共に食べる

 昨日のテレビ撮影の話しの、そのまた続きです。

 BSーTBSの、『関口宏の昭和青春グラフイテイ』という番組の撮影があり、私と、「すきや連」旗振り役で「すき焼き通」(平凡社新書)の著者である、

向笠千恵子先生がインタビューを受けました。

 この番組は、これまでは「昭和の渋谷」「昭和の六本木」とかを放送したそうですが、今回は「昭和の子供の贅沢」。

 「昭和の子供の贅沢の代表である、すき焼きの魅力を語って欲しい。」という御題で、先生と私が問答し、それを撮っていく、というスタイルです。問答している内に、

 そう、そう、そうなんですよ!

と私の声が上ずってしまったのは、向笠先生の、

 「すき焼きは、共に食べる、っていう感覚が一番強い食べ物よね」

 「すきや連の、宴会の写真を見ていると、皆さん、本当に良い笑顔で、共にすき焼きを食べるのが嬉しいって、顔に書いてあるわよね」という部分でした。

 そこ、大事なところです。

 平成23年の今時は、「個食」とか「孤食」とか言って、同時に食事を食べないことが多いようです。

 その点すき焼きは、共に食べないと、そもそも成立しません。

 同時に食べ始め、同時に食べ終わらないといけない点が、すき焼きの不便な点ですが、しかし、そこが同時にそのまま、すき焼きの魅力です。

 宴会が始まり、やがて鍋に火を入れ、煮えた肉が取り分けられる瞬間には、皆が、鍋に意識を集中します。他の料理の宴会では、皆さんはたいてい、好きずきに会話を楽しんでいらして、料理にそれほど集中しません。

 ところが、すき焼き宴会なら、少なくとも、この瞬間だけは、全員が意識を料理に集中させ、今共に食べる嬉しさを強く感じることができます。

 震災以来、ご宴会はめっきり減りましたが、会社の中で心を一つにしたい、とお考えの社長さんには、是非、すき焼き宴会をしていただきたいものです。

 自粛や節電ばかりでは、希望が見えません。ビジネスも気勢が揚がらないのではないでしょうか。

 今共に食べる嬉しさ〜すき焼きには、それがありますよ。

 『関口宏の昭和青春グラフイテイ』オン・エアは、8/16(火)22:00〜です。このブログをお読みの、社長さんは、是非、この番組を参考にしていただきたいです。

追伸①

 「仙台牛」の販売を始めました。震災の当日にも「仙台牛」を仕入れましたが、それ以来の仙台牛です。データ=宮城県大崎市・遠山明牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号:12041-78434。

 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

 7/18に「第三回すき焼き通検定」を実施します。合格すると特典満載ですよ!

検定の詳細はこちらです。 

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて499連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

御馳走

 関東も梅雨明けとか、暑いわけです。夏バテしてしまう前に、肉を食べてバテ予防しましょう。さて、

 昨日のテレビ撮影の話しの続きです。

 BSーTBSの、『関口宏の昭和青春グラフイテイ』という番組の撮影があり、私と、「すきや連」旗振り役で「すき焼き通」(平凡社新書)の著者である、

向笠千恵子先生がインタビューを受けました。

 この番組は、これまでは「昭和の渋谷」「昭和の六本木」とかを放送したそうですが、今回は「昭和の子供の贅沢」。

 「昭和の子供の贅沢の代表である、すき焼きの魅力を語って欲しい。」という御題で、先生と私が問答し、それを撮っていく、というスタイルです。問答している内に、

 そう、そう、そうなんですよ!

と私の声が上ずってしまったのは、向笠先生の、

 「すき焼きは、鍋奉行を務める人にも幸福感があるわよね」

 「それに、その前の具材を買い揃える、買い物にも喜びがあるわよね」という部分でした。

 そこ、大事なところです。

 この話しは、外食でのすき焼きの話しではなく、肉の売店で買っていただいて、ご家庭ですき焼きをする場合の話しですが、これこそ、まさに「御馳走」という行動だと思います。

 現代語では「御馳走」「お御馳走」というと、高価な食べ物のことを指しますが、元々は違います。

 人に何か美味しいものを食べさせようと、準備のためにあちこちへ走り回ることが「馳走(ちそう)」の本来の意味です。だから、それに感謝するために、食べさせてもらった側は「ごちそうさまでした」と言うわけです。

