イノベーションによる格安

昨日の弊ブログ「格安」をFBにも投稿しましたら、

そうしたら会社をやっている知人からコメントが入りました。

「一理ありますね。ただし、イノベーションを伴う「格安」を除くということにしておかないと。従来型の努力による値下げではなく、サービスや製品のあり方を変える画期的なイノベーションによる価格破壊を企てる試みこそが経済を活性化し拡大するわけですから。」

彼は立派な会社を経営しておいでで、おっしゃることは至極ご尤もです。世の中では私の意見より彼の意見の方が通るでしょう。

しかしながら、食べ物というジャンルに限定すると、「イノベーションによる格安」は、あまり良くない結果を産む場合が多いように私は感じています。

<以下は私の再コメントです>

もちろん私も「イノベーションによる格安」を一概に否定する気はもちろんなく、御社のようにそれがお出来になる会社さんには頑張って欲しいと思います。

しかしながら日本の食べ物の世界では、以下↓の事例のようにイノベーションの方向性が美味しさの向上より、ひたすら経済性に向けられることが甚だ多く、日々技術が日本の食を不味くしています。それで私は不用意にさっきのようなことを言ってしまうのです。

以下やや長いですが、牛のDNA解析の事例をご紹介します。

最近それがかなり進んでいて、美味しい血統が分かって来ています。一方で「短期間で大きく太る血統」も分かってきて、両方分かるのですが、その中で業界の趨勢は後者つまり経済性を上げることに血眼になっています。要は、不味くても構わないから、とにかく短期間で育てることに必死なのです。

ここに日本社会の「集団志向」という問題点が加わります。同業組合や地域社会が、皆揃って経済性を追いかけている時に、独りで美味しさを追いかける個人は陰に陽に様々な不利益を被る、平たく言うと、イジメられて、とても生きづらい、という現実があります。

で、DNA鑑定というイノベーションが不味い牛の登場を促進しています。

ちなみに「短期肥育で美味しい」というイノベーションは、牛の場合ほぼ不可能です。成長ホルモンが、不味さの原因物質である飽和脂肪酸の形成を促すからです。成長ホルモン無しじゃあ、増体しないので、それをなくすわけには行きません。牛が成熟し成長ホルモンの分泌が終わってから、さらに肥育を続けて初めて美味しい牛に成るのです。

このように食べ物は、元々が生き物なので簡単に改良出来ないという特徴があります。それで、どうも、合理的ではないかもしれませんが、イノベーションに私は懐疑的なのでした。以上言い訳です。

<終わり>

追伸①

 

テレビ出演の予告です。

 

NHKテレビ「所さん!大変ですよ」4月13日20時15分放送予定。お楽しみに。

 

http://www4.nhk.or.jp/taihentokoro/

 

「霜降り牛肉に異変!?おいしい牛肉の謎」

 

高級牛肉といえば「霜降りの和牛」。このイメージが覆る事態が!老舗すき焼き店が「霜降りが多いA5の牛肉を使わない」と宣言したのだ。そもそも霜降りの量で格付けを行う動きがでてきたのはアメリカ産牛肉の輸入自由化交渉がきっかけ。肉牛農家では霜降りが入るよう心血を注いできた。それが消費者の健康志向が高まるにつれて「行き過ぎた霜降り」に対する見直しの動きが出始めているという。おいしい牛肉の基準を巡って何が?

