痛風デビュー

同期生が続々痛風デビューしています。

先日私より若いすき焼き屋さんもデビューを果たしました。

そう書きますと、ほら見ろ、肉とか贅沢をするから痛風に成るんだ!と言われそうですが、違いますのでね。

尿酸の素になるプリン体は、生物の細胞の核酸に含まれています。核酸とはDNA とRNAのことで、別に牛肉だけに多いわけではありません。

核酸はアミノ酸と並んで旨味を感じさせる成分なので、旨い物を食べる⇒痛風と思われがちですが、正確には、全ての旨い物が痛風を招くわけではないです。

核酸はDNA とRNAですから、細胞数の多い食べ物・細胞分裂の盛んな組織に多く存在するわけでして、例えばレバーには非常に多いです。イクラとかの魚卵にも多いです。

実際、上記のすき焼き屋さんはアン肝を3個食べた翌日デビューしたそうです。

ビール⇒痛風というイメージもありますが、ビール自体にプリン体が多いわけではなく、アルコールが脱水症状を起こすから⇒血液中の尿酸濃度が上がって痛くなるのです。

プリン体ゼロの酒でも飲み過ぎれば脱水を起こしますから、私はあんまり意味がないと思っています。メーカーさんとしては「ビール⇒痛風」というイメージに対抗しようと思ってやっているのでしょうけどね。

私は、酒を飲むなら水も飲め!と言う方が正しいと思います。

さて、そんな中、尿酸持ちの皆さんに朗報が届きました。

「乳酸菌がプリン体に作用=血清尿酸値の低下で痛風に効果も」

というニュースです。

東京女子医大膠原病リウマチ痛風センター所長の山中寿教授が実施した実験で、乳酸菌「PA-3株」を含むヨーグルトを食べ続けた痛風患者の尿酸値が低下したそうです。

乳酸菌がプリン体に作用して尿酸値の上昇を抑制するのだとか。

私も初耳でしたので、おや、と思ってこの記事をFBにUPして見ますと、

3分もたたずに知人からコメントが。

マジですか!PA-3って表示してあるヨーグルトを食べれば良いんですね!

おやおや、お悩みだっていうことがヒシヒシと伝わって来ますねえ。どうぞ、ご安全に。

追伸

すき焼き思い出ストーリーの投稿を募集しています。

すき焼きは文明開化の昔から、日本人の思い出の中に生きてきた料理です。でも残念ながら、その思い出話しをまとめて保存したことはなかったように思います。

ご投稿くださったものは、「ちんや」創業135周年を記念して本に纏め、今後店の歴史の資料として、すき焼き文化の資料として、末永く保存させていただきます。

どうぞ、世界に一つだけの、すき焼きストーリーを是非、私に教えて下さい。

投稿〆切は9月末日です。

既にご応募いただいた、50本のストーリーはこちらです。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.950日連続更新を達成しました。

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外国人におすすめしたいもの

ほお、3位ですか。

ネットで発見したのですが、とある調査で、

「和食の中であなたが日本に来た外国人におすすめしたいものは何ですか?」

と聞いたら、すき焼きは3位だったそうです。

1位は「お寿司」(52.5%)

2位が「天ぷら」(50.7%)

3位が「すき焼き(他鍋料理)」(38.7%)

これは給湯器のノーリツ社が運営する「CLUB NORITZ(クラブ・ノーリツ)」の会員さん1,415人を対象にインターネット上で行った調査だそうです。

このサイトは「製品を長く快適にお使いいただくためのアイテムを提供します」というサイト。

ノーリツ製品を持っている人が「所有者登録」をすれば無料で会員に成れるらしく、そういう会員さんを相手に主に部品や消耗品を通販しているようです。

「クラブ」というので気になって開けてみましたが、どうやら部品通販のサイトのようでした。

さて調査の結果についてですが、

寿司に負けていることは自覚しておりました。

ヘルシーイメージですからねえ。

しかしですよ、酢飯にしても飯は飯なのであって炭水化物です。食べ過ぎは良くないと私は思うんですけどね。

実際、すき焼きやステーキ、鰻を食べて長生きしているお年寄りは大勢いますけど、「寿司で長生き」ってのは、あんまり聞きませんよね。

あ、この↑文に疫学的根拠は無いですので、そのようにお読み下さい。

そう、負け犬のナントカはやめておきましょうかね。

本日はとっとと引き上げます。

追伸

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ふぐと自衛権

うーん、これを聞いてふぐ屋さんはどう思うんでしょうか?

