すき焼きで法事
知人のお身内の方に御不幸があって、法事の会食が弊店でありました。
で、その知人から、親戚にすき焼きの話しをして欲しい、と言われて弱ってしまいました。
話すこと自体は嫌いではないんですけどね。
そもそもすき焼きはナマグサだし、昔は仏教の戒律で牛を食べなかったっていうのが、すき焼きの歴史ですからねえ。下手に話すと、そんな店で法事やって良いんですかねえ・・・っていう展開になってしまいます。弱りました。
部屋に行ってみますと、皆さん、黒服。新しい仏様ですからねえ、弱りました。
でも浅草で「すき焼きで法事」が普通のことであるのは事実です。
他の土地の料理屋の人に、このことを話しますと、
ええ?!すき焼きで法事するの?!
と言われますが普通のことですよ、浅草では。
鰻の場合もありますし、天麩羅の場合もありますし、洋食の場合だってあります。
たいてい故人が、その料理を好きだったからです。
今回のケースも実はそうでして、故人が弊店を利用して下さっていて、喜寿のお祝いもして下さる予定でしたが、体調がお悪いとかで中止となり、しばらくして訃報に接したという経緯でした。
浅草という土地は、お寺と繁華街が接して在るので、この辺りにお墓を持っている御家族は、お彼岸にお盆に年始にとお墓に通って来て下さいます。
そして墓参の後は、お孫さんにご褒美として何か食べさせようと、すき焼き屋・鰻屋・天麩羅屋へと向かうのです。
その営みが何世代にも渡って普通に繰り返されているので、
大変だ、法事だ!⇒食べ慣れないけれど精進だ!という展開にならないのです。
法事でも「いつもの店がいいよ!」なのです。
「いつもの」と言っても、毎週通うという頻度の「いつも」ではなく、年に2~3回という頻度の「いつも」なのですが、人の三世代=60年~90年というスパンを前提に考えているので、やはり「いつもの」なのです。
私達は在り難く、その流れの中で商いをさせていただきます・・・
・・・という話しをさせていただきましたが、ご要望の「すき焼きの話し」からはチトずれましたかねえ。
すみませんでした。
追伸、
明後日9/23は火曜日ですが祝日ですので臨時営業いたします。どうぞ、ご利用下さいませ。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.666日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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