もうすぐ見納め 浅草寺の大工事壁

 このブログに何度か書いてきましたが、浅草寺(=観音様)では、今年秋の完成を目指して、「平成本堂大営繕」(=主に屋根の葺き替え)が行われています。様子を見ていると、工事も後半に入ってきているようなので、久しぶりにご報告いたします。

 「ちんや」の店の屋上に上がると、浅草寺本堂の大屋根が見えるので、たまに様子を観察しているのですが、最近巨大なクレーンが3台やって来ました。何をするのかな、と思っていると、工事壁の枠組を撤去し始めました。

 工事壁というのは、今回の大営繕の間、ご参詣の皆様の安全を確保し、また建築上の必要性を満たすために、設置されているもので、本堂周囲を完全に覆うくらい、巨大なものです。

 クレーンはどんどん、枠組を外していき、今日の時点で、もう枠組の半分以上がなくなりました。当然、ご本堂の半分以上が、既に露出している状態です。

 工事壁も、もう見納めのようですね。

 工事期間が結構長く、工事壁も見慣れてきたところだったので、無くなると、なんだか寂しい感じがします。

 中から見えてきた、ご本堂が、なにやら、ちんまりした感じがするから不思議なものです。

 それは有り難い工事壁に「参詣」なさりたい方は、どうぞお早めに。

 なお工事壁正面の、巨大な龍は、まだ鎮座しておられます。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。(なお明日14時30分より、このコンサートに出演予定です。)

*「平成本堂大営繕」については、このブログの5/24号もご覧下さい。

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山形県 恐るべしー「浅草うまいもの会」研修旅行

 6/23〜6/24「浅草うまいもの会」の研修旅行で、山形県を訪ねました。

 近年世界的な評価を得ている「タケダワイナリー」さん、蒟蒻づくし料理が有名な「楢下宿こんにゃく番所」さん、さくらんぼう生産者の「黒田果樹園」さんなどを訪問し、夜は、かみのやま温泉の「名月荘」さんで1泊しました。

  山形の皆さんは、当然みな山形弁で朴訥な話し方ですが、料理や食べ物の水準は言うと、まったく田舎っぽくはなく、結構なもので、品質とセンスが感じられるものばかりです。一同、「山形、恐るべし」と言い合って、現地を後にしました。

  今回私が、嬉しかったのは、「こんにゃく番所」の若旦那Tさんと、久しぶりの再会が出来たことです。と思っていたら、「こんにゃく番所」の料理長は、若いころ浅草の鰻の「川松」さんで修行した方だとか。「川松」の社長K子さんも料理長との再会を喜んでおられました。奇遇ってあるんですねえ。

 今回、Tさんご家族にはスッカリお世話になりました。御礼申し上げます。

  二日目の夕刻、会のメンバーが帰りの新幹線に乗り込み、缶ビールが配られて、最後の宴会(?)が始まる頃、私は一人団体を離れて、米沢で途中下車、もう1軒の訪問先へ向かいました。

 行き先は、米沢牛の名店として天下に知られた、「登起波(トキワ)牛肉店」さんです。若社長Oさんがいつも「すきや連」にご出席下さるのですが、こちらからは御店を訪問したことがなく、「機会があれば是非」と思っていました。今回、米沢のすぐそばの、かみのやま温泉まで来ましたので、寄らない手はなく、Oさんに連絡を入れると、駅まで出迎えて下さいました。

  米沢牛は、言うまでもなく有名ブランドですが、「登起波」さん以下の、現地の肉屋さんや、すき焼き屋さんが元気なので、牛は皆、米沢市の食肉市場で買われてしまいます。東京の肉屋から見ると、有名なのに、実は良く知らない産地・良く知らない市場なのです。

 今回Oさんの御店の個室で、結構な御肉をつまみながら、米沢の現地事情を少し教えていただいたので、今までの、米沢牛についての不勉強が多少補えました。実に助かりました。

  「登起波」さんの御肉に、オリジナルの純米酒をいただいて、良い気分になる内、Oさんが、「実は自分も明日東京に用事があって、遅い時間の新幹線に乗るので、ご一緒しましょう」

 それは、是非そうしましょう、とOさん手配の車で、駅まで送っていただき、東京行きの新幹線に乗り込みました。

 さっき、すっかりゴチになった私は、少しお返ししないといけません。車内販売の酒をとって、東京へ持って帰るハズだった、お土産を開封。東京へ着くまで2時間半、業界よもやま話しの二次会で、あっという間でした。

