厚遇

なるほど、そうやるのですねえ。

ビジネスマンの皆さん、参考にするべきですよ。

小浜さんがどうやってアベさんを接待したのか。

ご機嫌のアベさんは随分たくさんの約束をして帰って来たようですが、このブログは食べ物ブログですから、合意内容の是非を議論しようとは思いません。

でも、いったんdeepに接待されたら、後が大変だというのは一般社会でも常識でしょう。

テレビで関西のお笑いタレントさんが、

自分が店に入って、店員が揉み手で出て来て、あんなに「ふと客扱い」されたら、自分だったら一体いくら取られるのかと気味悪くなっちゃうだろうね!

と言っていました。

今後のアベさんは大変だろうと思いますが、もちろん私には関わりの無いことです。

さて、今回使われた手法を三つだけあげておきましょう。

・自分の聖域にご案内する。

今回の行き先はリンカーン記念堂でした。私が接待主なら三社様へ連れて行くのが良いということになりますね。それも今回のようにサプライズで。

楽しませよう!という意識が先行すると、オモシロ・オカシい所へ連れて行こうと思ってしまいますが、むしろ真面目な方が効くということです。

・先方の地元の文学・芸能を研究しておく。

今回は俳句と、ミシェルさんのドレスがこれです。

「わたしは、俳句を詠んだ初めての大統領だと思いますよ」などと言われたら気分良いですね、たしかに。

・先方の地元の酒を用意する。

これは日本人同士の接待に使えます。先方さんの地元の地酒を用意しましょう。「ちんや」では有料ですが、酒の持込が可能ですので、相手に合せて持って来ていただくことが可能です。

ビジネスマンの皆さん、参考にするべきですよ、「ふと客」を接待する場合に。

追伸

『日本のごちそう すき焼き』が、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

是非是非お求めください。

弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.896日連続更新を達成しました。

 

 

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シラタキを残さずお召し上がり下さい。

シラタキを残さず食べていただきたいです。

何故なら肉は酸性食品の代表なので、アルカリ性食品を同時に摂るべきだからです。

既に1890年頃スイス・バーゼル大学の生理学者・グスタフ・フォン・ブンゲが、肉を食べると体が酸性に成ると言っていたそうです。

シラタキの素である、こんにゃくはph値が約11と、強アルカリ性の食べ物です。これはヒトが美味しいと感じる領域(ph3~8)を外れるほどの強さで、実際、そのまま食べると美味しくありません。

それで食べるときは下茹でして灰汁(あく)抜きをするという手間をかけているのです。

これを食べれば、アルカリが摂れます。まったくすき焼きの具というのは良く出来ています。

それに、シラタキは食物繊維です。「グルコマンナン」とかいう食物繊維で、非常に消化しにくく、これが腸内の老廃物と一緒に外へ出てくれるのです。

スッキリ♡

でも肉が美味しくて、おかわりした時とか、酒をぐびぐびと行ってしまった時とかは、おなかがいっぱいになって、シラタキを残してしまいがちですね。

特に「ちんや」の割り下は熟成肉に合うよう、味が甘く・濃いですから、味の無いシラタキとのバランスが良くないかもしれません。

そういう場合は、七味をリクエストして下さい。浅草の「薬研堀」さんのを用意してあります。

そう、きんぴらと同じ理屈で辛みを足すと美味しく食べられるのです。

カレー粉もかなり美味しいです。

どうぞ、シラタキを残さずお召し上がり下さい。

追伸

『日本のごちそう すき焼き』が、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

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聖徳太子

4月のある日レジ〆をしていたら、

聖徳太子の壱万円札が出てきました。しかもピン札。

これは珍しい!

と思い、デジカメで撮影してFBにUPしますと・・・

なんとなく威厳がありますよね。

なんか重みのある一万円札ですよね。。。。

なんだか懐かしいです

懐かしい!

