禅問答
文字にできなければ無いのと一緒です。
チト言いすぎかもしれませんけどね、無いのと、ほぼ一緒です。世間の人に気づいて貰えないからです。
陶芸とか塗り物とか、モノづくりの職人さんなら、自分の仕事について自分で文字に出来なかったとしても、作品そのものが画像として見えますから、その画像が自然に語りだしてくれますね。
ところが食の職人さんの場合、作るものは所謂「消え物」で、目に見えない味こそがポイントですから、そこに非常に難しい問題があります。努力していても、表現が下手なために気づいて貰えないことがあります。
例えば、肉の「目利き」。
どんな肉が良い肉なのか、自分で文字・言葉に出来ない人が多いです。いや、この業界、私も含めて、そんな人ばかりです。
この業界の問答は、こんな↓経過を辿ります。
Q本物の肉って、どんな肉でしょうか。
Aそれは味が良くて、脂が良い肉です。
Qでは良い脂って、どういう味ですか。
Aそれは脂が良い脂に決まってますよ!
ほとんど禅問答ですな。
これではラチがあきませんから、学者さんに頼んで、「良い」とか「美味い」を数値化しようという試みも行われています。
山形県で牛を飼っている方から聞いたのですが、山形県畜産試験場では「優秀」とされている牛の脂を集めて、脂肪酸の組成比を出したり、融点を計測したり、しているそうです。鳥取県ではオレイン酸の含有量を増やそうとしています。
それは勿論素晴らしいことなのですが、学会以外の人間にも、その数値が理解できるよう、文字に表現できないと、最初に申しました「無いのと同じ」状態に成ってしまいます。
それが、なかなか学者さんには難しいんです。
学者さんがクールな表現を考えてくれないので、再度職人さんに表現するよう強要すると、逃げられてしまいます。
「オレ、頭悪いから、そういうの、無理っす!」
それじゃあ、売れないでしょうが!
どうしても、売るためには一般人に分かるように表現しないといけません。文章表現力が要るんです。
詩心をお持ちで、肉が大好きで、マーケテイングのことも勉強している人、いないかなあ。
追伸①
単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。
21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。
時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。
くわしくはこちら↓です。
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は361人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.299日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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