野菜すき焼き

「東京会館」の鈴木直登・調理長が野菜の食事会を開催なさる、で、そのメインの料理は野菜すき焼きだと聞きまして、出かけてまいりました。

いつもの「すきや連」の有志が集まり、それに江戸東京野菜に関わっておいでの方が入り、それから板長の知人で、紀州の棕櫚を使ったタワシを作っておいでの方が加わって、面白いメンツの食事会に成りました。

さて、前菜から吸い物から、お料理は毎度の手のかかった仕事ぶりです。厨房の皆さん、お疲れ様です。

この日は「すきや連」メンバーで「月の井酒造店」のK子女史も見えていて、オーガニックの日本酒「和の月」が出て来ました。良い加減ですな。

そして、やがて野菜すき焼き。

と思いましたが、

おや、肉が載ってるじゃないですか。

これはねえ、住吉さん、出汁なんです、出汁!と板長。

やっぱり多少は旨みがないとねえ、っていうことで肉も結局入れたんですよ。

なるほど。

これは「お揚げ」ですかね。おや、麩が生麩と乾きの麩と2種類あるんですね。

これはモヤシですか。板長、「ちんや」でも冬場に「大鰐温泉もやし」を「変わりザク」として売ったことがあるんですけど、結構売れましたよ。

この茄子は可愛いですね。あっ、これが江戸野菜の固有種「寺島茄子」ですか。すき焼きに入れるのは初めてです。

タマゴがないですね、持って来ていただけませんか。

え? タマゴじゃなくて、これを使うんですか。何でしょう、これは。

あ、黄身おろしですか、以前「柿安」さんで食べたことがありますけど、旨いもんですよね。辛みが抑えてあって良いですね。

これとこれは何ですか、え?トマトおろしとミルクおろしですか。へええ、板長、いろいろお考えになりましたねえ。流石です。

どの具を、どれにつけたら良いんですか。

え? そこまで考えてなかったから、住吉さんが考えてくれ って?

あ、そうなんですね、了解です。

乾物とか、割り下を良く吸う具は甘味が濃くなりますから、黄身ですかねえ、あ、ミルクおろしも良いかもしれませんね。シラタキも良いですね。

トマトは、むしろ肉ですかねえ。

いやあ、それにしても、何だか、満腹になってきました。

野菜は、肉より満腹するかもしれませんね。

御馳走様でした。

 

追伸①

単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。

21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。

時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。

くわしくはこちら↓です。

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

現在の笑顔数は361人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.283日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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伊勢参り①

お伊勢様に参拝して来ました。

ついでに伊勢牛も食してまいりました。

牛と神様のどっちが「ついで」なんだ って?

そ、それはナイショ♡ということで、今日は伊勢牛(いせうし)の話しをします。

今では伊勢牛というブランド名を聞く機会は少なく、三重県の牛と言えば、なんといっても松阪牛ですが、そういう状況になったのは、昭和35年頃からのことでして、その頃から各地の食肉店で「松阪肉」 という看板掲げる店が増えてきました。

昭和10年に行なわれた「全国肉用牛畜産博覧会」で松阪牛が名誉賞を受賞したことから全国的に知られるようになったのですが、それ以前は、三重県一体の牛を、伊勢牛と言って珍重しておりました。

その伊勢牛の中核部分である、松阪牛の生産者などが独自の組織を作ったので、それ以外の伊勢牛が、どうしても霞んでしまった観があるのですが、伊勢牛は歴史がないどころか、そちらの方が老舗なのです。

松阪牛の生産地域は、松阪市だけでなく、その周囲の旧22市町村を含んでいます。伊勢市も、実はその地域の中に含まれていますから、伊勢市産の牛を「松阪牛」と言うことも可能です、面白いことに。