 

【司会】所ジョージ,片山千恵子,【出演】澤口俊之,牛窪恵,モーリー・ロバートソン,【リポーター】徳永圭一,【語り】吉田鋼太郎

 

 

追伸②

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.599日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

永遠の「若大将」

すき焼き体験を繰り返し語って下さる人物としては、間違いなく芸能界随一でしょう。

いや、「芸能界」を外しても、この方以上にメデイアですき焼き体験を繰り返し語っている方は、そう何人もいないと思います。

その「すき焼き体験」とは、1966年のビートルズの来日公演時にメンバーとすき焼きを一緒に食べたという体験。

そう、言わずと知れた、永遠の「若大将」の話しです。

今月に御年80歳になられますが、元気にイベントに出席。今回も66年当時のことを語ったそうな。

「(ビートルズと)レコード会社が同じだったこともあり、社員から「会いますか?」と聞かれたが、最初は「別に」と断ったという。帰宅後に祖母に「あんたバカだね。将来役に立つから、会いな」と諭され、ビートルズが宿泊するホテルを訪問。メンバーと自身5人だけが部屋に残り、加山がすき焼きの食べ方を指導したというエピソードを披露し、「ジョンはいすを外して、地ベタに正座して食ってた。ポールは良いヤツだった」などと振り返った。」

はい、いつまで永遠の「若大将」で、永遠に「ビートルズとすき焼き」の件を語り続けて下さいませ。

加山雄三さん、80歳、誠にお芽出とうございました。

 

追伸①

テレビ出演の予告です。

NHKテレビ「所さん!大変ですよ」4月13日20時15分放送予定。お楽しみに。

http://www4.nhk.or.jp/taihentokoro/

「霜降り牛肉に異変!?おいしい牛肉の謎」

高級牛肉といえば「霜降りの和牛」。このイメージが覆る事態が!老舗すき焼き店が「霜降りが多いA5の牛肉を使わない」と宣言したのだ。そもそも霜降りの量で格付けを行う動きがでてきたのはアメリカ産牛肉の輸入自由化交渉がきっかけ。肉牛農家では霜降りが入るよう心血を注いできた。それが消費者の健康志向が高まるにつれて「行き過ぎた霜降り」に対する見直しの動きが出始めているという。おいしい牛肉の基準を巡って何が?

【司会】所ジョージ,片山千恵子,【出演】澤口俊之,牛窪恵,モーリー・ロバートソン,【リポーター】徳永圭一,【語り】吉田鋼太郎

追伸②

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.594日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (2)

アーモンド君とチョコレート君

女優の「ガッキー」こと新垣結衣さんが、「明治アーモンドチョコ」TVCMで関西弁を話す漫才コンビを演じています。合成画像で、一人でボケとツッコミのコンビをやっているのです。

なんでも、ボケがアーモンド君・ツッコミがチョコレート君という名コンビだそうで、かけあいが可愛い過ぎる!と話題になっているそうです。

が、

それは弊ブログ的には、どうでも良いのです。気になるのは、

アーモンド君(ガッキー)の背広の内側に大書されている「ビタミンE」「食物繊維」「オレイン酸」の文字、特に「オレイン酸」です。

チョコレート君(ガッキー)が「なんやねん、それ?」とツッコミますが、アーモンド君(ガッキー)の返答は、

「オレイン酸言うたら、そら、おれいんの、さんや!」

ガッキー、分からへんよ!

では、ご説明しますが、

オレイン酸とは、分子式 C18H34O2の脂肪酸で、脂肪を構成しています。

最初にオリーブの油から分離されたので、「オレイン酸」と命名されましたが、植物油だけでなく動物性脂肪にも多く含まれています。

世間では、植物油脂肪と動物性脂肪の違いがことさらに強調されていることが多いですが、共通の物質も実は多いのです。

牛の脂も、育て方によっては、オレイン酸が脂肪の中で50%から60%を占めることがありまして、そういう牛脂は、融点が低いので、モタレず食べ易いです。

ただ短期肥育の牛の場合、成長ホルモンがオレイン酸などの不飽和脂肪酸の形成を妨げるから、成長期の牛にはオレイン酸が少なく飽和脂肪酸が多いので、その時期に食べようとすると、融点が高いので→モタレるのです。

要するに、動物性脂肪の場合は、同じ種でも年齢や性別で脂肪の構成が違う、ということです。そこを無視して、牛の脂=融点が高い=モタレる、と決めつける人がおいでなのは、残念なことだと思います。

