真っ正直?ー牛トレ法検査

「台彪会(たいひょうかい)」で一緒に勉強している、和菓子メーカー「MN堂」のS社長が見えました。最近S社長のお姉さまが結婚され、目出度く華燭の典をあげられたのですが、その後も滞在しておられる、ご親族を浅草案内して⇒その流れで「ちんや」へ、という段取りだったようです。

  そういった機会に「ちんや」をご利用いただき、本当に有り難いことです。ご両家のご多幸を祈念申したいと思います。

 ところが! Sさんが食事されている最中に、農水省安全管理課の、「表示・規格指導官」様がご来訪。ノーアポの立ち入り査察です。

 実は、すき焼き屋・ステーキ屋・焼肉屋などの肉料理を専門にしている料理屋は、「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」(=通称「牛トレサビ法」)によって、「特定料理業者」に指定されていまして、時たま、我々の仕入れ・販売の手続きが法に照らして適正か、ノーアポ査察が来るのです。

と、いうわけで五年ぶりの、お代官様の御検分です。

そこの、すき焼屋、不届きである!

へへー、恐れ入ります。

真っ正直に表示いたしておるか?

へへー、勿論でございます。

帳面は、真っ正直につけておるか?

へへー、勿論でございます。今日は何卒、お手柔らかにお願いいたします! へへー。

 やるべきことはやってますけどね、やはり、イヤだなあ、こういうのは。と疲れきっていると、Sさんファミリーが食事を終えて、お帰りです。お見送りしなくては。

 へへー、S様! じゃなかった、間違えた! どうもSさん、今日はありがとう。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法については、こちらです。

老舗の味ーうん十年ぶりの鰻

 4/24に、「台彪会(たいひょうかい)」の工房見学会があり、その打ち上げ&懇親会が鰻の「川松」さんでありました。「川松」の後継者・A子女史が「台彪会」のメンバーでして、おかげ様で、とても楽しい宴会になりましたが、実は、その時隣席になった方から、「川松」さんについて、とても良い話しを聞きましたので、今日はそのことを書いてみようかと思います。

  隣席になった、Uキャスター販売のU社長は、私と同年配の方で、お父上(=会長)も存じ上げているのですが、ウチの父と同年配です。そのお父上にUさんが、「今日はこれから、初めて「川松」さんで鰻を食べるんだ。」と言ったところ、「何言ってんだ、オマエが小さい頃に、「川松」さんへは、何回も連れて行ってやったんだぞ!」と言われてしまったそうなのです。

 そう言われたUさんは、「そうだったのかな? でもあんまり、覚えてないなあ」と思いつつ、「川松」さんでの懇親会に出席しました。しかし鰻を食べた時、思ったそうです、「あ、この味は、自分もオヤジも好きな味だ。きっと、間違いなく、連れてこられてる!」

  Uさんは、鰻とご飯の両方を、上手に箸に載せてバクっと食べます。結構な分量を載せて、うまそうに、ズンズン食べていきます。その場で確認しませんでしたが、その食べ方もオヤジ譲りかもしれません。

  かつて、Uさんが小さい頃、一家は「川松」さんで、楽しい食事をしたのだと思います。ご家族とハッピーな時間を、そこで過ごしたからこそ、その時の味を覚えているのだと思います。その結果、味覚の継承が、次世代へキッチリ行われています。そして、味覚が継承されていれば、その料理屋さんにとっては、永続的なご繁盛につながっていきます。

  うーん、同業として、かなりうらやましいなあ、この話し。「ちんや」でも、こういう話しが聞かれるようにしないと。

 と書いている、私の横からヨメの冷たい視線が・・・

「いつまでパソコンにかじりついてるのよ? アタシもパソコン使うんだから! どうせ、また善人ぶったこと書いてるんでしょ。」

  え? だってそりゃあ、ホントに善人だもん。 ねえ、台彪会の皆さん。 ひひひひ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「川松」さんについては、こちらです。

