佃煮最中

佃煮最中を作って食べてみました。

河治和香先生が「駒形どぜう」さんの三代目をモデルにした小説『どぜう屋助七』を書かれましたが、その小説ベースにした、「どぜう講談」を聞く会が開かれることになり、当然どぜう料理も付いているのですが、その講談を聞きにくるのは、以前からのどぜうファンばかりで、さんざん召し上がった経験がおありなので、何か新企画が欲しいね、それも小説の登場人物に関係する企画がいいね!

と、いうことで、この小説に登場する最中の皮屋の「種亀」さんと「ちんや」がコラボすることに成った次第です。

三代目の当時「ちんや」は未だ「狆屋」で、牛鍋屋に転進していないのですが、まあ、そういう細かいことを言うのは止めましょう。

禅は急げイヤ善は急げ、で試してみますと、結構旨いのです。

しぐれ煮とそぼろ煮のどちらが良いか、両方試してみましたが、両方ともまずまずでした。

良く考えましたら、最中の皮は元々米粉ですから、合わない理屈がないですね。やってみるもんです。

結局そぼろの方が甘いので、会にはそぼろ最中を出しましたが、しぐれ最中もいけると思います。

皆さんもお試しあれ。

あ、そう言っても、最中の皮だけはあんまり市販されていない・・・か・・

追伸

JALさんの機内誌『SKYWARD』の4月号

「JAPAN PROJECT 東京ようこそ、おもてなしの首都へ」に載せていただきました。在り難いことです。ご搭乗のおりにご覧ください。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.512日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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チアリーディング

おや、明治のチアリーダーもすき焼きがお好きでしたか!

明治って、明治時代じゃないですよ。明治大学のチアリーディング部「JAGUARS」のことです。

京大ボート部がやはり「新歓」すなわち部活の新人獲得に、すき焼きを使っていることを最近知りましたが、明治でもやっていたのですねえ。密かな流行りなんでしょうか。

「新歓コンパは4日にしゃぶしゃぶ食べ放題、9日にすき焼き食べ放題になんと500円で行けちゃいます。もちろん!お酒なんてないし男子禁制の女子会です(=^x^=) いっぱい食べて、お話して仲良くなっちゃいましょう。絶対楽しいから是非参加してね!」

え?!

「お酒なんてない」んですかあ。

私達の頃は、アルハラなんて言葉もコンプラなんて言葉も無かったので、学生の飲み会と言えば、未成年でも飲みまくっていましたが、今は昔ですねえ。

それでも「絶対楽しい」なら結構ですが、隔世の感があります。

時に、このチアリーダー、よくよく調べましたら、神宮球場で野球の応援をしている娘たちではなく、「競技チア」を行うチームのようです。

「競技チア」とは、いかに観客を魅了し、引きつけることができるかどうかを競う「表現スポーツ」だとかです。最近は人の応援をしない方が盛んなのですね。

しかもJAPAN CUPに出るのは勿論で、アジア大会にも出るそうです。ハードそう。

そして大会の為になんと、

「テスト期間中も練習があります」

「みんな両立を頑張っています★」

ひええ、すき焼き食べて頑張って下さい。

追伸

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新歓情報

流石、京都大学。良い考え方ですね。

そういうすき焼きの使い方があったのですねえ。それもまた、すき焼きのベネフィットの一つと申せましょう。勉強になりました。

勉強になったので、皆さんにもご紹介しますが、

【新歓情報】「次回4/13のボートレースの後すき焼きは食べ放題!!!

こんなに美味しいすき焼きがお腹いっぱい食べられるのは、そう、ボート部だけ!!」

と、いうことで京大ボート部が新入生を勧誘しているのです。

すき焼きが出るのは、日曜日だけのようですが、それ以外にも、

「4月の平日毎日練習体験。練習後のご飯はおごり!」

だそうです。

ホントかよ?!

