鬼怒川水系

昨年9月の豪雨で被災した茨城県常総市の酒蔵を、飲んで支援するイベントに参加して来ました。

会場は、つくば市のホテルグランド東雲さん。「東雲」社長の市川さんは東日本大震災の時にライフラインが止まって難儀している人々をホテルで受け入れた方です。今回のイベントも大変素晴らしい企画だと思い、参加させていただきました。

今回いただきましたのは「一人娘」の山中酒造店さんと、「紬美人」の野村醸造さん。

2社とも「鬼怒川水系」の水を使っている蔵です。

お酒を考える場合、どの水系の水を使っているかが重要ですが、茨城県の水は、主に「久慈川水系」「那珂川水系」「筑波山水系」「鬼怒川水系」「利根川水系」の5つの系統に分かれています。

この内「鬼怒川水系」は栃木県日光市の鬼怒沼に源を発し、栃木県を縦断して利根川に合流しますが、この流域にそって昨年9月集中的に雨が降ったので水害になってしまったわけです。

被害がひどかったのは野村醸造さんですが、なんとか復旧を遂げ、早くもこの冬の「寒造り」が出来たそうで、本当に良かったです。

不覚にも見落としていたのですが、野村醸造さんは20年前より現代の肉や油っぽい料理との相性を考えて、生酛や山廃造りもはじめておられて、公式サイトには「ステーキをつまみに、生酒の生酛をぜひ味わってください。」と書いてあります。

はい、もちろん、是非そうさせていただきました。

ご馳走様でした。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.166連続更新を達成しました。

Filed under: 色んな食べ物,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

下仁田葱、再び

今年も、下仁田の小金沢農園さんから「下仁田葱」が届きましたので、「変わりザク」として販売しています。

言わずと知れた「下仁田葱」は「殿様葱」とも言われる葱の王者。

11月の「葱解禁」が有名ですが、むしろ寒中の、この時期が美味いと私は思います。

「寒いは旨い」んです。

「下仁田葱」は最も辛みの強い葱ですが、火を通すと甘く、トロリとなります。

通常のザクに盛られている「千住葱」との食べ比べをお楽しみいただきたいと思います。

え? 下仁田と千住のどっちが美味いのか って?!

野暮な質問ですな。

なんで、いちいち順番を付けたがったり、勝ち負けを決めたがったりするんですかね。

両方美味いんです。

優劣・勝ち負けじゃなくて、それぞれに美味さがあるんですよ。

是非両方お召し上がりいただきたいです。

下仁田葱については、くわしくは、こちらです。

 

追伸

歌舞伎の中村芝雀さんが五代目雀右衛門を襲名することになりました。

襲名披露の練り歩きが浅草・仲見世で行われますので、どうぞお出かけ下さい。

1月27日(水)

11:00~ 雷門より「お練り」出発

11:45~ 浅草寺本堂前にてご挨拶

詳しくは、こちら(↓)です。

http://www.kabuki-bito.jp/news/3081

なお掛け声は「京屋!」です。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.159連続更新を達成しました。

Filed under: すきや連,色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

味噌を付ける

ベッキーさんと「ゲス川谷」さんの問題について、むしろ状況が深刻なのは相手のゲスさんの方だと指摘した方がいました。ベッキーさんは売れっ子で大手芸能プロダクションのお偉方からも高評価を得ていたのに、

「その子にこういうミソをつけて、平気でいられる世界じゃあない。厳しいことを言いますが、もうアウトじゃないかな。」

な、なるほど、正しい見方のような気がします。

しかし、時に、なんでこういう場合に「味噌を付ける」というのでしょう。

味噌は日本が世界に誇る健康食品なのに。よりによって何故不倫問題で味噌なんでしょうか。

少し調べてみますと、昔火傷をしたときに民間療法で味噌をつけたことが、こういう言い方の始まりのようです。

まあ、医学的な根拠は薄弱ですが、味噌の塩分と有用菌が雑菌の繁殖を抑えるからでしょう。

ですので、ベッキーさん、今回の件で出来た傷を癒すため、是非味噌をたくさんお付け下さい。

 