・・・と、いうことをガッキーが可愛く解説してくれたら、この話しも、もっと普及するのになあ~と思います。

 

追伸①

テレビ出演の予告です。

NHKテレビ「所さん!大変ですよ」4月13日20時15分放送予定。お楽しみに。

http://www4.nhk.or.jp/taihentokoro/

「霜降り牛肉に異変!?おいしい牛肉の謎」

高級牛肉といえば「霜降りの和牛」。このイメージが覆る事態が!老舗すき焼き店が「霜降りが多いA5の牛肉を使わない」と宣言したのだ。そもそも霜降りの量で格付けを行う動きがでてきたのはアメリカ産牛肉の輸入自由化交渉がきっかけ。肉牛農家では霜降りが入るよう心血を注いできた。それが消費者の健康志向が高まるにつれて「行き過ぎた霜降り」に対する見直しの動きが出始めているという。おいしい牛肉の基準を巡って何が?

【司会】所ジョージ,片山千恵子,【出演】澤口俊之,牛窪恵,モーリー・ロバートソン,【リポーター】徳永圭一,【語り】吉田鋼太郎

 

追伸②

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.593日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

ぴったんこカン☆カン

本日1956分放送の、TBSテレビ「ぴったんこカン・カン」に、少しですが出演させていただきます。

「ぴったんこカンカン」は、

「毎回豪華なスペシャルゲストを招き、日本全国の絶品グルメ&穴場スポットを巡り、そこで起きたハプニングをクイズ問題として出題。芸能人男子チームVS芸能人女子チームの対決形式で答えていくクイズトークバラエティです。」

そもそも、この番組は久米宏さんが司会を務めていたクイズ番組『ぴったしカン・カン』のリニューアル版としてスタートしたと言います。私も『ぴったしカン・カン』は結構視ていたと思いますが、現行の番組は、その記憶とかなり違っていて、クイズはわずかしか出題されず、代わって安住紳一郎さんを中心にしたトークが主体となっているようです。

今回の弊店の場面も安住紳一郎さんが司会。安住さんはTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」(21210時放送済み)に続けて、今回もお採り上げ下さり、本当に在り難いことです。

ゲストは藤あや子さん。芸能生活30周年を記念して、大親友の坂本冬美さんとすき焼きと食べたかったとか。そのお二人がゴージャスなお着物姿で、すき焼きを食べている所へ泉ピン子さんが乱入する、という趣向でした。

どうぞ、ご覧ください。本日1956分放送です。

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.589日連続更新を達成しました。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

週刊ニュースリーダー

3/25から書いておりますが、テレビ朝日「週刊ニュースリーダー」に出演させていただきました。

この番組は、

「ニュースの“リアルな現場”にこだわって、ニッポンの“今”を伝える新しい土曜朝のニュースショー! TOKIOのリーダー・城島茂が、各界のリーダーを現場取材!」という番組。

一週間で起きた様々なニュースの中で、街ゆく人々が気になった人物をランキング形式で紹介するコーナーの後に「ニッポンの仕事人週刊リーダー列伝」というコーナーがあり、そこに私も出演させていただきました。恐縮なことです。

取材の為、リーダー・城島茂さんが弊店までお越しくださいました。

城島さんは、脂っこい肉があまりお得意でないということでしたが、弊店の「適サシ肉」を、これなら食べられる!と言って下さいました。

弊店の肉が取材中にどんどん融ける様子をご覧になって、なるほど融けるね! こういうのなら食べられるんだね、と言って下さいました。

そう、脂が食べ易いかどうかは、融点が関係あるのです。

お採り上げいただき、誠に在り難うございました。

 

