お燗機
久しぶりに「酒の穴」を訪ねました。
「酒の穴」とは、もろみを搾る工程で、上から下へ強い圧力をかけた時に出来る穴のことで、蔵人の信仰の対象に成っている穴、では勿論なく、銀座の酒の御店です。そう、店の名前です。名店ですから、ご存じの方もおいでかと思います。
でも、私にとって、入りにくい御店です。
この御店は「銀座らん月」ビルの地下にあって、「らん月」さんのご経営です。つまり私にとっては、同業の、しかも学校の先輩の御経営なので、うっかり入って、ヘロヘロになるわけにはいかないのです。
でも、いったん入ったら、素晴らしい御酒がたくさん置いておりますから、飲まずにはおれません。それで、ますます入りにくいわけですが、知人の送別会があって、久しぶりに訪ねました。
さて、そういうわけで訪ねますと、厳しい冷え込みの日でしたが、盛況。熱気ムンムンという感じで、熱いくらいです。日本酒に特化した店って、客の体温が上がるせいか、熱気ムンムンのことが多いですね。
この御店が、ムンムンな理由は、もう一つあります。
それはお燗機。お燗機が各机に造り付けてあるのです。しかも湯煎です。各机にヒーターが付いていて、湯煎のお湯を温められるようになっていて、そのお湯で燗をつけるわけです。
この機械は素晴らしいです。特に、自分の好きな温度で飲めるところが私の好みですね。
この、酒を温かくして飲む、という方法は、世界に誇るべき食文化だと思います。ワインは酸味が多いので、ホットワインはあまり美味しくないですね。日本酒ならでは、です。
大七、大山、加賀鳶、立山、天神囃子、澤乃井・・・
幸せに温まりました。うーい、ひっく。
追伸
毎日新聞社発行の毎日ムック『100年の味 店100選』に載せていただきました。有難いですね。2012年1月12日発行。是非お求め下さい。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて696日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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