農林水産業

  涼しくなりまして、「変わりザク」が変わりました。

 秋のキノコ3種盛り合わせ(大黒しめじ、茶エノキ、ジャンボ・マッシュルーム)です。どのキノコも、割り下の旨味を良く吸います。食感の違いもお楽しみ下さい。さて・・・

 読売新聞に月2回、日銀の福島支店長さんが「日銀福島支店から」という題で寄稿しています。震災後の福島経済のことが気になる方は、この連載をお読みになっていることと思います。

 その連載の、10/5号の見出しは「県農業に明るい兆し」でして、検査体制の整備により、放射能の風評被害が最悪期を脱する傾向にある、という内容でした。結構なことです。

 さて、その記事の中で、私が気になった部分が一つありますので書いておきますと・・・

「県内総生産に占める農林水産業のウェートは2%しかないが・・・」という部分です。

 皆さんも不思議に思いませんか。福島と言えば農業県なのに、ウェートが2%とは、随分小さいねえ、と思いませんか。

 この数字は、震災後の経済記事で何度か私も見かけましたが、こんなに小さいと、どうしても、重要でない感じがしますよね。

 でも勿論、福島県経済にとって、農林水産業が重要でないわけはなく、こういう数字が出るのは統計のとり方に原因があります。

 農林水産物を、何も加工せずに、そのまま出荷した場合だけ「農林水産業による県内生産」としてカウントされるのです。

 加工したら、もう農林水産業にはカウントされません。だから酒や醤油の醸造という仕事は、農林水産業にはカウントされません。

 食品スーパーで売った場合も、もう農林水産業にはカウントされません。商業ですから。

 料理屋や旅館で、料理して売った場合も、もう農林水産業にはカウントされません。

 勿論、福島支店長さんは、そんなことはご存じで、この記事を書いておられますが、統計にくわしくない人が見たら、

 なあーんだ、農林水産業のウェートは2%だけなんだ!

と思うかもしれませんよね。それはNo Goodです。

 食に関する仕事が、なんだか、バラバラです。食にかかわる仕事が、商業とかサービス業とか、そういう項目に潜っていたのでは、連関が捉えられないような気がしませんか。

 私は、食に関連する産業が、なにか一塊になって、数字として把握されるように希望します。 

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シャンパンとカズノコ

 弊ブログをお読みの方は、私が酔っぱらいであることを重々ご承知と思いますが、そんな私にも、いくら飲んでも平気な酒と、そうでない酒が、一応あります。

 そうでない=不得意な酒は、実はワインです。

 もちろん適度の分量であれば、なんの問題もないのですが、度を越した時がダメです。特に刺身などの生の魚を酒肴にして、白ワインをシコタマ飲んだ時に、気持ちが悪くなります。

 別に、世をあげてのワイン・ブームなのを見て、天邪鬼気分で、そう書いているわけじゃありません。原因が最近までわからず「なんでだろう」と思ってきました。

 でも、最近わかりました。

 先日「料飲三田会」の見学ツアーで、伊豆修善寺の志太ワイナリーに行き、醸造部長さんのレクチャーを聞いた時に、それがわかりました。それは・・・

 亜硫酸塩。

 亜硫酸塩は、参加防止剤イヤ酸化防止剤として、ほとんどのワインに入っておりまして、雑菌抑制の効果がありますが、この薬と、生の魚を会わせたケースで官能検査をしたところ、非常に高い率で、多くの人がマズいと答えたそうで、その因果関係が統計的に確かめられたそうなのです。

 なるほど!やっぱり、そうだったんですね!

 この醸造部長さんは、酸化防止剤を減らすことをワインづくりの重要な要素と位置づけて醸造をなさっておられるとかで、その話し流れの中で、酸化防止剤と生魚の話しが出てきたのです。

 私は、中学校3年の正月にシャンパンとカズノコを会わせて飲んで⇒気分悪くなって以来、生魚+白ワインが不得意なのですが、今回原因がわかって有り難いことでした。

 なお、酸化防止剤を完全になくすことは、簡単ではないようです。

 ワインはとても変質しやすく、雑菌などが繁殖しないようにするのが難しいからです。「酸化防止剤無添加」とうたっているワインもありますが、これは出来上がったワインを日本酒のように加熱殺菌したり、細菌を除去する特殊なフィルターを通して濾過するなど、変質しないための処理を行なっているのです。