短くしようよー台彪会・工房見学会

 4/24に、「台彪会(たいひょうかい)」の工房見学会がありました。日程は以下のように盛りだくさんでした。1:江戸町火消し錦絵の第一人者・岡田親さんの工房⇒2:ご存知!カリスマ靴職人・末光宏さんの工房⇒3: スーパー「シマダヤ」さんのバックヤード見学⇒沖縄サミットにコーヒーを提供した、超有名喫茶店「バッハ」で小休止、のつもりが満員で入れず通過⇒4:打ち上げ&懇親会は、創業139年の老舗「川松」さん と充実しすぎの内容でした。訪問先の内、末光さん・「シマダヤ」さん・「川松」さんが台彪会の仲間です。

  台東区の若手サポートセミナー(二条彪先生のゼミ)は、9月開講⇒翌2月閉講というサイクルなので、今の時期は「夏休み」にあたります。それで、セミナー受講者のグループである「台彪会」が自主的に勉強会をしています。

 自主勉強会の一つ・工房見学会は、昨年に引き続き2回目です。今年は、さらに充実の日程となりました。皆、とても仲が良く、冗談を言い合ったり、情報交換をしたりする時間が楽しくて仕方ない様子です。そういった次第で、自然と日程も昨年以上に長時間になりました。

 見学先の皆さんは、どなたも腕のたつ方・目利きの方ばかりですが、御口の方も滑らかで、品物や人生にかける思いを熱く語って下さいました。勉強になります。関係者の皆さん、本当にありがとうございました。

 見学を終え後は、「川松」さんで美味な鰻をいただきました。大満足の宴会でしたが、そこで撤収となることはありません。夜が更けても、場所を変えつつ、談論が尽きることはありませんでした。

  ああ、今日は面白かった。でも、疲れたなあ。

  そう言えば、打ち合わせの時「昨年のは、スゴク勉強になったけど、チョッと時間が長かったから、今年は少し短くしようよ。」と、台彪会会長たる私・住吉史彦が提案したのに、あっさり無視されたっけ。

  来年は、もっと長くなるのかなあ。途中に昼寝の時間を入れてもらうか。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*台彪会については、こちらです。

「あとご飯」論争

 このブログの4/20の号にも書きましたが、カリスマ靴職人・末光宏さんを講師として「ちんや」に迎えて、靴の勉強会を開催し、その後で末光さんを囲んで、すき焼き懇親会をしました。桜鍋「中江」のN社長、「駒形どぜう」の若旦那W君、料亭「きよし」(墨田区向嶋)のA子女史などが参加してくれました。

  なごやかに靴談義をしつつ、鍋を食べ進めていく内、「ではそろそろご飯を」ということになりましたが、桜鍋「中江」のN社長だけは、出されたご飯に手をつけません。「?」と思ってみていると、「住吉さん、タマゴもらえませんか?」とN社長。

「え?すき焼き終わったのに、まだタマゴ要るんですか?」「ええ、だって「あとご飯」やりたくなっちゃったもんですから。」とN社長ニヤリ。

 「あとご飯」とは、「中江」さんのホームページによると、以下の通りです。⇒「鍋の残り汁に玉子を入れ、ふんわりと仕上げ、その玉子をご飯にのせて玉子丼のように食べるのが「あとご飯」です。肉や野菜のうまみたっぷりの玉子は、桜なべを食べた後にしか味わえない格別な味です。「中江で一番美味しいのは、あとご飯」という評判も立つほど・・・(後略)」

  なるほど、「中江」名物の「あとご飯」を「ちんや」でも試そうという作戦でしたか。

「ちんや」では、ご飯は、自家製の牛佃煮とみそ椀と共に召し上がっていただくことにしているのですが、そう言えば、「ちんや」でも「あとご飯」を試みるお客様がたまにおいでです。「中江」さんの影響でしょう。

 私としては、ずっとすき焼きを食べ続けた後は、何か食い味の違うものの方がよかろう、と思って、ご飯は上記の方式にしていますが、お客様が、「同じ食い味でも良いから是非」というのなら、それはそれで、その方の味覚ですので、まあ、やっていただけば結構、と思っています。

