キッチュの花道②
さて、この話しは昨日から続いています。
仲見世を歩いていて思うのですが、観光業というのは、そもそもキッチュ産業であります。
観光客相手に売られているものは、まずたいていキッチュ(Kitsch)なモノ=つまり本来の使用目的と違う使われ方をするモノです。
ハガキのことを考えてみれば、すぐ分かります。ハガキというのは、書いた文章が届けば、それで本来の使用目的を達成しますが、仲見世で売られているのは、必ず、何かの絵やデザインが描かれた、絵ハガキです。
その絵やデザインの面白さを競うのが、観光業です。
だから面白さを競う内、ハガキの紙質の良しあしなどということは、何処かへ飛んで行ってしまい、アイデイア的な面白さ・ユニークさが、さし当たっての焦点になります。
で、自然と、紙のクオリテイーへの配慮は疎かと成り、結果生じたマテリアルのチープさが、どうしてもキッチュ感を醸し出します。
これこそ、観光地で感じるキッチュ感の本質です。仲見世だけではありませんね。
でも、ですよ、その「本来の使用目的と違う使われ方」を考え出す時の、人間の頭脳の働きって大したものだと思いますよ。
例えば大震災が起これば、すぐさま「絆」ロゴ入りの、グッヅを作るのは当然です。その文字の揮毫が誰なのかで、競争するわけです。
うーん、よくぞ、まあ、こんな商品作ったねえ。ここまでやれば最高だね!
っていうノリの物達を発見できます、仲見世では。
茶道・武士道・神道・禅など、ものごとの本質を見極めようとする思考とは対局の、頭脳の使い方ですが、面白がってみれば、こんなに面白いものは、あんまり見られません。
ですので、仲見世はキッチュの花道なのです。
なにしろ、昨日今日始めたキッチュ業ではありませんので、年期が入っています。アイデイアのネタも豊富です。
さらに申しますと仲見世は、デイズ二―のように一人の個人が考え出したものではなくて、浅草のユニークな商店主の面々が、それぞれに考え出したものなので、個性溢れるモノが並んでいたりします。
在り得ない!!
というモノも存在します。
どうぞ、御自分の美意識の枠を、パキっと一回外していただければ、きっとお楽しみいただけると存じます。
それからです、さらに申しますと、仲見世には、このキッチュの花道にあって、かたくなに職人気質に固執している御店もあるのです。
え? 今日も長いなあ、長すぎるから、この辺で終われって?
おお、そうでした、またしゃべり過ぎました。
では、この続きは、明日の、このコーナーで。
サイチェン!
追伸
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本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて775日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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