しかし、その「松阪牛」と名乗ってOKな牛を、あえて「伊勢牛」と名乗って販売している人が、伊勢市においでです。

「すきや連」で御一緒する、「豚捨」のMorさんです。

伊勢牛の歴史に誇りを持って、あえて、知名度で劣る「伊勢牛」と名乗っておいです。

今回は、その方の御店を訪ね、網焼きとすき焼きの両方をいただいて、大満足。

牛を「枝肉」の状態で搬入し、自店内で解体・精肉作業を行う、言いますから、肉のプロですね。そういう御店はやはり、味に違いが出ます。

いやいや、伊勢まで来た甲斐がありました。そろそろ帰るかな。

おっと、そうだ、忘れるところだった、お参りを。

追伸①

単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。

21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。

時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。

くわしくはこちら↓です。

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

現在の笑顔数は361人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.275日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

 

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おいしい夏休み

食育企画「おいしい夏休み~親子体験食味学習会」を開催しました。

この催しは「国際観光日本レストラン協会」が主催して、加盟各店で開催しているものです。弊店でも開催させていただきました。

お子さんと親御さんがやって来て、親御さんに

ブログ拝見しました!

と言われたのには、まず驚きました。ありがたいことです。

で、最初は厨房見学。

白衣、帽子、長靴を用意して、お子さんに厨房に入ってもらいます。

肉をカットして貰い、その肉は、後で自分ですき焼きに入れて食べて貰いました。これは楽しかったようです。

その後、ザクの作業場も見学。

でも、まだ食べられません。

すき焼きの歴史や栄養について、私が30分ほど話してから、すき焼きです。

弊店では以前から「すき焼き百科」という、お子様向けにすき焼きのことを解説したパンフレットを作っていますので、それをテキストにします。

歴史のことも栄養のことも、小学校高学年でないと理解しずらいので、募集方法は「小学校高学年以上」に限定させていただいています。

その分、どうしても参加人数は減るのですが、そうした方がやはり、

勉強になった!

と言っていただけるように思います。

いや、勉強になった!

と喜んで帰るのは、むしろ、親御さんのことが多いです。

質問はありますか?と聞くと、

お子さんより親御さんが多いような・・・

でも、ザンネンながら修了書はお子さんの分しか無いんですよね。

なお、厨房見学は夏休みでなくても随時受けつけていますので、どうぞ気軽に連絡下さい。

 

追伸①

単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。

21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。

時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。

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追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

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皆様も、是非御参加下さい!

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無形文化財

目出度いニュースです。料理が無形文化財になったそうです。

報道によりますと、

「京都府教育委員会は京都市左京区の老舗料亭「瓢亭」の十四代当主高橋英一さん(74)の「京料理・会席料理」を府指定無形文化財とすることを決めた。高橋さんは無形文化財保持者として認定する。」

「滋賀県や長野県で郷土料理が民俗文化財に指定されている例はあるが、無形文化財指定は全国初。」

瓢亭さんは創業約400年。「ミシュランガイド」関西版で4年連続三つ星を獲得したことが有名です。平成22年には黄綬褒章も受章しています。

高橋さんには、私も国際観光日本レストラン協会の理事会などで、お目にかかったりしますが、大変穏やかな、素晴らしい方です。

高橋さんは取材に応えて、

「季節感を大切にして食材をあまり触らず、素直に表現するのが京料理。今回、文化として認められたことで、日本食文化の世界遺産登録につながれば」と語っておいでです。

今、農林水産省が日本の食文化を世界遺産にしようとプロジェクトを進めていて、なんでも12月のユネスコの委員会で登録の可否が決まる見通しなのだそうですが、今回の京都府の指定は、その登録の条件を整える狙いがあるのだそうです。

まずは目出度いです。

台東区も、すき焼きを無形文化財にしてくれないかなあ。

追伸①

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はらぺこ印

「はらぺこめがね」さんの、『すきやき はらぺこ印②』という絵本を買いました。

「はらぺこめがね」さんというのは、夫婦ユニットのイラスト家で、原田しんやさんと轟ロックさんが2011年に結成、挿絵や似顔絵など絵に関する、マルチな活動をなさっています。

