帰化
日本文学研究の大家ドナルド・キーン先生が3/8、日本国籍を取得されました。
東日本大震災を受けて、多くの外国人が日本を去る中、キーン先生は、逆に日本に永住することを決意されました。だから、このニュースは嬉しいはずのニュースですが、そうはなりませんでした。
まず嬉しくないのは、帰化申請を四か月も待たせたこと。
89才と御高齢の先生は、
私には時間が無い、
と不満を漏らすこともあったとか。
日本の文化勲章を受章している先生が帰化する、という話しの、どこをどう審査したり、手続きしたりする必要があるのか、私には分かりませんし、分かろうとする気にもなれません。
国の救いになる話しより、役人業界の手順を大事にする人が、今でもいるのだな、とあらためて知りました。これが嬉しくない点の第一。
そして第二は、先生自身が出されたコメントです。
「震災直後は日本人は力を合わせていると思ったが、現在はそうではない。街は明るく、必要のない看板も多い。自らを犠牲にするということを考えていない。(復興のため)やるべきことはたくさんある」と語気を強めて話されたとか。
仰せの通り、と思います。
思い出しますのは、先生の書かれた、
『明治天皇』(角地幸男訳)(新潮社、上下巻)です。
この本には、偉大な統治を行った陛下のプライベートな情景が鮮明に描かれています。陛下と同様、世襲で父の跡を継ぎ、どう振舞ってよいのやら、悩んでいた当時の私には、とても参考になる本でした。
その先生からの苦言です。
最近ときどき、この国に暮らすことが恥ずかしくなります。
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本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて746日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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