鵜の目鷹の目
経営者の交流会のたぐいに出席して⇒名刺交換して⇒開口一番、
浅草って今外人さんで景気が良いんでしょう?!
と言われると、またその話題ですかあ!とゲンナリして、もうその人と話す気がなくなってしまいます。
いやあ、ウチはそれほどでもないんですよ!
とか一応適当に返しはしますが、様子を見てトイレに行きたくなったふりをして、その人とは離れてしまうことにしています。
浅草=外人=景気が良い
しか思いつかない人と交流しても、まず有益な話しは聞けないだろうと想像できるからです、はい、確実に。
商いを上向かせるには、とにかく方法は他力本願しかないと確信していて、どこかに儲けのチャンスがないものか探している人、つまり「鵜の目鷹の目」の人って、世間には少なくありませんよね。そういう発想だから他力で潤っている浅草が羨ましくて仕方ないんでしょう。
たしかに浅草の商ん人は、ずーっと他力本願して来ました。
観音様に参詣に見える方、
江戸時代には歌舞伎や吉原に見える方
最近ではスカイツリーとかいう所に見える方、
そういう方々が落としていく銭子を頂戴してきたのが浅草の商ん人です。
ところが日本橋の商ん人の皆さんは違います。
「東都のれん会」に出席して、日本橋の大旦那さんと話していると、それぞれに立派な家訓や教えを持っておいでなことに気づきます。
ご先祖が、徳川様に従って江戸へ来て、新たに商いを始めた時に、心に刻んだ決意を今でも伝承しておいでです。
家訓を要約してしまえば、品質と信用が大切だと言っていることがほとんどですが、それをそれぞれの言葉・それぞれの表現で遺しておいでです。
我々は今こそ、そういう家訓を見直して、世界に発信しようと思うんだ!住吉君も浅草から協力してくれよ!
と言われたりします。素ん晴らしいです。でも残念ながら、浅草には、そういう素晴らしいのはあんまりないんですよね。
そもそもが他力本願だった=観音様と歌舞伎と吉原が近所に在るというラッキーさの上に成立したのが浅草だからです。
しかしですね、浅草にも苦しい時代はあったんです。私の小さい頃がそうでした。
それでも浅草の人達は浅草を捨てませんでした。だから今時の「鵜の目鷹の目」の連中とはチト違うんですよ。
原点がトホホでも、立派な家訓がなくても、苦しい時代に品質と信用が大切だと気づいたという点では日本橋の大店の皆さんと同じです。
今の円安景気・爆買い景気で、浅草に潤っている人がいるのは事実ですが、浮かれる人はそう多くないと思いますよ。苦しい時代があったことは、世代を越えて記憶されていますから。
だから、「鵜の目鷹の目」の皆さんと、キミ達と一緒にしないで下さい。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.852日連続更新を達成しました。
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