2012年に初めての絵本『フルーツポンチはらぺこ印①』を発表、絵本第二弾として今年「すきやき」はらぺこ印②が出た、という次第です。

本を出すだけでなく、ネットには読み聞かせ動画もUPされています・・・

これは たべることの だいすきな

ふうふが つくった えほんです

おなかが すいている ときに つくったので

たべものが いっぱい でてきます

おいしそう だから といって

えほんを かじらないで くださいね・・・

という感じです。

目指しておいでなのは、

「感覚で身につける 新しい食育のカタチ たべるをたのしもう」

ということで、「絵本で食育」というのは、たしかに目新しいと思います。新しい視点をいただきました。

第一弾をフルーツポンチに譲ったことだけは残念ですが、次々発表していただいたら良いですね。

とりあえず、次はしゃぶしゃぶ、とか・・・

ご購入はこちらです。

http://nijinoehonya.shop-pro.jp/?pid=54588587

追伸①

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本が売れない時代

ネット社会に入り、本のセールスは、なかなか大変なようです。

たいていの情報がネットで獲れてしまうので、半端な本では売れないようです。

で、苦しくなった出版社の中には、禁じ手とも言うべき、慈悲出版イヤ自費出版に力を入れる社が出て来たようです。

社史の本を出しませんか!

と出版社の側から企業に提案して回るのです。

ウチにも見えましたが、金額が高額なので、遠慮しておきました。

この手法を発展させ、さらに手のこんだやり方を考えついた社もあります。

一社で出版費を負担するのが難しければ、団体や組合で、費用を分担しあって出しませんか!

という方法です。

良く考えたなあ!と思いますが、その団体を構成する全社を説得するのは、チト大変だと思います。御苦労さまです。

このように本が苦しいのは、とにかく数の単位が小さいからですね。

ネットだと何十万アクセスとか、簡単に記録するのに、

本だと、数の単位は数千とか、せいぜい数万です。何十万部出るのは、ごくごく少数のベストセラーのみです。だから分が悪いのです。

すき焼きの本が少ないのも、こうした事情(=売りにくいから)と思っています。

そんな状況ですが、私は本の「分」は、単純に数で比較するほど悪くはないと思っています。

本が売れない時代、本に成るのが難しい時代だからこそ、なんとか本に成ってしまえば、希少価値と受けとめられますね。

「本にするほど価値のある内容なんだ!」と思ってもらえますから、そこに自分が載っていれば、長い目で見て、インパクトのある宣伝に成ります。

すき焼きの本は少ないですが、では、すき焼きの本が無くても仕方ないのか、と申しますと、そこは困ると言わざるを得ません。

放っておきますと、ネット上でのランキングに人々が従うようになってしまいます。それは恐ろしいことだと思います。

だって、ネット上の匿名での評価なぞ、何十万人積み重なっても、結局は砂の楼閣のようなものだからです。総選挙の結果がブレまくるのを観ても、世論などアテにならないとつくづく思います。

やはり確たる個人が自己の責任で書いた評価が世にでるべき、と私は思っています。

追伸①

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使いこみ

「すき焼き思い出ストーリー」に、また投稿がありました。

今回の投稿の主は実は私の知人なのですが、彼が「使いこみ」をしたことがあるとは知りませんでした。

衝撃の過去と、最後はチョット泣ける「すき焼き思い出ストーリー」。傑作です。是非お読みください。

<以下本文>

私の祖父は終戦後に兵庫県芦屋市という地に精肉店を開き、その後美味しいお肉を食べさせる旅館業をはじめ、現在も精肉店とホテルという形態で続いています。私は末娘の長男ということもあり、祖父からとても可愛がってもらいました。
祖父の可愛がり方は、好きな物を買い与えたり、お小遣いを多くくれることもそうなのですが、何よりも質の高い但馬牛をいつも私に食べさせることでした。可愛い孫に美味しい牛肉を食べさせたいという思いと共に、私自身を「肉のエリート」として育成する狙いもあったと思います。
成人する頃には、育成が本格的になり、買付けに同行させられ、その場で牛肉の善し悪しを直接指導されました。しかしながら私自身、継ぐ気が全くなかったので、それはとても迷惑なことではあったのですが、優しくしてくれる祖父にそのことを明確にすることは出来ず、のらりくらりと祖父の「早く継げ!修行しろ!」という言葉をかわし続けていたのでした。

