会社を継ぐ、という人生④

母校・慶應義塾中等部(=慶應大学の付属中学校)の「キャリア講座」に出講します。

これは毎年開講されているレッキとした正規の授業でして、中学生のために、OBが自分のキャリアについて話すのです。

お引き請けしまして、私は、その演題を「会社を継ぐ、という人生」にしました。

10人の講師が出て、生徒さんは、その中から選択できるのですが、私以外は学者さんとか、弁護士さん・お医者様・アナウンサーのお姐さんとか、当然ながら非世襲組です。

当初世襲社長であることを鮮明にしたものかどうか、迷いましたが、この際ハッキリさせてお話しするすることにしました。

生徒さんの集まり具合は、どうやら10人の中で真ん中辺りのようです。

原稿が出来ましたので、UPしたいと思います。

この話しは長いので、8回に分けてUPします。今日が、その第4回です。それではどうぞ。

<以下本文>

しかし、です。ここで良く考えて下さい。売り方を工夫して、なんとか250万円で売ることは出来ませんか。

例えば、私の店はすき焼き屋ですが、最近なんと言っているか、お話ししますと「夫婦の日はすき焼きの日」と言っています。毎月22日にしつこくそれを言っています。私はブログやツイッターやFBといった、所謂SNSをやっていますが、総動員して言っています。

日頃お父さんや君たちのために一生懸命なお母さんに、すき焼きを食べて貰う日が、毎月22日だと決めたのです。ええ、私が決めたんです、勝手に。

そして、この日は牛の脂をハートの形にして売っているのです。

勿論駄洒落です。どうです?馬鹿馬鹿しいと思いますか。思うかもしれません。しかし、これもマーケテイングです。

「美味しい」という価値だけでPRすると、こう言われてしまいます=「美味しいのは知ってるんだけどね、今はね、景気が悪いから、頑張って仕事して、業績が戻ったら「ちんや」さんをまた使うよ!」って言われてしまうんですね。それで、その作戦をやめて「お母さん孝行」という価値を押し出して、それを実現できる商品として、すき焼きをPRしているのです。

今日この話しを聞いてお家に帰ったら、お父さん・お母さんにこの話しをして、どんな反応をするか、観察してみて下さい。「毎月22日は夫婦の日で、お父さんがお母さんにすき焼きを御馳走しないといけないらしいよ!」お父さんは「そうだなあ、最近母さん孝行してないからたまにはすき焼きにするか!」っていうかもしれません。

そして、その場面を想像して下さい。お父さんがすき焼き屋さんに電話をして御店の人に「ねえ、もう少し安くして欲しいなあ。安くしてくれたら食べに行くんだけど!」と言ったとします。そんなことを言ったら、横で聞いていたお母さんは怒りだしてしまいますね。お母さんに張り倒されるかもしれませんから、そんなことは言えませんね。

どうです、この場合値下げされません。そうデフレが起きないいんです。

「お母さん孝行」という価値を実行出来て、お母さんもお父さんもお子さんもハッピー。そして値切られずに済んだ御店もハッピー。そして御店の従業員さんは給料をちゃんと貰えてハッピー。

経営者は、この状態を作らないといけないんです。勉強の出来る人がやることに見えないかもしれませんが、こういう作戦を考えることこそが、マーケテイングなのです。

勉強の出来る人は市場調査や消費者アンケートを実行して、「いやあ、この商品は〇〇円でしか売れませんね!」とか言ってしまいがちです。それがマーケテイングと思ってしまいがちです。しかし、クドイですが、それはマーケテイング全体のごく一部でしかありませんし、それで会社を発展させられると思ったら、大きな間違いです。

マーケテイングには知識だけでなく、センスやマインドが必要なんです。自分が造れる商品で、なんとか、世の中の人達をハッピーにできないか、脳から血が出るまで考える、そして、良いアイデイアを思いついたら、そのプランに賭けてみる、そういう前向きの強い気持ち=マインドが必要なんです。

「〇〇円でしか売れませんね!」と言うだけの人こそ、日本のデフレを助長させている張本人です。デフレの責任は日本銀行だけにあるわけではありません。経営者一人一人にあります。

市場調査をやる人はIQ高そうで、「夫婦の日はすき焼きの日!」と唱えている人はIQ低そうですね。でも、考えてみて下さい。IQ低そうに見える人の方が、みんなをハッピーにしていませんか。そこを考えてみて下さい。

さて、ここでもう話しは、経営者に必要なもう一つの能力「発想力、アイデイアを出す力」に入ってきています。

<この話しは長いので、引き続き明日もUPします>

追伸①

藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は334人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.044日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

Filed under: 食育ナウ — F.Sumiyoshi 12:01 AM
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