ネギの東西

愛知県蒲郡市出身の方と、すき焼きについて話していた時のこと、

地元のすき焼きに入れるネギは青ネギでした!

とおっしゃいます。

そもそも愛知県は、すき焼きの東西の境目で、関東式のすき焼きと関西式のすき焼きとが混在している県ですが、その中でも蒲郡はかなり東にありますから、ネギは関東に多い白ネギかな・・・と私は勝手に思っておりましたが、ネギは青ネギでした!とおっしゃいます。

ほお、蒲郡でも青ネギでしたか。

この件が気になって、その後ネギの分布を調べてみましたら、やはり愛知県はネギの面でも「混在県」でした。

名古屋のうどん店では、きしめんの薬味として白ねぎと青ねぎの両方を用意している所があるとか。面白いですね。

岡崎は名古屋より東、蒲郡の隣ですが、「法性寺ネギ」という伝統野菜があって、品種は関西の九条ネギに近い青ネギだそうです。

一方、名古屋の西の津島市や江南市には、やはり「越津(こしづ)ネギ」という伝統野菜があって、これは品種自体が東西の特徴を合わせ持っているとかです。

ところで、ネギ独特の辛みと香りの成分は硫化アリルという物質が原因ですが、それは白い部分に多く含まれています。

だから関東式のすき焼きの方が、よりネギの存在感が濃いすき焼きだと言えます。

そして、その中でも最初にネギを炒める「ちんや」式は、ネギネギ感が高いすき焼きだと申せましょう。

関東式ファンの皆様、是非弊店へお出かけを。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
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35歳の少女

テレビドラマ『35歳の少女』で主役の35歳の少女・望美を演じている、柴咲コウさんの演技が素晴らしいと評判のようです。

望美は10歳の時に自転車事故が原因で昏睡状態となり、25年後に目覚めてドラマが始まります。私は女優さんの演技の良し悪しは分かりませんが、望美が自転車に乗った理由が、すき焼きに入れる豆腐を買いに行くためであった点が気になります。

望美の母・多恵(鈴木保奈美さん)は、すき焼きをするというのに豆腐を買い忘れました。ところが妹の愛美(橋本愛さん)が「お豆腐食べた~い」と駄々をこねたので、望美は買い出しに走り、乗った自転車のブレーキが壊れていたので、事故→昏睡となったわけです。

さてさて、すき焼きに豆腐はゼッタイに必要なアイテムか、

そして、家族の一人が「ゼッタイに要る」と思っているのに、それを母が忘れるものか。

歴史的には、豆腐は、すき焼きのチャーターメンバーではありません。

初期の牛鍋は肉とネギだけでしたが、牛鍋が多様化・高級化する中で入ってきました。

ネギ・白滝・キノコ類は繊維質、春菊は繊維質+彩と必須アイテムですが、豆腐については、肉の旨味を吸わせる目的ですね。卵には当時「ゴージャス感」がありましたが、豆腐にはありませんでした。

要するに、豆腐は、なんとなく、すき焼きに参加しているのです。だから多恵が忘れるというのは自然な感じがあります。

このストーリーを描いた脚本家の遊川和彦さんは著名な方だそうですが、すき焼きの変遷を把握した上で、こういう本を描かれたのであれば、見事な仕事ぶりです。

一方、愛美は「お豆腐食べた~い」と言い張りました。

何故だろう、そこが私は気になります。

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記念写真コール

「あさくさ食たび」に出演させていただきました。

「あさくさ食たび」とは、浅草の料理人がオンライン講義で、全国の皆様に「浅草の食の道案内」をするというもので、浅草の店主たちが連続して出ています。

「食たび」の特徴は、もう一点あります。必要な経費をクラウドファンディングで調達した点です。コロナで苦戦する浅草の料理屋を救え!ということで、CFによる資金調達は好調だったと聞きます。在り難いことですね。

で、話した内容ですが、それは、まあ、いつもの私の話しです。

・「ちんや」の「ちん」って何?なぜ浅草にあるの?

・「適サシ肉」って、他の肉とどこがどう違うの?

・結局おいしい肉って、どういう肉?

といった辺りですから、弊ブログの読者の皆さんには新しい話しではないですが、こういう機会に新しい方とご縁が出来れば嬉しいことです。

最後は、パソコンのZOOMの画面で皆さんと記念写真。コールは、

しょ・く・た・び!

す・き・や・き!

にしたいところでしたが、今回は遠慮しました。

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TKG

TKGって、何の略かご存じですか?

