長澤鼎ワイン

長澤鼎ワインをいただきました。

長澤鼎(ながさわ・かなえ)というのは人名です。ワインのラベルを見ますると、日本人男性が写っています。一見して強情そうな人物ですが、この人物が長澤です。

1852年生まれ、1934年没。薩摩藩士出身のワイン醸造家です。強情そうなのは薩摩だからですね。

13歳の時に藩命でイギリスに留学し、後にカリフォルニアに渡り「カリフォルニアのワイン王」「葡萄王」「バロン・ナガサワ」と呼ばれようにまでなった方です。

イギリスからアメリカに渡ったのは、キリスト教系新興宗教「新生兄弟社」に入って、信者らと共同生活を送るためで、ワインを始めたのも教団の経営のためです。薩摩であることに加えて、宗教的信念が強烈なのですから、この顔つきは当然かもしれません。83歳で亡くなるまで生涯独身を貫きました。

そんな長澤ですが商才もありました。

ワインの品質を上げ、米国内のワインコンクールで好成績を納めました。フランスに特約店を設け、イギリスに輸出された最初のカリフォルニアワインも長澤ワインでした。ワイナリーは広大な広さに成長しました。

しかし長澤が亡くなる少し前より、アメリカの世論は排日に傾きます。長澤の財産やワイナリーは排日土地法のため相続できず他人の手に渡り、彼の名もまた、1983年にレーガン大統領が日米交流のシンボルとして演説で採り上げるまで、忘れ去られてしまいました。

現在はワイナリーの一部が「パラダイスリッジ・ワイナリー」として継承され、少量の生産が行われています。

日本へは「布袋ワインズ」社が輸入しており、またレストランで飲みたい!という方は、大手町フィナンシャルシティの中に在る、私の知人の店Orchestra vino で飲むことができます。

品種はシャルドネ。

ほど良い苦みは、日米の歴史の苦みでしょうか。

 

追伸1

「ブーストマガジン~人生の楽しさを加速するメディア~」(ネットメデイア)に「適サシ肉」の件を載せていただきました。ありがとうございます。

追伸2

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.636日連続更新を達成しました。

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ネノネ

近江八幡のすき焼き店「毛利志満」の森嶋さんが会社のPR誌を発刊されました。

名付けて「ネノネ」。

歴史的な「ルーツ=根」から聴こえる音。もうひとつが、周辺のさまざまな生産業者さんとの「繋がり=根」から発する音。「ネノネ」とはこの二つの音色を意味しているのだそうです。ユニークですね。

タイトルがユニークなら中身もユニークです。私の知る限り、すき焼きのPR誌の中で、こういうのを見たことがないです。

初回から、すき焼き業界の、忘れられた偉人を採り上げます。

その偉人とは、浅草「米久」二代目・竹中久太郎。

なぜ「毛利志満」さんが「米久」さんの店主を採り上げるかは、説明が必要と思いますが、森嶋家と竹中家はご親戚です。親戚の内で森嶋家が近江に残って牛を出荷する側。竹中家は東京に進出して牛を牛鍋にして売る側だったのです。

その「米久」竹中家は初代・久次の時に既に大を成し、東京の食肉業界を代表する人物でしたので、業界関係者なら知っているのですが、二代目・久太郎については、私もまったく知らなかったものですから、事績を知って、かなり驚きました。

関東大震災後の、階級対立が深刻化する世相の中で、久太郎は社会事業を行う決意をして、地元・近江に図書館や公会堂、庭園、娯楽場を建設して一般に開放したのです。

事業の趣旨と決意を語った著書「米久の真生命」(1926年)は、国会図書館に収められていて、デジタル化されているので、ネットで全文読めます。拝読しましたが、社会への問題意識がとても高い方だったようです。

久次ではなく久太郎に注目したところが、今回の着眼点の面白さだと思います。かなりマニアックですけどね。

大変勉強になりました。「ネノネ」発刊お芽出とうございました。

それにしても、あの時代の牛鍋屋って、本当に儲かったんだなあーと思います。私の曾祖父も議員とかをしていました。今では信じられないことです、まったく。

 

追伸1

「ブーストマガジン~人生の楽しさを加速するメディア~」(ネットメデイア)に「適サシ肉」の件を載せていただきました。ありがとうございます。

 