<テレビ朝日「週刊ニュースリーダー」を、朝早くから視ていただいた皆様、ありがとうございました。一部正確でない情報が放送されていたので訂正いたします。>

「霜降り肉の脂の融点は70℃、適サシ肉の融点は10℃台」と放送されていたましたが、正確には、

「融けにくい脂(飽和脂肪酸)の代表であるステアリン酸の融点は69.9℃、融け易い脂(不飽和脂肪酸)の代表であるオレイン酸の融点は16.3℃」です。

「ちんや」の肉の脂にはオレイン酸が多く含まれていますが、ステアリン酸やその他の脂肪酸も含まれていますので、全体としての融点は、20-25℃位だろうと思います。

 また、短期肥育の牛の脂の融点が高い理由が、まったく放送されませんでしたが、その理由は、

成長ホルモンが不飽和脂肪酸の形成を妨げるから、です。つまり牛の成長期には飽和脂肪酸が多く、その時期に食べようとすると、融点が高いので→モタレるのです。補足させていただきました。

 

 

追伸①

本日は水曜日ですが、隅田公園の桜が咲きましたので、「ちんや」は昼席も営業致します。どうぞ、ご利用下さいまし。

 

追伸②

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.587連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

住吉史彦2001-2017之④

これらの対談で分かったことは、危機に遭遇した時に小手先の対処をせず、商いの本質に迫って行った人だけが生き残っている、ということでした。

どんな寿司が美味しいのか、

どんなおでんが美味しいのか、

どんな洋食が美味しいのか、

料亭とは、どうあるべきか、

商いの本質に迫って行った人だけが生き残っていたのです。私も後を追う以外に選択肢はありませんでした。

A5等級を止めて、「適サシ肉宣言」をするにつき、店のスタッフが支持してくれたことも支えになりました。

201610月より12月中旬まで「全社員一対一肉の話し面談」を行いました。パートさんに至るまで全員に今後「ちんや」の肉の仕入れ方針をどうするのか、、

牛の性別・月齢と脂の融点の件、

熟成期間とアミノ酸の増加率の件、

肉の加熱方法と和牛香の件など

・・・完全に分かるまで、紙を一切使わずに説明し、耳から聞いて分かるように努めました。およそ1時間半かけて説明するので、一日一人しかできず、師走になってようやく終わりました。この過程で全員の認識が統一できたことで、すべての環境が整いました。

結局、宣言を敢行したのは、2017115日でした。

そして大拡散したのは、28日。

その後の成り行きは、ご高承の通りです。

店とお客様の間の、ミニ・コミュニケーションを意図しただけの宣言だったのですが、まったく予想外の展開と成り、心底驚いています。この時期を狙ったわけではなく、結果的にこの時期になっただけなのですが、「赤身ブーム」が一段落したタイミングだったのでタイムリーだったかのかもしれません。

しかし、それだけでは説明できない反響の大きさです。

今は、発言者の責任の重さを、ひしひしと感じる日々です。寛容のご見物を、ひらにお願い申し上げる次第です。

(終わり)

追伸①

本日は火曜日ですが、墨田公園の桜が満開になる予想につき、「ちんや」は臨時営業します。

また明日29日水曜の昼席も営業致します。どうぞ、ご利用下さいまし。

追伸②

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.586日連続更新を達成しました。

 

 

 

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

住吉史彦2001-2017之③

テレビ朝日さんが、本日朝6時放送の「週刊ニュースリーダー」の中の「ニッポンの仕事人リーダー列伝」のコーナーで私の人生を採り上げて下さいました。先日TOKIOの城島茂さんがインタビューに見えました。

それにつきまして、シナリオの素が必要なので用意してみました。コっぱずかしいですけどねえ、どうせテレビに出てしまうので、ここでも公表致します。題して、

「住吉史彦2001-2017」

この話しは長いので3/25から3/28まで4回に分けてUPします。

<ではでは、どうぞ>

それほどに「霜降り」はネガテイブ・イメージの言葉に成っていたのです。

一番高いメニューが売れないのではビジネスとして本当に困ります。事此処に至っては「霜降り」という言葉を停止するしかない、私はそう思い至りました。

しかし、いつやるのか?

