男の肉料理

牛肉の相場が高い状態が続いています。

実に頭の痛いことです。弊店でも値上げを実行させていただきました。加えて、消費増税もあったわけですから、その結果食卓から牛肉が遠のいているのが現状でしょう。実に頭の痛いことです。

日常の食卓・ケの食卓から遠のいているのであれば、せめて非日常の食卓・ハレの食卓には肉を登場させていただきたいものだと思います。

肉の味については、お陰様でご高評をいただいていますので、後はキッカケづくりです。

で、思いつきましたコピーが、

「男の肉料理」

男性が、休日にご家族の為に料理をする、その場面で肉を使うなら、少し値の張る肉にも手を出して下さるだろう、という思惑です。男は趣味に金を使うものですからね。

それにご家族の為に料理をすること、それ自体に意義があるわけですから、手間のかかる調理にも勤しんでくれます。そこが目のつけどころなわけです。

例えば、挽き肉をあえて自分で、包丁で刻んで造っていただいます。その挽き肉でドライカレーを造っていただきます。奥様・お子さまに感謝されますよ。

思えば、弊店の売店のスタッフは野郎ばかり。肉の仕込みをしている本人が販売もしています。

これが、まあ、愛想の無さに繋がってはいるのですが、お客様が男性であれば、むしろ話しがしやすい、という結果にもなります。もろもろ御説明を差し上げながら販売できます。

うん、ですので私は、この際、高らかに宣言したいと思います。

「男の、男による、男のための肉屋」?!

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.056日連続更新を達成しました。

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箱根へ

「料飲三田会」の旅行で箱根湯本の「吉池旅館」に行って来ました。

「吉池」さんは、まず源泉の在る温泉が自慢。

元は岩崎家別邸だったという一万坪に余る回遊式庭園は、秋の風情たっぷり。相模湾の魚介を使ったお料理も結構なものでした。

そもそも箱根に参りましたのは、もちろん、大涌谷の噴火問題で大変な状況の温泉街へ「出かけることが支援」ということです。会長の発案でそうなった次第です。

旅行の日取りが決定してから、一時噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)から3(入山規制)に上がって少し心配になりましたが、7月1日を最後に噴火が止まり、地殻変動観測でも山体膨張が停止。

9月11日には警戒レベルは3から2に引き下げられて、ひと安心しました。

支援の志の面々が集まって、勇躍同窓ボート部出身のSZKさんが経営する「吉池」さんに向かった次第です。

いや、結構な秋の日でした。

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

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5年目の宴

「茨城地酒まつりin花やしき2015」が今年も開かれ、私は浅草料理飲食業組合・組合長の代理で乾杯の発声を致しました。

会場には700人ほどの人が集まっていましたが、皆さんにより楽しく乾杯をしていただくのが私の役割と思い頑張って務めました。

この催事は、茨城県酒造組合が主催していますが、夜の遊園地で日本酒を飲みまくる、という、なかなかエキサイテイングなイベントです。おカタい組合の行事とは思えません。

今年で5回目。

地震の年の春に第一回が予定されていたのが、いったん延期となり、その年の秋に第一回が開催されました。以来応援させていただいております。

皆さーっん!

元気ですかーっ?!

飲んでますかーっ?!

・・・

飲んでないの?

(やっと)いえー!

今夜は飲まない人は退場ですよ!

中途半端に飲んでる人も退場ですよ!

今日はこんなに良いお天気だし、

明日からは3連休だし、

それに皆さん、先日の鬼怒川の大水害で被災なさった、常総市の蔵元さんも元気に出店しておられます。そういう蔵が茨城へお酒を積んで帰るようでは、お集まりの皆さんがダメー!ということに成ってしまうと思いますよ。

是非是非、飲み尽くしていただくことを固くお約束いただいた上で、杯を上げたいと思います。

御唱和願います。

乾杯!!

 

追伸

慶應義塾の機関誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。

『三田評論』は基本的には定期購読者のみが読む本ですが、紀伊國屋書店の新宿本店で小売りしているそうですから、ご興味のある方はどうぞお求めください。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.054日連続更新を達成しました。

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神様の送迎

全国料理業「芽生会」の大会が東京で開催されましたので、出席しました。

私は、この会では特に役員とかではなく、当日は記録係としてデジカメでスナップショットを撮ればOKという手筈だったのですが、大変な御役目を追加で仰せつかりました。

神様の送迎をして欲しいと言うのです。

この大会は、渋谷セルリアンタワーホテル地下の能楽堂で開催されたのですが、その能舞台に近くの金王八幡宮から神職の方にお越しいただいて「神降ろし」の儀式を行う計画でした。その神様を神社までお迎えに行き、終わったらお返しするのが私の役どころとなりました。うーむ。