 こうした処理がされたものは、ワイン本来の、新鮮な果実の風味が失われていて、要するに、おいしくありません。

 では、そういう処理をせずに酸化防止剤を減らすには、醸造部長さん曰く、葡萄を畑で育てる過程で、葡萄そのものの生命力を強くする以外に方法はないそうです。雑菌などが繁殖しないようにするには、それしかないそうです。キビシいですね。

 皆さん、シャンパンとカズノコには、くれぐれも、ご注意願います。

追伸

 伊豆修善寺へ向かう伊豆箱根鉄道の車中、大仁駅と牧ノ郷駅の間、線路のすぐ東側に「田能久」という店を見つけました。

 「田能久」と言えば、往年の映画「若大将シリーズ」の、主人公の若大将(=加山雄三さん)の実家の、すき焼き屋の屋号です。若大将こと加山さんは「すき焼き屋の若旦那」という設定でした。

 伊豆に実在する「田能久」さんと「若大将シリーズ」の関係についてご存じの方は、是非ご一報下さい。

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乗車マナー

 公共の場、たとえば車中で、どういう行為が人を不快にさせるかは、いろいろなケースがあって一概に言いにくいかもしれません。

 ある朝、新幹線の車中のこと・・・

 私の前列のお子さんが、ゲームを始めました。

 ピコピコ、ピコピコピコ、

 ピコピコピコピコピコピコ、

 ピー、ピコ、ピー、ピー、

 ピー、ピー、ピコ、ピー、

 ウルサイです。前の夜しこたま御酒をいただいた私は、車中で寝るつもりでいたので、この電子音が苦痛でたまりません。

 ピー、ピー、ピー、ピコ、ピコ、ピー

 でも「騒音」というほどの音量じゃあないし、相手は子供だし、やめろと言うのも大人げないかなあ、と思っていると、前列の別の女性が・・・

   ちょっと!スミマセン!少し音量下げてくれませんか!

 そんなにキツく言わなくてもいいのに・・・でも寝たいので助かった、と思っていると、今度は・・・

 そのまた前列の中年男性二人の、プロ野球トークが聞こえてきました。烏賊燻とビールの香りも漂ってきます・・・

 だからさあ、今時、客をよべない野球はダメなんだって!

 いやあ、そんなこと言ったって、オチアイには実績があるんだよ!

・・・ああ、その話しですか。プロ野球が好きな方の間では、ドラゴンズの落合監督解任の件が、今一番ホットな話題のようです・・・

 だからさあ、1回からね、送りバントなんかさせたらダメなんだよ。高校野球じゃあないんだから。プロなんだからね、今時、客をよべない野球はダメなんだって!

 いやあ、そんなこと言ったって、オチアイには実績があるんだよ!日本一も、リーグ優勝もしてるんだよ。

 だからさあ、パーフェクトやってるピッチャーを途中で降板させたらね、ダメなんだよ。それじゃ、客は納得しないわけ。今時、客をよべない野球はダメなんだって!

 いやあ、そんなこと言ったって、オチアイには実績があるんだよ!ずーと、Aクラスだったんだから。

 だからさあ、敵より多く点獲れば、それで勝ちっていう野球じゃダメなんだよ。それじゃ、客は納得しないわけ!今時、客をよべない野球はダメなんだって!

 ウルサイです。でも、さっきの女性は文句を言わないようです。

 そうするうち、今度は先ほどゲームを注意された子が、退屈したのか、窓のブラインドを上げ下げし始めました。

 ママあっ! この窓、上がったり下がったりするよ!面白いよ!

 ガガガ(上げ)

 ガガガ(下げ)

(朝なのにビールの香り)

 ガガガ(上げ)

 ガガガ(下げ)

(朝なのに烏賊燻の香り)

 ガガガ(上げ)

 ガガガ(下げ)

 だからさあ、マスコミに無愛想なのはダメなんだよ。スタンドがガラガラじゃ、クビになっても仕方ないわけ!今時、客をよべない野球はダメなんだって!

 いやあ、そんなこと言ったって、オチアイには実績があるんだよ!勝率が中日歴代一位なんだから。

 でもね、オチアイの後がタカギっていうのも、オレはどうかと思うわけ。アイツも玄人好みの野球をするだろ。今時、客をよべない野球はダメなんだって!