失敗したら、どうなってしまうのか?

そう簡単に決断できる筈もありません。「霜降り」というビッグワードを廃止するのですから、かなりのリスクです。

いたずらに日が過ぎて行きました。

そんな私に決断を促したのは、自分が出した2冊の本でした。

1冊は、「ちんや」創業135年を記念して、2015年に出版した『すき焼き思い出ストーリーの本』です。

そこに掲載されているストーリーは、一般の皆様から投稿していただいたものです。人々の思い出と一番つながっている料理はすき焼きではないかと考えて、2010年から投稿を集めて保存してきたのですが、そうれを纏めて本にしたのです。感動して落涙を禁じ得ないものから、クスっと笑ってしまうものまで、様々なストーリーが約70本集まりました。

そして、皆様の思い出ストーリーを全部読み終えた時、私は気づきました、

牛の産地が出てこない。

等級も出てこない。

そうか、それらは売り手側の都合だったんだ!

もう1冊は、2016年に刊行した『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』(㈱晶文社刊行)です。この本は、浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集で、「浅草ならではの商人論」を目指した本です。戦争で丸焼けになり、その後1970年代に「イケていない街」と言われて没落した浅草で、生き残って来た先輩方の人生に迫った本です。

これらの対談で分かったことは、危機に遭遇した時に小手先の対処をせず、商いの本質に迫って行った人だけが生き残っている、ということでした。

どんな寿司が美味しいのか、

どんなおでんが美味しいのか、

どんな洋食が美味しいのか、

料亭とは、どうあるべきか、

商いの本質に迫って行った人だけが生き残っていたのです。私も後を追う以外に選択肢はありませんでした。

A5等級を止めて、「適サシ肉宣言」をするにつき、店のスタッフが支持してくれたことも支えになりました。

201610月より12月中旬まで「全社員一対一肉の話し面談」を行いました。パートさんに至るまで全員に・・・

<この話しは長いので、4回に分けてUPします。続きは明日の弊ブログで!>

追伸①

日本橋三越の催事に出店しています。(精肉=もちろん「適サシ肉」の販売)

「江戸東京“味・技”めぐり」

3月22日(水)~27日(月) 本日最終日です!どうぞ、ご来場くださいませ。

「東都のれん会」の店が多数出店します。

追伸②

3月28日は火曜日ですが、墨田公園の桜が満開になる予想につき、「ちんや」は臨時営業します。どうぞ、ご利用下さいまし。

 

 

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.585日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

住吉史彦2001-2017之②

テレビ朝日さんが、本日朝6時放送の「週刊ニュースリーダー」の中の「ニッポンの仕事人リーダー列伝」のコーナーで私の人生を採り上げて下さいました。先日TOKIOの城島茂さんがインタビューに見えました。

それにつきまして、シナリオの素が必要なので用意してみました。コっぱずかしいですけどねえ、どうせテレビに出てしまうので、ここでも公表致します。題して、

「住吉史彦2001-2017」

この話しは長いので3/25から3/28まで4回に分けてUPします。

<ではでは、どうぞ>

同じ頃私は牛の個体識別制度に注目していました。

BSE対策として、国は全ての牛に10桁の背番号を付け、その牛の生年月日、屠畜日、移動履歴、親牛の番号といったデータを、ネットを通じて公表するようになったのです。

この仕組みを見て、私は考えました、

おお、これからはデータに基づいた仕入れが出来るぞ!

ヤマ勘の時代が終わり、美味しい牛がデータで分かるようになったんだ!

