東若会

東都のれん会「東若会」の例会を、浅草駒形「前川」さんで開催しました。

「東若会」は文字通り「東都のれん会」の青年部です。今回は私が幹事長に成って初の例会なので、当然会場を浅草にもってきました。今年度は全部の例会を浅草でやろうと思っています。

さて「前川」さんは言わずと知れた、文政年間創業の老舗。

会員である若旦那に卓話「東若会にだけ話せる鰻の裏話し」をしていただいた後、早速宴会です。

窓の向こうは隅田川。そして、その向こうはスカイツリー。ベタではありますが、悪い気分の筈がありません。

今回少しだけマイナーチェンジを致しました。

まず席次。今までは、なんとなく先輩から座っていましたが、今回よりくじ引き。

乾杯の発声もくじ。〆の言葉もくじ。皆さん、地元では「若旦那」と呼ばれる存在ですから、こういう機会に練習したいただきます。

若旦那の卓話に対するコメンテイターもくじ。当たってしまった方、お疲れ様でした。

そして、その後は浅草観音裏の花柳界で四次会まで。結構飲んじゃったな。うーい、ひっく。

 

追伸1

6/1発売の「婦人画報」7月号(創刊記念号)に載せて頂きます。ありがとうございます。

今回の特集は、なんでも婦人画報社さんが「総力をあげた特集」だそうですが、題して、

「世界が恋するWASHOKU」。

旨味とか醗酵とかを採り上げた後、しんがりがWAGYUです。

追伸2

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.649日連続更新を達成しました。

 

 

 

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編集過程

『浅草文芸ハンドブック』の共著者の一人・能地克宜先生が、日本近代文学会の機関誌『日本近代文学』に、「浅草文芸ハンドブック編集過程を振り返る」という一文を投稿しておられました。

最初に読んだ時から、編集が難しそうな御本だなあ、とは思っていましたが、想像以上でした。この文を読んで、何度も編集会議を開いて議論なさっていたことや、ボツになったものもかなり多かったことを知りました。

もう一度読んでみたくなりました。

個人的には、ボツになったにものに心惹かれますね。

「猫目線散歩」とか。

それから林芙美子の『放浪記』が何故外れたかも興味がありますね。

『浅草文芸ハンドブック』~弊ブログの読者の皆さんにもお勧めします。

浅草「エキミセ」の中の、くまざわ書店さんに積んでありますよ。

 

追伸1

「ブーストマガジン~人生の楽しさを加速するメディア~」(ネットメデイア)に「適サシ肉」の件を載せていただきました。ありがとうございます。

追伸2

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料理ハ2人前

私はもちろん排外主義者ではないですが、インバウンドの外人さんがやって来て、

僕タチハ4人組デスケド、料理ハ2人前シカ頼ミマセン!(弊社訳)

と言われると、やはり、イラっとします。

浅草の料理屋が集まると必ず、この話しになります。

「4人で2人前」は、店にとっては単に減収になるばかりではなく、おしぼり・お茶・水・調味料・薬味それから食後に器を洗浄する洗剤が必要になる話しですから、どうしても増収策として席料を徴収するか、料理代そのものを値上げする他ありません。

ここで問題なのは、外人さんだけ値上げすることは出来ない、ということです。そんなことをしたら、それこそ排外主義と言われかねません。だから日本人にも一律にご負担願うようになる、つまりトバッチリが日本人にも及ぶ、という点です。

日本人の中には、これを嫌って他所の店や街に移って行く人も出るでしょう。オリンピックはすぐに終わりますが、その後お客様がいなくなっていたら最悪です。

折衷案として、席料を導入して、一方同時に料理代は少し下げて、合計で以前より高い金額にする、という手もありますが、日本人客は席料を取られること自体を嫌うような気がします。

このように、インバウンド客を受け入れる店には、業界外の方には見えづらいストレスがあります。

そこでメデイアに在職しておいでの方に申し上げますが、

外人さんが日本に夢中!!

というような浅薄な記事を量産するのは、どうか、そろそろ止めて欲しいと思います。この話しはトバッチリが日本人にも及ぶ話しですから、いい加減、実務的な議論をする時季と思います。

 

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くみ踊

「くみ踊」を観てきました。

「組踊」と申しますと、世間では琉球王国の歌舞劇を言うと思います。那覇には専用の劇場がありますし、重要無形文化財にもなっていますね。

が、浅草にも、もう一つの「くみ踊」があるのです。

三社祭の期間に、浅草の芸者衆が組をつくって、花柳界の料亭さんを次々に訪問しては踊りを披露する、というものです。客は料亭で飲みながら、芸者衆が到着するのを待ちます。

