音楽・スポーツ・料理
11.13のパリのテロは、9.11のニューヨークのテロと3.10の東京大空襲との中間のものだ、いや、3.10の東京の方に近いかもと言ったら、叱られるでしょうか?
しかし、劇場やスタジアム、飲食店が標的にされたことの恐ろしさは、3.10以外に例えようがなく、今回の事件の大きな特徴だと思います。
9.11も勿論恐ろしいものでしたが、ワールド・トレードセンターと国防総省という、国の政治経済の中枢への攻撃でした。それに対して今回攻撃されたのは、音楽・スポーツ・料理です。
平和の象徴である音楽・スポーツ・料理さえ狙われるのが戦争というものなのであれば、今回の事態はテロという概念を超えて「戦争だ」と言えるでしょう。
70年前、平和的な施設やそれに関わる人々が狙われたのが、3.10の東京でした。空襲を指揮したカーチス・ルメイ将軍は、東京では民間の町工場が軍需工場と化している、だから焼き払うのだ、と説明しましたが、実際に行われたことは夜間の低空爆撃でした。だから経験した人はみな「3月9日の空襲」と記憶しています。
夜間ですから工場だけ狙うことなどできませんね。実際戦後、ルメイは「我々は東京を焼いたとき、たくさんの女子供を殺していることを知っていた。やらなければならなかったのだ」とも「軍人は誰でも自分の行為の道徳的側面を多少は考えるものだ。だが、戦争は全て道徳に反するものなのだ」とも語ったそうです。
結果、大勢の浅草の人達=おそらく当時日本国内で最も戦争から遠い位置にいた、平和な人達が犠牲になりました。
下町が狙われたのは、人口密度が高い方が爆撃の効果が上がるから。当時東京35区の中で浅草区が人口密度が一番高かったのです。「効果」とは勿論、少量の爆弾で大勢の人を殺せる、という意味です。
あれから70年。
今回音楽・スポーツ・料理が狙われましたから、フランスを訪れる観光客がだいぶ減りましょう。フランス料理業界には小さくないダメージがあるでしょう。
心配されます。
追伸
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