、渡井さんは二条彪先生の講演で聞いた、

「同業他社が面倒くさがってやらないことを、閾値(いきち)を超えるまでとことんやり尽くすと世界が変わる」という教えを実行に移すことを決意します。

20種類だけだった商品の規格をフリーにして、100g単位で顧客の必要量だけ、カット形式も好きに注文できるようにしたそうです。

わずかな量でも洗浄・殺菌・脱水し、真空パックする、という作業を大真面目にやり続ける=愚直経営を続けることで、経営再建を果たしたのです。

市場の選び方も成功しました。こうした真面目な取り組みが重要な、病院向け食材・福祉施設向け食材の市場に進出したのです。

この市場は高齢化社会で成長が期待できる市場ではありましたが、丁寧な仕事が要求され、そして何より、患者さん達のライフラインを担う仕事で責任重大です。その事業に進出する本気さを見て、次第に社風も変わっていったそうです。

思いまするに、こうした愚直さこそがブランドです。

著者の三村邦久さんが後書きに書いておいでですが、

「ブランドとは単に高級品を指すのではなく、商品・サービス、そして企業そのものに対する信頼感を指しています」

この部分が多くの人に読まれたら良いと思います。

ブランド=認知度・知名度と思っている人が多すぎます。

特に、食べ物の世界で信頼感より認知度を追っている人が、実に多いんですよね、愚痴ですが。

この御本に学んで、愚直に信頼されようとする姿勢が評価される社会にしたいものです。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.432日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

 

 

Filed under: ぼやき部屋,台彪会 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

カエルのキャラクター

ネットのコメント欄が、これだけ一方の意見に偏っているのも珍しいなあ、と思いました。

キリンビールさんの缶チューハイの、カエルのキャラクターが登場するテレビCMが中止になった一件です。報道によりますと、

「外部のアルコール問題を扱う団体から「キャラクターを使った表現方法が未成年者の関心を誘い、飲酒を誘発しかねない」との指摘を受けた」

「放送を中止するのは缶チューハイ「本搾り」のCM。スーツ姿のカエルのキャラクターと俳優の大沢たかおさんの掛け合いで商品をPRする内容で、当初は26日まで放送し、その後、続編も計画していた。」

「キリンは「指摘を真摯に受け止めた。CMに関する社内基準を厳しくして再発防止に努める」と説明している。」

キリンさんは「真摯に」ということでしたが、真摯でないのはネット・ユーザーの皆さんです。

コメント欄は批判一色でした。曰く、

「今じゃ文句言ったもん勝ちだね。」

「過保護によって病気にせよ情報にせよ、個人の免疫力、自己治癒力がどんどん落ちていってしまうような気がする。」

キリンさんに対しても、

「こういう無茶な要求には毅然とした態度で臨んでほしいな。弱腰すぎる。」

たしかに私も、アルコール分解能力の低い方に酒を飲むことを強制する=アル・ハラは止めるべきだと思います。酒をとりまく環境が昔と違うのは知っています。未成年の飲酒も止めるべきでしょう。

しかし「カエルが未成年者の飲酒を誘発」までは、さすがに考え過ぎと言われても仕方ないですよね。

このニュースを機会に反アルコール団体のことを少し調べてみましたが、

結構意気盛んらしく、そうした団体の活動で「アルコールの有害な使用を低減する」ための「アルコール健康障害対策基本法」が国会上程間近なのだそうです。「アルコール問題議員連盟」というのもあるのだとか。極端な禁酒主義者の集団ではないようです。

しかし、今回の一件を巡る一部の報道やネットの反応では「モンスター・クレーマーだ!」と成ってしまっています。

双方が不寛容でトホホですねえ。

南無観世音菩薩。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.429日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

 

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

マルハニチロの農薬事件

マルハニチロの農薬事件の犯人が逮捕されたようですね。この一件について、

こうした事件が中国で起こるなら分かるが日本で起きたことはショックだ、と言う方がおいででしたが、私はそうは思わないんですよね。

自分の人生への不満を、お門違いにも社会や国家にぶつけてしまう犯罪者は残念ながら日本にもいるもので秋葉原のホコ天暴走・殺傷事件があったように、これまでも事件が起きてきました。