で、聞きますと、神棚を構成するグッヅも運ばないといけないのですが、その際に車に他の荷物が載っていては×とのこと。急遽タクシー会社に連絡して、この!!なリクエストを伝えました。

さて、同役の「日本料理研究会」MYKさんと共に神社へ乗りこみます。

都心のド真ん中なのに、涼しい空間ですね。パワースポットとはこういう場所を言うのでしょうか。

社伝によれば1092年(寛治6年)、渋谷氏の祖である渋谷重家が、この地に渋谷城を築いたのに合わせて社も創建されたとか。

神主さんにお目にかかり、グッヅを車に積んでホテルへ戻ります。

ホテルに着くや否や、グッヅを能舞台に運び込んで、神棚のセットUPをお手伝いします。

お供えには、トマトやシメジといった野菜も入っています。なんだか今風ですな。

そして、御約束の鯛! 酒!

なんとか時間内のセットUPに成功して、やがて「神降ろし」の儀式も無事終了。

今度は撤収です。舞台を浄めるため、小さい白い紙をバラまいたので、それを掃き集め、もちろん神棚を分解撤収。

休憩時間の内に撤収するのは汗だくだくでした。

爾後神主様を神社までお送りし、初穂料を支払って、まずはこのジョブは一段落。

思いの外ハードでした。

で、それから本番の懇親会。「ちんや」のすき焼き風ローストビーフをお出ししました。

ハードでしたが、大変貴重な経験でした。

神主様が浅草神社の禰宜YNOさんと旧知ということも分かり、まったく世の中狭いです。

いつか真面目に参拝に行かないといけないなあ、です。

なお、ですが、金王八幡宮のご祭神は応神天皇様でした。ありがたや。

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.053日連続更新を達成しました。

 

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和牛を食す④

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

以下↓は『三田評論』に載った文そのものではないですが、対談の準備のために書いたものですので、是非お読み下さい。

<やや長いので、10/8から四日間に分けてUPしています>

このように、和牛肉は、

・「煮る」

・滋養強壮の為ときおり「薬」として食う。

・生食する。

・箸で食べる。

という日本の食文化に合う食材として食されて来たことが良く分かると思います。

 

さてさて、それではこのような和牛と、日本人はこれからどのように接して行けば良いのでしょうか。

これまで通り、愛し食べ続けていただきたいことは勿論です。

初詣の帰りに・お彼岸の墓参の帰りに御家族と食べ、お爺ちゃんの還暦の祝いの日に食べ、あるいは会社の恒例の忘年会で食べ、はたまた課長さんが部長に昇格した日に食べていただきたいと思います。

とりわけ和牛肉はモタレませんから年配の方に適しています。是非お孫さんと一緒に食べていただきたいです。

しかし、最近は日本人が和牛を食べるだけでは飽き足らないようですね。所謂「強い農業」の一環として和牛を輸出する商談が盛んなのは私も知っています。

しかしですね、私は和牛の輸出は、和牛の特長をよくよく分かっておいでの方にやっていただきたいですね。

さらに申せば、和牛が食されて来た環境であるところの、日本の食文化についてもよくよく分かっておいでの方にやっていただきたいですね。

和牛肉は日本の食文化と一体のものです。輸出とは単にモノを運ぶだけの行為ではない筈です。文化のメッセンジャー役も果たしていただいて、それで初めて輸出なのではないでしょうか。

聞くところによりますと、海外からの注文に応えるために和牛の特質を損ねるような肥育方法~例えば肥育日数が不充分~に移行している生産者も在るということです。肥育日数が不充分であれば脂の融点が上がってしまいます=食べたらモタレてしまいます。

つまり和牛が和牛らしくなくなる懸念が今在る、ということです。

いかがなものかと私は思います。

おっと、最後がまた嫌味になってしまいました。私の悪いクセですな。

こういうことを言わなければ、このブログももう少し人気が出るんでしょうけどねえ。

あ、いや、今の読者さんで不満だという意味では決してないですよ。今回も長い文を読んでいただきありがとうございました。引き続きヨロシクです。

(終わり)

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.052日連続更新を達成しました。

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和牛を食す③

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

以下↓は『三田評論』に載った文そのものではないですが、対談の準備のために書いたものですので、是非お読み下さい。

<やや長いので、10/8から四日間に分けてUPしています>

かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は、普通の人にとっても食べ易い肉です。

とりわけ、箸で肉を生食する場合に、かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は食べ易いです。

ここからはもう、和食のもう一つの特徴である「箸で生食する」話しに入っています。

日本人は、魚の刺身は勿論のこと、卵も生食し、肉すらも生食して来ました。『安愚楽鍋』(1871年~72年)にも「生で食べるのザンスから薄く切ったのをわさび醤油を付けてサアはやく」という注文が出来たと書いてあります。

貴重な食材であれば、とにかく生食したがる日本人。不思議ですね。

本当は、肉も卵も魚も生食したら危険です。現代では冷蔵技術その他で、ある程度生食を実現していますが、それでも肉の生食は気をつけた方が良いと思います。

そんな危険なことを日本人は何故やるのか?!

