失敗の本質
中野信子さんの『サイコパス』を求めようと書店に行きましたら、その隣に平積みになっていたのが、
『失敗の本質~日本軍の組織論的研究』戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝夫、村井友秀、野中郁次郎・著(中央公論文庫)でした。
そうそう、読もうと思っていたんです、この本。
初版からだいぶ経つ本ですから、「いまさら」と言われるのを承知で読んでみました。現代日本の、霜降肉の行き過ぎを止められなかったのも、一つの失敗ですしね。
さて、日本軍が出来なかったことを、一言で言ってしまうと、
自ら変わることが出来なかった、
ということになると思います。
陸軍の白兵突撃主義、
海軍の大艦巨砲主義
を結局変えられなかったのです。いずれも日露戦争の、旅順の戦訓・日本海海戦の戦訓が教条化してしまったものです。
海軍の山本五十六提督は大艦巨砲主義を捨てて、空母を中心にした機動部隊を創りますが、アメリカは山本が真珠湾で成功したのを観て、それより優れた機動部隊を造ります。一方日本の山本以外の提督の中には、旧戦略が忘れられない人が多くいました。
そうした軍人を多数輩出したのは、陸軍大学校・海軍大学校でした。
陸軍も海軍も学校で良い点を獲った超エリートだけが出世する世界だったので、問題意識の高い人間を輩出できませんでした。
しかし実際の敵は戦訓集に載っていない敵。
北満のロシア陸軍ではなく、熱帯雨林のアメリカ海兵隊であり、
バルチック艦隊ではなく、空母に、圧倒的に多くの飛行機を積んだ機動部隊でした。
結局、さんざん負けたのに、日本軍は最後まで既存の業務を遂行する組織で在り続けました。
サイコパスがいれば良かったのにね、日本軍に。
追伸①
今年も「ミシュランガイド東京2017」に載せていただきました。 3年連続掲載です。ありがとうございます。
追伸②
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978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.577日連続更新を達成しました。
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