OFF会の勧め
5月15日の 読売新聞「よみうり寸評」に次のような文が載っていました。
「今週公表の日本PTA全国協議会の調査結果(中略)=携帯電話を持つ中学生の6人に1人が「食事中や団らん中でも携帯電話は手放せない」という。
友人のメールにすぐ返事できるようにということか。しかし、携帯を気にしながらの団らんでは、家族同士の対話は希薄になる。週末は家族で食事という機会も多いだろう。最近は大人でも携帯電話を手放せない人が多いが、たまに忘れてみるのもいい。家族で話せば分かることもある。」
この記事は、5月15日の記事なので、文の最後の「話せば分かる」から1932年の5・15事件の時の、犬養首相の言葉へとつながるのですが、それはさておいて、今日は携帯電話のことを書きます。
「ちんや」のように、お客様に邪魔が入ることなく、ゆっくり食事をしていただきたい、と考えている、飲食店にとって、携帯は天敵と言えます。せっかく、一家の記念になるような食事をしていただいているのに、そういうところに電話やメールが着信するのは、本当に残念です。
またせっかく、暖かい物を暖かく、冷たい物を冷たくお出ししても、そのタイミングを狙ったかのように着信することがあり、腹立たしいこと、この上ありません。
タイミングの問題だけでなく、通話時間がやたらと長い人がいます。携帯の電池が切れるくらい、信じられないほど長く通話する人がいます。しばらく前にも、夜遅く閉店時間を過ぎても、いつまでも通話していて、お帰りにならない方がいらしたので、いい加減に通話を止めて、お帰りいただくよう、「この際モメることになってもやむなし」と覚悟を決めて、強行に申し入れをしたところ、幸いモメずに済み、お帰りいただけた、という事件がありました。
しかし、その御方は私がいろいろ申しても、あくまでも通話はお止めにならず、首の上下動で「分かった、分かった、帰るよ!」と示して、通話しながら帰って行かれます。
その御方のお席は、4階だったのですが、エレベーターに乗ると電波が途切れてしまうので、通話しながら階段を4フロア分降り、玄関ホールもやはり通話しながら通り抜け、今度は、あくまでも通話しながら靴を履き、さらにまだまだ通話しながら暖簾をくぐって去って行きました。その間、お連れ様(=カノジョ)もおいでなのに、当然無視となります。
嘆かわしい!
そこで、「ちんや」では、お食事中、携帯電話の電源をお切りになったお客様に特典をつけようかと思っています。そうです、特典をつけて、その御席を「OFF会」にしてみませんか、と提案してみるわけです。
本心としては、「携帯通話お断り」の店にしたいところです。店として、せっかく誰にも邪魔されることなく、ゆっくりすき焼き召し上がっていただきたいのに、途中で携帯では、台無しですから。
でも、実際問題としては、それは難しいでしょうから、逆に、通話しない方の人を優遇するようにしたいと思います。もちろん、その組の、全員のお客様が電源をお切りになって下さる場合に限ります。
店としての考え方を示せると思いますので、この案は、本気でやるつもです。
請う、御期待。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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