ザックリ浅草史③

<この話しは長いので、4/17から4/20まで四日間に分けてUPしています。>

 「ニッポン全国彪友会」のオプショナル・ツアー用の講話「ザックリ浅草史」は、江戸時代後期に入っています。この辺で一回復習しましょうか。大丈夫ですか?

 まずですね、浅草は江戸とは別に、江戸が出来る前から成立していた街でした。

 後から、江戸が浅草の南西に出来て、次いで江戸の米を扱う米蔵が、江戸と浅草の間に出来ました。これによって、蔵と一緒にお金が浅草の近所にやって来ました。

 さらに、江戸幕府の政策で、浅草の北に吉原が、浅草と吉原の間つまり浅草のすぐ北に歌舞伎座が出来ました。このことが、盛り場・浅草の運命を決定したと思います。

 さて明治時代です。この時点で浅草は天下一の盛り場でしたが、明治時代になって、さらに繁栄を謳歌します。

 キッカケは「公園」の整備に関する、新政府の布告です。明治6年の、この布告により浅草寺境内は「浅草公園」と命名されたのですが、この時決めた「公園」が日本初の「公園」です。

 最近は言いませんが、以前は浅草のことをエンコと言いましたね。「エンコ行こうぜ!」って言うわけです。そのエンコの語源が公園です。公園をひっくり返しただけなんですけどね。まあオカジューと一緒です。

 でも「公園」って聞いて?と思いますよね。浅草って公園ですかねえ。でも「公園」だったんです。

 この当時の日本人は「公園」という言葉を分かっていなかったんです、この頃造られた新語だったからですね。当時はどう解釈されていたのかと申しますと、公けに遊興して良い場所とか、遊園地と考えていたようです。もう少し言えば、「公園」即ち盛り場っていう感じです。

 それで「公園」は、設立の趣旨とは違って、盛り場化する傾向にあったようです。公園本来の、西洋式の正常な発展をとげた公園は、まず上野公園位のもので、それはボードワン博士とかいう方の功績だそうですが、その他の「公園」は盛り場と化して行きます。

 「公園」がそうなって行った理由ですけど、当時新政府は財政が厳しくてカネがありませんでした。そこで公園経営に必要な経費を稼ぐため、敷地の一部を賃貸しするんですね。それも射的とか、玉突とか、楊弓とか、見世物なんかの店に賃貸してしまったのです。

 浅草の場合は、賃貸ししたどころではなく、土地を掘って「ひょうたん池」という池を造り、池の周りを造成して街を用意し、そこを貸し出した、と言いますから、ほとんど不動産屋ですね、新政府は。

 この時に造成された一帯こそ、明治・大正・昭和戦前と日本一の歓楽街と成る浅草公園第六区縮めて「六区」です。今でも楽しいショーを見せてくれる「ロック座」がありますが、ロックンロールをやる座じゃないですね、六番目の区画です。女性もおいでなんで詳しくは割愛しますけどね。

 さてなんでしたっけ。そうそう、そういうわけで、「公園」なのに公園じゃない浅草公園が出来上がりました。その浅草公園について、上野観光連盟のHPには、こういうことが書いてありましてね、読みますが・・・

 上野公園の場合は、管理が宮内省だったので、自由な経営が許されず、そのお蔭で、公園の手本とされるような発展経過をもち、一千万を超える大東京の中にあって広さにおいても、施設、景観、緑地など都市公園として、内外ともに誇りうる上野公園となったのである。もし上野公園にした所で、管理が宮内省に移らずに東京府に委ねられていたら浅草、深川、芝の三公園と同様俗悪化の道を辿ったにちがいない。」

 うーるせいよ、っていう感じですけどね。でも、そういう話しは、まあ置いと・い・て、ですね。浅草に戻しましょう。

 このような次第で、浅草は盛り続け、時代が下ると今度は演劇館、活動写真館、「浅草オペラ館」などの上演が連日行われるようになります。浅草は芸能の殿堂、と言われたのが、この時代ですが、その盛り場を政府が作ったっていうところが、歴史のチト思い白いところです。

 そのまま戦前の、昭和も二ケタに入りますと、浅草は国家総動員の時代にあわない人達~たとえば永井荷風や高見順に愛されるようになります。半体制と言うと言い過ぎかもしれませんが、そういうイメージの、小さい心の逃げ場として、もうしばらく繁栄を続けていきます。

 そして戦争です。

<今日の所は、この辺で。この話しは長いので4日に分けてUPしますね。>

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて781日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: 台彪会,浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:01 AM
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