デリカシー

取引先の銀行が出している雑誌に、大学同期の噺家・立川談慶君がコラムを連載しています。題して、
「人生、なんとかなる!」
もう48回も続いていますから、ご立派と思うと同時に、銀行の雑誌で「なんとかなる」というのは、実に在り難い銀行だと思う次第ですが、それはさて置きまして、今回の御題は、
「金持ち」より「デリカシー持ち」 
同期君曰く、
・落語は、口調と顔の表情だけで話を展開させるもの
・落語は、高度なデリカシーを持たないと把握できないもの
・江戸っ子のデリカシー気質が落語という芸を進化させた
江戸っ子というと、粗暴なイメージを持つ人も多いかと思いますが、実は他人の気持ちを慮るよう訓練されていました。
長屋というプライバシーが保てない所に密集して住んでいたから、自然とそう訓練されたわけです。「聞こえたけど聞こえないふり」「見たけど見てないふり」もそれですね。
同期君によれば、彼は修業時代に談志師匠に対して、そういったデリカシーのある対応が出来なかった為に9年半も前座にとどまったんだとか。だとしたら、実に有益な修行期間だと思います。
「金持ち」より「デリカシー持ち」
至言と思います。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

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夜間工事

このところ不眠ぎみです。
夜中に起きてしまう原因は、近隣の工事。
元号またぎの連休が終わり、今年の夏休みまでに工事を済ませようと思うと、工事現場は今が佳境なのです。来年夏完成では遅過ぎですからね。今がピークなんです。
で、夜間工事です。
浅草は日中、人や車の往来が激しいので、大型の機材が入り込めないです。いきおい夜間工事になるのです。住宅地でそんなことをしたらクレーム殺到でしょうが、浅草に住む人達は、これに慣れています。
が、慣れているとは言っても、やはり起きてしまいます。
起きないまでも、睡眠が浅くなりがちです。
夜良く寝ていないから、日中眠いです。困るなあ。
まったく、早く終わらないかな、オリンピック。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

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秘訣②

昨日の「秘訣」の話しの続きです。
老舗の取材をしたいと色々な方が見えます。
139年店が続いた「秘訣」を言え、と。
そんなこと分かれば誰も苦労はしないと思うのですが、お答えしています。
割り下の味が大事なのは当然ですが、それだけでなく、すき焼き屋の場合、割り下と具材のバランスが大事です。具材とはもちろん肉ですね。
まず昨日申しました通り、
・割り下の味を多くのお客様の舌が認知していること
が極めて重要です。浅草は20世紀に、関東大震災、太平洋戦争、1970年代の衰退と3回の危機を経験しましたが、どの場合でも復興できたのは、味を支持してくれるお客様がいて下さったからだと思います。
しかも、その「お客様」とは、一世代の特定の方ではありません。
お爺さま、お婆さま、お父様、お母さま、お孫さん
と家族ぐるみで複数世代にわたって、「ちんや」の味を認知して下さっている方がおいいで、全体を「お客様」と言っています。
だから、お爺さま・お婆さまが、もし亡くなっても、次の世代の方が、お正月・お彼岸などの機会に見えて下さるのです。味を変えるということは、その方々のご期待を裏切ることになります。その方々に対して、来ないでいいよ、と言うも同然ですね。
だから、割り下の味を、そう簡単には変えられないのですが、ここで困るのは、具材の質が変わると、割り下が同じでも鍋全体の味が変わってしまう、ということです。
そして、実際、平成の30年間に、肉の質が変わりました。
平成時代に経済性を重視する生産方法(短期肥育)が広まった結果、融け方が悪い脂の付いた肉が増えてしまいました。融け方が悪い=脂の融点が低い=食べるとモタれる、という図式ですね。
その結果、以前より仕入れを厳格にやって行かないと、こちらに合う肉が買えなくなりました。
で、私は2017年に「適サシ肉宣言」を、さらに今年「肉のフォーティエイト宣言」をして、仕入れの基準を明確化しました。
すき焼きの場合、味だけ守っていてもダメだという話しです。
「秘訣」という感覚ではないですけどね。
こうしないと、以前から見えているお客様に違和感を与えてしまうので、そうしている、という感覚です。ご参考にならず、すみません。