今時の財布に入らへん。

使った人の男気(女性なら申し訳ないけど…)に惚れた!

・・・そんな中で学校の同期生からは、

大学1年の時に変わったんでしたっけ。(*^_^*)

そうです、そうです、福沢先生のお札は1984年醗酵開始、いや、発行開始ですから、私達が大学1年在学中のこと。

あの時代を懐かしく思い出すのと同時に、もう30年以上たったのだなあとも思います。

1965年生まれの私達は、聖徳太子で生きていた期間より福沢先生の方が、もう長く成ってしまったのです。ひととき感傷に浸ってしまいました。

それにしても、なんでお使いになったんだろう?

「ちんや」なら大事にしてくれそうと思って下さったからでしょうか。いや、

ヤフオクで売っても高く売れないことに気づいたからかな。

あ、それは私も今回調べて初めて知ったんですけど・・・

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

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三十一文字

ツイッターで俵万智さん(@tawara_machi)のツイートを発見しました。

「今日はプチ贅沢ですき焼き。興奮した息子と同級生男子が、肉の煮える匂いだけで一膳食べてしまった。 」

おや、サラダ専門の方かと思っていましたが、すき焼きもなさるのですね。

でも、「匂いだけで一膳食べてしまった」後、肉がどうだったのかについて言及が無いです。

短歌同様に、そこは想像せよということなんでしょうか。

うーん。

それにしてもツイッターでの俵さんの自己紹介が面白いです。

「短歌を作っています。ふだん三十一文字なので、ここはとても広く感じます。」

これを読むと、自分が言いたいことを1ツイートに収めようとして四苦八苦している、自分の文才の無さが良く分かります。

ここで一句!

この味がいいねと君が言ったから五月六日はすきや記念日

文才、まったく無し。

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

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40年ぶり

ある日のこと、その当日を「記念日」として登録なさったお客様がおいででした。

弊店の会員さんは、入会する時にご自分の「記念日」~例えばお子さんの誕生日とか結婚記念日とかを1日選んで「ちんや」へ登録することが出来まして、その日は割引率が普段の倍になるのですが、その「記念日」として、当日を登録した方がおいででした。

何の記念日かと思ったら、

「ちんや」来店日(40年ぶり)

と申し込み用紙に記入されていました。

これは実に在り難いことです。

銀座のクラブは、1カ月行かないとボトルを没収されますが、ここは浅草です。

ご縁は、途切れません。

追伸

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まちかど展示館

「伊場仙まちかど展示館」で開催されていた展覧会「花華・きもの 今様12ヶ月」を観て来ました。

伊場仙(いばせん)さんとは「東都のれん会」で御一緒しますが、実は、1880年創業の弊店が「御一緒」とは言いづらい気分もあります。なにしろ伊場仙さんは1590年ご創業だとかで気が遠く成る歴史です。

初代は浜松の商人・伊場屋勘左衛門で、徳川家康と共に江戸へ上がって来たそうです。

現在の主力商品は、うちわ・扇子・カレンダーですが、江戸時代は浮世絵の版元でもあり、初代豊国・国芳・広重などの作品を世に出しました。

「伊場仙版」の作品は大英博物館・ボストン美術館・メトロポリタン美術館・ヴァンゴッホ美術館などの海外の著名美術館にも収まっているとか。ひええです。

さて「まちかど展示館」の方では、スゴい御作品というよりは、ややカジュアルな展示をしています。今回は、

伊場仙版・豊国「今様12ヶ月」を、現代のイラストレーターさんがトリビュートして美人画にする、というもの。

イラストレーターさんは全員女性で11人。日頃は、和装雑誌や時代小説の挿絵、手描き友禅などを手掛けておいでだそうですが、今回は豊国をテーマに四季折々の着物姿の美人画を描きました。