追伸

歌舞伎の中村芝雀さんが五代目雀右衛門を襲名することになりました。

襲名披露の練り歩きが浅草・仲見世で行われますので、どうぞお出かけ下さい。

1月27日(水)

11:00~ 雷門より「お練り」出発

11:45~ 浅草寺本堂前にてご挨拶

詳しくは、こちら(↓)です。

http://www.kabuki-bito.jp/news/3081

なお掛け声は「京屋!」です。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.157連続更新を達成しました。

Filed under: ぼやき部屋,色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

好き嫌い

とある有名な料理人の方、これまで葱がお嫌いでほとんど食べなかったとかですが、ある日来店され、「ちんや」のすき焼きの葱を食べて「これは美味しいね!」と言って下さいました。

葱屋さんに言わなくちゃ!

そう言えば、実は「ちんや」の肉についても、肉が嫌いな方が食べられるという話しがありますが、原因は分かりません。

私の推測では、おそらくは、バランスだろうと思っています。

葱の硫化アリルや牛肉の獣臭さは、それが好きな人にとっては好ましいものですが、それが嫌だ!という人には嫌なものです。

その嫌な感じが、「ちんや」の強烈に甘辛い割り下とバランスしてしまうのだろうと推測します。

これは「味の対比効果」と同じような現象だと思います。苦いコーヒーに砂糖を入れると、苦味物質が減ったわけでもないのに苦く感じなくなりますが、あれと同じです。

「ちんや」のすき焼きは甘辛が強烈なだけでなく、さらに肉を熟成させたことで旨味が濃くなっており、それがまた葱の嫌味とバランスします。さらにさらにまた融点の低い脂が嫌味物資と溶け合ってコーテイングしますから、それによっても抑え込まれるのだろうと思います。

葱や肉が苦手だという方、「ちんや」のすき焼きに誘われた時、

仮病で欠席しよう!と思わずに、一度是非トライしてみて下さい。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.155連続更新を達成しました。

Filed under: すき焼きフル・トーク,色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

トマトすき焼き

住吉さんは「トマトすき焼き」については、どう思われますか?

と聞かれることがあります。

日本料理「三田ばさら」の小山裕久さんが2011年頃に出されたメニューのことですね。

甘い・辛いのすき焼きに酸味を加え、「甘、辛、酸のトライアングルを作ることで、味に奥行きと深みが出る」ようにしたものですから、当初から美味しいとは私も思っていましたが、継続的に提供し続けるご意志がおありかどうかと思っておりました。

ところが、それから5年、今でもたまに話題になるということは、続けておられるのですねえ。それは立派なことだと思います。

で、どう思うか、ですが、私は鍋の中は旧来の甘い・辛いのすき焼きにしておいて、酸味はつけあわせとしてお出ししているピクルスか、あるには酒で補っていきたいと思っています。

もう一つ作戦として、卵を工夫して酸味を加えるという手は「あり」かもしれません。もちろんチョイスの一つとしてですが。

洋食では、オムライスにトマトケチャップをかけますね。中身は挽き肉。あれと同じ塩梅です。

そう、私は今私は洋食をイメージして、「卵を工夫」と言っています。

「トマトすき焼き」は「和食の基本を極めた小山さんにしか発明できなかった逸品」と評価されているそうですが、私は洋食方向への改良も面白いと思っています。

今年のテーマの一つにしたいです。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.150連続更新を達成しました。

Filed under: すき焼きフル・トーク,色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

無益なシェア争い

経済誌「ダイヤモンド」での、「史上初」キリン・アサヒ社長対談「もう無益なシェア争いはしない」を興味深く読みました。

シェア競争から脱したいと二人して語っているのです。

「シェア競争から脱し価値競争に移行することで適正な利益を得る。それを原資に再投資する。思い切って海外に打って出てもいい。」(アサヒさん)

「価値」をめぐって競争するのが業界の本来あるべき姿だと思います。」(アサヒさん)