そんなある日、私を呼び出した祖父は、10万円が入った封筒を私に手渡し「三重の松阪牛の名店である和田金さんに行って“すき焼き”を食べて勉強してきなさい」と言いました。
当時20歳、遊びたい盛りの私は、その封筒を受け取り「わかりました!行って参ります!」と言いつつ、当時どうしても欲しかった物等を買い、“すき焼きでは無い食べ物”をお腹いっぱい食べ、文字通りの「散財」を行なってしまいました。
若気の至りでは済まされぬ背任行為。しかし、いつも甘やかされるだけ甘やかされていた当時の私には、さほど反省の気持ちもなく、数日後祖父に平然と「和田金さんに行ってきました!さすが名店の味!でした~」等と調子の良い報告を済ませたのですが・・・。

それから4年後、祖父は胃がんでこの世を去りました。
最後の最後まで私の名前を呼んでくれた祖父。死ぬ間際まで「美味い牛肉が食べたい」と言って亡くなった祖父。私の心の中には、優しくしてくれた多くの思い出と共に、和田金さんに行くように渡されたお金を別の事で使ってしまった後悔がありました。
情けないことに亡くなってわかる祖父の存在の大きさでした。以降、すき焼きを見る度に胸の奥がチクっと痛む、そんな日々が過ぎていきました。

そんな日々の中、私は祖父が我々家族に残してくれたお店で一生懸命すき焼きを売っていました。それが一番の供養であり、祖父への罪滅ぼしだと思ったからです。
お店に来るお客さんが「ここのすき焼きは美味しいねぇ~」と仰ってくださる度に、少しづつ私の心の中の懺悔の思いが軽くなっていくような気がしていました。

そういう私を見ていてくれていたのでしょうか。ある日、フード作家の向笠千恵子先生から取材の電話がかかり、その対応を僕が行なったご縁で「すきや連」という素晴らしい会の一員に加えて頂きました。
「すきや連」では、毎回各地の名店ですき焼きを食べる例会が行なわれるのですが、なんと第十一回目の例会が和田金さんで開かれることになったのです。勿論、私はすぐに参加を表明しました。
和田金さんに向かう道中、私は車窓から空を見上げ、亡き祖父に向かって「ようやく約束を果たすことが出来ます」と呟いていました。

そしてついに、私は和田金さんのすき焼きを口に運ぶことが出来ました。
自分で稼いだお金で祖父との約束を果たせた喜びも大きかったのですが、何よりも祖父が、なぜ私にこのすき焼きを食べて勉強しなさい!と言ったのかが、本当に伝わってきました。一つのすき焼きの味を通して、私は亡き祖父と心を通わせている、そんな感覚が私を包んでいました。
とろけていく霜降り牛の味を噛み締めながら、何度も何度も心の中で「おじいちゃん!ごめんなさい!」と呟きながら、でもいつしかそれは「おじいちゃん!美味しい!」に変わっていました。

子供の頃からいつもすき焼きが身の回りにある生活を送ってきましたが、この日のすき焼き以上の味は無いと思います。
牛肉が大好きだった祖父。その祖父の心が込められたすき焼きという食べ物を私は愛しています。すき焼きを食べるといつも祖父に会えるのですから・・・。

<終わり>

その他の「ストーリー」は、こちらでご覧いただけます。

追伸①

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皆様も、是非御参加下さい!