今回の事件も、ああいう犯罪に似た事例と思った方が良いのではないか、と思います。たまたま自分の職場が食品を扱っていたので、暴走したりナイフを振り回したりするより簡単にやってしまった、と思えます。

では食品業界は、これからどうすれば良いのでしょう。性善説は止めにして、

監視カメラを増設しろ、とか、

ボデイチェックを強化しろ、とか、

言われています。ほとんど空港なみですねえ。まあ、相手はテロリストみたいなもんですからね。

しかし悪意をもった犯罪者の、一瞬の行動まで把握することなんてことが出来るんでしょうか。出来たとしても、莫大なコストがかかります。そのコストは誰が負担するんでしょう。コスト分の値上げを消費者が受け入れましょうか。

だいたいですよ、冷食が何故ここまで普及したのか、考えてみますと、そりゃあ、勿論安いからですよ。生の食材やお惣菜は、すぐに悪くなりますから、メーカーにとっては廃棄リスクが発生しますが、冷凍してしまえば長期間日持ちして、そのリスクが小さくなります。当然その分売価を安くできます。

消費者にとっても、好きな時にチンする以外の一切の手間が省けて、しかも安いのだから、サイコ―です。

消費者にとって冷食を利用することで失うものと言ったら、

・本物の味

・家族の為に手間暇をかけて料理する愛情

の2点くらいなもので、チョロいです。

このように、そもそも冷食は安さと利便性が肝な商材ですから、値上げなど考えられません。

安全のためのコストはしっかりかけて、その原資は労働者の賃金をカットすることで確保する、そういう方向で今後も突き進むのだろう、と予想されます。

え? それは今より危ない感じがする って?

はい、御名算。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.428日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

失礼ですが、

店の予約をキャンセルした後、「失礼ですが・・・」と応答者の名前を尋ねる必要があるのは分かっています。

でも、「ちんや」の客なら、出来ればそれをシレっと言わずに、こちらの感情に配慮した言い方で聞いて欲しいものです。

それが当日のキャンセルで、

なおかつキャンセルの理由が、

接待先の外人さんがベジタリアンだと来日する迄気づかなかったから、という勝手な理由なら、尚更です。

ある日、そういうシレっとしたお嬢さんからの電話を私が取りましたので、

「キャンセルは承りましたが、こういう場合は本当に失礼だから、名前は聞かないのが普通と思いますよ!ちなみに私は「ちんや」の主人の住吉史彦ですけど!」

と言ったら、お嬢さん、絶句なさっていました。電話を切ってから、

可愛そうなことをしたかなあ~

とブルーに成ってしまい、

女に甘いなあ、俺も。

と思った冬の日でした。

今日は文句ついでに、もう一つ文句を申しますと、外人さんを成田空港から「ちんや」へ直接連れて来るのは、是非おやめいただきたいです。

外人さんはフライトや時差で疲れています。そこで肉なんて食べたいでしょうか。

それに飛行機の時間なんて前後するものですから、1時の予約が3時に変更になってしまったりして、営業上実に迷惑です。

時間の変更でこちらがイライラするのは勿論ですが、接待を担当なさっている御客様だってイライラします。

飛行機だけでなく、成田から浅草への道も渋滞したりして、その、さらなるイライラが外人さん御本人に伝わって、全く良いことがありません。

だいたいですね、先方が着いたらすぐさま大歓待したい!っていうのは日本側の都合だと思うんですよね。

その都合だけで突進するのは、それこそ「おもてなし」の真逆です。

この調子でオリンピックなんて大丈夫なんでしょうかね、まったく。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.426日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (1)

居座り

客が飲食店を長時間占有することは紛議の種ですね。

1月のある日、ネットに二つの記事が同時に出ていました。一つは、

「NYのマクドナルド、韓国人客「居座り」状態で警察沙汰」というニュース。もう一つは「知恵袋」コーナーの、

「デートで外食の際、恥ずかしい思いをします。」「外でごはんやお茶をする時、彼氏が自分だけ頼まないことが多く、いまだにこの点でわかりあえません。落ち込んでいます。」という、女性からの相談でした。

