カルシウム

私も都市伝説だと思っていました。

シラタキが肉を硬くするという件です。

シラタキに含まれるカルシウムのアルカリ分が肉を硬くすると、これまで広く考えられてきました。製造工程で凝固剤として水酸化カルシウム、卵殻カルシウム等を加えているからです。

しかし、です、実際は肉にシラタキを近づけた場合、俄かに硬くなることはなく、硬くなるかどうかは、加熱の仕方やサシの入り具合による、というのが私の実感でした。

で、このたび、食品環境検査協会さんが調査をしたのですが、

「調査は、霜降りの多い国産和牛と霜降りの少ない米国産の肩ロース肉を使用。糸こんにゃくの有無や下処理の状態を変えてすき焼きを作り、肉の硬さの違いを調べた。その結果、糸こんにゃくの影響は見られず、肉の硬さは加熱時間と肉の霜降り度合いが大きいと結論付けた。」(日本農業新聞)

・・・そうです。

シラタキの製造工程では、かたまった後に熱湯で灰汁抜きをしていますし、「ちんや」では、それをさらに、お客様にお出しする前に、下茹でしています。日本食品標準成分表でもシラタキのカルシウムは豆腐より少ないくらいなのです。

結局薬局、シラタキが肉を硬くするという件は都市伝説でした。

この話しは、美女と口説こうと、すき焼き屋に連れ出したオヤジ社長あたりが彼女を感心させようと繰り出したネタに過ぎなかったと考えていただければ結構です。

シラタキ党の皆さん、今後は自分の政見を恥じることなく、思いっきり入れちゃってください。

最後に、話しは少し逸れますが、上↑の報道の中の「肉の硬さは加熱時間と肉の霜降り度合いが大きい」という部分にもご注目下さい。

肉を加熱した場合、霜降り脂はクッション材と成って、肉が急速に硬くなるのを防ぐのです。私が、すき焼きに向くのは、まったくの赤身肉ではなくて「適サシ肉」だと申す理由は、これです。

赤身肉ですき焼きをなさりたい場合は、かたまらないように、充分お気をつけ下さいまし。

追伸①

先日ゲスト出演した「FMえどがわ」の音源が、ネットでも聞けるようになりました。

前半

http://13.gigafile.nu/0311-m23fe174afca43f652eb7c073af0afbff

後半

http://13.gigafile.nu/0311-ed5b22b0a5c69136fca814ae362c45b12

ダウンロードができるのは、3月11日までです。

 

追伸②

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.565日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM
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