すき焼きの歴史と現在~若き料理屋さん達のために⑩
全国料理業組合「芽生会」関東甲信ブロック会議で、すき焼きについて講演することになりました。
「芽生会」と申しますのは、各料理屋さんの若手後継者の集まりです。講演場所が同業の名店「太田なわのれん」さんなので、正直かなり話しづらいですが、若い料理屋さん達の参考になりますよう、頑張って原稿を準備しました。
ここでも公開していますので、ご覧下さい。
長いので5/12から5/21まで10回に分けて公開して来ましたが、本日が最終回です。
<以下本文>
さてさて、最後になりますが、なにしろ様々なことが色んな意味で、色々に多様化しているのが現代だと思います。
ですから、すき焼き業界も多様化し、お客様に食べ比べていただけば良いと思いまして、ある時調べてみましたら、実は既にすき焼きは結構多様でした。色んなすき焼きのことを知れば知るほど楽しいんです。その見本が、今日の会場の御店「太田なわのれん」さんですね。
では、どうやって、色んなすき焼きを知るようになったか、ですが、それは9年ほど前に遡ります。その頃向笠千恵子先生が『すき焼きものがたり』を雑誌に連載なさる、というので、そのスポンサーに成りましたら、その本に載ったすき焼き屋で集まって宴会しようという話しになりました。それが『すきや連』というグループの原型です。
その後14回の会合を重ねてまいりました。当時BSE問題の後で、「ライバルの足を引っ張っている場合じゃない」という意識がすき焼き屋同士を仲良くさせた、と考えております。
その連載が編集されて『すき焼き通』という題名の単行本に成りましたので、勢いに乗って、『すき焼き通の日』を制定しました。『すき焼き通』の刊行日だった毎年10月15日が、その日なんですが、日本記念日協会さんに公式認定してもらいました。
また、この楽しさを一般の人にも知っていただこう、と『すき焼き通検定』試験を実施しています。これは本当に試験でして、「大人の食育」と言っても良いものだと思っています。既に90人ほどが合格なさいました。だいたい、ですね、人に試験をするって実に良い気分でして、皆さんもトライしてみて下さい。
以上、この段では最近私がやって来たことを色々散文式にお話ししましたが、ネットをはじめとする技術が進んだから、何か違う方向に向かい始めたわけでは勿論ありません。手前どもの方向性は「商品としてのすき焼き」の段でお話しした通りです。
ネットは、そう方向性を強化するのを助けてくれる、そういう利器が使えて面白い時代に成った!と思っております。
繰り返しになりますが、すき焼きは「生活不用品」ですので、売りやすくはございませんが、日本に日本人の歴史が在る限り、「すき焼きの思い出」という商品は売れます。そして、そうすることで私はじめ働く者がハートに暖かい気持ちを持って働くことが出来ます。
今後も、新たな作戦を考え出しつつ、しかし方向だけは間違えずに進んで行きたい、そういう強い気持ちを、ただ今私は抱いております。
私も若い頃は、どういう店にしたものか、思い悩んだものですが、今は時計の針を戻せたとしても、この方向だろう、と思っております。
そのことを本日皆さんにご紹介できまして、大変光栄に思っております。時間も時間ですし、御後は楽しい宴会で、よろしいようでございますので、この辺りにて終わらせていただきます。
皆さん、お忙しい中、遠路お集まりいただき、また長時間の御清聴、誠に誠に有り難うございました。最後になりましたが、皆様の御店のますますの御繁盛を祈念いたしまして、今日の話しを終わります。有り難うございました。
<これにて長かった、この話しも終わりです。10日間の御愛読ありがとうございました。>
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は351人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.174日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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