肉屋の醤油

 「ちんや」の精肉売店で、醤油を売り始めました。今後、その他の調味料も売ることを考えています。どうも、肉屋が肉だけを売っていればOK、という環境ではなくなってきたので、そうした次第です。

 どういうことかと申しますと、今世の中には、「出来合い調味料」がやたらと増えてきていますが、正直、私の味覚からすると、残念なものばかりです。それに添加物がたくさん入っています。

 そういう調味料を「ちんや」の肉にかけていただいたら、困るのです、ハッキリ申して。それで自分で調味料を売ることにしました。

 「出来合い調味料」は、たいてい大手メーカーが、採算性を重視して製品づくりをするので、どうしても残念な出来ばえになってしまうようです。製品の開発段階では、当然コスト・パフォーマンスが考慮されますが、その時に日本の伝統技術の「こだわりの工程」が削られてしまうことが、多いようにと思います。

 特に醸造の世界に、それが見受けられます。醤油・酢・味醂などでは、醸造工程を短縮する研究が進んでいるようです。醤油を熟成させる、などという工程は時間のムダ、ということで、どんどん廃止されている模様です。

 そこで! 「ちんや」では、しっかりと熟成させた醤油に限って、品揃えをすることに決めまして、まずは4点を売り始めました。それ以前に、当然「本醸造」です。

 「ちんや」では、肉を熟成させることを重視していますから、「熟成つながり」です。実は肉の熟成と、醤油の熟成は、化学的には別の現象ですが、まあ、そういう話しは後日にするとして、今日は、商品名をお知らせします。

・ヤマロク醤油(小豆島)の「菊醤」本醸造、3年熟成。旨味の強い丹波黒豆を、杉樽で仕込んだ醤油です。インパクトのある塩味と深い旨味がバランスしています。

⇒刺身に。寿司に。焼き魚にも。

・有田屋(上州・安中市)の「再仕込み醤油」 本醸造、3年熟成。食塩水を使わず、別に仕込んだもろみを加える「再仕込み」工程が特徴です。非常に濃厚。塩分少なくやや甘味を感じる。

⇒「ちんやの熟成肉」を、バター風味でステーキした時に、ほんの少しだけかけていただきたいです。納豆にも。

・堀河屋野村(紀州・御坊市)の「三ツ星醤油」 本醸造、2年熟成、味醂入り。

⇒肉じゃが、角煮などの煮物に最高です。生姜焼きにも。 

 ・藤野醤油(紀州・那智勝浦市)の「有機こいくち醤油」 本醸造、2年熟成。有機栽培認定された豆だけを使っています。クセの無い、バランスのとれた御醤油です。

⇒豚肉などを、果汁などの酸味を加えて、ヘルシーに食べたい時に。

⇒冷奴につける。  

 なるほど、結構だね、でも安くないんでしょって? 

 それは、まあ、そうです、本物ですから。 

 では、その安くはない物をどんな方に買っていただきたいか、と申しますと・・・

①「ウチの子供が和食を嫌いで困るわ・・・」とお悩みの方はいませんか。それは貴女がお使いの醤油のせいかも。「ヤマロク醤油」で刺身!なら、「美味しい」と言ってもらえるかもしれませんよ。

②「義母がアタシの作る和食を不味いと言う・・・」とお悩みの方はいませんか。それは貴女がお使いの醤油のせいかも。本醸造で2年熟成の、「三ツ星醤油」で肉じゃが!なら、「美味しい」と言ってもらえるかもしれませんよ。

 それってアタシだ!と思った方、どうぞご検討を。

追伸

 弊店では肉を召し上がっていただく前に、牛の個体識別番号と生産県をお示ししますので、安心して国産牛を召し上がっていただくことができます。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて508連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:01 AM
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