と思う方は、京都大学体育会のFBページをご覧ください。

画像を拝見しましたところ、鍋の後ろの方に、仕込み中の大量の野菜が写り込んでいます。自分で調理しているのですねえ。偉いです。

でも、鍋の中は随分「ツユだく」ですねえ。ほとんど「煮込み」みたい。

京都は関西風すき焼きの総本山なのに・・・

賢い学生さんに説教は恐縮ですが、京都は肉食系の町です。日本で最初の牛肉のブランド「近江牛」の産地から最も近い場所に在る都市でしたから、東京などより先に牛肉を食べるようになりました。当時関東は牛の頭数自体が少なかったのです。

今でも観光客は和食店に走りますが、地元の方々は肉がお好きですね。

いつかは関西のリーダー・日本のリーダーと成る皆さんは、引き続き、さらにすき焼きのことを学んでいただきたいと思います。

改善の余地があろうかと思いますよ。ヨロシクです。

フレ―、フレー、鏡台イヤ京大!

追伸

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畜産試験場

<訂正とお詫び>

弊ブログの連続更新日数の計算を誤っていました。

4/14が1.500日と思っておりましたが、4/8に既に1.500日に成っていたようです。訂正いたします。1.500日目を楽しみにして下さっていた皆さん、スミマセン!

<ここからが今日のブログです>

肉の勉強のため、山形県畜産試験場に行ってきました。

この試験場の先生が発表されている論文を読んでおりましたら、その、肉についてのお考えが、私にかなり近いと思われましたので、一度お訪ねしたい、と思っておりました。

そうしましたら、弊社の取引先「山形アマイ牧場」の場長さんが、その先生と面識がおありだ、と言います。で、春を待ってお訪ねすることにしました。

さて試験場は、てっきり山形市に在るのかと思っておりましたら、新庄市に在りました。そう、山形新幹線の終点の駅です。

結構遠かったです、ハッキリ申して。東京では桜が散ったと言うのに、新庄では未だ雪が積もっていました。でも、来た甲斐はありました。

先生のプレゼンの主題の「おいしさへの努力が報われる社会に」という一文を読んだだけで、軽く泣けてきました。

そう、牛の業界って、本来であるはずのこの主題から乖離した方向へ動くことが実に多いんですよ、実に。

県によっては、肉の実態が相も変わらぬ霜降り信仰一辺倒・見栄え至上主義なのに、それに広報予算をドボドボ注ぎ込んで、なんとか有名に成ってやろう!ブランド化してやろう!と目論んでいる所がまだまだあります。

しかし山形は、やはり違いました。良かったです。

では、そもそも肉のおいしさとは何か?

ということですが、現在未だ探求し切れていません。

ここ10年ほど脂肪の中のオレイン酸の割合に興味が集まっていて、たしかにオレイン酸が多いと、脂の融けが速くて、舌に甘味を感じさせ、なおかつ食後にモタレない、ということは言えそうです。

でも、オレイン酸一辺倒というのもあまり良くはないようです。

人間の味覚は複雑で、もっと微量の要素も捉えているのではないか、だからもっと総合的に味覚を考えないといけない、というのが最新の見解のようでした。

例えば、肉の中の糖質=グリコーゲンは量が少ないので、従来は研究課題から外されてきましたが、実は結構おいしさに影響を与えるているのでは、という研究がなされているようです。

肉を熟成させていると、分子の大きいタンパク質が分子の小さいアミノ酸に成るだけでなく、やはり分子が大きい糖質のグリコーゲンが分子の小さいグルコース (glucose) に成るそうです。

グルコースは別名ブドウ糖。代表的な糖ですね。

分子が大きい物質は味がしませんが、分子が小さいグルコースが出来て味覚を刺激していると考えられます。

熟成させる、というおいしさへの努力が、ここでまた根拠づけられました。

今後は、どの位の期間熟成させると、どの位グルコースが増えるのか、といった研究が期待されます。

ともあれ、「おいしさへの努力が報われる社会に」は、大大賛成です。

そういう社会にしていきたいと思います、心から。

追伸

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すき焼きフィギュア

<訂正とお詫び>

弊ブログの連続更新日数の計算を誤っていました。

4/14が1.500日と思っておりましたが、4/8に既に1.500日に成っていたようです。訂正いたします。1.500日目を楽しみにして下さっていた皆さん、スミマセン!