 その本来の意味での、「御馳走」をする感覚が一番強い食べ物が、すき焼きだと思います。

 特にご家族のために、お父さんやお爺ちゃんが肉を買い出しに行き⇒鍋奉行を務める、これは家庭内の「御馳走」であって、そこには、他の食べ物では得がたい幸福感がある、というのが、私の思いでしたが、向笠先生も同意見でしたので、とても嬉しく思いました。

 『関口宏の昭和青春グラフイテイ』オン・エアは、8/16(火)22:00〜です。このブログをお読みの、お父さんやお爺ちゃんの皆さんも、是非、この番組を参考にしていただいて、「御馳走」をしてみませんか、たまには。

追伸①

 「仙台牛」の販売を始めました。震災の当日にも「仙台牛」を仕入れましたが、それ以来の仙台牛です。データ=宮城県大崎市・遠山明牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号:12041-78434。

 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

 7/18に「第三回すき焼き通検定」を実施します。合格すると特典満載ですよ!

検定の詳細はこちらです。 

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて498連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

復興応援メッセージ②

 夜のウオーキングを続けています。

 閉店後にしますから、時間は10時半とか11時頃ですが、その時間にまだ開いている飲食店もあります。私はどうしても、客の入り具合が気になりますので、中をのぞくと・・・

 げげ。中にいる知人と目があったりします。

 おお、良く来た! 飲もうよ!

 いや、「来た」わけじゃないんですよね。それに、ウオーキング中ですから、財布持ってませんし。

 え、そうなの? まあいいよ、今日は奢るから。

 あーあ。これじゃあ、ウオーキングにならないなあ。さて、

 「すきや連」の復興応援メッセージの続篇です。

 「すきや連」のメンバーの中にも、東北や茨城の方がいらして、中には被災された方がおいでです。そこで今月末に開催予定の、第9回例会『銀座吉澤』の出欠返信用紙には、東北のメンバーへの「復興応援メッセージ」を書き込んでもらっています。

・かとう精肉店さん、今年は忘れずに下仁田葱を送ります。楽しみにして下さい。

 大洗ホテルさん、農繁期の前の秋口にでも泊まりに行きます。

 月の井酒造店さん、オーニックのお酒をネット注文します。

 一緒にがんばりましょう。(葱生産者の下仁田ファーム小金沢農園さんより)

・「すきや連」ではたびたびお隣でお話しをうかがった、かとう精肉店様、御無事で何よりです。私の住む千葉外房地区でも様々な風評もあり、冷え込んでいるようです。

 ここからが地力の見せどころです。4月名古屋、5月大阪と個展をしましたが、皆様、何が最も力になれるか、真剣に考えておられます。無力ではいたくないと、皆様が意見を述べておられました。いずれ無数の力が集まることになるはずです。(金属工芸家Ⅰ先生より)

・衷心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈りいたしております。(雑誌「ダンチュウ」編集部Mさんより)

・たとえ牛歩であっても、一歩ずつ一緒に前へ進んでまいりましょう。(日本橋小伝馬町の、すき焼き店「伊勢重」さんより)

・皆様方の強いお心に感動し尊敬の念を持ちます。日々復興をお祈り申し上げております。(根岸の洋食店「香味屋」さんより)

 コピーして、会の当日ご本人にお渡ししたいと思っています。

 なお、第9回「すきや連」の申込みを受けの方ですが、受付3日目で早くも定員を突破しましたので、定員10人の別室を確保しました。御席が分かれても良い方は、そちらで受け入れることにしました。

 今回も盛況で嬉しい悲鳴です。

 

追伸①

 「仙台牛」の販売を始めました。震災の当日にも「仙台牛」を仕入れましたが、それ以来の仙台牛です。データ=宮城県大崎市・遠山明牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号:12041-78434。

 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

 7/18に「第三回すき焼き通検定」を実施します。合格すると特典満載ですよ!