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ハート長官

『牛ゅっとハート』がついに商標に成りました♡

あの、「ちんや」のハート型の、すき焼き用の牛脂に名前がつきました♡

登録第5599742号♡

商品区分♡第29類♡牛脂♡

商標権者♡株式会社ちんや♡

登録日♡平成25年7月19日♡

この商標は♡登録するものと確定し♡商標原簿に登録されたことを証する♡

特許庁長官♡羽藤秀雄♡

と原文のママFBに早速UPしましたら、多数の方から「いいね!」を頂戴しました。皆さん、誠にありがとうございました。

そんな中、

「登録日が29の日でないのが唯一残念ですね(笑)」

というコメントも。

うーん、それでは、7月19日を『牛ゅっとハートの日』に私が認定したいと思います。

続いて同じ方のコメントなのですが、

「よく見ると、特許庁長官がハトーさん!?これは神がかってますね!」

私は、良く調べずにハネフジ氏かと思っていましたが、このコメントを読んで調べましたら、たしかにハトー氏でした。

ハトー秀雄長官は、

昭和56年東大法学部卒。旧・通商産業省入省。読み仮名の予想は外れましたが、ここは予想通りです。

昭和59年フランスENA留学。ほお、スゴいです。

大臣官房審議官、資源エネルギー庁の部長、消費者庁審議官を歴任、いったん外郭団体へ出た後、平成25年に特許庁長官に就任なさったようです。

昭和63年卒の(東大じゃないですが)私と7歳しか違わない人が、もう出向とか経験して、返り咲いて⇒長官にまで成っているのですねえ。

で、返り咲いた、その日付が今年の7月1日。その御陰様で、

ハート牛脂をハトー長官の手で登録していただくことが出来ました。

目出度いです。

たしかに、神がかってますな、通産人事。

追伸①

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土曜の「うし重」

土曜の「うし重」を、地下1階カジュアルレストラン「ちんや亭」でやっています。

すき焼き用のベストな肉を重箱に入れて、外見はまったく鰻重同然にお出しします。それに「やげん堀」さんの山椒と七味、それから奈良漬けが付いてます。

もちろん親父ギャグですが、食べれば旨いと思いますよ。是非お召し上がり下さい!

・・・と、ふざけてますが、真面目な意図もありまして、

・牛の美味しい食べ方と、鰻の美味しい食べ方には共通点があることを知っていただく。

⇒「鰻好き」の方に「肉好き」にも成っていただく。

・浅草にはスパイスの素晴らしい御店(=「やげん堀」さん)が在ることを知っていただく。

という趣旨です。

まず山椒ですが、

江戸時代、醤油や味醂のタレをつけて焼く蒲焼が流行する以前は、山椒しょうゆや山椒みそによるつけ焼きが主流でした。これは、現在のような風味を味わうというより毒消しの為だったようですが、実際、山椒の香りがうなぎによく合うため、蒲焼になってからも「うなぎ=山椒」が定着しているのです。熟した実を干してすった粉山椒は、その独特の香りによってうなぎの蒲焼の味を引き立たせる役目をしています。

また、山椒には胃酸のPH値を下げる働きがありうなぎの消化を助ける働きがあります。

次に奈良漬けですが、

鰻の蒲焼きに奈良漬けの組み合わせは定番。鰻を食べた後に口に残る脂っこさを奈良漬けが拭い去り、口をさっぱりとさせる効果があります。また胃の働きを活発にし胸焼けを抑えたり、脂肪の分解、ビタミンやミネラルの吸収を助けるなどの効果があるとされています。

そうそう、七味のことを言い忘れました。

七味については、夏場に肉という重いモノを食べる状況にあわせて、少し配合を変えてあります。まず、

山椒を減らし(=シビレを減らし)、それから、

陳皮を増やして(=香りを増やして)あります。

と、いうわけで、「土曜のうし重」は、

8月の土曜日の、丑の刻(1時~3時)にご提供。

限定14個(じゅ・うし)個です!(笑い)

え? 丑の刻は午前1時~午前3時だぞって?