  あーあ、土産食べちゃった。

 ヨメのご機嫌、どうやって獲ろうかなあ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「楢下宿こんにゃく番所」さんについては、こちらです。

*「登起波牛肉店」さんについては、こちらです。

*「浅草うまいもの会」については、こちらです。

浅草ぐるめトランプ

 「浅草ぐるめトランプ」なるものを作るとかで、「コーセンドー」という会社の方が見えました。

 このトランプは、その会社がオリジナル制作するトランプで、成田空港や秋葉原などの土産物店や、ネット通販でも販売するのだとか。

 載せていただくのに、費用がかかるわけでもなし、取材も簡単=商品名、店舗名、英語訳と写真撮りだけなので、お受けしました。

  どういうわけか、ジョーカーは東武鉄道の特急列車の写真だそうですが、それ以外は食べ物です。浅草のいろいろな食べ物の店が、エースからキングまでの全52枚に、ふり当てられるようですが、どの御店の、どの食べ物が、どのマークの何番になるのか気になりますよね。

 どの御店も、「4」とか「2」でなくて、エースとかキングになりたいでしょう、たぶん。

  渡された資料に付けられていた、カラーのデザイン案では、スペードのエースが天丼になっていましたから、そういうイメージのようです、「コーセンドー」さん的には。

  浅草にはスイーツも多いですが、スイーツは、やはり女性のイメージなので、クイーンは甘いものでしょう。「舟和」さんの芋ようかんとか、「西むら」さんの栗むし羊かんとかが、クイーンでしょうかね?

 浅草は、日本一のすき焼き屋の集積地でもありますから、まさか、すき焼きは粗略にはされますまい。キングしかないですよね、すき焼きは。

  うーむ、ということは、いろいろ考えていくと結局、ハートのキングか、オレ様は。

 ハートのエースは、こっ恥ずかしいから、遠慮しといて、「Kバー」のK社長に譲ってやろう。 

 え? おこしの「TW堂」のH社長も、スイートな人だって? 

  もうメンドくさいから、どうぞ勝手に、決めて下さい、その辺は。

   本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

特別リハーサル、「浅草うまいもの会」研修旅行

 7/3に開かれる、ヴィオラ・アルタの、平野真敏さんのコンサートのチラシを配りまくっています。何を隠そう、私はこのコンサートに出演して、「お話し」をすることになっているからです。

 チラシを配りまくっていたら、料理屋の仲間に、「へー、どういう内容なの?」と聞かれましたので、それはですね・・・

 「饗応・居留地・牛鍋」というタイトルで、日本の近代食文化の、起源の話しをしようと思ってるんですよ。

 例えばね、最初にクイズを出しますけど、日本の国のトップが、外国人のゲストを饗応(=超高級な接待)するのに、日本料理ではなく、西洋料理を初めて使ったのは、いつ・どこで・誰がやったのか、ご存じですか? 

  と、さわりの部分を話してさしあげたら、結構皆さんの食いつきが良く、興味を持って下さったようでした。

  そんなやりとりをしていたら、ちょうど、6/23〜6/24の予定で、「浅草うまいもの会」の研修旅行が予定されており、その研修タイムに何をするか、「うまいもの会」のK子会長(=「川松社長」)が、プログラムを探しておられました。

 この研修タイムを使って、何か勉強になる話しを聞きたいとかで、急遽私が、「饗応・居留地・牛鍋」の「特別リハーサル」をすることになりました。その時間に充て込むものとして、私の話しは、長さが15分ですし、丁度良かったわけです。

  そういうわけで、「浅草うまいもの会」の皆さんを想定客にして、7/3と同じ話しをすることになりました。

  私の方も、丁度良かったのは、他人の前でリハーサルをできて、準備万端で当日を迎えられることです。人の前で話すのは、さほど苦ではありませんが、有料となると別です。

 今回のことは、定価@2.500円でチケットを売っている、コンサートの一部が私の出番です。2時間のコンサートの内、15分ということは、8分の1の時間ですから、単純計算してみると、@312円(税込み)が私の部分です。

 312円と言えば、食べ物なら、お菓子一個くらいは買えますから、それ以上の価値が、私の話しにないとNGです。もちろん、私目当てのお客さんなどいないでしょうから、割引いて考えますが、それでも、200円くらいの価値はないとねえ。