ことほど左様に、飲食店の営業に協力してくれない人は多数います。

さてまず、NYのマクドの件ですが、ニューヨーク・タイムズ紙が伝えたところでは、

「米国のコリアンタウンでマクドナルドと客の韓国人高齢者との間で座席をめぐりトラブルになっていると報じた。韓国人高齢者が安い飲み物1杯で長時間居座ることが原因だが、困り果てた店側が警察に通報したところ、在米韓国人社会は「差別」だとして反発。マクドナルドに対する不買運動の計画も持ち上がっている。」

「トラブルになっているのはニューヨーク市クイーンズ区フラッシングにある店舗。同紙によると、韓国人高齢者たちはコーヒー1杯(1.09ドル)、またはフレンチフライ1袋(1.39)だけを購入。それを仲間と分け合いながら長時間会話し、テーブルを独占しているという。時には店がオープンする午前5時から夜まで居座る客もいるという。店は対応策として「注文したメニューを20分以内に済ませてください」と記した案内文を掲載。長居する客には直接、席を譲るよう求めた。」

「座席をめぐる警察沙汰は2013年11月以降だけで4件発生している。同店のマネージャーは「ここはマクドナルド。老人ホームではない」と述べ、韓国人高齢者の行動に怒りをあらわにしているという。」

へええ、アメリカって、長居しているというだけの理由で、客を警察を使って追い出すことができるんですねえ。知りませんでした。

さて、次の「デートの外食が恥ずかしい」という女性の件ですが、

「彼氏とはつきあって2年になります。お互い社会人です。

うまくいえませんが、外でごはんやお茶をする時、たとえばカフェに入りたいと私が言い、

「いいよ」というので入り、いざオーダーの段階になると、

「僕はいらないからいいよ」または「水でいい」と言う。

店に入る前、オーダーの前、いっさいその旨は私に告げません。

居酒屋でもドリンクオーダーの際「じゃあ水で」とか言います。

「どうして頼まないの?」ときくと

「飲みたいときは頼むけど今は飲みたくない」

「高い。ペットボトルのやつ買って飲んでた方がいい」とか言います。

あんまり言うと「お前は実家暮らしだからいい。一人暮らしすれば分かる」とか言われます。

今日も2度もそういう思いをして、心が折れそうです。

でも責めると「お前は実家暮らし…」と言われます。

そうじゃなくて、常識の話をしているんだ!と思います。

私のほうが行けないのでしょうか・・・

・・・こりゃあ、ダメだ!と申し上げておきます。

節約したいのなら、外食の店には最初から入らない方が良いのです。公園でペットボトルを飲めば良いのです。カノジョが外食したいと言っても、鉄の意志ではねつければ良いのです。

要するに、優柔さんなのであって、また店で軽蔑の視線を浴びても平気なわけですから、自尊心が少ないのです。

とっとと、今すぐ振りましょう、そんな男は!ロクなものに成りませんね。断言します。

おっと、年甲斐もなくエキサイトしてしまい、お恥ずかしいです。ここからは話しを「ちんや」のことにもって行きたいと思いますが、

「ちんや」の個室を使っていただく時間は「2時間半」と明確にしてあり、HPやパンフレットにも書いてありますし、予約の電話でも必ず告知しています。

ご高齢の方が料理一人前を頼まないことは受け入れています。

ただし、サービス料@500円はいただきます。

一人前を頼まれない場合も、水やお茶をお出ししたりはするわけですから、無料というわけには参りません。その人だけおしぼりを出さないってわけにも参りますまい。

たいていは料理を取り分けすることになりますが、その、取り分け用の皿を洗うのは誰ですか。有給の人間ですよね。そう、暖房だって動かしますしね。

課金されたことに不満を言い立てる方もおいでですが、そこは、こちらも鉄の意志で譲りません。

だって不満を言う方がおかしいですよ。500円支払うことによって、一人前を頼まない客であっても堂々と、自尊心を保ちながら「ちんや」を利用できるんですから。

店側としても、発生した費用の内500円は回収できるわけですから、NYのマクドのようなことはしないで済みます。

客が飲食店を長時間占有することは紛議の種ですが、なんとか折り合って、良い社会にしたいものです。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.423日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

 

 