この頃私はBSE問題をきっかけに、どうせ苦労するのなら、本当にお客様を喜んでいただける仕事をしたいと願うようになっていたのです。

で、美味しさのことを考えたら、どうしても生化学に入って行き、データに基づいた仕入れが出来ることを、ものすごく便利に思ったのでした。

もともとは私は文系の学生で、店の個室に明治時代の錦絵を飾ったりして、文化的な店・歴史を感じさせる店ということで押して行こうと思っていたのですが、ここで関心の方向が大きく変わりました。

今では、何カ月の肥育期間の牛の脂肪の構成がどうなっているか、詳細な研究結果が公表されています。だから、美味しい脂を求めたければ、何カ月の肥育期間が必要なのか分かるのです。すばらしい。

しかし、です。美味しさを科学できて来たと言うのに、誤ったブランド化つまりサシの過剰化も同時期に進行し続けました。最近では、「霜降り肉」というメニューをお客様にお勧めしようとすると拒否されてしまう在り様です。

いやあ、俺も年だから、霜降りは無理だよ・・・

いやいや、「ちんや」の「霜降り」の脂は、霜降りと言っても、モタレないんです。なぜなら、不飽和脂肪酸が多いから・・・

と申しまして、お客様に伝わりません。それほどに「霜降り」はネガテイブ・イメージの言葉に成っていたのです。

一番高いメニューが売れないのではビジネスとして本当に困ります。事此処に至っては「霜降り」という言葉を停止するしかない、私はそう思い至りました。

しかし、いつやるのか?

失敗したら、どうなってしまうのか?

そう簡単に決断できる筈もありません。「霜降り」というビッグワードを廃止するのですから、かなりのリスクです。

いたずらに日が過ぎて行きました。

そんな私に決断を促したのは・・・

<この話しは長いので、4回に分けてUPします。続きは明日の弊ブログで!>

追伸①

日本橋三越の催事に出店しています。(精肉=もちろん「適サシ肉」の販売)

「江戸東京“味・技”めぐり」

3月22日(水)~27日(月)

「東都のれん会」の店が多数出店します。

追伸②

3月28日は火曜日ですが、墨田公園の桜が満開になる予想につき、「ちんや」は臨時営業します。どうぞ、ご利用下さいまし。

 

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.584日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

住吉史彦2001-2017

テレビ朝日さんが、本日朝6時放送の「週刊ニュースリーダー」の中の「ニッポンの仕事人リーダー列伝」のコーナーで私の人生を採り上げたいとおっしゃいます。

先日TOKIOの城島茂さんがインタビューに見えました。

それにつきまして、シナリオの素が必要なので用意してみました。コっぱずかしいですけどねえ、どうせテレビに出てしまうので、ここでも公表致します。題して、

「住吉史彦2001-2017

学生時代はそのまんまバブル時代という温い環境に育ち、8年間のサラリーマン生活を体験し、6年間父の元で修行した後、私が社長に成ったのは、20018月、36歳の時でした。自分の将来・自分の人生について危機感などというものは勿論持ち合わせていませんでした。

その私が就任翌月に遭遇したのがBSE問題でした。所謂「狂牛病」ですね。忘れもしない、2001910日(=NYのテロの前日)に BSE の疑いがある牛が発見されたと農水省が発表したのです。

「牛を食ったら死ぬかも・・・」という話しですから、大変です。売上は半分になって、3年間は回復しませんでした。

日本で最後にBSEの牛が確認されたのは20091月で、それ以降は発見されていませんから、完全にBSE問題が終結したのは2009年だと言って良いでしょう。2001-2009は、景気が悪かったこともあり、牛の業界にとっては、本当に苦しい日々でした。

牛の業界の苦難は、それだけではありませんでした。

2010年には宮崎県で口蹄疫が流行し 30万頭弱の牛が殺処分となりました。

2011年の東日本大震災では、原発から飛散した放射性物質が付着した餌を食べた牛が体内被曝して、その肉が流通してしまいました。観光客の激減や飲食自粛もあり、これまた本当に苦しい日々でした。