 いやあ、そんなこと言ったって、オチアイには実績があるんだよ!勝つ野球をするのが監督の仕事だろ。

 おやあ? 話しが噛み合ってませんね・・・

 だからさあ、今時、客をよべない野球はダメなんだって!タカギじゃなくって、タツナミでいいじゃないか。

 ガガガ(上げ)

 ガガガ(下げ)

 いやあ、そんなこと言ったって、オチアイには実績があるんだよ!

 ガガガ(上げ)

 だからさあ、今時、客をよべない野球はダメなんだって!タカギは70歳越してるだろ。タツナミでいいじゃないか。早過ぎってことはないと思うぜ。

 いやあ、そんなこと言ったって、オチアイには実績があるんだよ!

 ガガガ(下げ)

(朝なのにビールの香り)

 列車は朝日を浴びて東海道を走って行きました。眠れない私を載せて。

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いざ虎姫②

(昨日から続く)

・・・と、いう次第で24年4月20日に開催予定の「ニッポン全国彪友会―台東万博!」を宣伝するため、滋賀県の虎姫へやってまいりました。

 「湖彪会」さんのセミナーが夜7時半開始と遅いため、まずは腹拵えです。「見付屋」さんに立ち寄り、夕飯をいただいたのですが、この御店の豆腐田楽が実に絶品でした。

 葱味噌に木ノ芽を和え、それを豆腐に塗った上、炭火で焼くのだそうですが、不思議な甘味があります。この御店のご主人も「湖彪会」メンバーとか。御馳走様でした。

 で、いよいよセミナーです。二条彪先生のセミナーは、毎回受講生同士の議論の時間がありますが、この日は「湖彪会」の皆さんと、わが「台彪会」メンバーを混ぜて配席し、交流を図りました。

 途中で席替えまでして、今度は別のテーマで、さらに議論。合コンじゃああるまいし。でも合コン以上に盛り上がりました。

 初対面なのに、すぐに打ち解けられるのが嬉しいです。

 この時の様子は、私の駄文で表現するより、二条先生のご自身によるコメントを転載することにしましょう・・・

・・・滋賀虎姫の湖彪会さんと台東区の台彪会さんと合同勉強会。

 湖彪会のみなさんにはほんとによくしていただきました!

 勉強会は、言葉で表現できないくらい盛り上がり、爆発しましたぁー!

 こんな後継者のみなさんがつながっていけば、きっといろいろなことが変わっていくと思います。
 写真は湖彪会のみなさんが用意してくれたバナーのまえでポーズをとる台彪会会長、すき焼きちんやの住吉社長です!
 バナーの孔子の言葉、胸に沁み渡る夜です・・・(転載終わり)

  「湖彪会」の皆さん、お世話になりました。

  来年の4月、浅草でお待ちしております!

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いざ虎姫①

 滋賀県の虎姫へ行ってきました。

 虎姫は滋賀県の東北部にあり、北は福井県、東は岐阜県に接しています。つまりは滋賀県の右上の角です。今は長浜市と合併して、その一部になっています。

 戦国時代がお好きな方なら、「お江」と浅井家とゆかりの地と言えば、すぐお分かりかと思います。

 では戦国マニアでもない住吉史彦が、なんでまた、そこへ出かけていったか、ですが、そのわけは、

 合戦!では勿論なく、

 そこに「湖彪会」があるから・・・です。

 「湖彪会」とは「台彪会」の仲間で、1年先輩の会です。

 先に「台彪会」の方を説明してしまいますが、この会は、二条彪先生が講師の、「台東区若手経営者サポートセミナー」の受講生有志の勉強会です。このセミナーは、もう7年も続いていますから、メンバーのつきあいも7年目に入っています。

 一方の「湖彪会」はと申しますと、やはり二条彪先生が講師の、地元商工会さん主催のセミナーの、受講生有志の勉強会です。先方は8年目だそうなので、1年先輩の会、というわけです。

 今回の虎姫行きは、この、先輩の会に敬意を表するとともに、もう一つ重大な目的がありました。それは・・・

 「ニッポン全国彪友会―台東万博!」の宣伝です。

 この企画は、壮大な企画です。

 全国の二条彪ファンが一同に集まり、勉強し交流し、また商売も広げていこうじゃないか!という大イベントです。24年4月20日に決行予定です。
 当日は、全国からお越しいただいた、社長さん方に、「台彪会」の会社何社かを、分散して見学をしていただいた後、浅草ビューホテルに集合し、先生の講演を聞き、その後に交流大パーティーとなる次第です。

 こうした形での、社長や後継者の皆さんの広域交流は初めてで、どんな化学反応を起きるか、予想もつきません。

 その勧進元に「台彪会」がなるのです。

と、いうことは、その「台彪会」の会長である私が主催者という格好です。

 そうです、実はエラいことなのです。

で、まずは先輩の会である「湖彪会」さんを表敬訪問することになった次第です。

 それともう一つ、今回の目的は「七本槍」!

