期待値を超える
偶然ですが、同じ日のニュース覧に「期待値を超える」という話題が二つ並んでいました。
一つはクロトン総裁の「期待値を超える」金融緩和です。
前任のシラカワ総裁もデフレ脱却を目指して金融緩和をやっていたのですが、いつもやり口が「小出し」で、しかもマーケットを見てから対応する段取りだったので、インパクトを与えることができませんでしたね。
今日本経済が実質的に良くなったわけでもないのに、お金をじゃぶじゃぶ供給するのですから、今回の緩和策がバブルを引き起こすのは確実で、既に小さいバブルは起こっているようですが、「リスクがあるからやらない」というのは、「これまで」のことで、「これから」はリスクも想定して進む、と明言なさったようですね。通快!いや痛快!と感じた人も多分多いでしょう。
政策そのものも「期待値を超え」ていましたが、こうした発言も「期待値を超え」ていたと申せましょう。
もう一つの話題は「1.000円床屋」ことQBハウス社の「期待値を意識的に下げた顧客満足度戦略」です。
QB社は「駅ナカ」に店を、どんどん出店していますが、その場所はトイレの隣ばかりです。
トイレの隣は家賃が安く、人が大勢通るので、1.000円・10分でカットできることに気づいた客が、うっかり入ってしまう確率が高いですね。
そして、さらにトイレの隣に居ることで「技術への期待値を意識的に下げる」ことが可能だ、とその記事は解説していました。
つまり顧客満足度などというものは、利用前の期待値の高さで大きく変わってしまうもので、その期待値を下げておけば、不満足な場合でも文句を言われなくて済む、という次第です。
まあ、その通りではありましょうが、働いている人の意欲もかなり下がりそうですね。そんなことを書かれて平気なんでしょうかね。
でも、まあ、よそ様のことはどうでも良いので、さて置きまして、日頃私が困っておりますことを書きますと、それは弊店のような所謂「老舗店」への期待値の高さです。
「老舗」は良心的な値段で、全てのことに気配りが行き届いている、という風に考えておいでの方が多いようです。
一般論としては、そういう傾向があるとは思いますが、「全てのこと」にコストをかけるのは、やはり辛いものがありますね。店の中のすべての設備や消耗品にまで拘るのは大変です。
例えば、トイレットペーパーなんて、下手に上等なものにいたしますと、一個丸ごと持って帰ってしまう人がいるんです。本当です。
購入したばかりのトイレのスリッパを持って帰ったヤカラすらいて、これには弱りました。捕えて厳罰を加えたいです。
このように全てのことに気配りするのは大変です。
誰か、ウチの隣に公衆トイレを建ててくれないかなあ。
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は345人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.135日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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