大変結構な展示で、イラストレーターさん達ご自身も着物姿で会場に見えていました。

眼福のひとときでした。在り難うございました。

追伸

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郷土・資料調査室

台東区立中央図書館の郷土・資料調査室に行って来ました。

昨年出版しました『日本のごちそう すき焼き』を寄贈したいと申し出ましたら、収蔵して下さったので、館長さんにその御礼を申し上げるためです。

中央図書館に着きましたら、まずどの棚に在るのか確認しないといけませんが、検索用のパソコンが置いてあって、すぐ調べられます。

検索しますと、分類番号は「郷09」。「郷」というのは郷土・資料調査室のことです。

『日本のごちそう すき焼き』は、題名通り、日本のごちそうである、すき焼きについて書いた本なのであって、郷土資料ではないです。

たまたま著者の一人として私が加わっているだけなのですが、その本人=区民が寄贈を申し出たので、「郷09」に成ったと思われます。

それはマズいね。抗議すべきだ!って?

それがですね、台東区の郷土・資料調査室はメッポウ面白いのです。

へえ、こんな面白い資料があるの!

というのがゴロゴロと置いてあります。

その資料の中核は、昭和52年(1977年)に浅草観光連盟によって設立された「浅草文庫」です。

「浅草文庫」は設立後やがて東京電力さんの支援を受けるようになり、合羽橋本通りに在った「テプコ浅草館」で保存展示されてきました。

「テプコ浅草館」は、浅草の歴史・風俗を学べる、なかなかなミニ博物館だったのですが、2011年3月11日に東電さんは、そんな博物館を運営している場合でなく成り、あえなく閉館。

で、資料は台東区に寄贈されて、今中央図書館内にあります。

そういう次第でこの資料室は大変充実しています。テプコ時代に比べると、かなり狭いですが展示室も在って、この日は「百貨店の時代―昭和初期の上野松坂屋」という企画展をやっていました。

当時の広告チラシは実に面白いものでした。

皆さんも是非一度お訪ね下さい。

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

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食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

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醤油本

「すき連」で旧知の高橋万太郎さんが醤油の本を出しました。

題名はズバリ『醤油本』。

オールカラー。写真豊富で立派な御本です。

万太郎さんは、醤油専門の店とウエブショップ「職人醤油」の創業者・代表で、「つくり手」と「使い手」の「つなぎ手」と成りたいという大変立派な方です。

この御本も、

醤油のことをもっともっと知ってもらいたい、

全国各地の醤油蔵の魅力と職人のこだわりや物語を知り、その味に触れて欲しい、

料理がより美味しくなる、醤油の楽しみ方を学んで欲しい、

ということで造られました。

拝読しまして、「高橋万太郎のきらめき蔵元探訪記」というコーナーが大変楽しく読めました。

万太郎さんは300以上の蔵を訪ねておられますが、その時のエピソードをまとめたのが、このコーナーです。

「魅力を感じる蔵元には、決まって魅力を感じる蔵人がいて、その魅力を感じるポイントが異なる」のだそうです。面白いですね。

社員が交代で調理する、体に良い給食が自慢だという蔵も在るとか。

こころ温まるエピソードの数々が読めます。

その他に、醤油の種類・製法などについて、お勉強になるページも勿論あります。

「玄光社」刊行。

ISBN978-4-7683-0617-8

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

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母の日に欲しいと思っているものは何なのか?

ネットで「母の日に欲しいと思っているものは何なのか?」を3,358人のお母さんに調査したそうです。結果がUPされていました。

そもそも「母の日」って、何かをプレゼントする日なんでしょうか。

アン・ジャービスのことを考えれば、この前提に?がありますが、やはり結果は気になりますので、見てみましょう。

花 58%

スイーツ55%

ファッション53%

コスメ47%

雑貨40%

家事お助け39%

「ちんや」では今年の「母の日」に、

父と子でお母さんの為にすき焼きをしよう!

