恵方巻き
〇〇の時期に××を食べると良いことがある。
という行事が各地に色々とありますね。
中には商業的イベントに成ってしまい、それを利用した関係業界の販売促進活動・商戦が活発化しているケースもあります。
その代表例は「恵方巻き」でしょう。
今や節分というと豆まきより恵方巻き、という勢いです。
恵方巻きについては、コンビニの宣伝攻勢で、今や知らない人は少ないと思いますが、念のため解説しますと・・・
節分に食べると縁起が良いとされる太巻きのことです。
大阪を中心として食べられていて、別の言い方として「丸かぶり寿司」「恵方寿司」「招福巻」「幸運巻」「開運巻き寿司」などと表現されることもあるそうです。
発祥については、諸説があってハッキリしないらしいのですが、江戸時代の終わり頃、大阪の商人たちの間で、商売繁盛と厄払いの意味で、節分に恵方巻を食べる習慣が始まった、という説が有力です。
既に戦前から大阪の鮨商組合、海苔商組合が、商業的イベントにしていたそうですが、1980年代にコンビニがこのイベントに参入、1990年代には全国的イベントに持ち上げました。
最近では太巻きを離れてしまい、円柱の形が似ているだけで、ロールケーキなどの洋菓子や和菓子業界でも恵方巻きをやっていますね。ファーストフード業界も色々やっているようです。
ここまで来ると、うーん、と思ってしまいます。
私は健全な商魂を否定する気は毛頭ないのですが、そもそもの根拠とイベントを展開する範囲が、ある程度カッチリしていないと、なんだかなあ、です。
何でも在り、では気持ちが入っていきませんよね。気持ちがぬけたらお終いです。
ところで、この時期には、恵方巻きイベントより根拠がややカッチリしている「××を食べると良いことがある。」も存在します。
それは「寒卵」です。
寒の内、つまり小寒から立春の前日(=節分)までの間に産まれた卵を食べる習慣です。俳句の季語にも成っています。
そうすると、その年はお金に困らない、と風水は教えているそうです。
「寒卵」には、あながち根拠がないわけではなく、この時期は寒いので、他の時期に産まれた卵より滋養が高いようです。それを食べるわけです。
食べ物を単に食料として食べるのではなく、幸せを願いながら食べる時、人は普段より高品質な食べ物・特別な食べ物を買って食べようとします。その行動を行事化・イベント化するのなら、私は結構と思います。高品質なものづくりをしている人には商機になるのですから、なおさら結構です。
しかし、その気持ちがぬけ落ちて、形ばかり円柱形の食いモノを求めるのであれば、私は良いイメージを持てません。
私の考えに御賛同いただけるようなら、寒の内にはコンビニ恵方巻きより、会社の宴会などで商売繁盛を祈念しつつ、卵を食べるというのはいかがでしょう。社員さんがパワーアップするかもしれません。
ついでに、すき焼きも・・・
私は、この行事をコンビニがイベント化しないことを祈念しつつ、卵を食べることにしたいと思います。
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
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追伸②
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この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は334人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.057日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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