追伸2

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

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第3回⑨

国際観光日本レストラン協会の「第3回青年後継者の集い」が開催され、不肖の私がセミナー講師を務めさせていただきました。

「適サシ肉」の話しを聞きたいということでしたので、以下のような内容になりました。長いので、4/21から8回に分けて公開していますが、本日が最終回です。さて、

<以下本文>

そして、ついでにもう一つだけ申し上げますと、世間の皆さんが内心やって欲しくて仕方なかったのに、誰もやってくれる業者がないことをパっとやってあげると、こんなにもウケるということです。

リアルな私の身の回りの体験でも、適サシ宣言、良かったです! 私も以前から、絶対そうだと思ってたんです!俺も同じこと思ってたんだけど、自分の年のせいだと思ってたんだよね。でも、違ったんだね。原因が分かって良かったよ!

皆さん、目を輝かせてそう言います。皆さん、内心、今の霜降りは行き過ぎて美味しくないと思っていたのに、言えなくて黙っていたのです。自分が少数派ではなく、多数派だと分かったことが嬉しくて仕方ないのです。そう、多数派に属していることはやたらと嬉しいことなのです。日本的ですけどね。

そして話しはまたまた膨らみますが、商いの歴史を調べてみましても、皆(多数派)が内心そう思っていたのに、言えなくて黙っていたこと、それを実現した人が結局成功しています。

最近「100年経営研究機構」という学者さんのグループと仕事をしているのですけど、そこで学んだことに、例えば「正札販売」というのがあります。

商品に、値段を書いた札(=正札と言う)を付けて販売することを正札販売と言い、今日では当たり前ですが、それが始まったのは1876年。アメリカ・フィラデルフィアの商人ジョン・ワナメーカーによって始められたそうです。それまでは客の様子を見て、値段を変動させていたのです。

現代でも「ぼったくり寿司屋」に行けば同じ目に遭います。またイスラム圏では正札販売が普及していないので、客は店員と駆け引きして買います。駆け引きは面倒だし、それに不公正ですよね。

そういう「ぼったくり」はイヤだと、それまで庶民は皆思っていたのに、言えなくて黙っていました。それが多数派でした。

そして、言えなくて黙っていたことを、アメリカ人より先に実現した日本人がいました。三越さんの前身の越後屋が1673年(延宝1)に実施しているのです。スゴいことです。

やや遅れて1726 (享保11)、大丸さんの前身も大阪心斎橋筋で現金正札販売を始めます。どんな人間にも現金正札販売する、この店の姿勢は支持されまして、どの位支持されたかと申しますと、1837 (天保8)に大塩平八郎の乱が起きた時に「大丸は義商なり、犯すなかれ」と、焼き討ちを免れたのです。

これはドラマティックです。他の商人は幕府と結託していたので、「義商」ではないと見做され焼き討ちされましたが、大丸さんだけが免れたのです。現金正札販売が、どれだけ人々に革命的なことで、支持されたか、良く分かります。今日でも通用する教訓だと思います。

さてさて、もう時間ですので、最後に「適サシ肉」に戻りますが、この大ブームを観て、嬉しい言葉を贈ってくれた方がおいででしたので、ご紹介します。

私は2008年から食文化研究家の向笠千恵子先生と一緒に「すきや連」という会を年に3回催しています。すき焼き屋とすき焼き関係者、すき焼き愛好家が全国から集う、美味しくも楽しい会で、レス協の、今日おいでの、藤森さんや荒井さん、藤本さんも参加してくれています。尾川会長にも参加していただいたことがあります。

その向笠先生も、今回の「適サシ肉宣言」に大変共感して下さいまして、こうおっしゃいました。先生の流石の文才を感じさせる言葉です。

「適サシ肉」は「素敵サシ肉」。

お後がよろしいようで。本日はご清聴誠に在り難うございました。(終わり)

追伸

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題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

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第3回⑧

国際観光日本レストラン協会の「第3回青年後継者の集い」が開催され、不肖の私がセミナー講師を務めさせていただきました。

「適サシ肉」の話しを聞きたいということでしたので、以下のような内容になりました。長いので、4/21から8回に分けて公開しています。さて、

<以下本文>

そしてついにA5等級を止めて、「適サシ肉宣言」をするにつき、店のスタッフが支持してくれたことは支えになりました。

実は201610月より12月中旬まで「全社員一対一肉の話し面談」を行いました。パートさんに至るまで全員に今後「ちんや」の肉の仕入れ方針をどうするのか、牛の性別・月齢と脂の融点の件、熟成期間とアミノ酸の増加率の件、肉の加熱方法と和牛香の件など・・・完全に分かるまで、紙を一切使わずに説明し、耳から聞いて分かるように努めました。