検定の詳細はこちらです。 

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて491連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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カワイさんの福神漬け

 5/21に開催しました、

「青森・岩手・宮城・福島・茨城五県蔵元連合試飲会@浅草in三社祭が開催できない、その日に開催!」の様子を撮影した動画を「YouTube」で公開しましたところ、200人以上の方にご覧になっていただけました。感謝です。

 まだ見てない!という方はこちらです。 さて、

 「すきや連」の、カワイさんが見えました。

 カワイさんは、素人すき焼き愛好家であって、向笠千恵子先生の「すき焼き通」(平凡社新書)の第9章に実名で登場する方で、「すきや連」にも毎回参加して下さる方です。

 カワイさんは、21年7月の第3回「すきや連」(浅草今半さんで開催)の時に、「専門店のすき焼き屋さんで、季節の「旬のすき焼き」メニューで、思いっきり季節を感じながら食べられても良いのではと思います。」と提案されました。

 これをキッカケに、21年の秋に「ちんや」で始めた新メニューが「変わりザク」です。つまり、カワイさんは「変わりザク」を提案していただいた方なのです。

 そのカワイさんが、何の用で見えたかと申しますと、自作の福神漬けを持って来て下さったのです。カワイさんの、もう一つの趣味は、福神漬けを自作することで、漬けるのに使う、

醤油は、大久保醤油(松本市)

酢は、千鳥酢(京都市)

酒は、橘倉酒造(佐久市)

味醂は、九重味醂(碧南市)

と一流ばかり。スゴいです。また材料7種も、勿論、こだわりぬいたものです。

 さらにパッケージまで自作です。そこには本業(=カメラマン)の画像処理のノウハウが使われています。

 いやあ、また酒呑んじゃうなあ。

 なお、今月末に開催予定の、第9回「すきや連」ですが、受付3日目で早くも定員を突破しましたので、定員10人の別室を確保しました。席が分かれても良い方は、そちらで受け入れします。

追伸①

 「仙台牛」の販売を始めました。震災の当日にも「仙台牛」を仕入れましたが、それ以来の仙台牛です。データ=宮城県大崎市・遠山明牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号:12041-78434。

 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

 7/18に「第三回すき焼き通検定」を実施します。合格すると特典満載ですよ!

検定の詳細はこちらです。 

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて489連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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復興応援メッセージ

 「すきや連」のメンバーの中にも、東北や茨城の方がいらして、中には被災された方がおいでです。

 そこで、今月末に開催予定の、第九回「すきや連」@『銀座吉澤』の出欠返信用紙には、東北のメンバーへの「復興応援メッセージ」を書き込んでもらっています。

 コピーして、会の当日ご本人にお渡ししたいと思っています。

・東北の牛、清酒、ワインを売って少しでも復興の力になれるよう努力してます。共にがんばりましょう。(新橋「今朝」さんより)
・被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。色々と大変なこととは思いますが、伝統の味をたやさないよう頑張ってください。

(浅草「今半本店」さんより)

・健康に注意してお互い頑張りましょう。(「ニューオータニ岡半」さんより)

・東北の食材を選んで食卓に!(スパイスアドバイザーの加藤さんより)

・被災地の皆さんも、風評被害に悩む皆さんも、無理をせず一歩一歩、確実に進んでいきましょう。未来に向かって。(赤城牛の鳥山畜産食品さんより)

・この度の震災で被害を受けられ、心からお見舞い申し上げます。元の生活を取り戻すべく少しでもお力になれればと思います。くれぐれもご無理のないよう、ゆっくり歩んで下さい。(醤油の「有田屋」さんより)

・どんな事があっても上を向いている限り、必ず良い事があると信じて、前を向いて進んで下さい。(スタジオdpさんより)

 地震から三カ月が経過して、「ゆっくり」「確実に」という風に言う方が、増えてきていると思います。

 今回の、第九回「すきや連」でも東北の食材を選んで食べることになっています。「確実な」復興は、その方向にしかないと思いますので。

追伸①

 「仙台牛」の販売を始めました。震災の当日にも「仙台牛」を仕入れましたが、それ以来の仙台牛です。データ=宮城県大崎市・遠山明牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号:12041-78434。

 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

 7/18に「第三回すき焼き通検定」を実施します。合格すると特典満載ですよ!