このように牛の業界が深いダメージを蒙った結果、打開策として、各県は牛の「ブランド化」を進め始めます。1980年代から、アメリカの牛と競争する為、日本の畜産業界は肉にサシを入れる努力を続けて来ましたが、この頃から、その傾向がエスカレートするようになったと記憶しています。

この時に「ブランド化=サシを入れること」と考えるのは単純過ぎやしないか?ひたすらサシが多い肉は本当にお客様に喜んでいただけるのか?脂肪の質も考慮しないといけないのではないか?といった問題提起が行われていれば、今日のような事態に至らずに済んだと思うのですが、なぜだか、問題提起は行われませんでした。業界に重くのし掛かった危機感が異論を封じ込めたのかもしれません。

同じ頃DNA鑑定やビタミンコントロールの技術が登場したことで、サシは行き過ぎてしまいました。やがて、お客様から嫌われる水準にまで過剰なサシが肉に入るようになったのです。

ここで話しは逸れますが、この残念なブランド化あるいは、残念なマーケテイングは「失敗学」の研究対象に成るのでは?そう私は考えています。そもそもですが、ブランドの基礎はお客様への「お約束」であり、その裏返しとしての、お客様からの信用・信頼である筈です。私が今回宣言したのは「適サシ肉だけを売ります」「過剰なサシを売りません」という「お約束」であって、それを私は「ちんや」というブランドの基盤にしたいと願っています。

しかし、××牛の産地の人達や県庁の人達は違いました。消費者向けには、青い空や生産者の純朴な笑顔を使ったCMを打っておいて、実際には脂の多い肉を売り込もうとしていました。あるいはロゴを創ったり・ゆるキャラを創ったりして、実際には脂の多い肉を売り込もうとしていました。

そのブランド化に無理はなかったのでしょうか?そのマーケテイングに無理はなかったのでしょうか?私は、かなりの無理筋だったと思います。その無理筋の作戦を、こんなにも長期間、皆がなぜ平押しに押し続けてしまったのか?「失敗学」の教材として良いのではないでしょうか?

思えばですね、話しが膨らむのが私の悪い癖ですが、昭和の戦争がなぜ起きたかを考えますると、関東大震災に辿り着きます。震災で被災した企業を救済する為に発行した「震災手形」が不良債権化したことが昭和の恐慌の原因で、そこから日本は大陸進出へ突き進んでしまいました。

サシの過剰化の「そもそも」も辿っていけば、この17年間に業界が被ったダメージ=BSE、口蹄疫、東日本大震災に行き着きます。昭和の戦争を、サシの過剰化を、なぜ誰も止められなかったのか、私が学者ならやってみたい研究テーマだと思いますし、私達が自分の店のブランドを育てて行く時には、決して、絶対にマネてはならない事例だと思います。

同じ頃私は・・・

<この話しは長いので、4回に分けてUPします。続きは明日の弊ブログで!>

<テレビ朝日「週刊ニュースリーダー」を、朝早くから視ていただいた皆様、ありがとうございました。一部正確でない情報が放送されていたので訂正いたします。>

「霜降り肉の脂の融点は70℃、適サシ肉の融点は10℃台」と放送されていたましたが、正確には、

「融けにくい脂(飽和脂肪酸)の代表であるステアリン酸の融点は69.9℃、融け易い脂(不飽和脂肪酸)の代表であるオレイン酸の融点は16.3℃」です。

「ちんや」の肉の脂にはオレイン酸が多く含まれていますが、ステアリン酸やその他の脂肪酸も含まれていますので、全体としての融点は、20-25℃位だろうと思います。

 また、短期肥育の牛の脂の融点が高い理由が、まったく放送されませんでしたが、その理由は、

成長ホルモンが不飽和脂肪酸の形成を妨げるから、です。つまり牛の成長期には飽和脂肪酸が多く、その時期に食べようとすると、融点が高いので→モタレるのです。補足させていただきました。