およそ1時間半かけて説明するので、一日一人しかできず、師走になってようやく終わりました。この過程で全員の認識が統一できたことで、すべての環境が整いました。

結局、宣言を敢行したのは、2017115日でした。そして大拡散したのは、28日。その後の成り行きは、先ほどお話しした通りです。

この顛末を経験して、私はある想いを強くしました。

「単純化と数値化は嫌いだ」「二元論は嫌いだ」という想いです。

「霜降VS適サシ」「改革派VS守旧派」というテレビの「二元論仕立て、対立仕立て」の手法は、本当にウンザリです。そして、なぜ牛の業界は「A5等級イ―コール高級」という、あまりに単純なメッセージを平押しに押して来てしまったのか、ここが本当に疑問です。

今、家畜改良技術研究所が策定しようとしている「肉のおいしさ総合指標」では数十にも及ぶ物質が肉の美味しさに寄与していると想定しています。美味しさは複雑なんです。

それなのに、各県の畜産試験場の行政評価の尺度は「A5等級の出現率」です。単純過ぎます。本来畜産試験場は美味しい肉を造るのが使命なのに、「A5等級の出現率」を上げることが自己目的化してしまったのです。本末転倒の一語です。

皆さんも会社を経営しておいでですが、単純な数値目標を設定して、それを追いかけることの弊害に、さし出がましいですが、ご留意いただけたらと思います。

このように美味しさは複雑です。だから単純化に馴染みません。しかし「複雑です!」と叫んでいては、お客様から「わからないよ!」とそっぽを向かれます。どこかで妥協して、複雑と単純の間をとらないといけません。

味の世界が結局は「塩梅」であるのと同様に、お客様とのコミュニケーションも、また塩梅だ、今回の顛末で私が経験したのは、まさにこの点でした。本日は、それを発表する時間をいただけましたので、一つの体験談として紹介させていただきました。

そして、ついでにもう一つだけ申し上げますと・・・

<続きは明日の弊ブログで>

追伸

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第3回⑦

国際観光日本レストラン協会の「第3回青年後継者の集い」が開催され、不肖の私がセミナー講師を務めさせていただきました。

「適サシ肉」の話しを聞きたいということでしたので、以下のような内容になりました。長いので、4/21から8回に分けて公開しています。さて、

<以下本文>

さて話しを戻しますが、同じ頃つまり2000年代の初頭、私は牛の個体識別制度に注目していました。BSE対策として、国は全ての牛に10桁の背番号を付け、その牛の生年月日、屠畜日、移動履歴、親牛の番号といったデータを、ネットを通じて公表するようになったのです。

この仕組みを見て、私は考えました、おお、これからはデータに基づいた仕入れが出来るぞ!ヤマ勘の時代が終わり、美味しい牛がデータで分かるようになったんだ!

実は、この頃私はBSE問題をきっかけに、どうせ苦労するのなら、本当にお客様を喜んでいただける仕事をしたいと願うようになっていたのです。

で、美味しさのことを考えたら、どうしても生化学に入って行き、データに基づいた仕入れが出来ることを、ものすごく便利に思ったのでした。

もともと私は文系の学生で、店の個室に明治時代の錦絵を飾ったりして、文化的な店・歴史を感じさせる店ということで押して行こうと思っていたのですが、ここで関心の方向が大きく変わりました。

今では、何カ月の肥育期間の牛の脂肪の構成がどうなっているか、詳細な研究結果が公表されています。だから、美味しい脂を求めたければ、何カ月の肥育期間が必要なのか分かるのです。すばらしいことですよね。

ところが、です、美味しさを科学できて来たと言うのに、残念なブランド化つまりサシの過剰化も同時期に進行し続けました。

最近では、「霜降り肉」というメニューをお客様にお勧めしようとすると拒否されてしまう在り様です。

「いやあ、俺も年だから、霜降りは無理だよ・・・」

「いやいや、「ちんや」の「霜降り」の脂は、霜降りと言っても、モタレないんです。なぜなら、不飽和脂肪酸が多いから・・・」と申しまして、お客様に伝わりません。それほどに「霜降り」はネガテイブ・イメージの言葉に成っていたのです。

一番高いメニューが売れないのではビジネスとして本当に困ります。事此処に至っては「霜降り」という言葉を廃止するしかない、私はそう思い至りました。

しかし、いつやるのか?

