住吉史彦2001-2017之④
これらの対談で分かったことは、危機に遭遇した時に小手先の対処をせず、商いの本質に迫って行った人だけが生き残っている、ということでした。
どんな寿司が美味しいのか、
どんなおでんが美味しいのか、
どんな洋食が美味しいのか、
料亭とは、どうあるべきか、
商いの本質に迫って行った人だけが生き残っていたのです。私も後を追う以外に選択肢はありませんでした。
A5等級を止めて、「適サシ肉宣言」をするにつき、店のスタッフが支持してくれたことも支えになりました。
2016年10月より12月中旬まで「全社員一対一肉の話し面談」を行いました。パートさんに至るまで全員に今後「ちんや」の肉の仕入れ方針をどうするのか、、
牛の性別・月齢と脂の融点の件、
熟成期間とアミノ酸の増加率の件、
肉の加熱方法と和牛香の件など
・・・完全に分かるまで、紙を一切使わずに説明し、耳から聞いて分かるように努めました。およそ1時間半かけて説明するので、一日一人しかできず、師走になってようやく終わりました。この過程で全員の認識が統一できたことで、すべての環境が整いました。
結局、宣言を敢行したのは、2017年1月15日でした。
そして大拡散したのは、2月8日。
その後の成り行きは、ご高承の通りです。
店とお客様の間の、ミニ・コミュニケーションを意図しただけの宣言だったのですが、まったく予想外の展開と成り、心底驚いています。この時期を狙ったわけではなく、結果的にこの時期になっただけなのですが、「赤身ブーム」が一段落したタイミングだったのでタイムリーだったかのかもしれません。
しかし、それだけでは説明できない反響の大きさです。
今は、発言者の責任の重さを、ひしひしと感じる日々です。寛容のご見物を、ひらにお願い申し上げる次第です。
(終わり)
追伸①
本日は火曜日ですが、墨田公園の桜が満開になる予想につき、「ちんや」は臨時営業します。
また明日29日水曜の昼席も営業致します。どうぞ、ご利用下さいまし。
追伸②
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.586日連続更新を達成しました。
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