そもそも、すき“焼き”なのに、なんで肉を煮るのよ?!

肉の情報ポータルサイト「肉メディア」で私の連載が続いております件は、昨日の弊ブログに書きました。題して、

「大人のすき焼き教科書」。

シリーズ第1回が11/10にUPされ、第二回は本日11/24にUPされます。

今日ここでは第一回の分を転載致します。第二回をお読みになりたい方は、お手数ですが「肉メディア」を開けてご覧下さい。

<以下「大人のすき焼き教科書」①>

そもそも、すき“焼き”なのに、なんで肉を煮るのよ?! と。

そう思われている方も多いかと思います。では何故?

それは煮る場合に品温が摂氏100度を超えない点にあると私は思っています。

100度を超えない温度帯=80度辺りの温度であると牛肉から「ラクトン類」という有機化合物がたくさん揮発するそうです。これは桃やココナッツといった果物の好ましい香りを感じさせる匂いです。

その「ラクトン類」こそが所謂「和牛香」つまり和牛独自の良い匂いの正体だと、近年の研究で明らかにされたのです。

研究によりますと「ラクトン類」だけでなく香り成分の総量も、海外産の肉に比べて、圧倒的に和牛肉の方が多いのだそうです。したがって、牛肉を煮るという方法が和牛の一大特長である「香りが良い」という特長を最も楽しめる方法だと言えるのです。

どうも、焼き肉屋さんに行った時より、すき焼き屋さんに行った時の方が良い匂いがするような気がするんだよね……と感じて来たみなさまの鼻は節穴ではありません。その感覚を信じて生きて行かれることを強くお勧めします。

和牛肉を使用して、その香りを心行くまで堪能したいのであれば、肉は加熱し過ぎてはいけないのです。

そして推測ですが、すき「焼き」なのに煮る理由は、これだと私は信じています。

 

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大人のすき焼き教科書②

「肉メディア」で私の連載が始まりまして、シリーズ第2回が明日11/24にUPされます。

「肉メディア」は、「今までありそうでなかった、肉好きの、肉好きによるお肉の情報ポータルサイト」です。

お肉にまつわる各種情報、例えば、

・プロモーターさんやイベンターさんがこっそり教える、肉料理の名店紹介

・ニューオープンのお店の食レポ取材

を提供したり、イベントもやるそうです。例えば、

・有名ブランド牛を飼育している牧場の見学ツアー、さらには、

「あこがれのあの牛を一頭買い」つまりサイトの会員が出資して(「クラウドファンディング」)牛一頭を買い、それを会員だけで食べるのだとか。

これはなかなか面白い企画ですね。

このサイトの中で、私がすき焼きについての連載をすることになりました。

題して「大人のすき焼き教科書」。

で、その第二回が11/24にUPされる次第です。今回はすき焼きの歴史と関東風・関西風の話しです。

担当のメグ編集長には「個人的に、この回がとても面白くて大好きです。住吉さんの雰囲気やすき焼きへ造詣がすごく感じられて・・・」とお褒めいただきました。

どうぞ、お楽しみに。こちらから、ご覧下さい。

 

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うまいの?

肉に限らず、

○○(産地)というブランドって、うまいの?

と聞かれることがあります。

お答えしにくいんですよね。

私は、ある産地を丸ごと信用するということをしていません。産地を信用するより人を信用するというか、市場を信用するという感じなんです、ウチの買い方は。

買う場合もありますが、有名産地を指定して買いに行ったというより、結果的にそうなったという感じです。

信用できないのは、ブランドというものは根本的にインフレ要因すなわち、さほど品質が優れていないものを高めに売ろうという話しだからです。

逆に市場はデフレ要因。品質の劣るものは、買い手が目ざとく見つけます。

いやあ、そんなことないですよ。ウチのブランドはちゃんと品質管理してますよ!と言われるかもしれません。

しかしですね、その産地を含む行政区画のどこに行っても同じ品質なら良いのですけど、そうではないですね。特に野菜は土壌の影響を受けます。

結局、お答えしにくいという結果になります。ハッキリしなくて、あいすみません。

 

追伸

肉の情報ポータルサイト「肉メディア」で、私の連載が始まりました。

題して、「大人のすき焼き教科書」。

弊店でリアルなイベントも企画しています。

こちらから、どうぞ、ご覧下さい。

 

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音楽・スポーツ・料理

11.13のパリのテロは、9.11のニューヨークのテロと3.10の東京大空襲との中間のものだ、いや、3.10の東京の方に近いかもと言ったら、叱られるでしょうか?