報道によりますと、

「安全保障関連法案を審議する19日の衆院平和安全法制特別委員会で、横畠裕介内閣法制局長官が集団的自衛権の行使容認を食材のふぐに例え、限定容認による「合憲性」をアピールする場面があった。」

「ふぐには毒があるので全部食べればあたるが、肝を外せば食べられる」と述べた・・・そうです。

うーん、私は法案を読んでいないので、なんともコメントできませんけどね、例えに使われたふぐ屋さんはどう思うんでしょうか?

そもそも、ふぐと言えば美味しい食べものです。

「限定容認された集団的自衛権」って美味しいんでしょうか。

それが美味しくないと例えに成らないので、たぶん長官の舌には美味しいのだろうと思われますが、なにしろ私は法案を読んでいないので、なんともコメントできません。

時に、話しは少しズレますが、ふぐの毒は無毒化できるものでして、日本人はそれを食しています。

食しているのは「ふぐの卵巣の糠漬け」というものでして、石川県のごく一部の地方で作られている珍味です。

ご存じの通り、ふぐの卵巣には肝などと同様に、致死性の高い「テトロドトキシン」という毒素が多く含まれているため、そのままでは食用にできません。しかし、その卵巣を2年以上にもわたって塩漬け⇒さらに糠漬けにする事で、毒素を消失させ珍味として食しているのです。

微生物が毒を分解するのです。

日本の「食品衛生法」は、ふぐの卵巣を食用することを禁止していますが、全国で石川県の美川・金石・大野地区で作られた、この漬物だけは、許可されているのです。

これは、大変な食文化です。

私も一度だけ食べたことがあります。

長官、日本にはせっかくこういう食文化がありますから、「集団的自衛権」はまるごと全部糠漬けにして、肝も卵巣も食べてしまってはいかがしょうか。

美味しいですよ♡

追伸

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豚すき焼き

「すき焼き思い出ストーリー」のご投稿を読んでいますと、

子供頃のすき焼きは牛肉ではなくて豚だったという記事が出て来ます。

これを読んで、豚すき焼きのデータはないかと思って調べてみましたら、在りました。

2002年の、日経Web 「食べもの新日本奇行」の調査ですが、

まず北海道では60%近くに達していて、岩手も60%、新潟が35%、沖縄40%。

豚が10%以上の県は、

北海道、青森、岩手、福島、茨城

新潟、富山、福井

神奈川、静岡

となっています。

このデータには現れませんでしたが、群馬も豚すきが多いと聞きます。

東北・北関東と北陸に豚すき地帯が広がっていて、それから何故か神奈川、静岡でも食べられていることが分かります。

ですから、思い出に登場してもおかしくはないのです。

その他に地域制のある具材を二つご紹介しますと、まず、

タマネギ。

「4人に1人、つまり25%を超えた地域をみる。北海道61%、福井50%、滋賀63%、京都35%、大阪35%、兵庫26%、奈良25%、和歌山28%、鳥取50%、岡山27%、広島38%、徳島28%、鹿児島50%、沖縄40%だった。」

「北海道を除くと西日本型の文化であることがはっきりした。特に関西勢が軒並み顔を出している。中国勢も目立つ。列島の南端でもタマネギが強い。」

タマネギは、西洋から船で神戸に持ち込まれたのが最初です。それで関西中心なのでしょう。

次に、

「大根でも面白い結果が出た。」

「25%超の地域は鳥取25%、島根43%、岡山27%、広島27%、山口33%、徳島57%、香川81%、愛媛33%、鹿児島25%。圧倒的に中四国の文化である。今後、すき焼きに大根を入れる人を見掛けたら中四国出身の人ではないかとの疑いが浮上することになる。香川県人の疑いが最も濃厚である。」

