ヒデキ、カンゲキ!

西城秀樹さんが亡くなりました。
ヒデキさんの芸能史における存在の大きさは、さんざん報道されていますので、ここでは避けますが、訃報記事の最後に「ドラマやカレーのCMなどテレビの世界でも人気を集めた。」と書かれていたことも注目すべきと思います。
「ヒデキ、カンゲキ!」という、あまりに有名なセリフが生まれたのは、ハウス食品「バーモントカレー」のCMでした。1973年から85年までキャラクターを務め、カレーを国民食にするのに大きく貢献しました。ヒデキさんの訃報に接して、ハウス食品さんは「CMのおかげもあって、今日カレーライスが国民食とまで言われ、皆さまに愛されるようになりましたものと大変深く感謝しております」とコメントを寄せたそうです。
この「バーモントカレー」には、ヒデキさんのインパクトだけでなく、味の面でも特筆すべき点がありました。甘味です。
ヒデキさんのCMによって、カレーという辛い食品に、リンゴとハチミツが加えられていることを初めて知った人も多いと思います。1965年生まれの私もそうです。
これにより、辛い味付けの大人向けメニューだったカレーが、広く家庭の食卓に浸透しました。そして、インドのカレー料理とはかなり趣を異にする、日本の甘いカレーライスが定着することになったのです。
甘いカレーに違和感を抱く外国人が少なくないことは、以前弊ブログにも書きましたが、実に余計なお世話です。日本のカレーライスは日本独自の洋食Yo-shokuとして確立したものと言えると思います。
ヒデキさんのCMは、すき焼き業界にも影響を与えました。
放送開始から43年後の2016年に、私がカレーオイル入りの溶き卵を発売したのです(笑い)
この時、リンゴとハチミツの「バーモントカレー」が広く国民に受容されていたことを知っていたので、なんの躊躇もなく実行できました。甘辛いすき焼きにカレーを加えること自体は映画監督の小津安二郎(1903年~63年)が試みていましたので、まったく初めてのことではありませんでしたが、やはりCMの印象は大きかったです。
日本でカレーに関わる人はヒデキさんを永久に記憶するべきだと思います。

追伸、
本日は三社祭の最終日です。
本日は早朝から夜まで、浅草神社本社の神輿三基が各町会を渡御します。渡御ルートや現在地は浅草神社さんのサイトで見られますので、確認の上お出かけ下さい。

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すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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オススメのイタリアン

六本木のイタリアン「ラ・スフォリーナ」さんに行ってきました。
料飲三田会の杉田數祐さんのオススメのイタリアンだからです。
去年の夏に料飲三田会は、やはり杉田さんオススメのイタリアン「カッパス」さんで例会を開催し好評でしたが、その杉田さんの次なるオススメの店ですから、楽しみにして行きました。
お店は、六本木にありながら、一軒家です。クスノキの見えるテラス席があります。「くつろげる空間でゆっくり味わえる」がお店のコンセプトだそうですが、思わず長居してしまいそうですね。
パスタの種類が多いので、パスタずきにはバッチリと思います。
御馳走様でした。

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すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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親子丼

雑誌『一燈照隅』に軍鶏鍋「玉ひで」さんが親子丼を値上げした時の話しが書いてあって、面白く拝読しました。
「玉ひで」の当代が若い頃、軍鶏は貴重品でした。 
闘鶏に使う軍鶏は、闘鶏が盛んに行われていた時代は確保できていましたが、戦後闘鶏が禁止になってから数が激減してしまいました。いったん途絶しかかったのを、1977年ごろから「玉ひで」の先代と農水省などが復活させたのですが、そういう次第でしたから、一時は貴重品でした。
ちょうどその頃、「玉ひで」さんで売れていたのが親子丼でした。
600円という安価な値段で出していましたから連日長蛇の行列が出来ていましたが、並んでいる人は軍鶏の親子丼と勘違いしていたかもしれません。
が、実は違いました。先代は、軍鶏は高級なものだから親子丼には使わないと決めていたのです。「下町の大衆食堂で良い」とも言っていたそうです。
その仕分けを当代が変えました。
先代の3回忌を待って、親子丼も軍鶏にしたのです。値段も当然上げました。
値上げすれば行列はなくなるかもしれませんから、失敗すれば恥をかいたことでしょう。
しかし、値上げの趣旨を書いた広告を出し、店内も改装・人手も確保してサービスも厚くすることを宣言した結果、値上げ当日以前の倍の人が並んだそうです。
老舗が永く続く間には材料の事情が変わることもあります。
その境目にどう対処するか、当主は見解を問われますね。参考になる記事でした。