<ここから今日のブログです>

またしてもツイッターで面白いものを発見しました。

「外国人観光客のみなさまには、パスポート提示で海洋堂のフィギュアをプレゼントしています。私のイチオシはすき焼き。」

というツイートです。

ツイ主は「心斎橋筋商店街広報 永田@ShinsaiStaff」という方。

そのプロフィールは、

「NAOKO NAGATA /永田尚子26yrs. 心斎橋筋商店街事務局 広報 *IN THE GROOVE 編集長/ shinsaibashi.jp *Japanese Model (freelance) 街遊び情報誌【大阪スケジュール】にてコラム「今月の気になる大阪」連載中!!」

「大阪生まれ、大阪育ち。関西外国語大学卒業後、心斎橋筋商店街の広報として、カメラを片手に走りまわる毎日。調理師免許を活かし、公式スマホサイトしんさいばしnaviで朝ごはんコラム「朝ごはんラヴァーに贈る おいしい朝時間」を執筆中。フリーランスでモデルとしても活動。」

・・・「フリーランスでモデル」ですかあ、道理でプロフ写真が美人さんなわけです。

こういう女性を商店街の職員として雇うとは、侮れませんなあ、大阪人。

私も鼻の下を伸ばしながらRTさせていただきました。

え? 美人の話しよりすき焼きのフィギュアの話しをしろって?

ああ、そうでした、フィギュアでした。あの有名な海洋堂さんが作ったようです。

「日本のお土産~伝統文化コレクション~」というシリーズで売価300円の、小さいもの。すき焼きの他は、

五重塔 -奈良・元興寺-

大鳥居 -広島・厳島神社-

戦国武将の鎧兜-伊達政宗の具足-

文楽人形

招き猫と犬張子

さて、そのすき焼きですが、七輪の上に、取っ手の付いた鉄鍋が載っています。

鍋の中の具材は霜降り肉、豆腐、葱、しいたけ、春菊、人参も見えます。オーソドックスですが、関西だけに葱が青葱です。

そこに玉丼と箸、ご丁寧に箸置き、そして徳利とぐい飲みまで付いています。流石の精巧さですねえ。恐れ入ります。

誰か大阪在住の方、心斎橋に行って、これ貰って来て下さい、変な外人のフリして。

追伸

JALさんの機内誌『SKYWARD』の4月号

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たからもの

ちょうど桜の散る頃、なにやら中に物が入っているらしき郵便物が届きました。

差出人は苗字のみで住所は無し。

イヤな予感がしました。異物混入の事件が起きて、そのブツを送ってきたのかなあ、と思ったのです。

ところが開けてみましたら、憂鬱な気分は吹っ飛び、パっと明るい気分になりました。

「先日うかがった時に子供が誤って箸置きをポケットに入れて来てしまいました。申し訳ありません。」

と箸置きを送って下さったのです。これは嬉しかったですね。

その箸置きは実は、なでしこの箸置きなのですが、ピンク色が鮮やかなので、「ちんや」では3~4月上旬に使ってます。

わざわざ送って下さり、もう一度桜が咲いた気分でした。

差出人が苗字のみで、こちらからは連絡できないので、画像をFBにUPしましたら、知人から、

「面倒だから、いいか、と思うのが普通でしょう。いやいや、ちゃんと返そうと思わせたのはお店の力です。いいお客さんが多いですね。たからもの。」

とコメントが入り、ますます気分がよくなりました。

実を申しますと、箸置きはなくなることが結構あります。

でも、持って帰りたくならないような、サエないものではダメと考え、意地で気の利いたものを使うようにしています。

弊店は会員制の店ではありませんので、全ての来客が善人というわけには参りません。しかし、だからと言って性悪説をベースにしてしまったら、そこでその店はお終いだと思います。