この期間、芸者衆の装束が普段と違います。「手古舞(てこまい)姿」をしています。「手古舞」とは、元々は江戸の祭りにおいて、巡行する山車を警護していた鳶職のことだったそうですが、今は祭りに山車は出ません。今は芸者衆や地域の若い女性が男装した格好を「手古舞姿」と言っています。

この「くみ踊」は芸者衆にとっては、ハードワークです。いくつもある宴席をまわって歩き、踊っては次へ移動、踊っては次へ移動、と行かねばならないからです。

そして、また客にとっても「くみ踊」ハードワークです。なかなかまわって来ない芸者衆を待つ間、ずっと飲んでいないといけないからです。

あー、結構飲んだなあ、うーい、ひっく。

あ、念のため申しますが、芸者衆の芸事の内容は、基本的には真面目です。三社祭の関連行事ではありますが、ドンツクドンツク盛り上がるわけではなくて、「日頃の稽古の発表」という趣旨ですので、念のため。

 

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銀座線物語

『三田評論』5月号の「三人閑談」のテーマは「銀座線物語」でした。

『三田評論』は慶應義塾の広報誌ですが、毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがありまして、私も201510月号に出演させていただいたことがあります。

その「三人閑談」の今月のテーマは、地下鉄浅草・上野間が1927年(昭和2年)に開通してから90年だということで、「銀座線物語」。浅草の先輩・富士滋美さん(浅草観光連盟会長)がお出になっているというので、早速拝読しました。

拝読しまして、この対談の一つの結論は、銀座線は「東京のローカリテイ」が保たれている貴重な路線だ、ということでした。なるほど、そうですね。

そして、そのローカリテイが保たれているのは、1964年のオリンピック前に出来た路線だからです。

戦前・戦後に営業していた地下鉄は銀座線だけでした。だから富士さんも子供の頃は銀座線のことを「銀座線」とは言わず「地下鉄」と言っていたそうです。

戦後1954年(昭和29年)に丸ノ内線が開業。ここまでは地下鉄が地下鉄だけで完結するスタイルでしたが、その次の日比谷線からは、オリンピックによる東京首都圏の膨張を見据えて、郊外の鉄道と相互直通運転するスタイルに変わります。

1961年(昭和36年)日比谷線が開業。翌62年には東武伊勢崎線と直通運転開始。64年には東急東横線に乗り入れます。

同じ64年には東西線が開業して、66年には国鉄中央線と直通運転を開始します。

当然車両も大型化します。

一方銀座線はローカリテイを保ったまま平成を迎えます。

冷房も1990年まで付いていませんでした。車両が小さいので、冷房を積めなかったのです。だから代わりにトンネルを冷やす形式で、駅は涼しいのに、車両に乗り込むとムッとするという奇妙な体験ができました。これは私も勿論覚えています。

2020年を控えて東京も変貌を遂げていますが、銀座線の「東京のローカリテイ」は残して欲しいものだと思います。

 

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イベント屋

世間にイベント屋という職業が在ります。

イベントを企画し、そのチケットを自社で売りさばいて、必要経費をペイすることがお出来になるなら、それは立派な職業だと私も思います。

ところが、です、それがお出来にならないイベント屋さんが、どうも多いように見えます。

イベントはやりたし、されども

券は売れず、

なので頼る先は、行政の補助金か商店街の予算になります。

その合わせ技もありますね。商店街から予算を引き出し、さらに商店街から区役所へ補助金を申請させるように仕向けるのです。

ここで必要なのは、弁舌です。

これは、浅草にこれまで来なかったような、新しい客層を呼び寄せられるイベントです♡

浅草の中で、こちらの商店街が先駆者になるのです♡

これから、どんどん伸びる市場です♡♡♡

いやいや、いやいや。

甘い言葉を信じてはいけません。

仮に、彼らの言う通り、その「新しい客層」とやらを呼び寄せられたとしても、そのお客様が買いたい商品が浅草になければ、何も買わずにお帰りになるでしょう。そのお客様が飲みたいような雰囲気の飲食店がなければ、他の街に移動してから飲むでしょう。

おそらく、そんなことはイベント屋さんは分かっているのです。

しかし、イベントやりたし・券売れず、

なので商店街を頼るしかないのです。

ここは商店街の側がしっかりマーケティングを考えないといけません。「新しい客層」を本気で自分の店のお客様にしたいのか、そうするには、どういう対応をしなければいけないのか。

区役所へネゴりに行くより、それを考えるのが先だと私は思いますよ。

追伸

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建て替え

このたび浅草のおでんの名店「大多福」さんが店舗を建て替えされることになりました。

現在の、情緒ある店舗での営業は5月31日までだそうです。

「大多福」さんは、大正4年に大阪法善寺から浅草へ移転して、開業。その後、関東大震災・東京大空襲で焼失。カウンターから復活させて、少しずつ建て増して行き、約40年前にほぼ現在の姿になりました。

