「東京ミラクル」インタビュー①

昨夜放送の、
NHKスペシャル「東京ミラクル」第4集 老舗ワンダーランドー佐藤健・物々交換の旅
に出演させていただきました。
「東京ミラクル」は、2020オリンピックをひかえて東京の魅力を紹介するシリーズです。これまで「築地」「鉄道網」「アニメ」を特集してきましたが、今回は東京の老舗を紹介します。
東京は、関東大震災、東京大空襲で二度にわたり壊滅的な被害を受け、焼け野原となったにもかかわらず、世界最多の老舗店があります。その長寿の秘密を探る、という番組でした。
お恥ずかしいことに私のインタビューもありまして、こんな↓ことをお話ししました。
その一<「たぶん安全」の件(2001年)>
2001年9月10日に千葉県で飼育されていた牛がBSEだと発表され、大問題になりました。弊社でも売上は半分位になり、3年間戻りませんでした。
その時私は自分の売っている肉について、「絶対安全」ではなく「たぶん安全」として売っていました。「安全です!安全です!」とRRすることはしませんでした。
絶対安全と言う根拠がなかったからです。その後全頭検査が導入され、03年には個体識別制度が導入されましたから、その段階では「絶対安全」と言うことも可能になりましたが、01年の問題発覚直後はそう言えず、お客様に嘘をつかない為には「多分」が必要でしたが、その対応は「弱腰」と当時批判されたりもしました。
ちなみに「多分」の根拠ですが、BSEの原因である飼料「肉骨粉」は、乳牛の乳の出を良くするための飼料で、そもそも肉牛には与えないものなので、肉牛のみを仕入れている「ちんや」は多分安全だったからです。老齢になつて乳の出が悪くなった乳牛を食用に転用する(「乳廃牛」と言う)ことはありますが、それは肉質が残念なので「ちんや」は昔も今も仕入れていません。で、「たぶん安全」でした。
結局日本は2013年に「BSE清浄国」に認定されますが、それまでに26頭の感染牛が確認されました。「絶対安全!」と言っていた人達の発言は嘘になってしまったわけです。国産から米国産に切り替えて「絶対安全!」と言った人もいましたが、その後アメリカでもBSEが発生しています。
そもそも店がお客様から信用を獲得するには、嘘をつかないことが大切ですが、普通に商いをしている範囲では嘘をつく必要性など感じません。嘘をつく必要性を感じてしまうのは、自分にとって著しく不利な状態に陥った時で、私の人生では2001年9月がその時でした。その時にどう行動するかが「分かれ目」なのだと、振り返って思います。
日頃「信用第一」と言う人は多いですが、それが実は簡単でないことは、不利な状態を経験して、初めて分かりました。(一終わり)
*見逃した方は→「NHKオンデマンド」で1年間配信されます。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は3.596本目の投稿でした。本年3月1日まで無事連載が続けば10周年になる予定です。引き続きご愛読を。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM
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