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姥捨伝説

学校の同期生がGW連休を利用して、信州の、ご親戚の蔵元へ見学に行ったとかで、「蔵開放日限定酒」を贈ってくれました。
恐縮です。ありがとうございます。
酒の銘は「姨捨正宗」。
この蔵元さんのを歴史知らない人は、酒の銘が「おば捨て」とは何たる残酷な名前かと驚いてしまうかと思いますが、詳しく調べますると、むしろ、この名前でこの蔵元さんの歴史の長さが浮かび上がってきます。
「姥捨」は地名です。この地名は飛鳥時代からあったとも言われ、その意味は小川の源流を意味する「お初瀬(おはつせ)」だったと言います。実際、蔵の裏には崖があるそうで、その崖の上は信州一の夜景スポットになっているそうです。
そこに湧く水が酒づくりに利用されました。
一方、「おはつせ」と「うばすて」は発音が似ていたので、姥捨伝説と結びつき、その地は詩歌に詠まれる有名な地になりました。
要するに、それだけ古いという話しです。
現当主は十五代目といいますから気が遠くなりますが、旧習墨守の方ではないらしく、平成19年に「無添加」を達成して、全量純米酒の蔵に成ったそうです。G.J.
大変美味しくいただきました。ありがとうございました。

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黒豚のすき焼き

毎月29日は「日本一の肉賄い」の日です。
今月の一品は、黒豚のすき焼き!
でしたが、その案を聞いた時私は、
それ、美味く行かないかもよ・・・
と思いました。割り下は「ちんや」のいつもの割り下を使うと聞いたからです。
「ちんや」の割り下は甘辛味が大変強いですが、それに対して豚肉がバランスしないだろう考えたのです。豚肉は、牛に比べて、
そもそも味が淡泊
サシが入っていない
豚はあまり熟成させないのが普通
ですので、割り下の甘辛味に負けるだろうと考えました。吉野家さんがBSEの問題で「豚丼」を出した時も私はあまり感心しませんでしたしね。
が、食べてみると、美味いです、結構。
「ちんや」の売店で普通に売っている豚肉ですが、なかなか力がある肉だったのだなあ!
と再認識しました。
分量が少なかったから、食べ飽きしなかったのかもしれません。
もちろん、一般的にはオススメしません。
豚肉を一度麹に漬けるとかして、旨味を増やしてから→すき焼きにするのをオススメしますね。

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春かぶ

「変わりザク」が変わりました。
ただ今は「春かぶ」をお出ししています。もちろんすき焼きに入れていただきます。
冬のものというイメージが強いかぶですが、春にも旬があります。春と秋冬の2回旬があるのです。
春に収穫される方は、やわらかいです。
逆に秋冬ものは、春のものよりも肉質が詰まっています。
今回は、そのやわらかい方ですので、生のまますき焼きに入れます。
お試しあれ。

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苦いVS苦くない

浅草を舞台に「お茶の苦み論争」が勃発しているようです。
一方は、
日本一濃い抹茶ジェラート!
もう一方は、
良質な抹茶アイスは苦くない!
前者が当然苦いのに対し、後者は「苦味はほとんどなく、抹茶の旨味を味わえるアイス」なのだとか。「思い切り苦い」VS「苦くない」の対決の様相です。
なんだか、霜降VS赤身みたいですね。
両者の場所は近いです。「日本一濃い」は浅草3丁目で、「苦くない」は2丁目。3分も歩けば相手方に着けますねえ。
出自は違います。
「日本一濃い」は元々の浅草のお茶屋さんがジェラートに転身した形で、「苦くない」は2015年に転入してきた方のようです。そして、最近、「苦くない」サイドが攻勢を仕掛けました。雷門広場に面したビルの屋上に、
良質な抹茶アイスは苦くない!!!!!
と大書した広告を掲げたのです。いやあ、戦闘的。
共通項もあります。どちらもインバウンド受けが良い点です。「日本一濃い」に行列している人は、多数が外国の方のようです。
ご商売のやり方は、色々ありますから、他人の私が論じる立場ではありませんが、私は「塩梅の良い」肉を使いたいと思っています。
モタレる霜降りも、
まったくの赤身も
私の好みではなく、「良い塩梅」つまり「適サシ肉」が良いと考えています。お茶についても、適度な苦みが良いと思うんですけどねえ、私は。
さて、皆さんは、「思い切り苦い」VS「苦くない」のどっちにつきますか?