しかし、劇場やスタジアム、飲食店が標的にされたことの恐ろしさは、3.10以外に例えようがなく、今回の事件の大きな特徴だと思います。

9.11も勿論恐ろしいものでしたが、ワールド・トレードセンターと国防総省という、国の政治経済の中枢への攻撃でした。それに対して今回攻撃されたのは、音楽・スポーツ・料理です。

平和の象徴である音楽・スポーツ・料理さえ狙われるのが戦争というものなのであれば、今回の事態はテロという概念を超えて「戦争だ」と言えるでしょう。

70年前、平和的な施設やそれに関わる人々が狙われたのが、3.10の東京でした。空襲を指揮したカーチス・ルメイ将軍は、東京では民間の町工場が軍需工場と化している、だから焼き払うのだ、と説明しましたが、実際に行われたことは夜間の低空爆撃でした。だから経験した人はみな「3月9日の空襲」と記憶しています。

夜間ですから工場だけ狙うことなどできませんね。実際戦後、ルメイは「我々は東京を焼いたとき、たくさんの女子供を殺していることを知っていた。やらなければならなかったのだ」とも「軍人は誰でも自分の行為の道徳的側面を多少は考えるものだ。だが、戦争は全て道徳に反するものなのだ」とも語ったそうです。

結果、大勢の浅草の人達=おそらく当時日本国内で最も戦争から遠い位置にいた、平和な人達が犠牲になりました。

下町が狙われたのは、人口密度が高い方が爆撃の効果が上がるから。当時東京35区の中で浅草区が人口密度が一番高かったのです。「効果」とは勿論、少量の爆弾で大勢の人を殺せる、という意味です。

あれから70年。

今回音楽・スポーツ・料理が狙われましたから、フランスを訪れる観光客がだいぶ減りましょう。フランス料理業界には小さくないダメージがあるでしょう。

心配されます。

 

追伸

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二の酉

「二の酉」の日、鷲神社に出かけて、例年通り「松下」さんの作った熊手を手に入れて来ました。「松下」さんの熊手は「檜扇型」という独特の形をしています。

御利益があることを願って、毎年店の玄関に並べます。

あ、いやいや、まず感謝が先でした。

一年間お世話になった旧い熊手に感謝しつつお返しして、御利益はそれからというものです。

それにしても、です、「酉の市」の季節だというのに暖かいですねえ。

暖かいと感じが出ないんですよね。

すき焼き屋もこれでは盛り上がれません。

お願いごとですが、なんとか一つ、気温を下げて下さい、お酉さま。

なお今年は「酉の市」が3回ある年でして、「三の酉」は29日(日曜)です。どうぞ、お出かけを。

 

追伸

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東北で牛を飼う

料飲三田会の秋例会を開催しました。

今回の会場は、会員の三田先輩が経営されている、芳町の焼肉店「肉の切り方 集会所」さんでした。

この御店は「肉の切り方」というのが店の屋号でして、焼肉の味は肉の切り方で決まる”をコンセプトに、徹底的に肉の切り方に拘った新しい焼肉店です。

近江牛赤身肉を中心としながら、チーズフォンデュ、バーニャカウダ、そしてそれらに合うワインも楽しめる焼肉店で、肉の仕入れは滋賀県近江市場から直接近江牛黒毛和種を一頭買いだとか。

焼き肉の前には、肉に関する卓話が良かろう、ということで、やはり卒業生で、山形県で3.700頭ほどの「蔵王牛」を生産しておられる髙橋勝幸様(高橋畜産食肉㈱代表取締役)に遠路お越しいただきました。

実は、私が義塾の機関誌『三田評論』10月号の「三人閑談」に出演した時の対談相手が髙橋さんでした。それで是非にとお誘いし、この日「東北で牛を飼う」と題してお話しいただいた次第です。

大変貴重なお話しでした。

三田さん、髙橋さん、在り難うございました。

追伸①

私と髙橋勝幸さんが対談した件について詳しくは、こちらです。

追伸②

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ワンピース

スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』を観て来ました。

『ワンピース』の原作は尾田栄一郎の人気漫画。その壮大な世界を四代目・市川猿之助さんが歌舞伎化した舞台です。

四代目は若い頃「新春浅草歌舞伎」に長いこと出ておられましたが、四代目を襲名なさってからは先代(現・猿翁さん)が創始したスーパー歌舞伎に、新展開を加えておられます。

今回も、スーパー歌舞伎オハコのド派手な演出が満載、さらに新演出もプラスして、やりたい放題。満腹感のある観劇でした。スーパー歌舞伎ツーと言わず、II(セカンド)と言う辺りも、猿之助さんらしくてニヤリとしてしまいます。

さて、今回のドラマの主題のひとつは、リーダーシップの在り方についてでした。それも海賊の親分のリーダーシップについて。

この話しは海賊と世界政府海軍が血みどろの戦いを繰り広げる話しなのですが、そんな中、一時休戦の交渉の為海賊の若頭が海軍本部に赴きます。

その若頭に対し海軍元帥は、親分は貴様を裏切っていると讒言を言って巧妙に信じ込ませ、怒った若頭は親分を刺します。

で、ここからがリーダーシップなのですが、親分は自分を刺した若頭に、

馬鹿なヤツほど可愛い。お前は可愛い家族だ。こんな可愛いヤツを騙した海軍を倒せ!

