橋の名前
今年の早慶レガッタは慶應の勝利に終わり、これにて慶應は13年ぶりの3連覇という快挙を成し遂げた次第です。
私は、大会プログラムの協賛企業だということと、当日の応援に行った以外は何のご協力もしていないOBですが、やはり地元で母校が勝つのは嬉しいことです。
さて、敗者の傷に塩を塗るようで気がひけますが、今年の慶應は広告でも勝っていました。
大会プログラムには、弊社のようなOB企業が協賛広告を出していますが、その他に元選手からのメッセージ広告も出稿されています。
出漕する後輩に向けて、
完全勝利を祈る!とか、
全身全霊で漕ぎ切れ!
といったメッセージを贈るのが通例ですが、そんな広告をペラペラとめくっていた私は、一つの毛色の違う広告を見つけました。
広告主は慶應義塾平成16年卒業生一同。
1ページの全面を隅田川の橋の遠景写真が占めています。
で、その写真の端に付けられたメッセージは、
「橋の名前、覚えた?」
勿論、メッセージの真意は橋の名前を覚えてないようでは勝てないぞ、という忠告です。
レガッタのコースは3.750メートル。
両国橋の少し下流でスタートして、「橋の博覧会」とも言われる多数の橋をくぐりながらボートは走ります。
両国橋
蔵前橋
厩橋
駒形橋
吾妻橋
東武鉄道の橋
言問橋
東武以外は「東京都選定歴史的建造物」です。
そして言問橋の次の「桜橋」を過ぎたところでゴールです。
「桜橋」は1985年に完成した新しい橋ですが、隅田川唯一の歩行者専用橋で、上から見るとX字形の面白い形をしています。
歩行者専用の橋ですから、レガッタ当日は両校の応援団や群衆で溢れかえっていて、その群衆の歓声の先にゴールが在ります。
ボートレースはペース配分が何より大事ですから、こうした橋の名前と形状、ゴールまでの距離、川の曲がり加減を完全に記憶しないといけません。
それも、この大会は事前にリハーサルが全く出来ないので、選手は別途現地調査をして地理を頭に叩き込む必要があるのです。
本当は、それぞれの橋の歴史的経緯までも覚えていただけると嬉しいですが、それは、まあ、卒業してからでも良いでしょう。
「橋の名前、覚えた?」
という、この広告は内容でも、それから表現の軽やかさでも、早稲田に完全勝利していたと思います。
いいぞ、水の王者、慶應。
追伸
JALさんの機内誌『SKYWARD』の4月号
「JAPAN PROJECT 東京ようこそ、おもてなしの首都へ」に載せていただきました。在り難いことです。ご搭乗のおりにご覧ください。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.513日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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