  そう話すと、今度は「駒形どぜう」君が、「ウチにも、そういうお客様がたまにおいでですね。でも、ウチの鍋は、「ちんや」さんより、ずっと小さいから焦げ付きやすくて往生するんです。今日のNさんみたいに、そろそろ鍋に入れて、丁寧に溶いてくれれば良いんですけど、タマゴを勢いよくドバっと入れて、噴きこぼす方がいらして、あれは困りますね。」

  その程度のこと気にするんなんて、天下の名店が、ナニ小さいこと言ってんの? とお思いの方には、私よりキョーレツなダメ出しをさせていただきます。どぜう屋さんは、永年使い続けてきた、鍋をそれはそれは大事にしています。「蒸気機関車の動態保存」とか聞きますが、鍋屋の鍋も、言ってみれば、「動態保存」のようなものです。丁寧に洗って、焦げや汚れをとり除き、錆びないように処置します。この時焦げが完全にとれていないマズいのです。

  皆さま、どぜう屋さんで「あとご飯」をする時は、何卒、鍋にご高配を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

  「あとご飯」の正しい作り方は、こちらです。「中江」の女将さん(=N社長令夫人)が肖像権フリーの顔出しで教えてくれます。皆さん、このページを印出してから、どぜう屋へ向かいましょう(?)

  ちなみに私は、どぜう屋で鍋が終わった後、残った割り下でネギを煮て、それをご飯に載せて食べるのが好きです。ただし、代金フリーのネギを利用するわけなので、分量は遠慮して・・・注文します。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

靴の 松・竹・梅

 このブログの3/11号に書いた、末光宏さんを講師に迎え、勉強会を「ちんや」で開催しました。もちろん、靴についての話しです。「ちんや」従業員向けの、勉強会ですが、貴重な話しなので、浅草の飲食店の人達にも「良かったら是非聞きに来て下さい」と声をかけましたら、桜鍋「中江」のN社長、「ときわ食堂」のM君、「駒形どぜう」のW君、料亭「きよし」(墨田区向嶋)のA子女史、それから飲食店ではないですが、地元の書家のS女史も参加してくれました。

 この講演会の趣旨を、重複になりますが、もう1回書いておきますと、実は「ちんや」では「ちょっと嬉しい褒め言葉作戦」を実行したいと思っています。お客様の、お靴・お着物・お洋服・お持ち物を従業員にどんどん褒めさせます。基本的にいつも褒めることにしたいと思っています。

 それは褒めない方がむしろ不自然だからです。お客様の立場になってみれば、せっかく靴や洋服を整えて「ちんや」を訪問したのに、誰も褒めてくれなかったら、がっかりしますよね。外食に出かける、ということは、お客様にとっては、そういう手間がかかるわけですから、こちらは是非とも反応してさしあげないといけません。

  褒めて差し上げれば、お客様のご機嫌が良くなって、接客が格段にやりやすくなりますから、お客様も店も双方がハッピーです。そして、さらに、その「モノ」を造った、造り手の人もハッピーになります。

  もちろん、やたらめったら何でも褒めるのはカッコが悪いですから、モノの良し悪しを少しは知った上で褒めたい所です。そこで造り手の人に「ちんや」に来てもらって、従業員向けに、靴を褒める場合のポイントを教えてもらおうと企画しました。

 それが今回の、講演「30分でわかる靴の 松・竹・梅」です。

  カリスマ靴職人の末光さんは、手だけでなく、結構御口も滑らかで、「絶対おススメのメーカー」「ピンキリのあるメーカー」も教えてくれました。講演の後は、末光さんを囲んで参加者で懇親すき焼き。1時間で終わる予定でしたが、靴談義で夜が更けました。

  今後飲み会がある時は、今日仕入れた薀蓄をガンガン受け売りして、得意がってやるぞ。ひひひひ。これだから、カリスマ受け売り師はやめられない。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

10年目のWebマーケテイング

今日は、株式会社IMCのI社長が打合せに見えました。「ちんや」のWebマーケテイングの件で相談にのってもらっていて、もう3回目の打合せです。

 「ちんや」のホームページは、もう出来て10年になるのですが、その間にネット環境はだいぶ変わりました。開設当時は、ちょっとコンテンツを工夫すれば、「凄いね」と言われた時代で、SEMだのSEO対策だのは言われていませんでした。そろそろ、ひとひねりする頃合です。