 

追伸①

「適サシ肉」関連のメデイア掲載は以下の通りです=

テレビ朝日「週刊ニュースリーダー」本日3月25日(土曜)朝6時放送予定

 

文春オンライン2月8日より掲載中

日本テレビ「スッキリ!!」2月9日放送済み

TBSテレビ「白熱ライブビビット」2月10日放送済み

テレビ朝日「スーパーJチャンネル」2月10日16時50分放送済み

東京新聞(特報面)2月12日掲載済み

TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」2月12日10時放送済み

HBC 北海道放送「今日ドキッ!」2月15日15時44分放送済み

TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!」2月16日7時35分放送済み

産経新聞(生活面)2月21日掲載済み

日刊ゲンダイ2月24日掲載済み

FMえどがわ(84.3MHz)3月2日放送済み

読売テレビ「そこまで言って委員会」3月12日放送済み

 

追伸②

日本橋三越の催事に出店しています。(精肉=もちろん「適サシ肉」の販売)

「江戸東京“味・技”めぐり」

3月22日(水)~27日(月)

「東都のれん会」の店が多数出店します。

追伸③

3月28日は火曜日ですが、墨田公園の桜が満開になる予想につき、「ちんや」は臨時営業します。どうぞ、ご利用下さいまし。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.583日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

和牛ロンダリング

住吉さん、あの放送を視てなかったんですか?視た方が良いですよ!

ということで、知人がDVDを送ってくれました。

“和牛ロンダリング” のDVDです。

これはNHK総合で昨年の1117日に放送されたもので、人気番組「所さん!大変ですよ」の1コーナーでした。

統計で、日本産冷凍和牛肉の輸出先を調べたところ、最大の相手国は、なぜか、カンボジアでした。

食肉業界で謎とされ、生産者も首をひねる、この事実。

で、「大追跡取材で迫る!」というわけです。

放送によれば、和牛は日本から正規に輸出された後、東南アジアの国々で果物などに偽装され、陸路で中国に辿り着いていた、つまり密輸されていたのです。

中国の「日式焼肉」の店で「合言葉」を言うと、それが出て来るのです。4か国を股にかけて行われる“和牛ロンダリング”とも言える実態です。

BSEを理由として中国は今も日本産の牛肉を輸入禁止しています。2009年から日本でBSEは発生していないのに禁止が継続されているのは、安倍政権に対する嫌がらせと思われるのですが、それはさて置きまして、ブランド関連法制の緩い国に、ブランド農産物を輸出しようとすると、こういうハレーションが起こることがある、ということが分かります。

人とは、げに生ぐさきものでありますことよ。

追伸①

「適サシ肉」関連のメデイア掲載は以下の通りです=

テレビ朝日「週刊ニュースリーダー」325日(土曜)朝6時放送予定

 

文春オンライン28日より掲載中

日本テレビ「スッキリ!!」29日放送済み

TBSテレビ「白熱ライブビビット」210日放送済み

テレビ朝日「スーパーJチャンネル」2101650分放送済み

東京新聞(特報面)212日掲載済み 

TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」21210時放送済み

HBC 北海道放送「今日ドキッ!」2151544分放送済み

TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!」216735分放送済み

産経新聞(生活面)221日掲載済み

日刊ゲンダイ224日掲載済み

FMえどがわ(84.3MHz32日放送済み

読売テレビ「そこまで言って委員会」312日放送済み

 

追伸②

日本橋三越の催事に出店しています。(精肉=もちろん「適サシ肉」の販売)

「江戸東京“味・技”めぐり」

3月22日(水)~27日(月)

「東都のれん会」の店が多数出店します。

追伸③

3月28日は火曜日ですが、墨田公園の桜が満開になる予想につき、「ちんや」は臨時営業します。どうぞ、ご利用下さいまし。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.582日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)