「東京ミラクル」インタビュー②
元日放送の、
NHKスペシャル「東京ミラクル」第4集 老舗ワンダーランドー佐藤健・物々交換の旅
に出演させていただきました。
「東京ミラクル」は、2020オリンピックをひかえて東京の魅力を紹介するシリーズです。これまで「築地」「鉄道網」「アニメ」を特集してきましたが、今回は東京の老舗を紹介します。
東京は、関東大震災、東京大空襲で二度にわたり壊滅的な被害を受け、焼け野原となったにもかかわらず、世界最多の老舗店があります。その長寿の秘密を探る、という番組でした。
お恥ずかしいことに私のインタビューもありまして、こんな↓ことをお話ししました。
その二<いろいろ調べて結局元に戻ってしまった件(2001~2017年)>
BSE問題の後、景気も悪かったこともあり業績が大変悪い時期が続きました。
そこで私は本当に美味しい牛・美味しい肉とはどういうものなのかを考え始めました。それまでは良く考えなかったわけですから、人間は危機に直面しないとサボるものだという話しです。
その思考の成果は2017年に「適サシ肉宣言」として公表します。「適サシ肉」とは黒毛和牛のメスで、30か月以上肥育された牛で、等級が4等級の肉を熟成させたものです。19年には牛の重量が480㎏以下という項目も追加しました。
「適サシ肉」かどうかを判断する為のデータは、03年に導入された個体識別制度で得られるようになったデータです。そのデータは従来産地から市場関係者までで止まることが多く、流通の末端業者や消費者が接する機会は少なかったのですが、国民の安全・安心のためということで、誰でもいつでも見ることが出来るようになりました。皮肉なことに、BSEの副産物として美味しい牛かどうかのデータが得られるようになったのでした。
「適サシ肉宣言」については事前に父(弊社会長)には相談しませんでしたが、この件が大ヒット(大炎上?)し世間の話題になったので、やがて気づいたようでした。興味をいだいた父が私に、この件を私に尋ねてきましたので、「適サシ肉」の要件を説明しましたら、父の反応は怪訝な様子で、昔から美味しい肉とはそういう肉だ。何故それが話題沸騰なんだ?という感じでした。
父は、個体識別制度が無かった時代の人間です。データは乏しく、感覚による評価で仕事をしていました。しかし、結局似たような選択をしていたのです。また「適サシ肉」要件で仕入れた肉が皿に盛られて運ばれているのを見た時私は、子供の頃の肉だ!昭和50年代の肉みたい!と感じました。データで調べても感覚で感じても、似たような結果になっていたのです。
そう言えば、日本の老舗企業には食べもの関係が多いです。食品に酒、薬、旅館まで入れれば、老舗業界の多数派です。食べものは人が本能で接するものなので、感覚に従って行くと、結局合理的な結論と同じになるのかもしれません。(二終わり)
*見逃した方は→「NHKオンデマンド」で1年間配信されます。
本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は3.597本目の投稿でした。本年3月1日まで無事連載が続けば10周年になる予定です。引き続きご愛読を。
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