八王子の 壇払い(だんばらい)
暑くなってきたせいか、先週末は、ご法事のご予約が入っていました。冷暖房完備の世の中なのに、やはり寒い時と暑い時に、お亡くなりになる方が多いですね。
ご冥福をお祈りしつつ、仕事に当たりました。
「ちんや」は、料理自体が生臭さですし、お寺にコミッションを払うのが愉快でないため、積極的に「ご法事の食事をどうぞ!」と宣伝してはいないのですが、故人がすき焼きをお好きだったりとかで、結構「ちんや」はお使いいただいています。
でも、法事に参加する人数自体は、減る傾向にあって、一周忌だと10〜20名様くらいが標準です。核家族化の結果でしょう。
そう言えば、「法事の人数が減った」で思い出すのが、八王子の「壇払い(だんばらい)」です。八王子の「エルシイ」さんと「坂福」さんを、訪ねた時のことは、このブログの4/28号に書きましたが、お二人とも、「法事の人数が減った」と言っておいででした。
ところが、驚くのは、その人数でして、「減った結果、80人しか来ない」とかいう数字なのです。
は、80人で「減った」んですか?
聞けば、それが八王子名物?の、「壇払い」なのだそうです。
普通「壇払い」と言うと、葬式のあとで、設置していた祭壇を片付けることを言いますが、八王子では、葬儀の後の食事のことを言うそうでして、しかも、列席者総出で会食する、すごい食事会なのだそうです。
これは、料理屋にとって、売り上げとしては有り難いものの、大変な難行でもあります。
まず、人数の見当がつきません。
「爺さんが死んだ時は200人だったから、親父なら、160人かなあ」
と、いうような感じの、極めて精度の高い?予測をもとに、仕込みをするのだそうです、料理屋は。しかも、葬式ですから、時間に猶予がありません。
あんびりーばぶる! とてもマネできません。
話しは少し逸れますが、料理屋業界の先輩と話していて、
「ウチの先代は、自分の法事の食事のことを、細かく指示してから死んだんだよ」と聞かされ、
「ああ素晴らしいですね。それは是非、私もそうして死にたいもんですね!」と申しましたら、即座にその場で、その人に予約を入れられてしまいました。
「予約入れとくよ! ゼッタイ、食べたいからねえ、住吉君の法事の肉。」だって。
死なないかもしれませんよ、アナタより先には・・・
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
*八王子訪問については、このブログの4/28号をご覧下さい。
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