 そういう意味で、稽古できる「公開リハーサル」の場は、とても有り難い次第です。

  そういうわけで、ここ2〜3日は、6/23を目指して、稽古に励んでいます。

 もちろん、ジョークの稽古も・・・

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*このコンサートについて、くわしくはこちらです。

*このコンサートについては、このブログの3/10号4/30号もご覧下さい。

大江戸清掃隊 夏の陣

 6/18は、雷門横丁一斉清掃の日でしたので、朝から出動しましたが、気合が入りません。

 このところ気温・湿度とも上昇ぎみだからです。前夜も暑さで、朝6時前に目が覚めてしまい、寝ぼけ眼で参加しました。

  アクビを噛み殺しながら、路面を掃いていると、横丁会長のU子ちゃんが、

 「住吉さん、「Y野家」のダストボックス、放置されてますよね。置いて行ったんだと思いますけど・・・それに、凄く臭いんですよ。」

  「Y野家」とは、言わずと知れた、牛丼チェーン最大手の店ですが、このところ業績が悪いらしく、リストラの最中のようです。「ちんや」の2軒隣を借りて営業していた店も、5/28に閉店となり、そのダストボックスが、撤去されず、路上にそのままになっているのです。

  ああ、これねえ、撤去し忘れでしょうね。家主さんに頼んで、始末してもらいましょうよ。でも、たしかに随分臭いね、開けてみようか、と開けてビックリ! 眠気は完全に吹き飛びました。

  まず、息が困難なくらいの、悪臭。

 そして、ハエの航空隊と不意の遭遇。最近、どうもこの辺にハエが多いと思ったら、ここが原因だったのか!

  この状態では、「Y野家」が撤去に来るまで待っておれません。大江戸清掃隊、一気に戦闘モードに突入、夏の陣の開戦となりました。

 ダストボックスを路上に放置して、鍵を掛けておかなかったため、通行人がゴミを放り込んでいったようです。それを取り除かないといけません。

  そして、さらにゴミを掘り進んで行って、もう一度、ビックリ!

 「住吉さん、こ、これ、紅生姜ですよね。しかも3キロはありますよ」

 おえええええ、これが悪臭の原因か!

  これを見た清掃隊一同、アドレナリン全開です。怒涛の勢いでゴミを始末し、ダストボックスの内と外を水洗いし、こびりついたゴミもこそぎとって、さらに消臭剤をふりまき、本日の夏の陣は、終結しました。

  うーん、久しぶりに気合が入ったな。

 ハエの原因も分かって良かった。

  それにつけても、あの紅生姜、だいぶ賞味期限過ぎてたなあ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*雷門横丁一斉清掃については、このブログの4/17号をご覧下さい。

*「大江戸清掃隊」については、こちらです。

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1.000円ランチ@浅草

 先日、知人から「浅草で@1.000円で、何か他の場所になくて、旨いランチを食べたいので、教えてほしい」と言われ、困ってしまいました。

 浅草は一応、天下の一等地ですので、天丼とか天蕎麦でも、1.400円〜1.500円くらいする所です。「@1.000円で」となると、もんじゃ焼きかモツですかねえ、とお答えすると、その方は、そういう食べ物はあまりお得意でない方のようでした。

 実は「ちんや」でも、「ちんや亭」という、リーズナブル値段の、系列の飲食店をやっていまして、ハンバーグなら、@1.200円です。当然そこを、おススメしたいところですが、あいにく、「ちんや亭」はカウンターだけの店でして、ゆっくり長居できる、というタイプの店では、ありません。

 残念ながら、今回のランチは、「ゆっくり」がメインの趣旨とのことでしたので、結論として、ご質問にバッチリフィットした、お答えにはなりませんでした。

 @1.200円で、旨くて、ゆっくり長居できる、という店があれば、繁盛するに違いありませんが、「ちんや亭」で優先しているのは、「ゆっくり長居できる」ことではありません。

 本家の「ちんや」の方は、店として「ゆっくり長居して、すき焼きを食べていただく」ことを優先していますが、「ちんや亭」で店として優先しているのは「出来立て」であることです。

 「ちんや亭」は、カウンターだけで、16席しかない、小さい店ですので、焼いたハンバーグを即座に、ご提供できます、5秒以内に。

 肉が旨くて、出来立てのアツアツを5秒以内に食べれば、マズイわけはありません。そこを大事にしている店、ということでご理解いただきたいと思っております。

  ついでに宣伝しておきますと、「肉が旨くて」の理由ですが、肉が「ハンバーグ用の肉」でないから!です。

 すき焼き用の肉を精肉する時にできる切れ端を保存しておき、あとでミンチして、ハンバーグを作ります。もともとが、すき焼用の上等な肉で、熟成させたものですから、すき焼き同様の、旨味のあるハンバーグができます。「ハンバーグ用の肉」(通常はランクの低い肉)は仕入れていないのです。そこが、旨い理由です。是非、お召し上がり下さい。