 銘酒「七本槍」の醸造元である、富田酒造さんが、「湖彪会」のメンバーなのです。ひひひひ。

 しかし、ですよ、滋賀県は遠方です。

 御酒は楽しみだけど、同行してくれると「台彪会」のメンバーは、まずいないだろうな、一人で訪問でも仕方ないな、でも一応、皆さんに声かけはしてみよう、思って声かけしてみたら、なんと6人が、同行メンバーとして立候補しました!

 げげ、君らも呑み会が目的か。

 けしからん。

(この話し続く)

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「牛肉名刺入れ」の造り方

 精肉売店で「牛肉名刺入れ」の販売を始めました。牛肉と見まごう名刺入れです。

 Facebookの私のウオールに、その画像をUPしましたところ、「いいね」が連打されています。皆さん、こういう、意味なく面白いものを待っていたんですね。

 でも、この名刺入れを造る工程は、面白いというよりは、ひどく真面目で入念です。

 合羽橋の「佐藤サンプル」という食品サンプル屋さんが、サンプル製作の技を活かして作って下さっているのですが、以下に、その工程を公開します。

 まず、名刺入れを2枚縦にならべたサイズの、本物の牛肉をシリコンで型取りします。

シリコン型が固まったら、脂身色に着色した塩ビ樹脂を、型の内側に描き込んでいきます。

 そうです、霜降りは手描きなのです。

 次に、霜降を全て描き込んだら、オーブンに入れて焼きます。少し火が通った頃合いで出して、肉の色に着色した塩ビゾルを上から流します。こうすると、微妙に滲んだ感じが出ます。

 この名刺入れは、「ちんや」の熟成肉にあわせて、その風合いを出しております。つまり「ちんや」限定バージョンなのです。懲り杉です。

 続いて、今度はじっくり焼き上げて、ベースの生地の完成。長方形の肉の生地が出来ました。これを中央から半分に折り、「まち」部分を仮留めします。

 今度は、形がなじんだら、今度は剥がれないように、補強します。「まち」部分に樹脂を流し、霜を書き加え、三度目のオーブンへ。

 三度も焼くのです!

 そして、最後に仕上げとして、表面につやを出して、乾いたら検品して完成。

 この状態で工場より出荷され、合羽橋ショールームでパッケージングされます。

 こうして、馬鹿馬鹿しいものを真剣に作っているところが、なんとも素敵です。これは一つの文化と言っても良いのでは、と思います。

 この素敵さをわかっていただける方が大勢現れることを期待します。

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四文字熟語

 人生の節目の機会で、大勢の人の前で、自分の理想を語らないといけない状況の時、皆さんは何を話しますか。

 大相撲の琴奨菊関が、大関に昇進した時は、こうでした・・・

 「万理一空の境地を求めて、日々努力精進いたします!」

 万里じゃあないですよ、万理です。

 宮本武蔵の書物から来ているそうでして、すべてのことわり(=理)は一つの空に帰するという意味、だそうです。

 うーん。そんな境地を、現代の普通の人が分かるンでしょうか。

 しかも新大関は四文字熟語辞典を手にして、困惑したような表情のところをマスコミに撮らせたりしています。うーん、毎度のことだけど、どうもなあ。

 一方、新大関のインタビュー内容は、共感できるものでした。

 「魁皇関みたいに、みんなから愛される大関になりたい」

 「相撲を教えてくれた、おじいちゃんへの感謝を忘れず、一緒に闘っていくという気持ちを込めたい」

 つまり、この方の理想の姿は、

 「愛される大関」

 「おじいちゃんと一緒に闘う大関」

のようです。分かりやすくて、共感できます。

 それだけに「万里長城」じゃなかった、「万理一空」との乖離が気になります。「万理一空」と言う超俗の言葉と「愛される」「おじいちゃん」といった、とても世俗的な言葉とは、どうしても距離を感じます。