すき焼きの痴呆性って、いや、地方性って本当に面白いです。

追伸

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酪農王国

国際観光日本レストラン協会の総会が伊東市の「盧歓談(ロカンダ)」さんであり、翌日は「酪農王国・オラッチェ」に足をのばしました。

搾乳場に、売店やレストラン、体験施設、地ビール工場まで併設された施設です。見学しながら、

ああ、今時の「六次産業」の施設かなあ、と思っていましたが、よくよくこの施設について調べましたら、

!!!でした。

今日は、その驚きの内容をご説明しますが、まず場所から説明しないといけません。

「酪農王国」は丹那トンネルの真上に在ります。

丹那トンネルは東海道本線の熱海駅〜三島駅間にあるトンネルで、総延長7.8キロ、完成当時は鉄道用複線トンネルとしては日本最長でした。

1909年(明治42年)に計画が立てられてから1934年(昭和9年)に開通するまで、数十人の人命の損失を含む多大な苦労を乗り越えて建設されたトンネルです。

なぜ、難工事だったのか。

それは、この辺りこそ、伊豆半島が本州に衝突している所だからです。

最近箱根・大涌谷の噴火を伝える報道の中で伊豆半島がプレートに乗って来て本州にぶつかり・潜り込んでいる図が放送されていますが、あれがまさにこの場所です。

地震帯であるがために、トンネルの工事中の1930年に、なんと、ここを震源とする「北伊豆地震」が起きてしまいました。

掘削工事が断層に到達したところで大量の湧水が発生、地下水がトンネル内に抜けてしまいました。日本の土木関係者がそれまで経験したことのない量の湧水だったそうで、その上の丹那盆地は渇水に見舞われます。

工事前までは、豊富な水を使って稲作やワサビ栽培などが行われていましたが、人々は鉄道省から渇水補償金を貰って、酪農に転換、今では丹那盆地は伊豆でも有数の酪農地帯となっています。

これが丹那盆地の酪農業だということでした。

うーむ。

アイスクリームを喰いに行っただけなのに、

地球のプレート活動や、

昭和の難工事に想いを致すことになるとは。

おなかいっぱいです。

追伸

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肉汁がスゴーい♡♡♡

肉汁がスゴーい♡♡♡

とテレビで女子アナが絶叫しているのを頻繁に目にしませんか。

「安くて、うまい(?)」メンチカツのレポートです。

しかしですね、肉汁をスゴくするのは、とっても簡単ですよ。

挽き肉の中に脂を混ぜ込めば良いだけですから。

牛脂に含まれる何種類かの脂肪酸の中で、モタれると悪名高い「ステアリン酸」(分子式C17H35COOH)の融点 は69.9 °Cですから常温では固形ですが、揚げれば当然融(と)けますね。しかし、その周りは衣で覆われているのですから、融けたステアリン酸すなわち肉汁は外へ出られません。

だからナイフで切れば、それが飛び出して来て、「スゴーい♡♡♡」状態になるに決まっています。

しかし!その肉汁も冷めてきて品温が融点の69.9 °Cを下回ると、液状だったものが固形に戻って行きますから、ヒトはそれを消化するのに四苦八苦しなければなりません。

その状態を「モタレる」と申します。

なんで、そのようなものを喜ばないといけないのでしょう。私には、原価の安いものを好き好んでいる、お目出度い人にしか見えませんな。不思議です。

対するに「肉汁がスゴくない」メンチカツもあります。

「メンチカツの会」のメンチカツです。

「メンチカツの会」とは根岸の老舗洋食店「香味屋」のマダムK恵さんの誕生日を祝って毎年5月末に開催される会ですが、メインの料理がメンチカツなのです。

そしてそして、この会に招かれた客は、好きなだけ=わんこ蕎麦のようにメンチカツを食べられるのです。

わんこ蕎麦のようにメンチカツを食べるなんて、想像するだけで胃がモタレてきたなどという勿れ。

食べられるのです。

現に私は今回7個食べました。同じ机にいた鰻屋のIW本さんは9個食べました。

そしてモタレませんでした。

脂のこと以外に肉の熟成のこともあろうかと思いますが、あまり長い文になってもいけないので、その話しはさて置きまして、とにかく「香味屋」さんの肉はモタレません。

味付けも優しいお味。

今年80歳の私の父(=「ちんや」五代目)も、日頃「香味屋」さんの洋食を愛食しています。

「肉汁がスゴーい♡♡♡」みたいな流行り言葉に動かされないところに、私はいつも感心しています。

9個食べてもモタレないメンチカツを、ご馳走様でした、K恵さん。

追伸

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イルカ漁

イルカの「追い込み漁」を「残酷だ!」と考える世界動物園水族館協会(WAZA)から、日本動物園水族館協会(JAZA)が除名されかかりました。

結局、JAZAは「追い込み漁」で捕獲されたイルカの入手を停止することに決め⇒WAZAに残留することを決定。しかし、それを不服とする一部の水族館はJAZAから離脱することを検討しているそうです。

WAZAって、一国を丸ごと除名とか出来たんだ!それも北朝鮮とかシリアとかでなくて、1882年から近代動物園を開設している日本国を除名だなんて、ちょっとあり得ない!