  そう言えば、先日、「国際観光日本レストラン協会」で御一緒する、N社長が新しく、開店させた、「神田仏蘭西料理聖橋亭」さんを見学させていただいたのですが、そこには、なんとお客様用の、「お昼寝部屋」がありました。「ちんや」の、はるか上を行く、ゆっくり度です。

 「聖橋亭」さんは、もともとが、一戸建ての民家で、上層階もあるのですが、料理を上げ下げするリフトがないため、食事のスペースとして、上の階は使いにくく、それなら、思い切って、「お昼寝部屋」にしてしまって、くつろいでもらおう、ということのようです。

 N社長に、お客さんが本当に寝込んでしまって、いつまでも帰らなかったら、困りますよね、と聞くと、

 「イヤ、そうでもないよ。寝ていいよ、って言うと、逆に以外と人間寝ないもんだよ」と呑気なお答え。

 うーん、それならウチも、今使っていない、店の上の、高い階を「お昼寝部屋」にしてしまうか!

   *「ちんや亭」については、いったんこちらを開けた後、「関連店舗ご紹介」を開けて下さい。

浅草寺の大工事壁―「平成本堂大営繕」②

 「ちんや」の屋上へ登り、北の方角を向きますと、浅草寺の大屋根が良く見えます。と申しますか、正確には、大屋根を覆っている、巨大な工事壁が見えます。

 この工事壁は、現在実施されている、浅草寺の「平成本堂大営繕」(=主に屋根の葺き直し)のために設置されているもので、本堂周囲を完全に覆っています。

  その工事壁に、このところ変化が見えます。数人の作業員の人が屋上に登り、天蓋を1枚ずつ外しているのです。この様子に私が気づいたのは、6月に入ってからなのですが、作業は、どんどん進んでいて、既に今日の時点で、ほとんどの天蓋がとり外されました。今は、工事壁の骨組が露出しています。

  工事壁が骨組だけになったということは、雨が降れば、その下の大屋根、つまり新しい大屋根が濡れるわけで、「大営繕」の工事が相当進んだと想像できます。11月完成、と聞いていたのですが、順調のようです。

 この工事壁に彩色された、川端龍子の「龍之図」 のことは、このブログの、5/24号に書きました。工事壁が巨大なので、金龍の絵も巨大で、縦:10.2m×横:32.7mもあって、かなり見ごたえあります。

 工事は順調なようですので、この期間限定の龍を見たい方は、はやめに浅草へお出かけいただいた方が良いかもしれません。ついでに?東京スカイツリーの建設中の姿も見えます。さらに、水上バスの船つき場も完成間近です。この3軒の写真を撮って周るだけでも、ちょっとした観光になりますよね。

 私が役員をしている、浅草料理飲食業組合の、6/7に開催された総会に、浅草観光連盟の永野章一郎会長が見えたので、お話しを承りますと、浅草寺と水上バス船つき場と浅草観光センターの3箇所が同時に工事中にも関わらず、浅草への人出は、減ってはいないそうなのです。

 地元人の予想では「工事があるから、観光客は減るに違いない」ということだったのですが、世間の人は、建設中の、期間限定の姿に、むしろ関心があるようです。

 このブログへも、「浅草寺」+「工事」とか「浅草寺」+「龍ノ図」というキーワード検索で入って見える方がいます。ですので、このブログでも、その辺りをなるべくご紹介しようと思います。

 ①浅草寺と②スカイツリーと③浅草観光センターと④水上バス船つき場の、4箇所が同時に工事中って、歴史上、後にも先にもない事態です。是非ご見物を!