 そう言えば、しばらく前に出席した、とある結婚ご披露宴で、スピーチに立った新婦側の主賓が、若い部長さんでした。

 若くて迫力が無いのを補おうと考えたのか、その方も四文字熟語作戦でした。

 「私が大好きな言葉に・・・」

に続けて、その四文字熟語を言うはずでしたが、お気の毒に、その方、肝心の四文字熟語を言い間違えてしまいました。「私が大好きな言葉」のはずなのに間違えてしまいました。

 あーあ。

 こういう場合に、やさしくないと言うか、KYなのが浅草の面々です。

 今の言葉、違うよねえ。

 そうだね、ゼッタイ違うよ。間違えてるよ。

とデカい声でツイートするので、本人に聞こえてしまいました。

 あーあ。

 よせば良いのに、四文字熟語。

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御乱心

 最近、精肉売店で「ホンモノの醤油」とか「100%柚子しぼり」とかを販売しておりまして、このブログにも書いてきました。近々、味噌も売ります。それを読んでいて、

 どうも、住吉のヤツ、肉が売れないもんだから、

血迷ったみたいだなあ、とか、

御乱心ですか、

とか思っている方もおいでかもしれません。

 9/5から東京食肉市場では、牛肉の放射性物質の、全頭検査をしていますから、牛肉に関しては、安全な体制がとれています。しかし報道では、そのことは小さくしか採り上げられず、安全でありながら、「安心」に至っていないのが現状でしょう。

 しかし、だからと言って、私は相い変わらず、牛肉を売ろうと考えていて、調味料の類を売るのも、牛肉を美味しく・楽しく食べていただくための工夫の一環です。

 せっかく美味しい肉を販売していても、ご自宅で、

 「ちんや」の肉に、そんな醤油をかけちゃうんですか?!それって醤油というより、「醤油に似せた調味液ですよ!」という感じの液体をかけていただくと困るのです。

 この件を書くと長いので後日に譲りますが、日本の醸造技術は、どんどん醸造工程を端折る方向で進歩しています。「進歩」と言って良いのか、疑問ですけどね。特に醤油の熟成工程が端折られる方向です。

 せっかく「ちんや」の熟成させた肉に合わせるのに、熟成工程を端折った醤油では、ザンネンですよね。

 それで「ホンモノ」の醤油を売るのです。あくまで肉を美味しく食べていただく為です。

 自然とお高い醤油ですが、それで儲けようという意図ではありません。でも、お高いにもかかわらず、結構、ポチポチと売れています。有り難いことです。

 さらに申しますと、醤油の造り方にも、多少の違いがありまして、その違いが分かったら、とても楽しいことです。

 一方、考え方を少し改めたこともあります。

 美味しいだけでなく、楽しく食べていただかないと×だ、ということです。特に、今時はそうです。

 従来「ウチの肉は、塩・コショウだけで食べていただけば、それで最高です。余計なことはしないで下さい!」という売り方をしていましたが、それって楽しくないですよね。

 1年中「塩・コショウだけ」ではつまりません。

 たまには酸味を利かせて食べたいこともありますよね。熟成させた肉は味が濃厚ですので、少し酸味を利かせるのは×ではありません。

 だったら、そういう時のために柑橘系のものも売ったら喜ばれますね。それが「100%柚子しぼり」です。

 今準備をしている、「牛肉の味噌漬け用の味噌」もそうです。お客さまがご自分で漬けてみること、それ自体が楽しみなのです。

 お子さんがおいでなら「食育」にもなると思いますよ。

 「江戸時代は冷蔵庫が無かったら、肉は味噌漬けにしてたんだ。この貴重なものを食べられたのは、その頃は将軍様と副将軍様だけだったんだぞ。」などとお子様に「食育」しつつ食べたら、楽しいだけでなく、教育上大変よろしいかと思います。

 どうも最近「食」という単語には、「の不安」という単語とセットに成ってしまいましたが、皆さん、それでいいんでしょうか。

 一日に一度は、ああ美味しい!と感じる食事をしないと、人間の脳の、その日のストレスが解消されない、という学説の先生もいます。なるべく美味しく・楽しい食事をしていただきたいと思います。

 少なくとも、東京の牛肉は安全ですので、あとは気の持ちようです・・・

 あ、そう、なるほど、そういう理屈ね。血迷ったわけじゃあないのね。

 でも「牛肉名刺入れ」はどうなの?あれはやっぱり血迷ったんじゃないの?