検定の詳細はこちらです。 

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて488連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

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復興すきや連

 7月の末に第九回「すきや連」を、『銀座吉澤』さんで開催予定ですので、そのための案内状の支度を、今しています。

 発案内状の支度には写真の封入作業もあります。3/8に京都の老舗「三嶋亭」さんで開催した、前回(=第八回)に出席された方へ送る案内状には、その時の写真を封入します。集合写真の他、スナップ写真が編集されていて、もちろん、オールカラーです。

 この、お金も手間もかかる、写真封入を続けている理由は・・・

 それは、写っている皆さんの笑顔が本当に楽しそうだから。

 すき焼きを囲んで談笑している参加者の皆さんは、メッポウ素敵です。すき焼きっていうものは、こんなにも人を楽しい気持ちにさせるものなんだ、とあらためて再認識させられます。

 しかも参加しているのは、ほとんど全員が食のプロです。そういうキビシい方々でも、すき焼きの鍋を囲めば、自然と、愉快に飲み食いするものです。その気分が写真に溢れています。

 今、写真を眺めますと、「第八回」の時の皆さんは、本当に楽しそうです。「三嶋亭すきや連」は3/8火曜日で、同じ週の金曜日に地震が来るのですが、その事は知るわけもありません。あの楽しかった夜と、それ以降は切断されているかのようです。

 「三嶋亭」さん以前の「すきや連」は、東京と横浜で開催してまいりまして、この回が初の京都進出でした。初の遠征ですので、

 関東の人がどのくらい参加してくれるだろう、

 「三嶋亭」さんには50人収容の大きい宴会場があるのに、参加者が20人とか25人とかだったら、カッコ悪いなあ、そうなったら「三嶋亭」のM社長に対して面目ないなあ、と思っておりましたが、結果は・・・

  定員オーバー!!

 全国から55人の、すき焼き屋とすき焼き愛好家の方々が見えて大盛況でした。そして旅先ということで、皆さん、いつになくリラックス・ムード。お酒のメートルもかなり上がっていました。

 また、この日にあわせたかのように、「すきや連」旗振り役代表の、向笠千恵子先生の御本「食の街道を行く」が、料理本のアカデミー賞とも言われる、「グルマン料理本大賞」の、紀行本部門2010年グランプリに選ばれたことが発表されました。

 その目出度さも加わって、いつになく、盛り上がっていたように思います。

 遠い昔の話しのようです。

 でも、昔のことを思っていても仕方ありません。この次の「第九回」は、東北の牛を食べ、東北の酒を飲む、という趣向で決行します。元来は松阪牛がお得意の『銀座吉澤』さんですが、今回は東北の牛、ということでお願いをしました。

 メンバーの中にも被災された方がおいでで、今は復興へ向けて頑張っておられますので、「応援メッセージ」を集めたいとも思っています。

 復興します!「すきや連」も。

追伸①

 「仙台牛」の販売を始めました。震災の当日にも「仙台牛」を仕入れましたが、それ以来の仙台牛です。データ=宮城県大崎市・遠山明牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号:12041-78434。

 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

 「青森・岩手・宮城・福島・茨城五県蔵元連合試飲会@浅草in三社祭が開催できない、その日に開催!」の様子を撮影した動画を、こちら(YouTube)にUPしましたので、是非ご覧下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて478連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

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生なり糖すき焼きの会

 「生なり糖すき焼きの会」が、5/24弊店で開かれました。

 「生なり糖」というのは、実は商標です。(株)沖縄さとうきび機能研究所という、ベンチャービジネスの会社が、独自の技術を使って沖縄・粟国島で生産しているお砂糖です。高村善雄さんという方が大手企業の部長職を投げ打って、ライフワークとして興した会社です。

 生産の際、さとうきびの芯の部分だけを、特殊な搾り方で搾り、またフィルターも特殊なものを使って、有用な成分を取り出しているそうです。見た目は和三盆糖のような薄茶色で、コクがあり、そして少し酸味があります。

 機能性が優れていて、まず香味成分のキシロースやグルコースが、肉のアミノ酸と反応したとき、高い香りを出します。また脂に対する抗酸化作用が強くて、さらにミネラルバランスもよいために胃もたれがしないのが特徴です。いいことづくめ、とも言えます。
 今回の会は、高村さんが生産プラントを、やはり沖縄の伊江島に移して、増産体制を築くことになったことから、そのお祝いという趣旨で、高村さんへの出資者や技術的なアドバイザー、友人、そして食い物好きが集まりました。