東京個別指導学院のことではありません。

先日例によって「すき焼き」でリアルタイム検索をしていたら、

“通”はな、すき焼きの卵はごはんに乗せて割下かけてTKGにすんねん

というツイートが出てきましたが、ここで言うTKGとは、

卵かけごはん の略ですね。

昨今の卵かけごはんブームは2005年に第一回「日本たまごかけごはんシンポジウム」が開催され、2007年に『365日たまごかけごはんの本』が刊行されたことで拡大したようです。TKGという略し方は、この『365日』の時に始まった模様です。

そして、そんなブームが来る以前から、すき焼きの後の卵かけごはんが美味しいことは、誰もが知っていました。

「ちんや」は2016年より、この卵の中にカレーを少し入れることが推奨しております。

辛み・旨味・甘味が一体になって、かなり美味だと思います。カレー粉をそのまま入れると喉を通過する時にむせるので、いったんオイルに溶いてから卵に入れると良いと思います。

さらに、難易度が上がりますが、肉の塊を、すき焼きの割り下に漬けた後、ローストビーフにし、それを切ってご飯に載せ、さらに溶き卵をかけて食べると最高です。

お試しあれ。

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万能説

先日もネットで「すき焼き」と検索していて発見した御意見ですが、

「すき焼きのたれ」調味料として万能説。

こう思っている方、多いんですよね。

「ちんや」の割下は、残念ながら「ちんや」の肉に合うようになっており、何にでも合うとは考えておりません。この割り下は非常に甘辛味が強く、出汁が入っていませんので、これにバランスする食材は、そう多くないだろうと思います。

万能説を信じて無理に合わせた場合、食材が割り下に負けて、妙に甘っ辛い物体に感じられてしまいます。

日頃「ちんや」は、この割り下に合う肉を探して仕入れておりまして、順番としては、

まず割り下在りき

なのです。そのくらい個性の強い割り下だと思っています。

まず肉在りき

だと思っている方がおいでですが、肉が変わるたびに割り下を作り変えていたら大変です。それに正月に食べに行った時と、お盆に食べに行った時とで、割り下の味が変わったら、お客様は困りますよね。

で、

割り下在りき

でして、その割り下の個性が強いので、「万能」とは思っておりません。悪しからず。

追伸、10月26日の「あさくさ食たび」に出演させていただくことになりました。「あさくさ食たび」とは、浅草の料理人がオンライン講義で、全国の皆様に「浅草の食の道案内」をするというもの。視聴ご希望の方は、こちらです。

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腹痛

毎日「すき焼き」でリアルタイム検索をしていますが、ある日、

「すき焼きの後いつもお腹痛くなるの卵?」

というツイートを発見しました。

いや、違うと思いますよ。

生卵=サルモネラ菌=腹痛

と考えておいでかもしれませんが、サルモネラをもらった場合は、

「吐き気・腹痛(下腹部)・38℃前後の発熱・下痢など。 (重症の場合、致死率0.2〜0.5%)長期にわたり保菌者となることもあります。」

というシビアな症状が出ます。生易しいものではないですので、おそらく違うかと。また日本の卵は非常に厳しく品質管理されているので、「すき焼きの後いつも」という高い確率でサルモネラをもらうとは考えにくいです。

私の想像では、

融点の高い飽和脂肪酸をたくさん摂りこんだので、胃腸が消化しづらくて嫌がったのだろうと思います。そういう方、結構、多いのです。

すき焼き用の肉として売られている肉は、世間では「見栄え重視」で用意されていることが多いです。ボリューム感とピンク色を重視→若いオス牛のリブロースなどがすき焼き用ということになっています。

若いオス牛のリブロースであれば、脂の中に融点の高い飽和脂肪酸がたくさんあります。(「ちんや」の場合は見栄えは重視せず、長期肥育したメス牛の肉なので脂の融点が低く、脂の量自体も4等級なので控えめです)

それを胃腸が嫌がったのだろうと私は想像しますね。

ツイ主さん、一度「見栄え重視」で肉を買うのをやめてみてはいかがでしょうか。そうしたら痛くならないかも。

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卵の溶き方

10月13日21時放送の、BS日テレ『和牛の町×ごはん』

に出させていただきました。

この番組は雑誌dancyuの植野編集長が監修・出演しておられるのですが、その植野さんが番組の中で、すき焼きの卵の割り方について、面白い方法を推奨しておられました。

卵の黄身を溶き過ぎず、「2回程度」と中途半端とも言える溶き加減にしておこうと言うのです。それで、

肉は黄身

野菜は白身

で食べようという方法でした。使い分けるために完全に溶かない方がよいとお考えのようです。

弊店も含め一般的には、より徹底的に溶いて=クリーミーにして、具材と卵が絡むようにすることが多いですが、その「一択」にしない方が食の楽しみが広がると言われれば、それはその通りですね。

ネット上では、卵を「溶く派」と「溶かない派」が論争しているのを見つけますが、論争するよりむしろ、どちらかに決めないで、色々やってみるのは良いことだと思います。

思えば、私が「適サシ肉」を提唱したのも、「A5対赤身」の対決にウンザリしたからでした。

もっと、色々試せばよいのに!