失敗したら、どうなってしまうのか?

そう簡単に決断できる筈もありません。「霜降り」というビッグワードを廃止するのですから、かなりのリスクです。

いたずらに日が過ぎて行きました。そんな私に決断を促したのは、自分が出した2冊の本でした。

1冊は、「ちんや」創業135年を記念して、2015年に出版した『すき焼き思い出ストーリーの本』です。そこに掲載されているストーリーは、一般の皆様から投稿していただいたものです。人々の思い出と一番つながっている料理はすき焼きではないかと考えて、2010年から投稿を集めて保存してきたのですが、それらを纏めて本にしたのです。

内容は、感動して落涙を禁じ得ないものから、クスっと笑ってしまうものまで、様々なストーリーが約70本集まりました。そして、皆様の思い出ストーリーを全部読み終えた時、私は気づきました、牛の産地が出てこない。等級も出てこない。

そうか、それらは皆、売り手側の都合だったんだ!この時、それがしみじみと分かりました。

もう1冊は、2016年に刊行した『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』(㈱晶文社刊行)です。この本は、浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集で、「浅草ならではの商人論」を目指した本です。戦争で丸焼けになり、その後1970年代に「イケていない街」と言われて没落した浅草で、生き残って来た先輩方の人生に迫った本です。

これらの対談で分かったことは、危機に遭遇した時に小手先の対処をせず、商いの本質に迫って行った人だけが生き残っている、ということでした。どんな寿司が美味しいのか、どんなおでんが美味しいのか、どんな洋食が美味しいのか、料亭とは、どうあるべきか、商いの本質に迫って行った人だけが生き残っていたのです。

私も後を追う以外に選択肢はありませんでした。

そしてついにA5等級を止めて、「適サシ肉宣言」をするにつき・・・

<続きは明日の弊ブログで>

追伸

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題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

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四六判240頁

価格:本体1600円+税

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2016年2月25日発売

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本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.615日連続更新を達成しました。

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第3回⑥

国際観光日本レストラン協会の「第3回青年後継者の集い」が開催され、不肖の私がセミナー講師を務めさせていただきました。

「適サシ肉」の話しを聞きたいということでしたので、以下のような内容になりました。長いので、4/21から8回に分けて公開しています。さて、

<以下本文>

次に、私の2001年から2017年、つまり店を継いでから、適サシ肉に至るまでの年月の話しをしてみたいとおもいます。

学生時代はそのまんまバブル時代という温い環境に育ち、8年間のサラリーマン生活を体験し、6年間父の下で修行した後、私が社長に成ったのは、20018月、36歳の時でした。自分の将来・自分の人生について危機感などというものは勿論持ち合わせていませんでした。

その私が就任翌月に遭遇したのがBSE問題でした。所謂「狂牛病」ですね。忘れもしない、2001910日(=NYのテロの前日)に BSE の疑いがある牛が発見されたと農水省が発表したのです。「牛を食ったら死ぬかも・・・」という話しですから、大変です。売上は半分になって、3年間は回復しませんでした。

日本で最後にBSEの牛が確認されたのは20091月で、それ以降は発見されていませんから、完全にBSE問題が終結したのは2009年だと言って良いでしょう。

2001-2009は、景気が悪かったこともあり、牛の業界にとっては、本当に苦しい日々でした。

牛の業界の苦難は、それだけではありませんでした。2010年には宮崎県で口蹄疫が流行し 30万頭弱の牛が殺処分となりました。2011年の東日本大震災では、原発から飛散した放射性物質が付着した餌を食べた牛が体内被曝して、その肉が流通してしまいました。観光客の激減や飲食自粛もあり、これまた本当に苦しい日々でした。