今回の御客様は、きっとそこを分かって下さったのでしょう。

在り難いことです。

南無観世音菩薩。

追伸

JALさんの機内誌『SKYWARD』の4月号

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レファレンス事例詳細

いやあ、忘れていました。図書館に調べてもらう、という手があったのですねえ。

最近はネットでたいていのことを調べられてしまいますから、図書館の存在を忘れがちですが、図書館で調べるのが王道であることは、今でも変わりはありません。

さて、ある日「ある図書に京都のすき焼きの調理法が特別であると書いてあるが、本当か。」ということを調べようとして、豊中市立図書館を訪ねた人がいたようです。

豊中に私の知り合いはいませんから、この不審人物が誰なのかヒジョーに気になりますが、そこまでは調べられないので、先に参ります。

この質問に困った市立図書館さんは国立国会図書館関西館図書館協力課に助けを求めたようです。

で、国会図書館のデータベースを使って回答し、さらにその内容をツイッターでつぶやきました。協力課が@crd_tweetという、ツイッターの公式アカウントを持っているのです。

さらにさらに、詳しいことは国会図書館のサイトの「レファレンス事例詳細(Detail of reference example)」というページにも掲載しました。

さてさて気になる、その回答ですが

「事典類を中心にすき焼き、肉食について調べたが、東西の違いについて言及している資料はあるが、京都という一エリアが特別であるという主旨の記述は見られなかった。調べた資料とその内容については回答プロセスにあり。」

解決/未解決の区分は「未解決」。

なんか、大真面目に回答されると笑ってしまいますね。

やや長くなりますが、その「回答プロセス」を以下にコピペーしましょう。

『日本の東西「食」気質』三嶺書房 「地方料理アラカルト」175ページ

「関西型は、脂身で予め肉を焼くことを身上とし、汁の多い煮る状態を好まない傾向がある。調味料をめいめいで加えるので、鍋ごとに味がちがい、やれ甘いの、辛いのと、にぎやかである。関西のすき焼専門店では、店としての味を保つため、サービス係が味を付ける。ところが、このサービス係はかなりの経験を要するし、人件費もたいへんである。そのため、関西風すき焼の店でも割り下を用意し、肉を焼いてからは、この調味液で煮る形をとる店が多くなってきたようだ。」

 

『たべもの文明考』朝日新聞社 「米食化された『四つ足』」201ページ

「当時の日本人は牛なべやすき焼など、牛肉を野菜といっしょにしょうゆで煮るというしごく日本的な料理法で食べはじめた。」

 

『全集日本の食文化(異文化との接触と受容)』8雄山閣出版 「文明開化と食物」35ページ

「牛鍋は、もっとも日本人の好みにあった調理法で、古くから行われていた雁鍋や、ももんじやのぼたん鍋などの調理法が用いられたものである。関東で牛鍋が行われていたのに対して、すき焼きは関西の食法で、のちに東京の牛肉店にとりいれられたものである。寛永二十年版の『料理物語』の煮物の部に<中略>あるが、このように鉄鍋を用いていったん脂をしいて肉を焼き、そのあとでたまりを入れて煮る。そこにせりやねぎをなどを加えるという調理法は古くからあったようである。<中略>煮えるまで待つ時間が長いので関西風のすき焼が行われるようになったという説もある。」

 

『食の百科事典』新人物往来社 「牛鍋とすき焼文化」140ページ

「牛鍋はそもそも関東風の呼び名であり、もちろん鍋料理であるから、汁を沢山入れてじっくりと煮込むのが普通である。まず温まった厚い鍋に肉を入れて炒め、後に、醤油、味醂、砂糖をまぜて水でうすめた割り下地(割下)を入れるのである。元来はあまり野菜などを入れず、ネギを五分切りにしたものだけ少し入れたようである。牛肉の煮込みと言った方が正確かもしれない。

すき焼きとは、関西風の呼び方で、文字通り焼く料理である。まず鍋で肉を炒めた後、順次ネギや白滝などを入れて炒め、最後に関西風の淡口醤油で味付けするのである。味醂、砂糖などは使わない立て前となっているようである。」

 

