すき焼きを現代に活かす~商いは、楽しく・古風に・斬新に⑤
「浅草法人会」さんの主催で講演会をさせていただきました。
演題は「すき焼きを現代に活かす~商いは、楽しく・古風に・斬新に」でした。
おかげ様にて募集定員を超えて満員になり、実に恐縮なことでした。
このページでも公開して参りますので、ご笑覧下さい。長いので14回に分けて公開します。
なお内容は、「法人会」さんが相手ですから、経営者の方向きにアレンジしてございます。
<以下本文>
手前共の御先祖は実は、江戸時代から浅草で犬の狆(ちん)の、狆屋をしておりました。
当時の大名家や豪商などは、ペットとして狆を飼う習慣がありました。現代でも犬を可愛がる方がおいでですが、狆もたいそう可愛がられたそうで、狆の墓があったりする位です。
その狆の、良い血統を、手前どもの御先祖が押さえていたようでして、現代風に言えば、狆のブリーダーですね。そして、売った狆の具合が悪くなれば獣医として治療したりもしていたようです。
その狆屋が、明治時代になりまして、すき焼き屋(牛鍋屋)に商売変えしました。理由を書いた書類はありませんので、想像するのみですが、犬の趣味が変わったことが大きいのでは、と私は思っています。
天下泰平の江戸時代には可愛いペットが愛されました。特に狆を飼うのはお旗本の奥方とかでしたから、狆は女イメージの犬でした。ところが、続く幕末・明治は戦争や政争が続く騒乱の時代ですから、世の中の犬の趣味が変わりました。
上野の西郷さんは犬を連れていますが、狆ですか?違いますね。西郷さんは猟犬を連れて、野山を歩き回るのが趣味だったようですが、そういうワイルドな世相の時代に狆は可愛い過ぎで、かつ旧時代のイメージに見られたと思います。
要するに、時代が変わって、商売としての「狆屋」の将来性が脅かされましたから、手前どもの御先祖は、狆を捨てて、牛鍋に走ったものと思います。全盛時代の浅草に店を構えているのですから、狆屋をやるより、飲食店の方が儲かると考えたのだと思います、あくまで想像ですが。そんな経緯で、浅草にすき焼き屋が多いのです。
さて、この段の最後に、関東風と関西風の話しもしましょうかね。
ご存知と思いますが、関東風は割下ですき焼き、ですけど、皆さん、割り下のことをタレっていうのは止めて下さいね!そういうのは「Eバラ」さんだけにして欲しいです、ホントに。関西風すき焼きは、醤油と砂糖で、すき焼きと言っています。松阪はじめ中京圏も醤油と砂糖で、すき焼きです。関東風と関西風の境目はご存知ですか。それは豊橋でして、家によって両派混在しているそうです。また豊橋には「小林」さんという、醤油と砂糖なのだけど、最初に野菜を入れる珍しい店があります。
トリビアですよね。飲み会トークのネタにして下さい。
はい、ここまで大丈夫ですか、徳兵衛さん、起きてますか、ここでストレッチしますね。はい結構でした。
さて、すき焼きの歴史を、ざっくり見て来ましたので、今度は<商品としてのすき焼き>はどういうモノか、考えてみましょう。
すき焼きという商品の特徴は「生活不要品」、つまり在っても無くてもOKな商品だ、ということです。そう申しますと、
そんなことないですよ!
すき焼きは立派な食文化ですよ!日本にすき焼きが無くては困ります、
という反応がたいてい返ってきますが、それなら税金で補助して貰えるんでしょうかね。貰えませんね。歌舞伎すら松竹さんの民営ですから、すき焼きも民営で頑張る他ないですが、では、さきほど「そんなことないですよ!すき焼きは食文化ですよ!」と言っておいだった人は、果たして頻繁にすき焼きを食べて下さいますでしょうか?
そこが、心もとないんです。口で言うのはタダ。FBで「いいね!」するのもタダですが、我々が成り立つためには、時間を作り、予約を入れて、お金を貯めて、わざわざ浅草へ来て下さる人が大勢いないと困るわけです。
だいたい、今時は・・・
<この話しは長いので14回に分けて公開しています。続きは明日の弊ブログにて。>
追伸①
「ぴあMOOK 旨い肉 2014 首都圏版」
~感涙必須の旨い肉200軒 に「レストランちんや亭」の、ハンバーグとサイコロステーキを載せていただきました。
ご購入は、こちらです。
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は353人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.220日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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