とてつもなくグルメなのか。

災害大国で常に危険に曝されているから、食中毒くらい危険と思わないのか。

おっと脱線しましたが、ともかく日本人は生食が好きで、その際に食材が箸でちぎれないといけません。

で、和牛肉は生で、箸でちぎることができたのです。

その理由の一つは、上に書きました通り、かたくない脂を多く含んでいるからです。脂、とりわけ柔らかい脂が乗ることは食べ易さの点で大切なことです。

そしてさらには、和牛肉は筋線維(肉の赤身の部分)そのものが柔らかくて、軽く咀嚼するだけで細かくなって、口の中で変形し易く、飲み込み易い、要するに、食べ易い肉です。

だから和牛肉は箸で生食できたのです。

現在では、牛肉を生食することは食品衛生上余程気をつけるべきこととされていますが、従来肉がそういう食べ方をされて来たのは事実ですから、ここでも採り上げておきました。

このように、和牛肉は、

<この続きは、明日の弊ブログにて>

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.051日連続更新を達成しました。

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和牛を食す②

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

以下↓は『三田評論』に載った文そのものではないですが、対談の準備のために書いたものですので、是非お読み下さい。

<やや長いので、10/8から四日間に分けてUPしています>

次に、日本人がどのような場合に牛肉を食べて来たか考えましょう。

通常は食べることを避け、滋養強壮の為ときおり「薬」として肉を食って来ました。所謂「薬喰い」ですね。

江戸時代には彦根藩の味噌漬けが将軍家へも献上されていました、お薬として。

明治三年に福沢諭吉先生が『肉食之説』を唱えた時も滋養強壮が主眼でした。

「肉類のみを喰ひ或は五穀草木のみを喰ふときは必ず身心虚弱に陷り、不意の病に罹て斃るゝ歟、又は短命ならざるも生て甲斐なき病身にて、生涯の樂なかるべし」さらには肉食を避ける人達の論は「人の天性を知らず人身の窮理を辨へざる無學文盲の空論なり」とまで言っています。

では、このように弱った人~腸チフスに罹った時の福澤先生のような状態の人が食べ易い肉とは、どのような肉でしょうか?

私は、脂肪の融点が低い肉が食べ易い肉だと考えます。逆に融点の高い=融けずに固形のままの脂は消化しにくいのです。

そもそも脂肪というものは、胆汁で乳化され、次いで膵臓からのリパーゼで分解されて、腸管から吸収されますが、食後3~4時間してやっと吸収される位消化しにくいものです。このプロセスでとりわけ固体の脂肪が消化されにくいのは当然のことです。「かたい脂は胃もたれする」と言われるのは、これです。

その「かたい脂」が和牛には少ないのです。ここも和牛の一大特長です。世界的に比較して、和牛の脂の融点は低いのです。

牛の脂の融点を「40℃~50℃」などと表示している本があったりしますが、私が店で仕入れている和牛の脂は25℃位の室温でも融け始めます。かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいるからです。こういう脂なら、病身の人やお年寄りでも食べられるのです。

 

かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は、普通の人にとっても食べ易い肉です。

とりわけ、箸で肉を生食する場合に、かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は食べ易いです。

ここからはもう、和食のもう一つの特徴である「箸で生食する」話しに入っています。

日本人は、魚の刺身は勿論のこと・・・

<この続きは、明日の弊ブログにて>

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.050日連続更新を達成しました。

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和牛を食す①

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

以下↓は『三田評論』に載った文そのものではないですが、対談の準備のために書いたものですので、是非お読み下さい。

<やや長いので四日に分けてUPします>

和牛を考えるに当たり、まずは和牛肉が食されて来た環境を考えてみましょう。

「食されて来た環境」とは「和食」という食文化です。和食には次↓のような特徴があります。

・「煮る」という調理方法を好む。

・通常は牛肉を食べることを避け、滋養強壮の為ときおり「薬」として肉を食う。

・生食することを好む。

・箸で食べる。

 

牛の一生は3~4年なので100年かけて改良すれば、25~33世代分の改良が出来ます。和食に馴染んだ日本人が、そういう改良を続けてきたということを念頭に以下をお読み下さい。