 それにつけても、天蓋取り外し作業をやっている人は、メチャメチャ怖そうです。強風が吹いたら、落ちそうなんです、大屋根から。

 それでどうも、風が吹いてきたり、急に雨が降ってきたりすると、私は怖いもの見たさで、じゃなくて、心配で、屋上に見に行ったりしています。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

このブログの5/24号もご覧下さい。

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路地裏の鳥越祭

 6/5土曜日、久しぶりに鳥越祭を見に行きました。と申しますか、台彪会でご一緒する、G社長の御店「フダヤドットコム」さんが、鳥越にあるのですが、最近テレビの取材を受け、その放送日が祭の時期と重なるので⇒「大忙しの予感。大変だ!」というメールが来まして、それで陣中見舞いに行った次第です。

 台東区に地縁のない方のために、鳥越神社のことを、念のため解説しておきますと、台東区の南部・蔵前駅から徒歩10分ほどの所に、鎮座しておられる神様が鳥越神社です。例大祭は、毎年6月9日に一番近い土日に、盛大に行われます。

 鳥越本社の神輿は、都内でも最大級の重い神輿で、「千貫神輿」の異名で有名です。

 また日曜夜8時過ぎの、「千貫神輿」の宮入りの時は、神輿の周りに、多数の高張り提灯を掲げて進むのですが、その様子が大変幻想的でして、「夜の風情が素晴らしい祭り」としても、良く知られています。

 今回は自分の仕事の都合で、土曜日に訪ねたので、「千貫神輿」も、幻想的な高張り提灯も見損ねましたが、ところが、それでも楽しめました。

 鳥越祭を見に行ったのは、初めてではありませんが、祭の日に、鳥越の裏の路地に入っていったのは、実は、初めてです。G社長の御店は、もともと作業場だった所に増設して出来た店で、商店街からは離れています。地元人以外の一般の人は、あまり入り込まないような路地にあります。今回楽しめたのは、その辺りの、祭の日の雰囲気です。

 普段はたくさんの人がいるわけではない、路地裏の各所に人が居て、皆さん、飲んでいるのです。

 町会の詰め所で飲むのは、お約束ですが、それ以外にも、路上にパイプ椅子を並べて飲んでいたり、車庫のシャッターを上げて飲んでいたり、あるいは、民家の玄関を開けっぱなしていて、その奥の応接間で飲んでいるのが、外から丸見えだったりします。

 そのまわりでは、近所の子が縄跳びをしていたりして、のどかです。

 浅草の人も当然、祭の日は飲みますが、こんなに至るところで飲んでいる、という感じではありませんね。鳥越近辺は、今でも職人さんが、職住接近で住んでいる町なので、観光地の浅草とは、人の気質がずいぶん違います。祭の日となると、そういう違いが、目に見える形になって出てくるのだと思います。

 皆さんが楽しそうなので、部外者のこっちも楽しくなりました。「チイ散歩」の地井さんなら、どんどん、街の人の宴会に参加するところでしょうが、あいにく、こちとら「ちん散歩」でして、しかも先を急ぐ散歩?なので、後ろ髪ひかれつつ撤収しました。

 本社神輿の周囲はデンジャラスですので、「近づきたくない」という方もおいでかもしれませんから、そういう方には、路地裏をお勧めしておきます。来年は是非どうぞ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「フダヤドットコム」さんについては、こちらです。

*G社長のブログはこちらです。

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松屋さんの屋上遊園地

 5/30付の、毎日新聞が以下のように伝えました。

 「東京都台東区の百貨店「松屋浅草」の屋上にある遊園地「プレイランド」が、31日の営業を最後に閉鎖される。日本最古の屋上遊園地とされ、東京名所として知られた。30日は曇り空となったが、大勢の親子連れらが訪れ、名残を惜しんだ。

 同店が開業した1931(昭和6)年にオープン。7階建て店舗の屋上(約2650平方メートル)の一角にあり、全国の百貨店が屋上遊園地を作るさきがけになった。今回、営業戦略の見直しで閉鎖が決まった。

 現在は昭和の香りが漂うメリーゴーラウンドやゴーカートがあり、隅田川の対岸で建設中の東京スカイツリーも望める。この日もツリーを背に来場者が写真撮影を楽しんでいた。」

 「松屋」さんの屋上遊園地については、私も幼き日の思い出がありますので、とても残念です。「松屋」さんは、屋上だけでなく、4階から上にある、全売り場を閉鎖するそうで、景気の悪いこと、この上ありません。来年まで頑張れば、80周年だったのに、惜しいことをしました。

  それにしても、閉鎖が決まると、話題になって騒がれるのに、それまで普段は完全に放っておかれて、応援してもらえず、その間に衰退していってしまうものが多いですよね。今回の新聞記事も、閉鎖の前日に「もうすぐ閉鎖になっちゃいますよ!」というニュアンスで伝えています。記事文中に「・・・東京名所として知られた。」とありますが、今頃持ち上げてもらってもねえ、という感じです。