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秘訣

老舗の取材をしたいと色々な方が見えます。
139年店が続いた「秘訣」を言え、と。
そんなこと分かれば誰も苦労はしないと思うのですが、お答えしますと、
・割り下の味を守ること
は当然大事です。
関西の出汁文化に対して、関東はタレ文化と言われますが、そこがポイントであることは当然です。
が、それだけでは足りないと思います。
・その割り下の味を多くのお客様の舌が認知していること
が極めて重要です。ここは技術というより、マーケティングの話しになるのかもしれませんが、多くのお客様が、「ちんや」の味を覚えていて下さることが極めて重要です。
浅草は20世紀に、関東大震災、太平洋戦争、1970年代の衰退と3回の危機を経験しましたが、どの場合でも復興できたのは、店を支持してくれるお客様がいて下さったからだと思います。
さらに申せば、その「お客様」とは、一世代の特定の方ではありません。
お爺さま、お婆さま、お父様、お母さま、お孫さん
と家族ぐるみで複数世代にわたって、「ちんや」の味を認知して下さっている方がおいいで、全体を「お客様」と言っています。
だから、お爺さま・お婆さまが、もし亡くなっても、次の世代の方が、お正月・お彼岸などの機会に見えて下さるのです。
よく質問をいただくのは、
世間の味覚の変化に合わせて、「ちんや」さんも味を変えますか?
という質問です。
世代を超えて味を認知してくれているお客様がいないのであれば、味を変える手もあるかもしれません。
しかし、世代交代しても同じ味を支持して下さる方がおいでなのであれば、味を変えるということは、その方々のご期待を裏切ることになります。その方々に対して、来ないでいいよ、と言うも同然ですね。
世間の味覚の変化に合わせて、味を変えますか?
という質問は、その店に世代を超えた支持者がいないことを前提にした質問で、質問者の理解の浅さが、それですぐ分かるのですが、まあ、そこは面と向かっては言わないことにして、ブログに書くようにしています。悪しからず。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

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横並び

世の中には、
止めたくて仕方ないのに、何故だか、どうしても止められない、
ということが多々あると思います。
コンビニの食品ロスもそうだったようです。
が、最近、急転直下、業界横ならびでロス削減に向かうことになりました。食品ロス削減法が成立したのがキッカケですが、その際に報じられていた、ある社長さんのインタビューには驚かされました。
その社長さんは、大手3社の一角ですが、今後、
「うなぎや恵方巻といった季節商品を完全予約制にする」
と答えています。うなぎも恵方巻も、コンビニによる食品ロスのシンボルですね。
これに続けて、予約制にした場合、驚いたことに、
「加盟店の売上が3割程度減る恐れがある。それでも売れ残りの廃棄が減るので、利益は4割程度増えるとみている」
り、利益が4割増えるですって?!!
それを今まで止めなかったのが不思議ですし、複雑な想いを抱えながらうなぎの廃棄作業や恵方巻の廃棄作業に従事した人達の心情を想うと
なぜ
の二文字しか浮かびません。
世の中には、
止めたくて仕方ないのに、何故だか、どうしても止められない、
でも、ある日スッと止められることが多々あるようです。

追伸
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修学旅行

若者よ、
修学旅行で浅草に来たのかね。それは嬉しい。
楽しそうなのは、さらに嬉しい。
でもね、
路上で歩き喰いは止めてくれたまえ。
(まあ、学生さんより売る方が悪いのだが)

追伸
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災害報道

箱根の噴火警戒レベルが「1」から「2」に上がったそうです。
屋久島では「50年に一度」の豪雨が降ったそうです。
で、私はそうした事を伝える「災害報道」にイラっとしています。
ここで災害に「」を付けたのは、地元に住んでいた方が亡くなったわけではないからです。
屋久島では縄文杉を目指して山に入っていた方々300人以上が孤立して、バスの中で一夜を明かしたそうで、もちろんお気の毒と存じますが、家にいた大勢の方が亡くなった昨年の西日本豪雨とは意味合いが違うと思います。この災害は「観光災害」つまり、好き好んで安全ではない土地に入って行った方々と、その世話をしていた観光業者の話しだということです。
こういう場合、メデイアはそれぞれの土地の観光業者を追いかけて、インタビューを取ろうとします。観光客を不安がらせてしまったわけですから、どちらの土地でも業者さんは、先行き不安を口にします。その哀れな様子を電波に載せて喜ぶのがメデイアという人種です。イヤですね。
そもそも登山って、観光よりスポーツに近いものではないでしょうか?初期の登山は勿論スポーツでした。
ついでに申せば、マリオ・カートで浅草を疾走している外国人がいますが、あれも危なくて仕方ないです。だって、公道を、遊園地にあるようなカートで走っているんですから。人体が「むきだし」なんです。
話しを戻しますが、いくら観光客を誘致したいからって、安全を大前提にするのは、いささか無理があると私は思います。
現地の業界では保険を研究している・・・とか報じるなら生産的ですが、ただ哀れな姿を流すだけでは、なんだかなあと存じます。