このように牛の業界が深いダメージを蒙った結果、打開策として、各県は牛の「ブランド化」を進め始めます。1980年代から、アメリカの牛と競争する為、日本の畜産業界は肉にサシを入れる努力を続けて来ましたが、この頃から、その傾向がエスカレートするようになったと記憶しています。

この時に「ブランド化=サシを入れること」と考えるのは単純過ぎやしないか?ひたすらサシが多い肉は本当にお客様に喜んでいただけるのか?脂肪の質も考慮しないといけないのではないか?といった問題提起が行われていれば、今日のような事態に至らずに済んだと思うのですが、なぜだか、問題提起は行われませんでした。業界に重くのし掛かった危機感が異論を封じ込めたのかもしれません。

同じ頃DNA鑑定やビタミンコントロールの技術が登場したことで、サシは行き過ぎてしまいました。やがて、お客様から嫌われる水準にまで過剰なサシが肉に入るようになったのです。

ここでまた話しは逸れますが、この残念なブランド化あるいは、残念なマーケテイングは「失敗学」の研究対象に成るのでは?そう私は考えています。

そもそもですが、ブランドの基礎はお客様への「お約束」であり、その裏返しとしての、お客様からの信用・信頼である筈です。私が今回宣言したのは「適サシ肉だけを売ります」「過剰なサシを売りません」という「お約束」であって、それを私は「ちんや」というブランドの基盤にしたいと願っています。

しかし、××牛の産地の人達や県庁の人達は違いました。消費者向けには、青い空や生産者の純朴な笑顔を使ったCMを打っておいて、実際には脂の多い肉を売り込もうとしていました。あるいはロゴを創ったり・ゆるキャラを創ったりして、実際には脂の多い肉を売り込もうとしていました。

そのブランド化に無理はなかったのでしょうか?そのマーケテイングに無理はなかったのでしょうか?私は、かなりの無理筋だったと思います。

その無理筋の作戦を、こんなにも長期間、皆がなぜ平押しに押し続けてしまったのか?「失敗学」の教材として良いのではないでしょうか?

思えばですね、話しが膨らむのが私の悪い癖ですが、昭和の戦争がなぜ起きたかを考えますると、関東大震災に辿り着きます。震災で被災した企業を救済する為に発行した「震災手形」が不良債権化したことが昭和の恐慌の原因で、そこから日本は大陸進出へ突き進んでしまいました。

サシの過剰化の「そもそも」も辿っていけば、この17年間に業界が被ったダメージに行き着きます。昭和の戦争を、サシの過剰化を、なぜ誰も止められなかったのか、私が学者ならやってみたい研究テーマだと思いますし、皆さんが自分のお店のブランドを育てて行く時には、決して、絶対にマネてはならない事例だと思います。

さて話しを戻しますが、同じ頃つまり2000年代の初頭、私は・・・

<続きは明日の弊ブログで>

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第3回⑤

国際観光日本レストラン協会の「第3回青年後継者の集い」が開催され、不肖の私がセミナー講師を務めさせていただきました。

「適サシ肉」の話しを聞きたいということでしたので、以下のような内容になりました。長いので、4/21から8回に分けて公開しています。さて、

<以下本文>

さて、かなり話しが逸れました。ともあれ、28日を境に「適サシ肉」が大ブレーク、大拡散しました。先ほどの繰り返しですが、本人としては店とお客様の間の、ミニ・コミュニケーションを意図しただけの宣言でした。しかし、まったく予想外の展開と成りました。

理由はよく分かりませんが、まず第一に、どうしても感じたのは、テレビ特有の、持ちあげておいて→急に落とす傾向です。これまで霜降肉を、崇め奉っていたのはテレビ局自身なのですが、それを今回急に落とし、凋落する様を楽しもうとしたのだと思います。これまでも数えられないほどの芸能人が、この憂き目に遭って来ましたが、今回霜降肉がそのネタに成ったのだろうと思います。

この方々は、とにかく霜降肉を落としたかったので、適切な伝え方をしてくれなかったのだろうと思っています。霜降肉を廃止したのではなくて、過剰な霜降を廃止しただけです、適度な霜降を使って行きます、と言っても、話しが通じないようでした。残念なことでした。

第二に、造語が成功したこと。これまで「ちんや」では、過剰ではない霜降肉です!