  「世の中に、無いと寂しいけど、しかし無くても、ものすごく困るわけではない」というものが、そういう展開になりがちですよね。「無くても、ものすごく困るわけではない」ものを売る人間は、相当工夫しないと、放っておかれる存在になってしまいます。

 屋上遊園地についても、お子様の成長に必須なプログラムを体験できる場として、衣がえするとか、なにか、そういうアイデアを出せたら、生き残ったかもしれません。

  すき焼きも、やはり「世の中に無いと寂しいけど、しかし無いと、ものすごく困るわけでもない」と思われがちですから、気を引き締めないといけません。

  遅ればせながら、「ちんや」も国際観光日本レストラン協会が開催する、食育プログラム(=「夏休み親子体験」)に去年から参加させていただき、今年も同様の催事を、8月に開催します。また、台東区役所が作っている、見学・体験が可能な、工房のリスト(=「手作り工房マップ」)にも参加しています。

 もちろん、「一家の団欒の時はゼッタイすき焼きを食べる⇒だからすき焼きは日本人には、無いと、ものすごく困るもの」という風に子供の頃から、すり込んでおこう、という作戦です。

  ご高配を賜りたく、お願い申し上げます。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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普茶料理ランチ、竜泉にて

 6/1昼、台東区竜泉にある、普茶(フチャ)料理の「梵(ボン)」さんへ行ってきました。

 実は、東京商工会議所台東支部青年部の、月例会の内の1回として、

 「主任ナビゲーター・住吉史彦と行く、下町の食文化を担う老舗・名店シリーズ」

という、食べ歩き企画があります。既に、過去8回開催していて、恒例企画となっていますが、当然、毎回私が万事を手配して、青年部の諸君を、私推薦の御店へお連れしています。

  これまで、すき焼きの「浅草今半」さん、「どぜう飯田屋」さん、豆腐の「笹乃雪」さん、桜鍋の「中江」さん、おでんの「大多福」さん、鰻の「やっこ」さん、洋食の「香味屋」さんなどで開催し、食事をするだけでなく、毎回、その店のご主人さんまたは若旦那さんから、それぞれの御料理についてのレクチャーを受けてきました。

 自分で言うのもなんですが、毎回、大人気・大盛況の企画です。

 7月に、その第9回を「梵」さんで予定していますので、6/1は、その下打ち合わせというわけです。

  同行は、青年部のT幹事長の他、私と一緒に、このシリーズの幹事をしてくれている、「どぜう飯田屋」の若旦那・II田君も一緒です。そうです、II田君は、このブログに頻繁に登場する、浅草料理飲食業組合のII田組合長のご子息です。日頃私は、親父殿にお仕えしていますが、ご子息には、この企画を手伝ってもらっているわけです。

  さて、普茶料理と申しますのは、精進料理の一種ですが、江戸時代初期に、中国(明)から隠元禅師が渡来され、宇治に黄檗(オウパク)山萬福寺を建立された時から伝わっている料理です。

 だから餡の使い方や、豆腐・ごま油を多用する点などが、微妙に中華料理風です。

 また、面白いのは、擬製料理と言いまして、精進OKの食材で、魚や肉の代替品を造るところです。例えば豚肉の擬製品は、わらび粉を練り、薄く伸ばして形作り、油で揚げるそうです。これが、食べると本当に豚に思えるから、大したものです。

  今回、普茶料理を選んだのは、青年部の連中の、止まる所を知らない煩悩にブレーキをかけるため、では勿論なく、ベジタリアンの方に対応できる料理屋を、青年部の面々が知っておいた方が良い、と思ったからです。

  東京スカイツリーが出来て、ますます海外からのゲストが増えています。しかし鎌倉と違って、浅草近辺には精進料理の店が大変少ないので、こうした御店は貴重です。

 6/1は、幸い、ご主人のFさんがご在店で、もろもろ打ち合わせできました。我々の用件にも、いちいち真面目に・丁寧に応対していただき恐縮してしまいました。

 まずは、これでひと安心。今回も当日は、楽しくレクチャーを受け、もちろん宴会も盛り上がるでしょう。

 めでたし、めでたし。

 あ、そうだ、青年部の連中には、「梵」さんでの宴会が終わったら、そこで大人しく撤収して、その後煩悩ワールドへ出動することなどないように、くれぐれも、今から注意しておこう!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「梵」さんについては、こちらです。

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