追伸
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元号

所謂「老舗」の皆さんは、自店の創業年を元号で書くことが多いかと思います。弊店も
「創業明治十三年」
と称しています。
が、さて、
令和の時代がやって来ました。
もう西暦併記にした方が良いと思います。
理由はモチロン、元号では、いつのことか分からない人が増えたからです。
昭和生まれの方にとっては、明治は2つ前の元号ですから近く感じますし、西暦換算もスラスラお出来になるかもしれませんね。でも、時代はもう令和。平成に生まれた方々も社会に出て来ています。
もう西暦併記にした方が良いと思いますよ。
元号の方が本格的な感じがするとは思いますが、大正と明治と慶應の順番が分からない人が増えています。
西暦併記にした方が良いと思いますよ。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

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御朱印

最近、浅草神社(「三社さま」)で残念なことがありました。
神社が5月1日に令和改元記念の御朱印を配布したところ、
マナーの悪い客や転バイヤーが大勢押し寄せ、混乱した事態になったそうです。客の中には巫女さんに暴言を吐いたり、暴行に近い行為をはたらく者がいたとか。
これを受けて神社は三社祭期間限定で配布する、特別御朱印の配布を中止することに決めたそうです。「期間限定」「令和初」が重なった結果、「レアもの御朱印」として扱われるのを避けたということです。
改元記念の時、神社側は皇室の代替わりを参拝者と共に祝いたい、という気持ちでした。神社側がレアもので人を「釣ろうとしている」とか言う輩もいるようでで、中にはそういう神社もあるかもしれませんが、今回そういうことではなかったと思います。
が、そんな気持ちは転バイヤーには関係なく、上記の事態となりました。
転バイヤーは、原価格安で儲けることが出来るわけで、コストと言えば順番待ちする時間くらいなものですから、大人しく並べば良いわけですが、儲けしか考えていない転バイヤーには、一分でも待たされるのがイヤなのでしょうか、暴言・混乱という事態になったそうで、残念なことでした。
この混乱の中で配布された御朱印は後日「メ♡カリ」に出品されたとか。いやな時代になったものです。

追伸
本日は浅草神社例大祭(=「三社祭」)の最終日です。
例年、祭礼期間3日間(5/17〜5/19)の内、1日は必ず雨が降りますが、今年はどうでしょう。
主な行事は、
19日午前6時 本社神輿「宮出し」(浅草神社境内)→午後8時頃まで各町渡御

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超二流

二位じゃダメなんですか?!二位じゃ?
というレンホウ議員の発言は、今や民主党政権の残念さを象徴する発言のように言われています。
が、皆さん、本当に二位や二流はダメなんでしょうか?
一位、一流、最高を目指したばかりに、無理のある仕事になってしまっていることって、世間に多くないですか?
と内心思っておりましたら、もう一人が一流を目指さない方がおいででした。高松に。
高松市の料亭「二蝶」さんをお訪ねした件は昨日の弊ブログに書きましたが、御主人のお話しを伺う内、御主人のモットーが
「超二流」
であることを知りました。
御主人は勉強家で、一流のお店のことをちゃんと知っておられるのですが、地方の料理屋という前提の中では、一流や超一流を狙った時に生まれる違和感を嫌い、そうした違和感を避けて仕事をなさっていると言います。良いお考えと感心しました。
この話しを東京に置き換えます。
東京はたしかに日本の首都で、経済力もここに集中しています。
では、その東京では必ず「日本で最高」の食材を食べるべきでしょうか?
その「日本で最高」の食材の産地が遠い遠隔地であって、東京とは全く風土の違う土地の産物であったとしても、それを遠路取り寄せ、高い値をつけて売るべきでしょうか?
これは真剣に考えないといけないテーマだと思います。
地方の生産者の人は、どうしても東京を目指しがちです。
香川の牛の生産者さんもそうでした。優秀な牛を、地元に出さず東京ばかりに出荷するので、「二蝶」の御主人は県庁の農政部に苦情を言いに行ったことがあるそうです。
が、地元で親しまれることより先に、まず東京で高い値がつくようにしたいと考える県は聞く耳を持たなかったと聞きます。いったん安値で安定してしまうと値段を上げて行くのが難しいと考えたようです。
ブランド志向の罪
一流志向の罪
だと思います。
評判が良くて皆が買いにくれば自然に値段は上がると私は思うんですけど、公務員としては知事さんの任期中に高値がつかないと困るらしいのです。とほほ。
私の店は、東京は東京ですが、下町です。
「超二流」
参考にしたいと思います。

追伸
本日は浅草神社例大祭(=「三社祭」)の中日です。
例年、祭礼期間3日間(5/17〜5/19)の内、1日は必ず雨が降りますが、今年はどうでしょう。
主な行事は、
18日正午 町内神輿連合渡御(浅草寺境内)
19日午前6時 本社神輿「宮出し」(浅草神社境内)→午後8時頃まで各町渡御

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