目黒の秋刀魚
今年も「目黒のさんま祭り」が開催されたようです。露天で豪快に焼かれる秋刀魚の映像がテレビで放映されていました。
昨年は東日本大震災で、秋刀魚産地の宮古・気仙沼が大きな被害を受けましたが、それでも関係者の必死の御努力でなんとか開催、今年も無事開催されたそうで、実に結構なことでした。
ただ、イベントの様子を伝えるニュースの採り上げ方が、私には少し気にかかりました。
秋刀魚を上手く食べられない人を、集中的に撮っているのです。お子さんは勿論、その親御さんも上手く食べられずに、恥ずかしがる様子を流し、
⇒このように、魚を上手く調理したり、食べたりできないことが、魚の消費減につながっています!
と報じていました。
水産庁の公式サイトによりますと・・・
「消費者の『魚離れ』が依然として進行しています。」
「魚介類と肉類の国民1人1日当たり摂取量の推移をみると、魚介類が長期的に減少傾向にあるのに対し、肉類はほぼ横ばい傾向にあり、平成18年には初めて肉類の摂取量が魚介類を上回りました。」
「その後、19年、20年と魚介類と肉類の摂取量が拮抗していましたが、21年には肉類と魚介類の摂取量の差が拡大しています。」
で、この事態を受けて採られている対策が、まるっきり、落語の「目黒の秋刀魚」方式なのです。
ご存じの通り、この落語では殿様が目黒へ鷹狩に出た時に、現地の庶民が食べる秋刀魚を食して⇒好きになり、お城へ戻ってからも、秋刀魚を御所望になるのですが、お城の家臣たちは、
・秋刀魚は脂が多く出る。それでは体に悪いということで脂をすっかり抜き、
・骨がのどに刺さるといけないと骨を一本一本抜きますね。
・そうすると、さんまはグズグズになってしまう。こんな形では出せないので、練り物にして、お椀の中に入れて出します。
殿様は、ただ豪快に焼いただけの秋刀魚がお好きなので、お気に召さず、
「いずこで求めたさんまだ?」と聞きます。
「はい、日本橋魚河岸で求めてまいりました」
「ううむ。それはいかん。さんまは目黒に限る」。
というのがオチです。
その脂抜き・骨抜き商品の開発を、水産庁の御声がかりで、促進して行こう、ということになっているようです。
生の魚が上手く食べられないので、まあ、結局、いわゆる「溺愛商品」いや「出来合い商品」にするわけです。
名付けて、「ファストフィッシュ」と申すそうな。
果たして、殿様のお気に召しますか、どうか・・・
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
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追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は296人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
参加者の方には、特典も!
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて929日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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