以来、多くのお客様に愛され続けて来ましたが、このたび次の世代へ繋げていくために、建物の見直しを行い、建て替えを決意されました。今の店舗の材料を取り外して、再利用するとかで、新築よりずっと大変な工事と思われます。

再開は平成31年の秋で、その間は仮店舗で営業なさると聞きます。

つきましては、大規模工事を決意された舩大工家の皆様を応援する気持ちも込めまして、私達・浅草料理飲食業組合では「大多福さんの、情緒あるお店とお別れする会」を開催することになりました。

皆様も、是非31日までにお出かけ下さい。

追伸

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浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

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いわき民報

単行本『浅草文芸ハンドブック』については弊ブログの2016919に書きましたが、その著者・能地克宜先生(いわき明星大学准教授)が拙著『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』について、「いわき民報」に書評を書いて下さいました。やや長いですが引用しますと・・・

 「出版時評」

2013年から3年近くもの間、東京・浅草について調査してきた。この間、数多くの浅草にまつわる文献をあさり、何度も浅草に足を運んで歩き続けたのである。いつ浅草を訪れても街は人であふれ、活気に満ちているのだ。

浅草の魅力はどこにあるのか、浅草を歩くということはどのような意味があるのか。このことについて主に文学を通して考察し、筆者も編著者として携わった書物が刊行されることとなった(『浅草文芸ハンドブック』勉誠出版)。この『ハンドブック』は、専ら浅草を訪れて歩く者の視点に立って編んでいるが、その編集過程で出会った住吉史彦『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』(晶文社、20162月)は、浅草に人々を訪れさせ、人々を歩かせる側の視点でその魅力を追求している点で、好対照をなしていると言える。

『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』は、すき焼き「ちんや」六代目の店主である著者が、9人の浅草の老舗店主と対談し、著者のコメントをまとめるという構成をとっている。「まえがき」にも記されているように、浅草はこれまで天災、人災と何度も衰退の時期を経験しながら、それらを乗り越えて現在に至っている。そうした再興に向けてどのようなことをしてきたのか、あるいはどのようなことをしてこなかったのかについて、それぞれの店主が、自らの経験を語っている。

以下、筆者の関心に沿ってその一部を紹介してみたい。

終戦後の闇市で同業者が次々に生活に必要な物資を売る店へと転じる中で、先代が「不器用で融通が利かなかった」と語る木村吉隆氏(江戸趣味小玩具「助六」五代目)は、それによって職人を手放さなかったことが、かえって現在浅草に唯一江戸趣味小玩具店として残っている目的の一つだという(「第一話・世界に唯一の「江戸趣味小玩具」の店」)。

江戸前鮨「弁天山美家古寿司」五代目内田正氏もまた、先代の「時流に逆らって忍の一字で凌ぐ」という選択が老舗の維持につながったと言う。1960年代に冷蔵庫が普及し生鮮食品の流通が広がる中、「うちは仕事をした鮨ネタを売る店だから、よその店のようにする必要はないという姿勢」を貫いてきたのだ(「第二話・江戸前鮨に徹した仕事」)。

著者は洋食「ヨシカミ」二代目熊澤永行氏に「六区の興行街が寂れた最悪の70年代に、なぜ浅草にとどまろうとされたんでしょうか」と質問する。熊澤氏は以下のように答える~外食産業がばーっと広がった時期だったので、「一緒になってほかの店と同じことをやったら、資本力でうちは絶対負ける。対抗するには、平行線で頑張ってやろう。あっちが多店舗展開するなら、うちはここ浅草でずっと頑張ってやろう」と性根を変えたんです。「浅草に行けばヨシカミがある」っていうのを特色にしようと。「ヨシカミ」もまた人々が現在浅草を訪れる理由の一つになっていることは周知の通りであろう(「第八話・ごはんにも日本酒にも合うのが洋食」)。

これらの店主の発言は、「被災したりピンチを経験した時に、その場凌ぎをせず、逆にピンチを契機に料理の本質に向かって行った店が、結果として老舗となっている」という著者あとがきに記された言葉に集約される。もちろんこれだけが浅草の街全体の再興に寄与したわけではない。だが、「浅草というところは、昔からいろんなどん底を経験したひとたちがやって来ては、また立ち上がって行った街です」という松倉久幸氏(落語定席「浅草演芸ホール」会長)の指摘に見られるように、何度も危機から立ち上がる力を浅草という街とそこに生きる人々は持っている。

そしてそれが浅草の繁栄の一つの理由であるだけでなく、今も浅草を訪れ、そこを歩く人々にとって一つの魅力になっているのだ。浅草を歩くことは、私たちが学ぶべきものを発見できる機会にもつながるのである。(終わり)

