すき焼き鍋

 旧知の陶芸家JN先生から、

 耐火性の年度イヤ粘土で、すき焼き鍋を作ったから「ちんや」でテストさせて欲しい、

とリクエストがありました。

 そこでとりあえず、先生と、私の美術部時代の先輩2人と一緒に、このすき焼き鍋=土鍋を使って、新年会をすることにしました。

 さて先生が持ってこられた鍋を拝見しますと

 た、たしかに土ですね。

 そうさ、粘土が特殊ってだけだからね。外見じゃわからないよ。

 じゃあ、行ってみますか。

 ご搭乗の皆さま、脱出口を確認した上、危険回避姿勢をとって下さい。

 3!2!1!投入!!!・・・

 ところで普通、すき焼き鍋と言えば、鉄が相場です。

 鉄は、丈夫で熱にも強く、油のなじみがとても良いからです。強火と油を多用する中華鍋の材料として良く使われます。

 では、すき焼きに特別に強火が必要かと言うと、必ずしもそうでもなく、肉などは、あっと言う間に火が通ってしまいますから、そんなにガンガン加熱しませんよね。

 それでも鉄を使うのは、やはり油のなじみが良いからだと思います。

 で、土鍋ですき焼きはどうか、ですが、最適ではないものの、問題ないように思えます・・・

と一瞬思いましたが、やはり問題点はありますね。

 それは、「ちんや」流のすき焼きの作り方です。

 「ちんや」の場合、最初から鍋に割り下を入れず、牛脂を敷いて、肉と葱を炒め、その上から割り下を注ぐのですが、これは危険行為です。

 鍋の上と下で温度差が出来てしまいます。火が直に当たっている場所は当然温度が高く、割り下を注いだ場所は下がります。この2か所の間で温度差が大きくなると危険です。

 土鍋で天麩羅を出来ないことは知られていると思いますが、同じ理由でして、鍋の中に、大きな温度差をあると割れてしまうから出来ないのです、普通は。

 ですが、今回の鍋は新式の耐火性粘土で出来ています。

 JN先生、曰く、

 へ〜き、平気。350℃に熱した上から、氷を放り込んだって平気だったんだから!

 そ、そんな危険な実験なさったんですか・・・

 じゃあ、行ってみますか。

 3!2!1!投入!!!

で結果ですが、問題なしでした。

 傷一つなく。普通に、「ちんや」流ですき焼きをできました。

 味も、やわらかいような気がします。これが遠赤外線効果なんだとか。

 でも、まあ、こういう新式の土鍋でない土鍋の場合は、やはり避けておいた方が良いと思います、すき焼きは。普通に煮るだけならOKと思いますが、「ちんや」式や関西風すき焼きは、一応NGにしておき、鉄鍋を使っていただくことにしましょう。

 鉄鍋は、たしかに重く・錆びやすい=つまり手入れが面倒なのが欠点です。

 そこで「ちんや」の売店で、すき焼き鍋(=鉄鍋)をご購入いただいた場合には、「お手入れマニュアル」を差し上げています。

 手間暇かけるのも、また楽し、と思いますよ。

追伸

  毎日新聞社発行の毎日ムック『100年の味 店100選』に載せていただきました。有難いですね。2012年1月12日発行。是非お求め下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて695日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「すき焼き思い出ストーリー」のサイトは、こちらです。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:01 AM
トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

コメントはまだありません »

No comments yet.

Leave a comment





(一部のHTMLタグを使うことができます。)
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">