すき焼きの歴史と現在~若き料理屋さん達のために⑧

全国料理業組合「芽生会」関東甲信ブロック会議で、すき焼きについて講演することになりました。

「芽生会」と申しますのは、各料理屋さんの若手後継者の集まりです。講演場所が同業の名店「太田なわのれん」さんなので、正直かなり話しづらいですが、若い料理屋さん達の参考になりますよう、頑張って原稿を準備しました。

ここでも公開してまいりますので、ご覧下さい。長いので5/12から5/21まで10回に分けて公開いたしますね。

<以下本文>

まず弊社の経営理念は「心に残る思い出を!」という文言にしました。弊社は「すき焼きを売るのではく思い出を売る」という次第です。

それから例えば、ですが、「記念日割引」という制度を作りまして、その日は割引率が倍になるんですが、お客様が自分の好きな日を登録できる、というのがミソです。

勿論自分の誕生日を登録してもOKなのですが、むしろ多いのは奥様の誕生日とか、結婚記念日とか、お孫さんの誕生日、あるいはご先祖の命日もあります。不祝儀でも良いんです。会社をやっている人は創業記念日を登録して社員さんを連れて見える、というようなパターンがあります。

傾向を見ておりますと、男性は結婚記念日を登録なさることが多いですが、女性は自分の誕生日です、ゼッタイに。恐ろしいことですね、はい。

え~何でしたっけ?そう、そう、「記念日割引」という制度の話しですが、この制度の良い点は、どういう理由でお客様が見えたのかハッキリすることです。そしておめでたい日であれば、おめでたい趣向でサプライズのサービスが出来ます。

実は『牛っとハート』というネーミングを商標登録出願しているのですが、なんの名前かと申しますと、ハート型に成型した牛脂の名前です。最初に鍋の底に敷く脂の名前です。結婚記念日に見えた御夫婦には、その脂を使って、すき焼きをお作りするんですが、結構喜んでいただけます。またFBやツイッターにUPしていただいています。

そういった努力をしつこく続けて行けば、浅草のすき焼きを、その方の人生における必需品に入れていただくことも可能ではないか、イヤ絶対に可能だと確信しております。 

実際の問題としては、お客様にリピートしていただく、それも10年に30回、20年に60回、30年に90回といったペースでリピートをしていただく、ということを目指しております。浅草はそれが可能なんです。実は浅草と上野の間には寺町があってお墓があります。そこへ正月、春のお彼岸、お盆、秋のお彼岸と多くのご家族が通って来ます。春には墨堤の桜が咲きます。是非ともそういう機会にリピートをしていただきたいと思っています。

30年の間にはお爺さんが亡くなるかもしれません。しかしリピートは終わりません。30年の間に、お孫さんが成長して結婚して⇒そこにお子さんが生まれて、つまりかつてのお父さんがお爺さんの位置に上がりまして、新たな3世代が揃って「ちんや」へ来て下さいます。

人間の個体の単位で考えれば、お爺さんは死んじゃったんですから二度とリピートできませんが、家族単位ではリピートできるんです。生まれたお子さんにモノ心がついたら、今度のお爺さんつまりかつてのお父さんから聞かされるでしょう、オマエの曾爺さんの代から、ウチの家族はこの店に来てるんだぞ!って。それが弊店の理想形であります。

以上<商品としてのすき焼き>という段を纏めますと、すき焼きという商品は売り易くない、しかしすき焼きの思い出という商品は結構、売り易い、そう申し上げておきます。

だいだい、そうでなくては所謂「老舗」の存在意義なんてものはありません。そして、さらにもう少し申せば、家族を統一するのは味覚だと、私は思っています。そうしたご家族の平凡な幸せに貢献すること・平凡な思い出づくりのお手伝いをさせていただく、それが私と「ちんや」の役割・私と「ちんや」のミッションです。

さて残り時間もあまりありませんので・・・

<本日分は終わり>

この話しは長いので5/12から5/21まで10回に分けて公開いたします。明日もよろしくお願い申し上げます。

追伸①

藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。

不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。

ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

現在の笑顔数は351人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.172日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:01 AM
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