同書 「すき焼」269ページ

「脂を溶かした鉄鍋に薄切の牛肉を入れて炒め焼き、割じょう油で味をつけ、ねぎ・焼豆腐・しらたきなどを加えて、煮ながら食べる、鍋料理の一つである。

鶏卵を出すことは関西から始まって、関東でも行われるようになった。

割じょう油は、酒・みりん・しょう油を一・一・二の割合でまぜ、水で二倍に薄めたものを標準にして、好みで変えればよく、さらに砂糖も用いる。」

 

『京都の食景』淡交社 「すきやき屋」128ページ

「鰻と同様に調理に東と西の違いがあって、五木寛之が『この店のやり方は、最初に鍋に砂糖をざらっと撒いて、その上に肉だけをのせて焼く。一緒にいったカメラマン氏、驚いたような顔で見ていた』(『深夜草紙』〈京都好日〉)と触れているように割下を最初から用いる東京のすきやきのやり方とは異なっている。」

 

『深夜草紙』part6朝日新聞社 「京都好日」100ページ

「関西のすき焼きは、砂糖をたっぷり使って甘く焼く。関東から東北へと次第にからくなってゆく。前に山形市でごちそうになったすき焼きは、びっくりするほど塩味がきいていた。」

 

『たべもの日本史総覧』新人物往来社 「牛肉」230ページ

「この時期日本人は牛肉を煮て食べる独特な料理を作り出した。まず牛肉とネギなどの野菜を味噌ないし醤油を入れて煮る牛鍋である。これに対し、魚鳥肉を鋤の刃の上で焼いて食べていた鋤焼をまね、牛肉をまず焼くないし炒めてから野菜、醤油等を加えて煮たのが関西風のスキヤキである。<中略>東京風スキヤキは現在なお割り下を使う点で関西風とは異なる。」

 

『世界大百科事典』14平凡社 「すきやき」684ページ

「ふつう牛肉や鶏肉にネギ、シュンギク、キノコ類、豆腐、白滝、麩などをとり合わせて、しょうゆ、みりん、酒、砂糖などを合わせた割下を注いで煮て食べる。」

 

『改訂調理用語辞典』全国調理師養成施設協会 「すきやき」610ページ

「関東と関西では、材料はほとんど同じであるが、食べかた、味つけが異なる。関東では割り下を用いて煮るが、関西では砂糖、しょうゆ、酒を好みの量、鍋に直接加えて煮る。」

 

『新版総合調理科学事典』光生館 「すきやき」284ページ

「関東と関西では材料は同じであるが作り方が異なり、関東では割り下(しょうゆ、砂糖、みりん、だしを合わせた調味液)で煮るのに対して、関西では肉を焼いてから調味する。」

 

『ブリタニカ国際大百科事典』3ティビーエス・ブリタニカ 「すき焼」813ページ

「鳥獣肉、特に牛肉の日本独特の調理法として国際的にも有名である。厚手の浅い鍋に牛肉の脂身を溶かして薄く切った牛肉を焼き、すぐに割下と野菜(ねぎ、春菊、白菜など)、しらたき、麩、豆腐などを加え煮ながら、生卵につけて食べる。割下をつくらず直接砂糖、醤油、好みにより酒を入れることもある。<中略>また、薄くすき身した肉を味醂、醤油に浸し鉄鍋で両面を焼いて大根おろし、さらしねぎなどの薬味をつけて食べる方法もあり、鍋の代りに鋤で焼いたのが名称の由来であるともいわれている。」

 

『図説明治事物起源事典』柏書房 「牛鍋」286ページ

「広く受け入れられた大きな理由として、牛鍋の調理法があげられよう。すなわち、牛鍋は醤油や砂糖で煮るという、きわめて日本的な調理法であり、これが庶民の口にピッタリ合っていたのである。」

 

『全集日本の食文化(魚・野菜・肉)』4雄山閣出版 「肉ジャガとスキヤキ」253ページ

「その河上が東京に移って暮らすなかで、関西風の『鋤焼』ではなく割り下を使う関東風の『牛鍋』になじんでいき、鋤焼を牛鍋とよぶようになる。」

 