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

英国政府観光庁の手引き書

英国政府観光庁が作成した、観光業界向けの手引きがネットで紹介されていて面白く読みました。

と申しますか、役所がこんなものを作るんですねえ!という感じです。

この手引きには、客の国ごとに「興味深いアドバイスが並んでいる」と言うか、ほとんど偏見のようなものも入っていて笑えました。曰く、

「カナダからの訪問客を米国人と呼んではいけない」

「ベルギー人には、同国の複雑な政治や言語圏の話をしようとしてはいけない」

~まあ、これは分かります。

「インド人は愛想が良いが、気が変わりやすい」

「ドイツ人とオーストリア人は総じて遠慮がなく要求が厳しいため、無礼で攻撃的に見えることもある。苦情には迅速に対応すること」

~うーん、ドイツ人が攻撃的っていう印象は無いですけどねえ。

「面識のないフランス人には、ほほ笑みかけたり、目を合わせたりしてはいけない」

~そ、そうでしたっけ?!

御盛んなフランス人に「気が在る」と誤解されると良くないっていう意味ですかね。だとしたら偏見かと。

「香港の迷信深い人には、歴史ある建物や四柱式のベッドで眠るのは幽霊が出そうだと嫌うので、勧めてはいけない。」

へえ。

そして日本人については、

「日本人客にははっきり「ノー」と言わず、もっと感じの良い言い方を考えなければならない。」

まあ、外人さんが断然No,で会話を始めるのに、私も違和感を感じないわけではないですが、そういう言葉なんだから仕方ないですよねえ。

例えば、私がロンドンのホテルで「王宮に行くにはホテルを出て右ですか?」と聞いた時、その方角が間違っていたら、ホテルの人の返答は、私が客でもNo,で始まるでしょう。

Noを使わずに、英語でなんて言うんでしょうか。今度試してみたいです。

「日本人の要望には、たとえ具体的に言われなくても、すべて先回りして対応すること。」

~ほお、それは助かります。日本人って、よほどのことがないとリクエストを出しませんからね。こちらの様子を観てくれて、先回りして下さるのは有り難いです。

考えてみますと、同じことが、外人さんを受け入れる日本の観光業者にも必要ですよね。

観察していて部屋の温度が「寒そう」であれば、言葉が通じなくても、人間同士なら分かりますから、暖房を強くしてあげるべきですね。

実に勉強になりました。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.420日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