 『浅草文芸ハンドブック』については、こちら↓です。

追伸

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東八拳

東八拳の会が「ちんや」で開催されました。

東八拳(とうはちけん)というのは、ジェスチャーを使った、じゃんけんと思っていただければ良いと思います。仕組みは、じゃんけんと同じで、「三すくみ」で勝ち負けを競うものです。

じゃんけんは手を使って、「ぐう」「ちょき」「ぱあ」とやりますが、東八拳では参加者が「狐」「鉄砲」「庄屋」の三つを演じて、勝ち負けを決めます。

三者の力関係は、

「狐」は「鉄砲」に撃たれるので鉄砲の勝ち、

「鉄砲」つまり猟師は「庄屋」には頭が上がらず「庄屋」の勝ち、

「庄屋」といえども「狐」には化かされるので、「狐」の勝ちになります。

1825年(文政八年)に歌舞伎「東海道四谷怪談」に登場して→大流行。大正時代まで一世を風靡したと聞きます。

大流行したのは、じゃんけんよりゲーム性が高いからです。

手先だけのじゃんけんと違い腕まで使うために、体の動きで相手の出方を読むことが出来ます。

また、三本勝負で二本先取した方を「勝ち」とすることにより、じゃんけんがほとんど運で決まるのに対して、競技性が高いのです。

そもそもは酒席での座興として始まったわけですが、大流行する内に、作法が決められ、家元制度まで出来ました。

今では家元が9人いて、毎月稽古会が開かれ、星取り会、番付披露などが行われているとか。江戸時代から現在まで、途切れずに遊び続けられている非常に希有な遊びと言えます。

そういう会が弊店で開かれて嬉しい反面、その理由が、これまで開催していた料亭さんが廃業なさったからと聞いて複雑な気分になりました。

本来は花柳界の遊びですからねえ、本当はすき焼きで、というのは変なのですが、弊店がお引き受けしたのも、何かの巡り会いと思い、こうしてブログで紹介させていただきました。

それ、ハッ、ハッ、ハッ!

 

追伸①

テレビ出演の予告です。

NHKテレビ「所さん!大変ですよ」4月13日20時15分放送予定。お楽しみに。

http://www4.nhk.or.jp/taihentokoro/

「霜降り牛肉に異変!?おいしい牛肉の謎」

高級牛肉といえば「霜降りの和牛」。このイメージが覆る事態が!老舗すき焼き店が「霜降りが多いA5の牛肉を使わない」と宣言したのだ。そもそも霜降りの量で格付けを行う動きがでてきたのはアメリカ産牛肉の輸入自由化交渉がきっかけ。肉牛農家では霜降りが入るよう心血を注いできた。それが消費者の健康志向が高まるにつれて「行き過ぎた霜降り」に対する見直しの動きが出始めているという。おいしい牛肉の基準を巡って何が?

【司会】所ジョージ,片山千恵子,【出演】澤口俊之,牛窪恵,モーリー・ロバートソン,【リポーター】徳永圭一,【語り】吉田鋼太郎

 

追伸②

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子規庵

久しぶりに根岸の「子規庵」を訪問しました。

今年度の「台東区芸術文化支援制度」対象企画の一つである「ライト俳句落語会in子規庵」が開催されたからです。私も区のアート・アドバイザーとして、この企画のお手伝いを致しましたが、近代俳句の形を作りあげた正岡子規終焉の地で、この企画が実現できて本当に良かったと思っています。

「子規庵」は、言うまでもなく、正岡子規が明治27年から住んだ家です。旧加賀藩下屋敷の侍長屋であったこの家で、子規は俳句の近代化のために力を尽くし、結核で3411ヶ月の短い生涯を閉じました。

司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読みますと、日本海海戦に勝った秋山真之参謀が、若い頃親交のあった子規の旧宅を訪ねる場面がありますが、それが、ここです。

残念ながら子規が住んだ家は昭和20年の空襲で焼失。今の建物は25年に再建されたものですが、それでも、戦後すぐはまだ日本家屋をつくれる職人さんがいたのでしょう、子規生存当時の面影を、そこはかとなく感じることが出来るような気がします。

今回の会の趣旨は、俳句が元々持っていた「おかしみ」の要素が落語に通じるものがあるから、そこに焦点を当てようということでした。子規は病気で若死にしましたので、シリアスな句が有名ですが、病気になる前は、明るい句も結構あったとかで、主催者さんはそこも知って欲しいとか。なるほどね。

で、この日は噺家さんを二人読んで、俳句をネタに小話しをやってもらっていました。テレビの「笑点」のネタが俳句だったら・・・と思っていただいても、結構です。春風亭正太郎さん、林家つる子さんとも素敵な小話しでした。

あ、本物の落語もしっかりあって、大変結構でした。

楽しい会を、台東区で開催して下さり、ありがとうございました。

 

追伸

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