モタレない霜降肉です!と繰り返し言って来ましたが、なかなか聞く耳を持っていただけませんでした。「適サシ」という一語で分かる言葉を持ち出したことが、拡散を起した第二の理由だろうと私は考えていますが、そんなことは事前にはまったく想像しておりませんでした。心底驚くと同時に、今となっては、発言者の責任の重さを、ひしひしと感じる日々です。

寛容のご見物を、ひらにお願い申し上げる次第です。

 次に、私の2001年から2017年、つまり店を継いでから、適サシ肉に至るまでの年月の話しをしてみたいとおもいます。

学生時代は・・・

<続きは明日の弊ブログで>

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浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

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第3回④

国際観光日本レストラン協会の「第3回青年後継者の集い」が開催され、不肖の私がセミナー講師を務めさせていただきました。

「適サシ肉」の話しを聞きたいということでしたので、以下のような内容になりました。長いので、4/21から8回に分けて公開しています。さて、

<以下本文>

今回の宣言では、脂肪の等級だけではなく、脂肪の質も重要であることもあらためて表明させていただきました。

ここからコ難しくなりますが、脂肪の質は、脂肪の融点が何℃であるか、と非常に関係があります。融点が高いと消化するのが大変、つまりモタレるからです。

そして脂肪の融点は、牛の肥育月齢が長くなると低くなる傾向があります。なぜなら、脂肪に含まれる不飽和脂肪酸の割合が月齢とともに多くなるためです。不飽和脂肪酸は、代表はオレイン酸ですが、結合がゆるく、その結果融点が低い、つまり良く融ける脂なので、それが多いと脂全体も融けるのです。

次に融ける脂が増えるメカニズムをひも解きますと、不飽和脂肪酸をつくる酵素=脂肪酸不飽和化酵素、名前は覚えなくてOKですが、ステアロイルCoAデサチュラーゼ(=略してSCD)という酵素が関与していることが分かっています。

で、そのSCDの作用を、牛の成長ホルモンが抑制するのです。ここも繰り返します・・・体が成長している間13カ月齢程度は、SCDが抑制されていて、成長が止まる頃になると、成長ホルモンの分泌が低下し、そこからSCDが活発になり、不飽和脂肪酸、つまり良く融ける脂が増えると考えられているのです。 

成長ホルモンが働いてSCDが抑制されている状態の牛は、言ってみれば、高校の相撲部の部活男子のようなものです。成長ホルモンが出続けていてSCDが働かない間は、飽和脂肪酸たとえばステアリン酸が多く、ステアリン酸の融点は69.9℃と高いので融けが悪くて、食べるとモタレます。70℃では人の体温より高いですからね、モタレます。

現役「部活男子」はモタレるんです。しかし、年齢を経てSCDが活発に働いて不飽和脂肪酸、たとえばオレイン酸が付いてくれば、オレイン酸の融点は16.3℃と低いので融けが良くて、食べ易いです。SCDが働き始めた状態は、例えて申しますと、「三十路のステキな女性」です。成長ホルモンが減ってきて、お肌ピチピチではないものの、小娘だった頃よりずっと魅力的な方のことです。

同じ月齢でもメスの方がオスより不飽和脂肪酸(オレイン酸)が多いのです。実際「ちんや」でお出ししている肉の脂は室温で融け始めます。「熟女の脂は良く融ける」って「日刊ゲンダイ」の方に言いましたら、すぐに食いついて書いてくれました。日刊ゲンダイ、関西の方は知らないかなあ。あ、牛の話しですからね。セクハラには当たりませんよ。

えー、なんでしたっけ。そう、このように25か月の去勢オスと、32カ月のメスでは、同じ黒毛和牛でも、脂の質という観点では、相撲部男子と三十路女子くらいの違いがあるのです。その二者を等級だけで比較しても、ダメなことは、すぐお分かりいただけると思います。脂肪の質も考慮しないといけないのです。だから、今回の私の「適サシ宣言」は、その脂肪の質も視野に入れたものにしたのです。正しくご理解いただけたら嬉しいです。

この様に美味しさを語る時、どうしても避けて通れないのが、生化学です。

アミノ酸とか脂肪酸とか乳酸とかコハク酸とかリンゴ酸とか鈴木さんとか佐藤さんとか・・・耳慣れない単語を言わないといけません。

ところが、そういう単語を私が発し出すと、とたんにADさんの顔が曇ります。「その話しには、たぶん、視聴者が、ついて来れないと思うんですよ・・・」例えば、脂肪の量については格付けの等級の話しをすれば、まあ、だいたいOKなのですが、それすらテレビは不正確です。