と私は思いましたが、除名出来るらしいので、それはさて置きまして、この件を皆さんはどう考えましたか?

・「追い込み漁」はイルカの体を傷つけないのに、何故「残酷だ!」と言われるのか不可解だ。

・イルカショーには元々興味がないので、どうでも良い。

⇒そんなところでしょう。私もそう思いました。

しかし、この話しはどうやら「追い込み漁」が残酷かどうかの話しではなく、やはり根本的にイルカを食用にすること自体が、欧米サイドから見ると気にいらない模様なのです。

だから「どうでも良い」というわけにはいかないかもしれません。

報道によりますと、WAZAの警告に至るまでの間には妥協を探る動きもあったようです。

食用の漁と、水族館用の漁の漁期を分ける案が検討されたそうですが、それではやはりダメでした。

食用を獲っているのと同一の人物が水族館用も獲るわけで、結局漁期の分割では通らなかったそうです。やはり食べるのが気に入らないのでしょう。

イルカと同じように今欧米から敵視されているものに、韓国の犬肉食があります。ソウル・オリンピックの時に叩かれましたが、しっかり続けられている模様です。

犬とは心が通じるから、犬食禁止は仕方ないよねと思う人が多いでしょう。しかし研究によっては犬より豚の方が知能が高く、人間は豚ともコミュニケーションが取れると考える学者が多いようです。

知能を基準に考えるのなら、豚も食用NGと成ってしまいます。

では馬はどうでしょう。馬については欧米の中で考えがわかれています。イギリス・アメリカなどのアングロサクソン人は馬を食べませんが、ヨーロッパには馬を食べる民族もいます。

結局どれを食べてOKで、どれがNGなのか、合理的な線引きは難しいようです。

線引きが難しいので、食の問題は文明の衝突の様相を呈しています。

ハラールに従った牛の屠殺の仕方は、現代にはそれよりもっと良い方法があるので、その基準で見ると残酷に見えてしまうのですが、あの戒律が考えられた当時は、牛を苦しませないようにと考えられ・教えられたものです。だからイスラム教徒は残酷だと言うのは控えた方が良いと思います。

そう、根本は、生き物を苦しませないように工夫をすること、

それから生き物を殺しつつも、心の中では手を合わせ・感謝すること、

それが大事だとしか、今は言えないと思います。

追伸

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飲むための口実

慶應義塾発行の『三田評論』には「社中交歓」という、短文を投稿するコーナーがあります。

毎月何かテーマを決めて、4人のOB・OGが投稿するのですが、だいたいテーマが軽めのお題であることが多く、文章も粋なので、私は大変楽しみにしています。ここが読みたくて広告を『三田評論』に出稿していると言っても良いでしょう。

さて今年の5月号のテーマは、

「カクテル」。

ミステリ研究者の松坂健さんが、「飲むための口実が大事」と題して寄稿しておいででした。

この松坂さんという御方、略歴を調べますと、

東京都浅草出身。1974年、慶應義塾大学文学部英文学科卒業。在学中は推理小説同好会に所属。

1974年、出版社柴田書店入社。1978年「月刊食堂」副編集長。1984年「月刊ホテル旅館」編集長。

という経歴の方です。

今の所残念ながら面識がなく、いつか御縁があったら、と思いますが、それはさて置きまして、「飲む口実」です。

松坂さんは、『大いなる眠り』(1939)、『さらば愛しき女よ』(1940)、『長いお別れ』(1953) で有名なレイモンド・チャンドラーの命日3月26日を、必ず飲む日に決めていて、飲むカクテルも義務レットに決めている、いや、ギムレットに決めているそうです。『長いお別れ』のワンシーンの通りに、です。