記念講演

弊店の和食調理長・吉田裕一が東京都の「優良調理師」に認定されました。

これはスゴいことです。何がスゴいって、イノセ知事から貰ったんですからね、今となっては貴重です。

で、認定の記念講演をすることになりました。

と、そこまでは良かったのですが、どうも自由に話して良いわけではないらしく、都から御題が出されたのには弱りました。その御題は、

「すき焼き店における食育」しかも「世界遺産の件にも触れるように」との上意。

む、難しいですねえ。

弊店が食育に取り組んでいる点を御評価いただいた点は、まあ、有り難いのですが。

社長、相談に乗って下さいよ!と申しますので、まず整理からしてみることにしました。

さて、まず<子供の食育>ですが、弊店では以下のようなことをしています。

・作業場見学、肉切り体験

⇒国際観光日本レストラン協会の食育プログラム『夏休み親子体験』に参加

⇒台東区役所の『手作り工房マップ』に登録、常時見学を受け入れ。

・具材の栄養学

⇒小冊子『すき焼き百科』を作製・配布。平易に解説。

・外食する際のマナー

⇒これも『すき焼き百科』に掲載。

しかしですね、この位のことで、「食育」が出来ている、とはゼンゼン思えません。自分で言っては仕方ないですが、むしろ、

<大人の食育>の方が子供の食育より必要かも!と思ったりします。 

・明治以降の食文化史を、概略で良いから理解していただき、日本の味覚への愛国心をもっともっと抱いて欲しいところ。勿論、それをお子さんに伝えていただきたい。

⇒『すき焼き百科』の歴史を説明した部分は、実は大人に読んで欲しい。

⇒「すき焼き通検定」試験を実施。

しかししかしですね、それだけでもゼンゼンだめです。

<本当の食育>が必要です。それは、

・日本人の正しい味覚を獲得すること。家族で、その味覚を共有していただくこと。

⇒お爺ちゃんと一緒に、お爺ちゃんが好きなすき焼き屋に行くのが良い。

そう、すき焼き屋の本業そのものが、実は食育なんです。ですので、

⇒三世代揃って御来店いただけるよう、販促努力をしている。

例:「すき焼き思い出ストーリー」投稿サイトを開設

例:「すき焼き川柳コンクール」を実施

例:ハート型牛脂『牛ゅとハート』を商標登録

結局薬局お子さんの味覚がちゃんと育たないと、ダメだと思うんですよね。だから、

<世界遺産登録>は目出度いは目出度いですが、楽観はできないと思いますよ。

・一般家庭の日本人は、どんどん味覚や調理技術を失っている。それを世界から指定されて、果たして本当に大丈夫なのか、と思う。

・素晴らしい料理屋さんの、素晴らしい料理だけを指定して貰った方が良かったのでは・・・とすら思う。

(今回遺産登録されたのは、日本人の四季の暮らしに根差した和食なのであって、料理屋の料理じゃありません、念のため。登録を推進したのが京都の料理屋さん達だったので誤解している人がいるかもしれませんが、違いますのでね。)

・日本人が「安さ」「利便性」(=いつでもいくつでも買えること)という価値を「正しい味覚」より、価値として上位に置いている限り、世界遺産登録されたからと言って、にわかに状況が良くなるとは思えない。

・和食店も多少の努力はしているが、ごくたまに食育プログラムを企画する位では、大勢を変えるに至るとは思えない。小学校の給食に「和食の日」「すき焼きの日」「天麩羅の日」「寿司の日」を強制的に造る位のことが必要と思う。

これが、私の現時点での、食育についての捉え方です。

食育冊子は作りましたし、見学会・体験会もやりますが、どうも、それだけで自慢する気になれないんですよね、私は。

祝賀ムードを盛り下げてスミマセン。

もっとも、以上の内容を講演会で、このまんま話させようというわけではありませんよ。

住吉史彦の『そこまで言って委員会』じゃあ、ないですし、都の主催ですしね。

やしきたかじんさんの御逝去を悼み、心よりお悔み申し上げます。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.419日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

レンタル着物

市場規模が縮小している業界のことは気をつけて観るようにしています。

そうしましたら「成人式の振り袖はレンタルが過半数超え」というニュースが目につきました。

報道によりますと、

「2000年当時の成人式で振り袖着用者のうち、購入者が50%だったのが2013年には20%を切り、2015年には17%まで下降するとみられている。一方でレンタル着用率は2000年に30%だったのが2005年に購入着用率を逆転、2015年には55%に増えると見込まれている」

「レンタル業者さんは昔からありましたが、5年ほど前からものすごく増えたなという印象です。それに伴って販売価格も下がっています。10年前は帯など含めて振り袖一式50万~60万円くらいが相場でした。でも今は、レンタルとの価格差を縮めようと一式30万円くらいが平均です。それでもレンタルを利用される方が今後も増えるのは確実でしょう」

着物を財産として持つ、という考え方が無くなりつつあるのですね。

そう言えば今年の初詣の人波の中にも、着物が実に少なかったです。

着物を買っても着る機会が少ないのですから、ますますレンタルに走る傾向になりましょう。なんとか、

レンタル出来る⇒着る機会が増やせる

という方向には出来ないものなんでしょうか。

レンタルが実売の代替にしかなっていない現状は悲しいです。

だいたい、

振袖=成人式と卒業式だけ

浴衣=花火大会だけ

というのはザンネン過ぎます。

こういう日以外にも、それぞれの人には、それぞれの記念日があるわけで、例えば、

お嬢さんが自分の誕生会で着物を着れば、お父さんも大喜びと思います。

そう、今の状況を改善するには、成人式で着物をレンタルしたお嬢さんと、そこで御縁が切れぬよう、なるべく個人情報を出していただく=言い方を変えれば御縁を作るしかないわけです。

誕生日を記念日として登録していただいて、その日はレンタル料が10%引きになるとか・・・あっ、それじゃ、どこかすき焼き屋の「記念日割引」と同じですな。

ともあれ「レンタルするな」とは私は申しません。合理的ではありますからね。繰り返しレンタルする内に買う気が起こるかもしれませんし。

でも、実売が苦しいからレンタルに、っていうのだけは是非止めていただきたいと思います。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.416日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Twitterもやっています。アカウントは、こちらです。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)