「競争分野と非競争分野を分けることです。」(キリンさん)

ここで「価値競争」とは、例えばキリンさんが東京・代官山にクラフトビール専門の飲食店である「スプリングバレー」を開いて、小さいクラフトビール市場のマーケットを大きくしようとしていることを言うそうです。

なるほど。結構なんじゃないですかね。

ビール業界でこういうことが話されているのは、深刻な市場縮小が進行しているからです。

人口減少、少子高齢化、そして若者の酒離れを背景として、1994年に714万キロリットルだった出荷量が2014年には541万キロリットルになったそうです、この減少量はビール大手1社分の販売量に相当するそうです。大変なことです。

で、「協調しましょう」という話しです。弊社も参考にしたいと思います。

もっともビール業界には、ここに出てこないサントリーさんが居て、昨年9月に新製品「ザ・モルツ」を投入。大量広告と低価格攻勢をかけているので、すんなり「価値競争」に入っていけるかは至って不透明です。

この件、注目ですね。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.146連続更新を達成しました。

Filed under: 色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

大寒卵2016

今年の「大寒」は1/21です。

風水は、大寒の日に産まれた卵を食べることを勧めているとかで、それを「大寒卵」と言うそうです。

これを、あながち迷信と片づけない方が良いと思います。

寒い時期に産まれた卵は栄養価が高いからです。

大寒は一年で最も寒さが厳しくなる頃です。鶏はその寒さで本能的に産卵数が少なくなりますので、その中でも産まれた卵は、必然的に栄養価が高まります。

風水が面白いのは、それを金運と結びつけたところです。

「大寒の日に産まれた卵を食べると金運が上昇する」と言うのだそうです。

ただ「健康に良い」と言うより、そちらの方がそそられますね。上手いことを考えたもんです。

会社の社員さんに一個ずつ配るとかしたら面白いと思います。

さて「ちんや」精肉売店でも、この大寒卵を販売します。

寒い所の卵が良いわけですから、特に寒い所=日本海の風雪を浴びるような所で鶏を育てている養鶏場から卵を取り寄せることにしました。

その養鶏場は、新潟県村上市の「オークリッチ」さん。

今年の分は、まだ届いておりませんので画像をお見せできませんが、栄養価の高さを感じていていただけると思います。

数に限りがありますので、予約販売致します。既に受付開始していますので、「今年は一旗・・・」と心に決めておいでの方は、どうぞお急ぎ下さい。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.145連続更新を達成しました。

Filed under: 色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

膾を吹く

「羮に懲りて膾を吹く」とは、前の失敗に懲りて、度を越して用心深くなることの例えですが、

香川県庁さんは「おいでまい」に懲りて「うどんかるた」を吹いてしまったようです。

香川県が県のオリジナル米「おいでまい」PRのためにイメージガールを募集した際、要項に「色白でスタイルの良い方」と記載して猛批判を受け、撤回するハメに陥った件は、弊ブログの11/3号に書きました。

「色白でスタイルの良い方!」と公言してしまった時点で、女で釣ろうという作戦か!

と言われてしまい、品質の話しは吹っ飛んだと思います。コミュニケーションの怖さを実感させる一件でした。

その香川県さんが、今回は「うどんかるた」を作り、その中の、

「つ」=「強いコシ 色白太目 まるで妻」を、

「良いイメージで受け取らない人もいるのでは」と批判されて、

撤回するかどうか検討して、結局撤回を撤回したようです。トホホ。

これは最初からOKだったんじゃないですかねえ。

そういう妻と離婚したと言うなら洒落になりませんが、強くて太目でも一緒に居るのだから、結局夫婦仲は悪くないわけですよね。良いんじゃないですかねえ。

この句は公募で集めた約2.900句の内の1句だそうですが、撤回にしたら投稿者はさぞ悲しんだろうと思います。

それに作戦としても、イメージガールよりかるたの方が余程良いと思います。すき焼きかるたも作ってみたいものです。

今回は「おいでまい」に懲りて「うどんかるた」を吹いたと言わざるを得ません。

残念。

追伸

肉の情報ポータルサイト「肉メディア」で、私の連載が始まりました。

題して、「大人のすき焼き教科書」。

弊店でリアルなイベントも企画しています。

こちらから、どうぞ、ご覧下さい。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.130連続更新を達成しました。