本来それに加えて、脂肪の質を語らねば「片手落ち」でして、脂肪の質を語るには、脂肪酸とかグリセロールとかの単語を言わないといけません。しかし、たいていは、そこはカットとなります。トホホです。

だいたいですね、義務教育で、さんざん理科を習わされているのに、なんで視聴者は「ついて来れない」んでしょうか?冥王星より木星の方が大きくて、冥王星は「準惑星」で木星は「惑星」だとか、ほとんどの人が知っているのに、なんで水や脂肪については、あんまりご存知ないんでしょうか?変ですよね。

水は毎日飲むのに。実に変ですよね。NASAに就職するわけでもないのに、天文に詳しいって変です。男が星座に関する知識を活かせるのは、カノジョを夜景の素晴らしい所へ連れ出してプロポーズする時ぐらいなもんです。つまり一生に一回。私は義務教育で、もっと水とかタンパク質とか脂質とかについて学んだ方が良いと思うんです。「食育」で田植えをするのも結構ですが、田圃の水についても知って欲しいです。

何故なら、水の硬度と和食の出汁の旨さには、強い関係性があるからです。江戸料理で日高昆布を使うのは、関東の水の硬度が5.5mg/Lだから。京料理で利尻昆布を使うのは、京都の水の硬度が4mg/Lだから。それをご存知であれば、硬度が304のエビアンや315のヴィッテルで昆布出汁を引こうと企てる人が登場する筈はないのです。

理科の先生方は、この件を、いかがお考えになるのでしょうか?聞いてみたいです。賢い視聴者を増やすために、冥王星のことより、食べ物のことを教えて欲しいと思います。

さて、かなり話しが逸れましたが、ともあれ

<続きは明日の弊ブログで>

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.612日連続更新を達成しました。

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第3回③

国際観光日本レストラン協会の「第3回青年後継者の集い」が開催され、不肖の私がセミナー講師を務めさせていただきました。

「適サシ肉」の話しを聞きたいということでしたので、以下のような内容になりました。長いので、4/21から8回に分けて公開しています。さて、

<以下本文>

一番困ったのは、ネットの「おまとめ」サイトです。「すき焼き老舗が爆弾宣言」「浅草から衝撃のニュース」「業界激震」などと、センセーショナルな見出しを付けて、自分のサイトに引き込み、結局広告に誘導するのです。内容はと言えば、テキトーなコピペ。だから不正確。

WELQ事件を経てもなお、SEOの為なら何でもやってOKと思っている方が実際においででした。まったく懲りない連中だと思います。

念のため申して置きますが、「適サシ肉」の件で「肉の業界に一石を投じた」のは、私ではなくてヤフーさんです。

私自身は、業界や他のお店さんにモノ申したいなどとは毛頭思っておらず、むしろ戦々恐々の気分です。

私が考えたのは、弊店の割り下の味付けに合う肉を仕入れたい、弊店に以前から見えている、お客様の御口に合う肉を仕入れたい、ということだけでした。違う個性のお店さんが独自のやり方で繁盛なさることについて、何の意見も持ち合わせません。

自分の考える「良い塩梅」を実行したら、結果的に5等級を使わない結果になっただけの話しでして、人様に挑戦する気とか全くないのですが、5等級を止めたことだけに話題が集中したのは愉快なことではありませんでした。

ここで脂の等級について細かくご説明しましょう。

実は従来「ちんや」ではBMS87の肉を「霜降」と称して売って来ましたが、それを今回1段階ずらして、BMS76にしました。BMS8は5等級で、6-7は4等級に相当しますが、4でもそれなりにサシは入っています。4等級を画像で見た方から「結構霜降だよねえ」というご意見も寄せられました。私が子供の頃=祖父である四代目の頃は、1975年頃のことですが、その程度のサシでも「霜降り」と言っていました。当時はそれで立派な「霜降り」でしたし、今現在でも「霜降り」の定義はありません。ですので4等級を使って、それを「霜降り」と言い続けることも不可能ではなかったかもしれません。

