ブータンの王様②
昨日から、ブータン国王陛下の来日にあわせて、「国民総生産」の成長を目指すことの問題点について、書いています。
「国民総生産」を成長させる方法の、其の一、其の二は昨日書きましたが・・・
其三=今まで、人が自分自身で済ませていた用事を、代わりに請け負うサービス業を興す。
例えば食事を作る、という用事は、以前は主婦の家内労働でしたが、これを外食産業が代わって請け負うことにすれば、それは産業に成ります。
この方法は、一見簡単に経済成長を興せるように見えます。
しかし、良く考えてみましょう。この産業には画期的な新技術がありません。せいぜい、各チェーン店で行っていた調理を一箇所に集める、とか程度のノウハウしかありません。
それも、ノウハウがあったとしても、たいていは料理をマズくするノウハウです。品質が期待できません。
ですので、どうしても「利便性こそ第一」(「その他はテキトー」)という産業に成ってしまいます。そして利便性競争に走った挙句、人の自然の生活から乖離することがあると思います。
例えば、ですが、夜中の2時に24時間営業の寿司屋で寿司が食えることは、たしかに便利ではありますが、幸せなことでしょうか、ブータンの皆さん。
夜中の3時に、コンビニでおにぎりが買えることは、たしかに便利ではありますが、幸せなことでしょうか、ブータンの皆さん。
どうも利便性というのは、
「いつでも買える」
「待たずに、すぐ買える」
ということに行き着いてしまうように思います。
このところ私たちは、そうやって=つまり利便性を実現することで、「成長」してきました。私たちの近年の成長の歴史というのは、そっくり「いつでも買える」「待たずに、すぐ買える」以外の価値を捨ててきた歴史と言えるかもしれません。
特に食べ物には、利便性以外の価値=例えば「家族の絆を作る」という価値もあるわけですが、そういう価値は、どんどん彼方へ押しやられつつあるように感じます。
私たちは、この問題を考え直す時期に居るのかもしれません。
夜中におにぎりを売るには電気が要りますしね。私は、其の三の方法による成長は、国民を幸せにしない、と断言したいと思います。
あっそうそう、この一から三のどれにも該当しない成長方法として、国際観光業(=インバウンド誘致)があることは、あります。そこに力を入れるのは、悪くはありません。しかし、王道に成れるほどの市場規模ではないのが辛いところです。
まあ、私は、王道でなくても、国際観光業をやろう、と思っています。御国の役にたちそうですのでね。
追伸
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