世界農業遺産
最近熊本県が新聞まるまる一面を使って「くまもとあか牛」の広告をしていました。
知事と柔道の山下選手が出ていて、結構目立つ広告です。
その「くまもとあか牛」という牛は、和牛4種の内の1種「褐毛牛」ですので、「ちんや」をはじめとしたすき焼き店のほとんどが使う「黒毛和牛」とは別の種類です。飼育頭数も少なく、畜産の方面ではマイナーと申せましょう。
肉が霜降りに成りにくいので、これまで市場で高値がつきませんでしたが、育て方によっては肉の中のアミノ酸を増やせるとかいう話しで、熊本県だけが力を入れてブランド化しようとしているのです。
その「あか牛」のことをここで書いても、まあ、良いのですが、「ちんや」で扱っていると誤解されると困るので、やめておきます。食べたい方は「銀座スエヒロ」さんにいらして下さい。
それよりも、私はこの記事の中で「!」という発見をしました。
阿蘇の農業を、「世界農業遺産」に登録することを目指している、という一文です。
お恥ずかしいことながら、私は知りませんでした、「世界農業遺産」。
調べましたら、最近佐渡と能登が指定されていた、というではありませんか。
ご存知だった読者さんもいるかもしれませんが、受け売りしますと、
「世界農業遺産」とは、国際連合食糧農業機関が認定しているもので、正解なプロジェクト名は「Globally Important Agricultural
Heritage Systems」。
略称は、頭文字を取って「GIAHS(ジアス)」で、「世界農業遺産」は愛称なのだそうですが、その方が分かりやすいことは分かりやすいので、まあ、それも良いでしょう。
認定の趣旨は、どちらかと言うと、途上国に向けた支援策の意味合いがあるようで、これまで認定されて来たのは、フィリピン・イフガオの棚田とかマサイの牧畜とかです。
しかし先進国でも、伝統的農法や生物多様性を守る試みは認定してくれるようで、それが佐渡と能登です。他の先進国からはまだ登録が無いようです。
思えば、日本の畜産業は「スーパー種牛」を選別し、それによって取引相場を上げることばかりに目を奪われてきました。
その結果、黒毛和牛の雌の相当割合がDNA的に似ている、つまり「アタシもカノジョも、みんなプリンセス」みたいな状況に接近していることは、私のような、それを売っている立場でもマズいと思わざるを得ません。
生物多様性を守る試みは、むしろ先進国で、経済合理性と戦わないといけませんから、厳しい戦いに成ります。それが「世界農業遺産」に認定されるのなら、実に結構と思います。
今後の経過に注目しましょう。
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は336人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.076日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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