両国広小路

 両国広小路で、軍鶏鍋を食べました。

 両国と言いますと現代では相撲をやっている所、というイメージだと思いますが、この辺りは、実はその昔江戸一の盛り場でした。

 その昔と言っても、かなり昔です。

 1657年の「明暦の大火」の後、両国橋両岸が幕府によって、「火除け地」とされました。「火除け」すなわち火事が延焼しない位、建物と建物の間の間隔を広げるわけですから、当然大通りができました。

 大通りですから「両国広小路」と言われるようになり、そこには見せ物小屋や商店、飲食店が軒を連ね賑わったと伝えられています。

 その名残りが老舗飲食店として、今も残っています。橋を渡って両国に参りますと、猪鍋の「ももんじや」さんとか、鶏鍋の「ぼうず志ゃも」さんなどがあります。「ももんじや」さんは、ビルの外壁に猪を吊るしていますから、知らない人が通るとビックリすると思います。

 でも歴史的には、より栄えていたのは、現在の墨田区両国つまり両国橋を渡った東詰めより、むしろ手前の西詰め、つまり現在の中央区東日本橋の辺りだったようです。

 その賑わいを復活させよう、という試みが、今行われています。特に隅田川を利用して、夏場に涼をとりつつ楽しんで貰おう、というイベントが行われています。

 それが「両国広小路桟敷(さじき)」です。

 隅田川護岸テラスの上に櫓を組み上げて⇒高床を作り⇒そこに畳を敷いて⇒宴会をするわけです。いい感じですよね。

 しかも、そこで出される料理が軍鶏鍋の名店「玉ひで」さんの鍋だと言いますから、行かない手はないですね。国際観光日本レストラン協会の仲間と一緒に行きました。

 「玉ひで」さんは日本橋人形町ですから、両国橋西詰めとは少し距離がありますが、久松町料理飲食業組合のエリア内なので、頼まれて出店なさっているそうです。まあ、細かいことは流しておきましょう。

 で、参りますと、「玉ひで」の御主人Y田さんがおいでではないですか。

 あ、Y田さん、ご無沙汰ですね、「ちんや」です!

 なんだ!住吉さん、このメンバーに入ってたの!そういうことは先に言ってよ~

 いやあ、御主人がここにおいでとは思わなかったもんですから。

 ああ、桟敷ではね、本店と同じ料理じゃなくてね、池波正太郎先生の「五鉄鍋」を再現するってことを実験的にやっててね、実験だから、自分でやってるんですよ。

 ほお、なるほどですね、この暑い中、御主人自ら大変ですねえ。

と、いうことで再現「五鉄鍋」が、「両国広小路桟敷」で始まりました。

 夏だから暑いのか、鍋の火力で暑いのか、判然としませんでしたが、最初から暑いのを覚悟して来ていますから、まあ、気になりません。

 そして鍋は、御主人自ら作って下さるのですから、当然、美味。

 良い夏の経験をさせていただきました。

 ちなみに「ちんや」があります通りも、両国と同じ事情で、「浅草広小路」と言われていました。

 現在は「浅草雷門通り」と言っていますが、「広小路」の方が、由緒があって、しかも何故この通りがひらけているか、理由がすぐ分かるので、私はそっちの名前が好きですね。

 浅草広小路の「ちんや」と覚えていただけたら嬉しいです。

追伸①

 藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
 不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

 他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

 是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
 ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

 「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は270人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

 参加者の方には、特典も! 

 皆様も、是非御参加下さい!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて902日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

Filed under: 憧れの明治時代,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:01 AM
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