 私や「すきや連旗振り役」の向笠千恵子先生は、最後の「食い物好き」のカテゴリーで参加しました。

 ただ、今回私は単に愉快に食っているだけ、というわけには行きませんでした。生なり糖を使って、すき焼きの割り下を作らないといけなかったからです。

 普段と同じ割りで作るつもりが、やってみるとダメで、普段よりかなりの程度、糖を増やして作りました。その割りで、普段と同程度の甘味なのです。

 生なり糖には、甘味以外の味を出す成分、特に酸味を感じさせる成分が入っているので、同じ割りでは、甘味が足りない感じがしてしまうようです。含有率としては、2%とか、その程度なのですが、人間の舌の能力は強力で、その位の割合の物質でも、味として感じます。結局普段よりかなりの程度、糖を増やす結果になりました。

  この割り下だけをなめると、結構な酸味を感じます。(そのかわり醤油っぽいツンツン感は普段より小さいです。)

 ただ肉を入れて加熱して食べると、普段と大きく違う感じがしないのが不思議です。加熱中に、成分が熱で壊れたからか、肉の成分と反応したのだと思います。肉とのバランスは悪くないと思いました。

 しかし!

 課題がありました。

というか、どうも、良くなかったね、ということがありまして、それは・・・

①肉以外の具が甘過ぎてしまう。

②煮詰まると、やはり甘過ぎてしまう。

・・・結果、上出来というわけには、行きませんでした。

 この砂糖で、塩梅の良い割り下を作るのは、結構難しいことが、わかりました。

 でも昔の砂糖は、今ちんやが普段使っている精製糖ではなかったわけで、今後の方向性としては、「生なり糖」のような糖も研究していかないといけません。

 ちょいと時間がかかりそうです。続く。

 

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて452連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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船上すき焼き

 「すきや連」で大変お世話になっている、向笠千恵子先生が個人のホームページ(http://mukasa-chieko.com/)の中に、

『すき焼き好きのための「すきや連」ニュース』というコーナーを作って下さいました。

 頻繁に更新もなさっているようです。5/4にも、面白い記事が。それは・・・

 豪華客船ですき焼きが提供されていた!

という記事でした。

 各国が次々と大型客船を建造し、「動くホテル」「旅するホテル」として人気を競った1930年代には、日本の船会社も料理に力を入れて集客につとめたそうで、この記事はその頃の話しです。さすが、我々商売人と違って視野が広いです。

 なかでも日本郵船社は「料理の郵船」と評判をとるほどで、ディナーの基本はフランス料理フルコースだったものの、特別食としてうな丼、天ぷらなどの和食を出したそうで、そして、さらにはすき焼きパーティーまで開かれていた、というのです。

 これを先生がお知りになったのは東京・京橋のINAXギャラリーで開催中の「にっぽんの客船タイムトリップ展」でのこと。日本郵船の「伏見丸」での、すき焼きパーティーの写真が展示されていて、甲板にゴザを敷いてちゃぶ台を並べ、興味しんしんといった表情で、白人客たちが鉄鍋を箸でつついている、そういう写真なのだそうです。

 すき焼き屋も行って見ないといけませんね、この展示。

 それに、現代ではすき焼きは、すき焼き屋の店舗かご家庭のどちらかで食べるもの、と決まっていますが、そういう決めつけをやめて、いろいろな場所で出来たら楽しいですね。

 この記事がキッカケで、楽しい研究課題が増えました。

追伸

 義捐金込み価格の仙台牛メニューを提供してまいりましたが、めでたく完売いたしました。ご注文いただいた皆様に御礼申し上げます。収益は被災地に贈ります。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて435連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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緊急避難

 食べ物は「地産地消」するのが理想形と言われており、私もそうだろう、と思っています。

 一方、今私が実行委員長をしている、

「五県蔵元連合試飲会@浅草」 については、東北・茨城の御酒を、東京の料理屋が仕入れるように仕向けるわけですから、その理想形からは遠のくものと言えます。

 でも、今は非常事態であって、東北方面の消費需要が大きく落ち込む状況ですから、緊急避難的に東京や関西方面の需要に頼るのは、致し方ないと考えます。

 手造り・家族経営の蔵元さんからも、既に多くの出品申し込みをいただいています。出品明細を見ても、パソコンが使われておらず、手書きのものがたくさんあります。普段は、納品先は少数なのだろう、と想像できます。

