街コン

「粗コン」=「街コン」の粗悪版が開催されている、と報道されています。

まずここで念のため「街コン」についてご説明申しますが、

「街コン」とは、街ぐるみの、非常に大規模な合コン・イベントです。最低でも100名、大きなものでは3.000名近い男女が集まるようです。

ルールとしては同性2名以上が一組となり、開催地区の何軒もの飲食店をまわります。一定の料金を払うことで、食べ歩き・飲み歩きが可能になる、というもので、店で相席となった異性との「新たな出会い」が楽しめる、というわけです。

このイベントが「飲食街活性化」「地域活性化」の起爆剤になる、ということで、最初は宇都宮市で「宮コン」が04年に開催され、その後「活性化」を目指す各地の人々が開催して来ました。

こうして「街コン」は、年々大規模化して来ましたが、ここへ来て「曲がり角」に来ている模様です。

当初は、純粋に「活性化」をしたい地元の人々が主催してきましたが、やがてこのイベントをビジネスとして展開しようとする人が現れ、それにつれて次第に粗悪版が開催されるようになったようです。

この状況を憂いて、初期から携わっている人々が、最近「社団法人日本街コン協会」を結成しました。協会のサイトには

「既に開催地域によってはビジネス目的の主催者やコンサル会社への苦情なども実際に起きており、このままでは「街コン」の悪評やトラブルが起こり、真摯に「飲食街活性化」を目指している主催団体も巻き込まれるのは時間の問題だと感じております。」

「その対策として「街コン」本来の目的を啓蒙して「街コン」ブランドの維持、モラルハザードの阻止を推進する全国組織の形成が急務であると考えております。」

とあります。

しかし、元々は「街コン協会」の人達と協働していて⇒最近分派した反対派の側も「全国街コン協議会」を結成しており、双方が「街コン」「宮コン」といった名称を商標登録し合うという泥沼状態に陥っているようです。

私に言わせれば、このイベントをビジネス化するのは、そもそも不可能だったと思います。

だって、何十軒もの飲食店が安い貸切り営業に応じるなんて、よほど不景気な経済の下でしかあり得ません。そんなのに応じるのは集客に悩む残念な店だけです。

なにしろ、街コンの参加費は男子6,000円、女子4,000円程度なのに、その内会場となる飲食店に払われるのは一律2,500円~3,000円程度なのだそうです。「赤字だけど、PRだから仕方ない」と嘆きつつ参加している店も少なくないとか。

その結果、新宿の「街コン」に参加した経験のある男性が言うことには、

「出される料理が枝豆や乾きものばかりでがっかりしましたよ。これじゃ店のリピーターになりたいとは思いませんよね」

当に「粗コン」。

これでは店のPRには成らないと思いますよ、私は。

しかし「街コン」の誘いには、集客に悩んでいない好調な飲食店も参加していたようです。地元の有志が、「街コンで飲食街活性化を!」と手弁当で奔走しているのを見て、顔見知りなだけに断れなかったのだと思います。

このイベントの迷惑性を中和してきたのも地元の人々です。大勢の若い男女が乱痴気騒ぎを繰り広げるわけで、しかも「街ぐるみ合コン」ですから、路上で大声を出したりします。

これまでそれが問題に成らなかったのは、地元有志がなだめて回ったからでしょう。相当な御苦労であったと拝察申します。

しかし今や、熱い有志による運営という前提は抜け落ちてしまい、商売ベースの「街コン」が全国に輸出されているようです。

この調子ですと、いつまでも盛り上がらないと思いますけどね、申し訳ないですが。

商標登録しても「街コン・ブランドの維持」「モラルハザードの阻止」は難しいでしょう。日頃食品や工芸品のブランドに接している目で拝見しますと、いかにもブランドが緩く出来ていて、ブランドとは呼びにくい位です。よくまあ、特許庁が商標を許したもんです。

「街コン協会」側は「街コン4ヶ条」なるもの制定し、「街を知る者が主催している」「街と連携が取れている」「街に賑わいをもたらす規模である」「街の幸せを目指している」~ことをブランドの要件にして行きたいようですが、私には、どうにも技術的にアバウトに見えます。

実際問題、ここまで泥沼化してしまいましたので、今後の発展はかなり困難と思います。

でも、各地の商店街が疲弊する中で「飲食街活性化」は是非やりたいことですね。

全国の商店街の皆さん、飲食店の皆さん、この騒動の経過を注視して、次回何か事を興す時の参考にして欲しいです。

「街コン」関係の皆さん、御愁傷様でした。

追伸①

藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は336人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.072日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

 

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM
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