しかし今は1975年頃と違って、BMS12とか11の「ザ霜降」の肉がたくさん在ります。そういう肉をどんどん生産することが30年間で出来るようになり、それをテレビで見た方が弊店を訪ねて来られて、BMS6の肉を見た場合、ランクの低い肉だなあ!と思ってしまう可能性があります。それで結局「適サシ肉」という言葉を造語する他ないと思ったのです。

そして、このことを世間に先回りしてお報せしておくことにしました。それを「宣言」と言っただけなのです。つまり店とお客様の間の、ミニ・コミュニケーションを意図しただけの宣言だったのですが、まったく予想外の展開と成り、心底驚きました。

人生まったく先は分からないもんです。

今回の宣言では・・・

<続きは明日の弊ブログで>

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拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.611日連続更新を達成しました。

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第3回②

国際観光日本レストラン協会の「第3回青年後継者の集い」が開催され、不肖の私がセミナー講師を務めさせていただきました。

「適サシ肉」の話しを聞きたいということでしたので、以下のような内容になりました。長いので8回に分けて公開します。さて、

<以下本文>

住吉です。えー、青年部の代表が331日で終わりまして、4月の関西の集いは物見気分で行けるなあと大変楽しみにしておりました。が、ご覧の通り、こっち側に立っております。トホホですねえ。あ、いや、少し間違えました。ご指名いただきまして、全くもって光栄なことと存じます(笑い)。

今日は最近の私の体験談の中から、皆さんの参考になりそうなことを、2、3お話ししてみようかと思います。途中化学も少し入りますが、それを抜かすと肉の美味しさの話の核心を外してしまうので、どうか我慢していただきたいと思います。

さて、28日のことでした。もちろん驚きました。その日寝坊してモタモタしておりましたら、知人から次々にメールが着信して、YAHOOのヘッドラインにオタクのことが載っているよ!そう言われて初めて分かったんですが、本当に予想外でした。「文春オンライン」の掲載日であることは分かっていましたが、「文春オンライン」は開設されたばかりのサイトで、読者もこれから増やしますという説明だったので、そんなに期待していませんでした。

ところが、その記事がYAHOOのトップページにリンクされたから大変です。店のサイトはダウンし、ブログに30倍のアクセスが来るほどの大反響となりました。コメント欄も凄くて、3.000件以上でした。

嬉しかったのは3.000件のコメントの内15対1で私の「適サシ肉」という考えに賛同する方が多数派でした。これは嬉しいことだと思いました。

それに続いて大小メデイアから取材の申し込みが殺到しました。

日本テレビ「スッキリ!!」、

TBSテレビ「白熱ライブビビット」、

テレビ朝日「スーパーJチャンネル」、

産経新聞、東京新聞、日刊ゲンダイ、

テレビ朝日「週刊ニュースリーダー」、

TBSテレビ「ぴったんこカン☆カン」、

読売テレビ「そこまで言って委員会」、

TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」、

TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!」、

最後にNHKテレビ「所さん!大変ですよ」とメジャーな番組ばかりです。結局テレビ7回、ラジオ3回、新聞3回、雑誌2回、その他ネットメデイアもありました。

テレビに出たことで、ネットでの拡散にも拍車がかかったようでした。こんな反応もありました=「テレビ拝見しました。素晴らしいコメントで大いに同感です。これからも頑張ってすき焼きを宣伝してください。」大阪市の藤本稔さんです。

撮影の過程で、一部テレビ局の拙速ぶりにはまったく実に閉口しました。

今日、今から撮りに行っても良いですか?!と電話してくるのです。で、放送は、なんと明日。

内容についての深い吟味は勿論あり得ません。一言で申して「速さ競争」の様相でした。だから、内容はごく一部を切り取るだけ。「適サシ肉」も「霜降り肉」の一種で、適度なサシの霜降り肉なんです!と言っているのに、私に「霜降り肉を止めました」と言わせようとするのには、本当に心底閉口しました。

もう一つ困ったのは、一部テレビの局が、同業のすき焼き屋さんに電話して、霜降り守旧派の代表として出演させようとしたことです。「今朝」の藤森さんなどは、住吉さんの言っていることは、君の理解と全然違うよ!とADちゃんに説教してくれました。本当にありがとうございました。ご迷惑をおかけしました。

一番困ったのは・・・

<続きは明日の弊ブログで>

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題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.610日連続更新を達成しました。

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