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3年目

国際観光日本レストラン協会「第5回青年後継者の集い」が大阪で開催されましたので、OBとして参加しました。
これでレス協青年部は発足して3年目に突入です。
2016年に私が初代代表として設立しましたが、1年目は関東だけでの開催でした。まず関東の店で開催して「こんな感じ」という雛型を造り、関西の方にお引き渡ししたところで私は50歳になり、OBとなりました。
翌2年目に関西の会員さん達のご尽力で、初の関西開催が実現、その流れが定着しそうで、大変心強く思いました。
今回は、まず道頓堀の「はり重」さんで、すき焼き。旨かったです、当然ですが。
二次会は、なんと、「落語船」。ほろ酔い気分で落語家と遊覧船を貸し切り、道頓堀川に漕ぎ出しました。乗船中のお供はタコ焼き。
三次会は名物「美々卯」さん。大阪と言えば、関西出汁+麺ですからね。
肉あり、粉もんありと食い続け、お笑いあり。
最初は到底食べられないと思いましたが、うまいと食えてしまうんですね、これが。
いや、関西メンバーは喜ばせ上手でんなあ。
ありがとうございました。

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日本をおかわり

アニメにもなって有名な、
『英国一家、日本を食べる』
の新バージョンが出版されました。題して、
『英国一家、日本をおかわり』。
今回もイギリスのフードライター、マイケル・ブースさんが日本を食べ尽くしています。
沖縄のハブ酒や豆腐よう、鮒寿司にも挑戦。お口に合わない日本食もあるようですね。
そして今回は私が面白いと思ったのは、横須賀海軍カレー。海自艦「きりしま」に乗り込んで海軍カレーを食べます。
ブースさんは、日本独自のカレーに対しては手厳しい批判者で、基本的に甘すぎると感じておられるのと、コショウの後味がお嫌いなようです。
日本海軍がカレーを導入したのは、1880年代のこと、イギリス海軍から導入しました。この時代は、まだまだ和風の甘辛味に人々が慣れていた時代ですから、甘く、そしてそれとバランスを取るように辛みも付けたことと思います。
日本には、あれが美味しく、懐かしいですけどねえ。
でも、きちんとメリハリをつけて書くことが、信頼される要因になっているようです。今回も御本は売れているようです。
弊ブログは、その点、甘い、なあ。

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戦争めし

魚乃目三太さんの漫画「戦争めし」が8月にNHK BSでドラマになるそうです。
「戦争めし」は魚乃目さんの代表作で、「食」の視点から戦争を見つめた作品ですが、今回は魚乃目さんが戦争体験者などへの取材を通じて、驚きの事実やエピソードを発掘し、作品として世に送り出していく姿、つまり漫画のメーキング譚もドラマになるとかです。
その魚乃目さんが「ちんや」へお越し下さったのは、昨年の師走でした。
BSフジの番組『極皿~食の因数分解』の、すき焼きの回の会場が「ちんや」で、その対談コーナーに登場されました。
魚乃目三太さんの対談相手は「かっこいいスキヤキ」、「孤独のグルメ」の原作者・久住昌之さん。二人で「ちんや」のすき焼きを食しながら対談しました。私も出演させていただきました。
思い出のすき焼き、すき焼きに欠かせない卵など、ほろ酔いで語りつくすという回でした。カレーたまご、ヨーグルトたまごもお採り上げいただき宣伝になりました。ありがとうございました。
ドラマ「戦争めし」、楽しみです。

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