 

では最初に、日本人がどのような調理方法で牛肉を食べて来たか考えましょう。

日本人は「煮る」という調理方法を好み、牛肉も煮て来ました。水の豊富なこの国の人々は「煮る」という調理方法を発達させて来ましたが、フランスは「焼く」、中国は「炒める」ですね。で、日本は煮ます。

そもそも「煮る」という調理方法は、あらためて申せば水を媒介として食材を加熱する方法です。

「煮る」の決定的な特徴は、品温が100℃を超えないということです、当たり前ですが。

100℃を超えませんので牛肉を煮た場合も80℃から90℃で加熱されます。で、和牛肉はその温度帯で香り物質をたくさん揮発させるのです。

和牛肉は海外産の肉に比べて香り成分の総量が圧倒的に多く、特に「ラクトン類」という有機化合物がたくさん揮発します。桃やココナッツといった果物の好ましい香りを感じさせる匂いですね。

その「ラクトン類」こそが所謂「和牛香」つまり和牛の一大特長であるところの、独自の良い匂いの正体だと、近年の研究で明らかにされたのです。

このように牛肉を煮る、しかも客の目の前で煮るという調理方法が和牛の「香りが良い」という特長を最も楽しめる方法だと言えるのです。どうも、焼き肉屋さんに行った時より、すき焼き屋さんに行った時の方が良い匂いがするような気がするんだよね・・・と感じるのは、不思議ではないのです。

だいたい、すき「焼き」という料理名なのに煮ているのは、一体全体どういうことなんだ?!という超基本的な疑問の答えがここに在るかも!と私は思っているのですが、今日はすき焼きの話しではないので、それはさて置きまして、とにかく日本人の好む「煮る」という方法に最も合う牛肉が選抜されて来たと言えると思います。

 

次に、日本人がどのような場合に牛肉を食べて来たか考えましょう。

<この続きは、明日の弊ブログにて>

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

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三人閑談

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

さて、私以外の二人の先輩は、

まず銀座の洋食店「つばめグリル」の石倉悠吉さん。石倉さんは「料飲三田会」で旧知です。

それから山形県で「蔵王牛」を生産なさっている髙橋勝幸さんでした。

石倉さんが高い視点から食のビジネスを捉えておいでなのにビックリ。

高橋さんからは生産者としての具体的ご苦労の話しをうかがいました。今肉の相場が高くて、本当に関係者は大変なんです。

私はと申しますと、和牛の特徴を挙げて、それが和食という環境の中でどのように出来上がって来たかの話しをさせていただきました。それから福澤先生の肉食歴を少し紹介。

『三田評論』は基本的には定期購読者のみが読む本ですが、紀伊國屋書店の新宿本店で小売りしているそうですから、ご興味のある方はどうぞお求めください。

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

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高級と一流

「高級」と「一流」は、チョイと違いますね。

高いこと自体に意義はあるのであって、そういう店が好きな方もおいでですから、

高級店は必要です。

まず金のかかった店を建設し、次に有名な材料を仕入れて、それにガメつく値入れをして売れば高級な店を造ることは可能でしょう。

できれば接客要員には美女を雇ってセクシーな格好をさせましょう。そうすれば、高級な店を造ることは可能です。

では、そういう店に行って、人は何か学ぶ所があるでしょうか。

微妙ですね。

学べるとしたら、高級な店を造るには金が要るということ位でしょう。

では、ここで浅草の「弁天山美家古寿司」さんに行ってみて下さい。

値段は安い店ではなく、まあ、高い部類に入るかもしれませんが、有名産地のマグロとかはありません。

店の造作も金ピカではありません。造作がシンプルなので、「これが有名な美家古寿司なの?」と拍子ぬけする人もいるかもしれません。

しかし寿司は「江戸前寿司」をしっかり継承したものです。冷蔵庫や冷凍庫を持たない時代に日本人は、このような方法で魚を食べていました。

新技術を持たなかったからこそ、日本人が持っていた食の知恵がここに在ります。それが寿司の中に凝縮されていて、一流の仕事と思います。

そう、この御店さんは超高級ではないかもしれませんが、一流です。

一流なお店に行くと必ず何か学ぶものがありますが、高級なだけの店の場合そうでもないこともあります。

「高級」と「一流」は、チョイと違うのです。

 

追伸

慶應義塾の機関誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。

『三田評論』は基本的には定期購読者のみが読む本ですが、紀伊國屋書店の新宿本店で小売りしているそうですから、ご興味のある方はどうぞお求めください。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.047日連続更新を達成しました。

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