 致し方ない、と言い切れたのは、今回のことを、日本のスローフードに大変お詳しく、「食の街道を行く」の著者である、向笠千恵子先生が支援して下さることになった時です。 

 地酒に詳しいどころか、地酒に一生を捧げたような人と交流があるので、蔵元さんの数が寂しければ口説きましょう、と。有り難いです。

 その御蔭様もありまして、だんだん申し込みも増えてまいりました。5/2が蔵元さんからの申し込みの締切りですが、締切日を待たずに、寂しくはないところまで、増えています。

 後は、試飲者の数が適当な数で、かつ有力なバイヤーさんが来て下さるか。

 それと、プレス・リリースもして、少しはメデイアに知らせようと思っています。なにせ、三社祭を中止したことで、浅草は「凹む東京」の代表になった観があります。

 凹んでばかりはいないぜ、という辺りを、その三社の日にお示ししたいと存じます。

 守ろう、東北のSake! 

 示そう、ニッポンの絆!

追伸

 仙台牛メニュー提供しています。普段より高い値段で、お買い求めいただき、利益を被災地の畜産関連団体に贈ります。弊社も利益の一部を供出いたします。

 その仙台牛ニューに、寄席文字の橘右之吉師匠(@unokichit)の「がんばろう日本」千社札シールを貼り付けたら、売れ行きが格段に上がっています。さすが伝統の文字。

 在庫が少なくなってきましたので、早めにご来店を。

 なお牛は、宮城県登米市・千葉正憲牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号=03686-13232。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて428連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

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ぼやき部屋

 3/8に京都三条寺町の「三嶋亭」さんで開催した、第八回「すきや連」の写真が届きました。あの楽しかった夜は、つい先月の事なのに遠い昔の話しのようです。

 その写真には手紙が同封されていました、「住吉さんも、今ふんばって下さい。」との「三嶋亭」M社長からの激励文です。有り難いです。

 このように震災以来、激励やら応援やらをいただけるのは、連日私が弊ブログやツイッターで、店の状況をボヤいているからですが、以前の私は、そういうことをまず言わない男でした。

 そういう可愛くない自分を少し改造しようと思い、去年の3月に弊ブログを始めたおりに「ぼやき部屋」というカテゴリーを設けました。

 でも、こんなにボヤくことになるとは、勿論、思ってもみませんでした。

 しかしボヤき出したら、有り難いことに、多数の皆さんが、余震の中・停電の中、弊店へお出かけ下さり、激励やら応援やらをして下さるようになりました。

 以前の私なら、

「頑張って!」とか「応援してるよ!」などと言われた時には、

「いやあ、ポチポチやって行きますよ!」とか

「まあ、潰れない程度に頑張りますよ!」とか返していました。

 どうです?可愛くないですよね。

 それから1年と少し。この年にして初めて、激励・応援に、心から素直に御礼が言える自分を見つけました。

 ブログ400日目の今日申し上げます。

 皆様の御厚情に心より御礼申し上げます。

 これからも、まあ、潰れないように頑張って参ります?!

追伸①

 雑誌「ノジュール」2011年4月号に載せていただきました。「50代からの自分ライフを格好よく!」というコンセプトの雑誌です。

 その「ザ・東京めし これぞ江戸の味!」というコーナーに載せていただきました。

 JTBパブリッシング社より発行。定価750円だとか。

追伸②

 仙台牛メニューの提供を開始しました。普段より高い値段で、お買い求めいただき、利益を被災地の畜産関連団体に贈ります。弊社も利益の一部を供出いたします。

 宮城県登米市・千葉正憲牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号は03686-13232。

 美味しく食べて被災地支援を!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて400日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 こういう時節ですので、ひっそり400日を迎えました。500日の頃には、派手に祝えるようになっているでしょうか。

 あ、でも、お祝いのメッセージとかは歓迎してますよ、勿論。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

 震災不景気でヒマなのでTwitterのリストを作りました。リアルに面識のある方々だけが載っているリストです。覗いてやって下さい。

 

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