『日本料理語源集』光琳社出版 「ぎゅうすき」「ぎゅうなべ」188ページ「すきやき」355ページ

「牛すきとは牡丹鍋からヒントを得たもので、みそを使うのは肉の臭味を消し肉質を柔らかくするためで、鍋の深さは一・五cmくらいで非常にあさく、<中略>タレは沢山入れられませんから自然焼くと煮るを兼ねた調理法になります。」

 

『舶来事物起源事典』名著普及会 「牛鍋屋」86ページ(豊中市未所蔵、八尾市より借用)

「牛鍋は牛肉を焼くのではなく煮るという点できわめて日本的な調理法である。味噌、ついで醤油などアミノ酸と砂糖による味つけもまた非西洋的な調理法である。」

 

『来し方ゆく末和風たべもの事典』農山漁村文化協会 「すきやき」212ページ(豊中市未所蔵、茨木市より借用)

「現在では、すきやきの一般的な調理法は、脂で牛肉を焼き、これに割下を入れ、ねぎなどを加えて煮るやり方となっている。いわば、焼肉料理と鍋料理を折衷した形である。」

 

『うまい肉の科学』ソフトバンククリエイティブ 「牛鍋とすき焼き」74ページ

「『すき焼き』は、関東と関西ではスタイルが違っていて、関東では割り下に具材を浸して煮る料理(牛鍋スタイル)、関西では醤油・砂糖と共に具材を焼く料理(焼肉スタイル)である。」

<コピぺ―終わり>

 

いやはや、両図書館の皆さん、お疲れ様でした。

今後は私も利用させていただこうと存じます。

時に、この「レファレンス協同データベース事業」のページをチラチラと流し読みしていましたら、「おすすめデータ」というコーナーが目にはいりました。

その「おすすめ」の内容は、なんと、

「割烹着の歴史について知りたい」

おっと、またそのネタですかあ。

なんか、いやらしいなあ、国会図書館。

追伸、

4/1は火曜日で通常なら休業日ですが、春休み中ですし、隅田公園の桜が満開ですし、臨時営業いたします。行楽のお帰りなどに、どうぞ御利用下さい。

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キャベツすき焼き

弊店の板長が春キャベツをすき焼きに入れたら美味いですよ、と言いだしたので試してみました。

ふん、なかなか行けます。

キャベツは癖のない味なので、様々な料理に使われる野菜ですし、肉の脂とよく合います。野菜炒めやお好み焼き、焼きソバに必ず入っているのは、やはり脂と合うからだと思います。

脂を含むと甘味が引き出されるのがキャベツの面白いところです。

イメージ的には、すき焼きイメージじゃないよなあ、と言う方もおいでかもしれません。

元々日本に在った野菜ではなく、幕末・明治から外国人用に栽培され始めた野菜ですので、洋食イメージですが、今や生産量はダイコンに並ぶほど栽培されています。

既に日本に定着したと言って良いと思いますし、それに味が合うのだから、すき焼きにしない手はありません。

すき焼きに出来るものは、なんでもすき焼きにするのが私です。

冬キャベツは玉が締まっていて繊維っぽく、ある程度長時間煮込んだ方が良いのに対して、春キャベツ(=新キャベツ)は柔らかめなので、すき焼きに丁度良いと思います。

また春キャベツは生産量が少なめで近年人気が高いです。三浦の春キャベツとか暴走の春キャベツとか、イヤ、房総の春キャベツとかを「変わりザク」として売り出したら売り上げも期待できそうですね。

それにですよ、キャベツのキャベジンは胃に良いです。

キャベジンが胃腸に取り込まれると、胃腸の粘膜の組織をつくり、飲み過ぎで壊れた組織の修復をしてくれるとかで、胃腸薬の商標としても有名ですよね。

既成イメージさえ捨てていただけば、楽しくて実利的と思いますよ、キャベツすき焼き。

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浅草すき焼き研究会

「地域団体商標」を登録できる団体の要件を拡充してNPOにも認める件、ちょっと待っていただきたい!と思います。

「ご当地グルメ」をさらに盛り上げることができるということで、報道は歓迎モードですが、私は苦々しく思っています。

商工会や商工会議所なら良いと思いますよ。まがりなりにも評議員の選挙とかありますからね。でもNPOはどうなんでしょう。

特定のNPOが、地域を代表するような感じに成るのは是非やめて欲しいです。

例えば、私が勝手に「浅草すき焼き研究会」というNPOを造って、

「浅草すき焼き」という登録をしたら、OKなんですかね?

