観光案内
盆休みの盛りの頃の話しです。
お客様の御忘れ物の中に、結構な額の現金が入っていたので、雷門の交番に届けて来ました。
拾得手続き完了を待つ間、およそ10分。交番は千客万来でした。と言っても来るのは犯罪者でも被害者でもなくて、観光客。
スカイツリーはどっちですか?
合羽橋はどっちですか?
モツ焼き通りはどっちですか?
都営地下鉄の駅はどっちですか?
聞くのはタダって感覚なのでしょうか。聞いていて・・・
「観光センターは通りの向かいじゃああ!」
と横から言ってやりたくなりますが、交番の方が聞きやすいんですね、観光センターより。
観光センターの入口には大きな「?」のサインがあって、それがグローバルには観光案内のサインなのだそうですが、日本人はやはり青い警視庁の制服に近寄って行ってしまうようです。流石世界に誇るKobanです。
若い御巡りさんは、こうした業務に慣れきっておいでなのか、「立て板に水」の観光案内。私でもあんなにスラスラできません。
中には、珍問を発する客も。
寅さんの饅頭屋はどっちですか?
「それは柴又じゃああ!」
もう少し調べてから来た方が良いと思いますよ。それに、ですよ、人にモノを尋ねて答えて貰ったら「有り難う」位言った方が良いと思いますけど。「オレの納めた税金で雇ってる」とか思っておいでなら、大きな間違いです。
なんかイヤな気分。
しかし、それから数時間。この話しには追伸がありまして、その落とし主の方が、その夜「ちんや」へ現れました。
「無事財布や免許証が戻って助かりました!皆さんで食べて下さい!」
と菓子折りを持って見えました。
まだまだ、こういう方がおいでなんですね、この日本に。嬉しかったです。
南無観世音菩薩。
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)
追伸②
9/3から9/7まで、「ちんや」は遅めの夏休みをいただきます。盆休みの代わりです。何卒、御諒承下さいませ。
このブログは、予約投稿により連続更新してまいりますので、ご愛読下さい。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて922日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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