という企画をする予定です。父と子で「ちんや」精肉売店に買い物に見えたら特典がある、というプランですが、その発想は、このアンケートでは6位なのですねえ。

それより腕時計やアクセサリーが欲しいんだとか。

うーん。

日本人は海外のイベントを商戦に衣替えするのが得意ですからねえ。クリスマスにしても、バレンタインにしても、そうですね。

なんか、イヤな感じ。

父と子でお母さんの為にすき焼きをしよう!

にしても、まあ、もちろん、商売ではありますから、あんまり人様の批判はできませんが、私の感覚の中では、廃れてしまった「女正月」の代用品のイメージです。

1月15日に「女正月」をするのは実際問題難しいので、5月にやりませんか、という御提案です。

お母さん、本当に腕時計の方が良いですか?

 

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

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食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

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福澤諭吉の衛生感覚

先日墨堤で開催された「第84回早慶レガッタ」では、我が義塾が4連覇を果たしました。

早稲田艇がコース外を進行したため失格!という、かつて聞いたことの無い事態でして、なんとも複雑な4連覇でしたが、何故コースを外れたのか、今日のところはさて置きまして、ところで同窓生諸君、

福澤諭吉先生の、食品衛生に関する感覚が、実はかなりワイルドだったことをご存じでしょうか。

先生は緒方洪庵の塾で学んでいた頃から肉食の経験があり、後には『肉食之説』という、肉食を推奨する文を書きましたが、その推奨の仕方がワイルドなのです。

当時肉と言えば「けがれたもの」という感覚です。その肉食を推奨するのですから、肉が特段けがれていないと主張しなければなりません。そこで先生は、

牛肉牛乳に臭気あるといはんか。

松魚(かつお)の塩辛くさからざるにあらず、

くさやの干物最も甚し。

先祖伝来の糠味噌へ螂蛆うじと一緒にかきまぜたる茄子大根の新漬はいかん。

皆是人の耳目鼻口に慣るると慣れざるとに由て然るのみ。慣れたる物を善と言ひ、慣れざる物を悪しと言ふ・・・

「しおから」と「くさや」は臭いを放つ醗酵食品の代表です。糠味噌もやはり醗酵食品で、その中にウジ虫が落ちた場合、微生物が分泌する酵素によって分解されてしまいます。

発酵食品の中は善玉菌が支配していて、悪玉菌が繁殖するのを許しません。それが「醗酵」なのか「腐敗」なのかは、その菌を人が好むか(善)好まないか(悪)の違いなのであって、菌がはびこっていることは同じです。

そういう状態の食品を古来日本人は好んできました。

一方の肉ですが、冷蔵庫のない時代ですから、肉の表面は、置いておけば腐敗が進みます。加えて、牛の屠殺の時に放血が不充分だったでしょうから、臭いはあったでしょう、かなり。

しかし繰り返しますが、腐敗も醗酵も起きていることは同じです。

旧弊の人々が嫌う目新しき物と似たようなものが、古来から在る物の中にも在るぞ、という論法は先生の得意とするところです。

醗酵食品にもこの論法を適用して、肉を嫌う者は、

畢竟人の天性を知らず人身の窮理をわきまへざる無学文盲の空論なり(!)

と断じています。

ウジ虫が落ちても糠味噌は平気で食えるぞ。みんな食って来たじゃないか!と言うのですから、相い変わらずイケズ・キャラ全開ですな、先生。

だいたい、先生は中津藩の下級武士でした。泰平の世に大人しく藩の御用を務めていれば、おそらく、白米、味噌汁、漬物、魚の干物などを常食して一生を終えたことでしょう。

それが何を血迷ったか、先生は緒方塾に入り、その頃には、彫りを入れた町のゴロツキと緒方塾の書生しか常連がいないような、アウトローな牛鍋屋に行くようになってしまいました。

思いまするに、世の中を変えるには、

白米、味噌汁、漬物、干物ではダメなんじゃないでしょうか?

ワイルドに行きましょう、同窓生諸君。

 

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

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