 うーん、あれは、まあ、多少血迷ったかもしれませんね。

 でも理屈だけじゃ、楽しくないですから、なんか、オカシいものは要りますよ。それに好評なんですよ、あれが一番。

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挨拶

 挨拶はシッカリするものです。それは当たり前です。

 でも、その相手が自分の知っている人かどうか、ビミョーな時はどうしますか。

 浅草の街を歩いていると、しばしばそういう状況になります。

 あれ?

 見たことある人だなあ。

 この前××を買った時に相手をしてくれた、「○○屋」の人だったかなあ。

 違うなあ。7月に呑み屋の「△△」で偶然居合わせて、□□さんに紹介された人だったかなあ。

 いや、待てよ、先週の金曜日の7時に5人でウチに食べに見えたお客さまかも。

 思い出せないないなあ。

 こっちに気がつかないと良いんだけどなあ。

 あ、マズイ。接近して来た。

 分からないないなあ。困ったな。

 ゲ、マズイ。こっちに気付いたぞ。

 向こうの表情が変わったってことは、やっぱり知っている人か。

 こっちも大至急で笑顔にならないとマズイぞ。

 面倒だなあ。たいして良く知ってないのに。

「オっハヨウございまーす!涼しくなりましたね!」(ビッグ・スマイル)

 実は、浅草の人同士では名刺交換をしないのが普通です。

 「紹介しますけど、こちらはN丁目の○○屋の△△さんです。」で、人の紹介が終わってしまいますが、これが私にとってはとても不都合です。

 私の脳は、画像情報を保存するのがあまり得意でなく、画像単体つまり人の顔を覚えるのが得意でありません。だから画像情報と文字情報と組み合わせることで、しっかり脳に定着させたいところなのですが、名刺が無いとそれができないのです。

 あ、マズイ。

 また、見たことある人が接近して来たぞ。

 分からないないなあ。困ったな。

 逃げちゃおうかな。

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味噌漬けすることを応援し隊

 「ちんや」は、味噌漬けすることを応援したいと考えています。

 はあ?「味噌漬けする」「ことを応援」だって?

 そうです。そのために、精肉売店で「味噌漬け用の味噌」を売り出し、お客様がご自分で、肉の味噌漬けを漬けることができるようにします。

 味噌漬けした肉は既に売っているのに、なんでまた、さらに「味噌漬け用の味噌」を売るのか、ですが、それは「味噌漬けを漬ける」という体験そのものを楽しんでいただきたいからです。

 例えば、お子様の食育の一環で、味噌漬け体験をさせてみたら、どうでしょう。

 お子様と料理を一緒に作るのも悪くはないですが、すぐ終わってしまいますよね。味噌漬けなら、時間がかかるわけなので、その間ずーっと楽しみにしていることができます。

 お子さんの誕生日に味噌から取り出して食べたら、誕生日が二重に楽しくなると思います。

 もちろん、大人の方にも挑戦していただきたいです。

 舌が肥えた方の中には、店で売っている既成の味噌漬けの味を、少し変えてみたい、という人がいるかもしれません。味噌の配合の割りを変えて、自分の舌にジャストフィットする漬け方をするのも、一つの楽しみと思います。

 また既製品と違う部位で作ってみたい、という方がいてもおかしくありません。

 味噌漬けの最中に、脂身が酸化するとよろしくないので、味噌漬けには、霜降り肉より赤身肉が良く、主にモモなどが使われますが、フィレであっても、やはり赤身ですので良いかもしれません。既成品では、値段的にフィレは使えませんが、グルメな大人がチャレンジしてくれたら面白いことになります。

 少し前の、阿部寛さんが主演したテレビドラマ「結婚できない男」では、主役の、高収入でイケメンなのに結婚できない男(=阿部寛さん)が、ひとり自宅で手巻き寿司を作るシーンがあって笑えましたが、手巻き寿司でなくて味噌漬けなら、もっと「結婚できない感」がリアルだったと思います。

 勿論、一人でそういうことが可能なように、手引き書も付けて売ります。味噌本体より、その手引き書の方に価値があると言っても良いと思います。10月半ばには登場予定です。

 自称「わが町のアベカン」の皆さん、一人で味噌漬けしてみませんか。

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