あ~イタい所を突きますねえ。昼の1~3時なんです、ギャグが不徹底で申し訳ないことです。スミマセン。

追伸①

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開催しました! 第15回「すきや連」

<7/29に彦根市の「せんなり亭・伽羅」さんにて、第15回「すきや連」を開催しました。以下は会場で、参加者の皆さんに書いていただいた寄せ書きです。当日の雰囲気が分かりますから、是非お読みください。>

・時雨るるや炭の香高き鍋囲む(向笠千恵子)

・ようこそ彦根へ このご縁が満開になりますように!(上田健一郎)

・ようこそ彦根へ 出会いに感謝(上田勝之)

・オレが育て上げた近江牛サイコー!!(中川晶成)

・彦根の歴史・文化をご紹介できて光栄です。奥深い彦根をお楽しみ下さい。(野田浩子)

・牛飼えず鋤で田起こす春起こす~50年前の母を思いて(中村昇)

・美味しい近江牛が食べられてうれしい。中川さん、上田さん、ありがとう。(松田武朗)

・今日はありがとうございました。すき焼囲んで至福のひととき(木村泰造)

・「件」という文字と妖怪について考えた夜でした。ありがとうございました。(杉原正樹)

・歴史ある近江牛・千成亭さんとても美味しかったです。すき焼・黒毛和牛の文化を世界に広めたいですね!(吉澤直樹)

・日本の牛肉文化の原点ともいうべき彦根で食す近江牛最高です。「すき焼き大全」も楽しみです。(吉澤裕介)

・すきや連の本をみんなでつくりましょう。(土居秀夫)

・好きな一句を~柳くくる猪牙のへさきや夏の雪(松井純)

・77歳の中川さん、これからも良い牛を育てて下さい。(柴田進吉)

・はじめて参加させていただきました。楽しく美味しい素敵な会です。ありがとうございました(近澤秀安・摩弓)

・中川さんの熱意と努力、岡村さんの創意工夫、上田さんのおもてなし、近江牛の醍醐味を堪能させていただきました。(藤森朗)

・向笠先生に招かれてニューオータニ岡半さんのご縁で近江牛をいただきにまいりました。(大竹道茂)

・これからも頑張ります。(田仲寿夫)

・歴史深い近江牛・彦根・日本酒嬉しいすきや連でした。(星野見左子)

・近江牛の聖地、やっぱり現地で食べると美味しいね!(清水祐子)

・いつもありがとうございます。(梅田雄一)

・おやじのふるさとで「すきや連」の会が出来たことに感謝します(島崎進)

・近江の会~「すき焼き大全」新たなスタート 36か月の美味しい肉、ごちそうさまでした!!(川井秀晃)

・彦根が牛肉の食文化のルーツ とても美味しくいただきました。千成亭さん、中川さん、ありがとうございました。(藤井紀美江)

・ひこにゃん、近江牛すき焼きにカンゲキ いっしょにミラノにいきましょう(相沢二郎)

・千成亭さんの美味しいすき焼に感動しました!新しい向笠先生の「すき焼き大全」とても楽しみです。ありがとうございました。(相沢ヒロミ)

・先日梅原猛先生の講演を聞く機会があり、縄文土器は鍋物に使われていた!スキヤキ好きは日本人なら当然と言われていました。

(高橋万太郎)

・近江牛バンザイ!(小林甲児)

・近江牛の歴史が分かり勉強になりました。そして、美味しいお肉ありがとうございました。また参加したいです。すきやき最高!(小林由佳)

・江戸時代の牛肉文化素敵です。彦根城の近くですきやきを頂戴できて感激でした。(西村委代)

・中川牧場で愛情いっぱい育った雌牛らんchan美味しくいただきました。近江牛を堪能させていただきました。(鈴木拓将)

・中川さんの牛舎で生まれ育てられた、美味しい美味しいお肉、大切に育てられたお肉はとても美しく綺麗でした。丁子麩も美味しい優しいお味、永源寺こんにゃく、滋賀県の食材とても美味しい。(羽鳥裕子)

・牛肉の歴史、再度勉強します。日本のすき焼きのために。(森大亮)

<以上>

追伸①

単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。

21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。

時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。

くわしくはこちら↓です。

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

現在の笑顔数は361人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.249日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。