私が、浅草のすき焼き屋を代表しているわけでもないのに登録出来てしまったら、マズくないですか?!それじゃあ、「地域団体商標」ではなく、そのNPOの商標ですよね。

既に「浅草鮪」とか「浅草山菜」とかの浅草グルメはめじろ押しで、名乗り放題です。

あの皆さんが、去年始めたばっかりなのに、「浅草」と名乗るのが公的に認められる道が拓けるなんて寒気がします。

地域の名前を名乗れるのは、よほどの公的団体だけでしょう!というのが私の普通の感覚ですが。

皆さん、いかがですか?

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サイコ―!

3月に入り下仁田葱のシーズンが終わり、「ちんや」の「変わりザク」も新筍に切り替わる予定です。ですので、下仁田葱の取り扱いは今年はまもなく終わり、ということになりました。

生産者の小金澤ファームさんに、そのことを伝えますと丁寧にも返信が来ました。

「下仁田葱の名前は知っていても食べたことがない、という人が結構いますので、『ちんや』様で取り扱っていただいたことで、知ってもらえた(食してもらえた)人が確実に増えたことが生産者としてとても幸せに感じます。」(中略)

「冬限定の扱いにくい「下仁田葱」を取り扱っていただき、たいへんうれしく感謝しております。」

そう、すき焼き屋にとって、下仁田葱は扱いにくいのです。

葱はすき焼きには必要不可欠

⇒とにかく一年中絶対に欠品しては困る

⇒冬しか出ない下仁田は扱いにくい

という図式は崩せませんから、下仁田の生産者の方が従来の葱とシェアを争う、という発想で営業なさると、それは徒労に終わると思います。

それが「名前は知っていても食べたことがない」現実に繋がっている模様です。

ですので、ここで「食べ比べこそ食の楽しみ」ということに、すき焼き屋が気づくことが大事と思います。

食べ比べには不都合もあります。

食べ比べをさせれば、お客様が「従来の葱が最高ではなかったのかも!」ということに気づいてしまい、困ります。

しかし、お客様自身が、これだけ情報を持つようになった現在では、すき焼き屋が薦める葱だけを、お客様は黙って無批判に受け入れはしないでしょう。食べ比べをしてみたいのです。

だいたいですよ、「最高」って、何か一つに決める必要があるんですかね?

ほにゃらら牛がサイコー!とか、

なんちゃってサバがサイコ―!とか。

弊ブログを読み続けている方は、私がそういうことを全く言わないことにお気づきと思います。「ちんや」の肉がサイコー!とすら私は言いません。

色んな食べ物があって、良さがそれぞれあるのであって、それを食べる側の人の味覚もまたそれぞれ、です。

だから「サイコ―!」と言わないのです。

食べ方だって色々試して良いのです。

以前「ちんや」の精肉売店のスタッフは、お客様から、

この肉はどうやって食べるのが美味しいの?と聞かれると、

塩・胡椒だけして、牛脂を使って炒めて下さい。それが「サイコ―です!」

と答えていました。

尊大でした。そして阿呆とすら言えます。

だから「塩・胡椒だけでサイコ―!」は止めさせました。今は色んな調味料を販売して、色んな食べ方を試していただいています。

さらに申しますと、「サイコー!」を止めると売り手として、とても気が楽です。

最高と断定できるか判然としないもとを「サイコー!」と言い張る時の後ろめたさったら比類のないものです。

それでも力んで言い張れば、阿呆に見えましょう。

テレビやネットがランキングを好むのを視て、私はますますランキングが嫌いになり、止めた次第なのですが、止めて実にハッピーです。気楽です。

読者の皆さんにも、お勧めしたいですね。

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