と命じます。

親分はやがて死にますが、この命令に発奮した一味が大暴れしたことは当然です。

全国の社長さん、考えさせられる話しですねえ。

追伸

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薩摩琵琶

気鋭の琵琶奏者・友吉鶴心さんの「第二十三回 花一期 友吉鶴心琵琶楽の會」を聞いてきました。

会場は国立能楽堂、毎年の「花一期」がもう二十三回目とは、素晴らしい継続性です。

さて、鶴心さんの琵琶は薩摩琵琶です。

それも、明治時代に、すき焼きと同じ頃に東京に広まった、「近代薩摩琵琶」でして伝統薩摩琵琶とは少し違います。明治政府の成立と共に大勢の薩摩の人達が東京に入って来て、琵琶も入って来て、それを東京人が聞いて、それがなかなか面白いね!と広まったわけです。それが「近代薩摩琵琶」です。

当時は、軍人さんなんかが宴会芸で琵琶を披露していたそうです。

軍人さんが琵琶を習っていたのは、日本は明治から大正にかけて海軍が強うございました。で、海軍の大将になる方は、だいたい薩摩の出身です。東郷平八郎元帥とか。だからみんな薩摩琵琶を習い、そこから民間へも広まったそうです。

今では考えられませんが、歌舞伎座で薩摩琵琶の演奏会が昼夜3日も4日も連続で開かれたことがあるそうです。そのくらい、元は海軍ですが、民間にも広まったんです。

それが太平洋戦争で一度、衰退してしまいます。

そこで友吉さんの師匠の鶴田錦史さんが、『ノヴェンバー・ステップス』(1967年)の武満徹さんとペアを組んで、琵琶を世界に広めていった。琵琶再興に努めた方が鶴田錦史さんでした。

入門したのは、友吉さんのお爺さんと親しかったからとか。

で、毎年の公演が23回目に。

今回の演目は「那須与市語」「嶋の為朝」「壇の浦」でした。

追伸

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おいしいものお取り寄せ

文春文庫『日本全国 おいしいものお取り寄せ』に載せていただきました。

この御本は、各界の著名人が美味なる逸品・名品をお薦めするという企画で、元々は「週刊文春」巻末の人気連載でした。

今回は、その中で特に評判の高かった逸品を厳選して単行本にした、という次第です。

「全83選のオールタイム・ベストの決定版」と銘打たれておりまして、その中に、弊店は向笠千恵子先生の推薦で入れていただきました。

在り難いことです。

是非ご購読下さい。詳しくは、こちらです。

 

追伸

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オリオンの星座

宮本孝太郎さんの遺詠集『オリオンの星座』を読んでいます。

宮本孝太郎さんは昭和8年から平成元年まで、神輿と太鼓の「宮本卯之助商店」に在職し、副社長として六代卯之助さん(先代)を助けた方です。

本は、当代(七代目)卯之助さんからお借りしました。

戦災で東京の神輿がほとんど焼けてしまい、それを再建するのに大忙しだった戦後、

やがてモータリゼーションで世の中の雰囲気が一変して、神輿なんか要らない!と言われてしまった高度成長時代、

そして平成まで。

孝太郎さんは、戦後の、日本の祭礼を支えた重要なお一人だと思います。

それにしても、この本の最後についている、この方の戦歴がスゴいです。

ノモンハン事件に参加して生き残り、

それだけでも大変なことなのに、いったん帰国して再度千島に出征し、敗戦後はソ連によって抑留されていたというから驚きます。

ノモンハン事件(1939年)は「事件」と言われているので、過少評価されがちですが、「事件」と言われるのは宣戦布告をしていないというのが理由で、実質は日ソ間の本格的な戦争です。

政治と謀略が大好きだった日本の関東軍は、当時ソ連軍の実力をなめてかかっていました。それで開戦。非道なことに、途中で相手が重火力を持っていると気づいた後でも、参謀たちは兵に無理な突撃を命じ続け、結局惨憺たる敗北を喫します。

この敗北を教訓にすれば、その後の日本の在り方も変わったと思われるのですが、最悪なことに軍はこの件を秘匿し、さらに愚かな戦争へと進んで行きます。

孝太郎さんは、その戦いの生き残りなのです。題の『オリオンの星座』の「オリオン」は、夜間ソ連軍の目を盗んで撤退する時に夜空のオリオン座を目印にしたことに因んでいるそうです。

戦地で鍛えられたからか、孝太郎さんは会社で問題が起きてもまったく揺るがない、「信念の人」だったと七代目は語っておられました。

 

追伸

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