粗相

 私は魚を食べる時、小骨の間の肉や、身と皮の際の肉を綺麗に取り外して食べています。

 いや、食べていました。

 そうするように親からきびしく躾けられたわけではありませんし、人様より食欲が旺盛というわけでもないのですが、とにかく魚の肉は取り外して食べます、徹底的に。

 ところが、です。いろいろと忙しくなってきてしまい、この習慣が守れなくなりつつあります。

 その理由ですが=忙しい最中に気も急いたまま、これをやろうとすると、手元が狂ってしまうことがあるのです。

 結果、肉は皿から飛び出し、粗相となります。私のネクタイやスーツには、無残な粗相の痕跡が印されています。食べながら読んでいた書類を汚してしまうこともあります。

 今春にメガネをカッコ良くしたことも災いしています。カッコ良いメガネは横に細長く、上下の視界が切れていて、切れた視界に魚があると、見づらいのです。さらに粗相しやすくなりました。

 だから、とても忙しい日の賄いが魚料理だと困ってしまいます。

 綺麗に食べてあげられないことを、「ごめんなさい」と魚さんに謝罪して、捨ててしまうこともあります。

 捨てると言えば、先日「かたづけコンサルタント」なる若い女性がテレビに出ていました。その人が書いた、かたづけの本は100万部売れたという話しなのですが、その人がモノを捨てる時のセリフは・・・

 「有難う」でした。

 なるほど「ごめんなさい」より「有難う」の方が良い感じですね。ものは言い様ですな。

 「有難う、魚さん。生まれ変わったら、私が忙しくない日の賄いに成っておくれ」

追伸

 11/27に第五回「ちんや」すき焼き通検定試験を実施します。

 年内最後の検定です。今年の内に、「自称すき焼き通を、公認すき焼き通に!」

詳しくは、こちらです。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて617日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM
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