ワイン会
「ちんや」でワイン会が開催されました。
お客様が数種類のワインを持ち込まれて、弊店のすき焼きとの組み合わせを楽しまれました。
え? ワインなんだから「組み合わせ」じゃあなくて、「マリア―ジュ」だろう って?
そうそう、そのマリーなんとか、が開催されました。
弊店史上初の「ワイン会」なので、どうなることやらと思いましたが、無事お楽しみいただけたようで、安心しました。
こういうことが、出来るようになったのは、このブログの昨年の10/22に書きました通り、酒の「お持ち込み」の制度を作ったからです。
大震災以来いろいろ御酒のことを調べるにつけ、全国の素晴らしい地酒を「ちんや」で飲んでいただけないのは残念、と思うようになりました。
かと言って、全てを仕入れておくのは、実際問題として不可能です。
と、なるとお客さまに持ち込んでいただくのが実際的ですね。と、いうことでスタートしまして、ポツポツとご利用いただけるようになりました。
しかし、です。日本酒の地酒をイメージして作った制度ですが、結果としては、日本酒党よりワイン党の皆さんにご利用いただいています。
では、そうなることを予想していなかったのか、と言うとそうではなく、実は、最初からワイン優位を見込んでいました。おそらくワイン党の皆さんの方が利用なさるだろうな、と考えていました。一般人に知識を普及させる努力の度合いが、断然ワイン業界の方が上だからです。
ですので、お持ち込みの制度を作るにあたって、まず考えましたのが「ワイン・グラスを買わなきゃ!」ということでした。これは、ちょっとしたハードルでしたね。
ワイン党の方は、ワインの種類でグラスを使い分けるのが常識ですから、そうした皆さんにも弊店を使っていただくにはワイン・グラスを揃える必要があるのです。まあ、まともな洋食の御店は皆、以前から揃えているわけですから、それに今頃追いついただけの話しですけどね。
けっ、オレは日本酒しか飲まないぜっ とか
けっ、日本男児がグラスなんかにこだわっていられるか!
という方のために解説しますが、ワイングラスの使い分けは、味覚に関する科学的な研究の結果始まったもので、合理的な話しです。組み合わせのことをわざわざフラ語で「マリア―ジュ」と言うのは、まあカッコつけですが、グラスの件は違います。
人間の「味らい細胞」は、舌の上に均等に位置しておらず、ある場所は甘味を感じる部分、ある場所は酸味を感じる部分という具合に、分業しているのです。で、その酸味を感じる部分に酸味の強いワインを一気に注ぐと、酸っぱくて美味しくない、と感じてしまうわけです。
細口(=末広がり)のグラスでワインを飲んだ場合、舌の奥のほうにワインが接触します。そこが酸味のポイントなので、酸味の強いワインを細口のグラスで飲むと酸味ばかり強調されてしまう、という理屈です。甘味や苦みにもポイントがあります。
・・・この話しは、ネットで「ワイングラス」とか「リーデル」とか検索すれば、さらに詳しく知ることができますので、やってみて下さい。
とにかく、まあ、こんな感じで、ワインには色々と細々とした「お勉強」が必要です。そして、それを学ぶのが好きだ、という人がせっせとワイン・スクールに通っておられます。
特に知的な女性がワイン・スクール通いをなさるようですね。
ここが、まさに日本酒業界の負けているところです。
ワインの店は女性で華やかなのに、日本酒の店はオヤジの巣窟ですからね。
だから!
日本酒業界は、まず以て知的な女性にウケるように、なんでもかんでもフラ語を使うべきです。
酒は、sake
すき焼きは、sukiyaki
猪口は、 choko petit
うん、オシャレですね。
酒の「お持ち込み」制度については、こちらです。
追伸
毎日新聞社発行の毎日ムック『100年の味 店100選』に載せていただきました。有難いですね。2012年1月12日発行。是非お求め下さい。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて698日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
「すき焼き思い出ストーリー」のサイトは、こちらです。
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