という発想を、肉以外にも広げると良いのかもねと思いました。

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リハーサル

10月26日の「あさくさ食たび」に出演させていただくことになり、昨日はそのリハーサルの日でした。

「あさくさ食たび」とは、浅草の料理人がオンライン講義で、全国の皆様に「浅草の食の道案内」をするというもの。浅草の料理屋の店主が連続して出ています。

私の前の講師は「駒形どぜう」のご主人でしたが、いつも以上に絶好調のトーク。司会の「ゆいろ」ユリさんの相槌が上手いので実に滑らか。

滑らか過ぎて、聞き取れないのでは?と心配になるくらいでした。人がご機嫌に話している様を視るのは悪くないものです。

で、私の番ですが、肉の具体的な話しは、コ難しんですよね。滑らかというわけに行きません。

不飽和脂肪酸とか、脂の融点とか、個体識別番号とか、

私の場合は、相槌はむしろ、

ん、んん?

ええっと、ちょっと、わかんないんですけど・・・

といったリアクションを入れていただくことにしました。

内容がコ難しいのに、司会がサラサラと進んだら、視聴者の方は置いて行かれたと思ってしまいますからね。

さて、どうなりますやら。

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分からなければ

「大阪都構想」の住民投票について、某政党が

分からなければ反対を!

と呼びかけて炎上したようです。住民が分かるように説明してまわるのが政党の役割なのに、それを放棄しているように見えるからです。私もそう思います。 

しかし自分のこととなると、

分からなければ買わなくていい!

と叫びたくことがありますね、絶対言ってはいけないセリフですが。

このブログを始めて10年半、

自分が美味しいと思う肉について説明を繰り返してきましたが、

世間には牛の産地にしか興味の無い方が多いです。

そういう方は産地にしか興味がないので、本当に肉の美味しさに関係のあることがらには興味を示して下さいません。牛の性別、血統、肥育期間、重量などや、肉にした後の熟成方法が美味しさと関係あるのですが、それらの説明はスルーされ、「♡♡牛」だけ記憶に残るようです。

一般人もメディアの方もです。日本人のブランド信仰は、かくも根強いのです。

ある著名な評論家の方が、ブランド牛なんか、ちっとも旨いと思わないとテレビで言うと、必ずカットされると言っておられました。ブランド牛の販促事業に大手広告代理店がかかわっているからです。

分からなければ買わなくていい!

いや、いや、そう言ったら立憲さんに成ってしまうので、私は口を慎みます。

追伸、10月26日の「あさくさ食たび」に出演させていただくことになりました。「あさくさ食たび」とは、浅草の料理人がオンライン講義で、全国の皆様に「浅草の食の道案内」をするというもの。視聴ご希望の方は、こちらです。

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大晦日

本日は今年の三社祭の日ですが、神輿を担ぎまわることはありません。

神輿一基が車に乗って巡行します。その現在地は「密」を避けるため公表しないことになっております。ご了承ください。(公式情報は、こちらです)

「ちんや」は平常通り営業致します。

さて最近弊ブログにコメントをいただきました。大晦日のすき焼きについてのコメントでした。

「父方の祖母に話を聞いたところ、祖母が子供の頃から大晦日に食べていたそうです。そして、その詳細を聞くと「戦前曽祖父(祖母の父)が御徒町で商売をしていた頃、浅草の「ちんや」という肉屋で使用人(小僧さん)がコマ切れ肉を買ってきて皆んなですき焼きを食べたのが始まりとのことでした。」

「昨日私が聞かなければ、この事を祖母から聞かないままだったかもしれません。毎年必ず大晦日にはすき焼きを食べています。今年の大晦日は家族で食事に行くか、すき焼きにするお肉をちんやさんで購入させて頂けたらな…などと考えております。」

嬉しく在り難いコメントをありがとうございました。弊社は「毎年大晦日はすき焼き」という方々に支えらえているのだなあとあらためて実感しました。

今でも大晦日まで肉の販売をさせていただいており、以前ほどではないものの、忙しくさせていただく日です。引き続き、「大晦日にすき焼き」を続けていただきたいと思うと同時に、今年については密集対策を講じないといけません。

12月に入ったらすぐ全会員さんにDMを送り、極力受け取り予約をしていただくようお伝えする予定です。

配送もできるのでご案内します。年末押し詰まっての配送はできないのですが、28日着とか少し前に着けるのでOKな方にはお送りします(ただしその場合冷凍配送になります。生で受け取りたい方は、やはり予約受け取りになります)

どうぞ、本年もよろしくお願いいたします。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
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