Filed under: ぼやき部屋,色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

学校蔵の特別授業

大学同期の尾畑留美子さんが『学校蔵の特別授業~佐渡から考える島国ニッポンの未来』という御本を出されました。

「学校蔵」というのは本当に学校を酒蔵にしてしまったものです。

かつて「日本で一番夕日がきれいな小学校」と言われ、136年の歴史がありながら廃校になってしまった佐渡市の旧西三川小学校を、地元の蔵元五代目である尾畑さんが酒造りの場として再生したのが「学校蔵」です。

尾畑さんはそこで酒造りをするだけでなく、「学び」「交流」「環境」を柱に一連の『学校蔵プロジェクト』を展開してこられましたが、その顛末が今回本になったわけです。

また今回の本には、プロジェクトの一環で実際に「学校蔵の特別授業」で講師をつとめた方々・藻谷浩介さん、酒井穣さん、玄田有史さんが登場して、興味深い話しを語っておられます。

「地方と都会の境目は?」

「人口のベストバランスとは?」

「近未来の仕事のあり方」

「地方に見出す希望」など、

現代の日本の地方というものを考える場合の、とても重要なテーマが語られています。

ちょうど良い時期に同期生の忘年会が「ちんや」でありましたので、御本と、それから勿論「学校蔵」のお酒を取り寄せて大いに盛り上がりました。

このたびは出版誠におめでとうございました。

 

追伸

肉の情報ポータルサイト「肉メディア」で、私の連載が始まりました。

題して、「大人のすき焼き教科書」。

弊店でリアルなイベントも企画しています。

こちらから、どうぞ、ご覧下さい。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.127連続更新を達成しました。

 

Filed under: 色んな食べ物,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

アル添

今年も「柱焼酎仕込み」の御酒をご用意しております。燗で飲んでいただきます。

「柱焼酎仕込み」を造っているのは、新潟県新発田市の「金升酒造」さん。私は新発田市のすき焼き店「八木」さんを訪ねたおりに、「金升」さんもお訪ねしたことがあります。

さて、「柱焼酎仕込み」とは、自社製の焼酎を醸造アルコールとして添加した御酒です。

アル添の度数が低く、本物の焼酎を使っている分、燗をつけた時のアロマが素晴らしく、所謂「酒臭さ」がありません。燗酒に最適と思います。

アル添は現代では悪者扱いされていますが、江戸時代から、日本酒メーカーが米焼酎を自社で作って、混ぜることは普通に行われていました。それが「柱焼酎仕込み」です。

ですから、そのこと自体は全くおかしなことではないのですが、現在「柱焼酎仕込み」をしている蔵元さんはあまり多くなく、工業的に生産された純度の高いアルコールが添加されるケースが多いようです。この場合原料は海外の砂糖キビなどです。

そういう場合は、原料の素性が知れないので、どうしても世間では、純米=善玉VSアル添=悪玉という構図に成ってしまいます。

自社で米焼酎を作って、堂々と添加して、純粋に味で評価するような風潮になれば良いのですが、工業用アルコールを使っている業者さんが、アル添の詳細を隠そうとする風潮があり、それがアル添=悪玉論の前提となっています。残念なことと思います。

「金升」さんのは、そういうことがないどころか、大変結構なお酒ですので、是非お召し上がりください。(日曜、水曜、金曜に提供しています)

 

追伸

肉の情報ポータルサイト「肉メディア」で、私の連載が始まりました。

題して、「大人のすき焼き教科書」。

弊店でリアルなイベントも企画しています。

こちらから、どうぞ、ご覧下さい。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.118連続更新を達成しました。

Filed under: 色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)