曰く、「小さな記念日」が必ず飲む日でもあり、また、

「カクテルは大事な人の記憶を蘇らせる妙薬なのだと思う」

とも書いておられます。

うん、これは良い考えですね。

「カクテル」を「すき焼き」に入れ替えても、まったく同じことだと私は思います。

飲む口実・食べる口実を発明する名人に成りたいものです。

 

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

是非是非お求めください。

弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

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逆精進料理

仲居さん:アワビの揚げ物でございます。

ん? 椎茸じゃないですか、これ? 椎茸の味がしましたよ。

いえいえ、アワビの揚げ物でございます。

あ、良く噛むと、たしかにアワビだ。でも、たしかに椎茸の味がしましたよ・・・

よく精進料理で、アワビに見立てた椎茸(「もどき料理」)が出てくることがありますが、これはさしずめ「逆精進」ですね。

それに、実に旨いですねえ・・・

さて、私がこの「逆精進」アワビをいただいたのは、京都の名店

「木乃婦」さん。

理論派の料理人として有名な若旦那が頑張っておられます。

この話しを理屈で説明しますと、たしかにアワビと椎茸は共に核酸系の旨味に特徴があります。

核酸というと???かもしれませんが、DNAとRNAのことです。

中畑監督の野球チームじゃないですよ。遺伝情報を保存している、あれです。

これらの細胞の中にある核酸が、生体の死後に小さく分解されますと、

アデニル酸や

グアニル酸に成るわけです。

アデニル酸がアワビの旨味、

グアニル酸が椎茸の旨味です。この二つは構造が似ています。

これが「核酸系の旨味」の正体です。

聞けば、若旦那、最近は精進料理の研究が面白くて仕方ないとか。

もちろん、ただアワビを揚げただけではなく、旨味を引き出すために手の込んだ処理を施しています。

素晴らしいです。

その内、逆すき焼きも出来るのかな。

追伸

日本橋三越本店の催事「お江戸日本橋 EDO style展」で精肉の販売を致します。

どうぞ、お出かけ下さい。

会期:5月20日(水)~25日(月)

会場:本館7階催物会場

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パン祖

もう、ウンザリですよね、「世界遺産」を観光誘致に結びつけるパターン。

結びつけるなとは申しませんが、私は結び付け方が気にいらないんですよ、例えば「大砲うどん」とか。

伊豆韮山の代官であり、洋学者でもあった第三十六代江川太郎左衛門英龍が、反射炉で大砲を造ったから⇒蒲鉾で大砲を模って⇒「大砲うどん」という次第です。

・・・

実は韮山では、既に江川と食に関わる、なかなか良いイベントをやって来たようです。「江川邸」で 「パンの日」というイベントがあって、パン焼き体験が出来たとか。

江川は本当に日本の「パン祖」でありますから、こちらはしっかりした由来があります。

江川の洋学の先輩に当たる高島秋帆の従者に、長崎のオランダ屋敷に料理方として勤め、製パン技術を覚えた作太郎という人がいたので、その作太郎を江川が呼び寄せて、屋敷にパン窯を作らせ、1842年4月12日に、記念すべき初パンが焼き上げられたそうです。

ですので、こちらは「世界遺産」と関係なくても、大いに推奨するべきものですが、テレビが採り上げるのは、「大砲うどん」の方なんですよね。トホホです。

今年はちょうど江川没後160周年で、今年の4月12日は地元としては力を入れていたようですが、報道したのは地元紙だけで私も知りませんでした。

その後「世界遺産」の勧告が出たので⇒「大砲うどん」です。

世界遺産!⇒盛り上がってます!

だけでは、なんだかなあ、ですよね。

だいだい、江川は美味しいものを食べたかったわけではありません。パンは兵糧として導入されたのです。

日本の海防について強い問題意識を持っていたので、それでパンと砲台なのですが、うどんの方を採り上げてしまうと、その脈絡が見えないと思うんですよね。

なお、今日江川の功績が広く知られているのは、我が義塾の福沢諭吉先生が洋学の先達として褒めたからでもあります。

現在地に移る前の義塾は江川家の江戸屋敷と近所で、江川の敷地を義塾が借りたこともあったそうです。それで先生は江川のことを良く知っていたのです。

ですので、江川の「パンの日」を義塾関係者は応援してあげるべきかもしれません。少なくとも「大砲うどん」よりは。

 

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

是非是非お求めください。

弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.901日連続更新を達成しました。

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