 IMCさんのホームページTOPに、「貴社の価値を確かに伝える」と書いてある通り、I社長は、クライアントの会社ができることの中で、価値ある仕事・やりたい仕事を抽出して、それを欲している人に、「確かに伝える」仕事をなさっています。ネット業界の技術屋ではなく、「ちんや」のことをじっくり調べて、「伝え方」を工夫していこう、という進め方です。何度もお運びいただいて、本当に有り難いです。

 実は、I社長とは、台東区役所が主催している、二条彪先生のセミナーで知り合ったのですが、同じプログラムで勉強した仲間なので、話しが噛み合って、GOODです。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございます。浅草「ちんや」六代目、住吉史彦でした。

 *株式会社IMCさんのホームページは、こちらです。

*私とIMCさんなど、二条彪ゼミの仲間が共同で作ったホームページは、こちらです。

Filed under: 今日のお客様,台彪会 — F.Sumiyoshi 3:54 PM  Comments (0)

25万円の靴

今日、靴職人の末光宏さんの工房を訪ねました。末光宏さんは最近、「台彪会」で知り合った方ですが、並の職人さんではありません。複雑な靴の工程の全部を一人でこなすことができて、なおかつデザインのセンスが良く、彼の創る靴は、価格25万円〜とスーパーな御値段です。完全オーダー・メードですから、納期も約6ヶ月かかります。

 今私が履いている、末光靴の10分の1以下の値段の靴が、どうも私の足型にあっておらず、また底がだいぶ磨り減ってきたので、直してもらおうと思っています。

  最近日本人の間に「モノへの愛着・執着が薄くなった」「モノづくりが出来る人への尊敬の感情が薄くなった」と言われています。私・住吉史彦も日々玄関でお客様のお靴を整理していて、そのことを実感しています。B級の仕上がりの靴なのに、高級ブランドのロゴが貼り付けてある靴が多いのです。靴業界の内情に詳しい人から聞いた所では、そういう靴は海外の人件費や材料の安い所で、大量に生産された物で、ロゴを貼り付ける工程だけを日本でやるのだそうです。

 この調子では、日本の「モノづくり」はどうなってしまうのか、そう思いながら、末光さんを訪ねたところ、靴の世界の、いろいろなことを怒涛の勢いで教えて下さり、アッという間に2時間以上長居してしまいました。

 聞けば、「靴のパッと見」を良くする技術はどんどん進歩していて、「素人さんが誤魔化されても無理はない」というザンネンな状況だそうです。なんだ、食べ物と一緒じゃないか!

 モノづくりのプロセスは正当に評価され、しっかりと造られたものは、正当に褒められなければいけないと思います。「ちんや」では、玄関でお靴をぬいでいただいて、店内にお入りいただきますが、今度から、立派なお靴はどんどん褒めてさしあげようと思います。

 我々が良いモノを褒めれば、その持ち主のお客様はご機嫌を良くして、さらにその後で、もう1着・もう1点を買い求められるかもしれません。結果、造り手の人にお金が回り、そのお金は回り回って日本の景気を良くします。

 もちろん、やたらめったら何でも褒めるのはカッコが悪いですから、モノの良し悪しを多少はわかった上で褒めたい所です。上に書いたように、「靴のパッと見」で、素人が良し悪しを判定するのは、難しいらしいのですが、末光さんが、「このメーカーなら絶対間違いない。そのメーカーにはピン=キリはない。」というメーカー名を教えてくれることになりました。また、縫製や造作の良し悪しは、素人が見て判断できる場合もあるので、そこも教えてくれるそうです。よし!これで、靴を褒める場合のポイントがわかるぞ。むふふふ。

 この話しは、貴重な話しなので、「ちんや」従業員だけなく、近所の飲食店の人達にも、良かったら聞いてもらおう、と計画しています。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございます。浅草「ちんや」六代目、住吉史彦でした。

*末光宏さんと台彪会については、こちらです。

Filed under: ぼやき部屋,今日のお客様,台彪会 — F.Sumiyoshi 2:50 PM  Comments (0)